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■春封(11)

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12月10日から約1ヶ月にわたり、ローズ+リリーのツアーが始まり、青葉はこれに毎週末、同行することになった。
 
12月10日(土)東京 12月11日(日)横浜
12月17日(土)広島 12月18日(日)神戸
12月23日(祝)名古屋 12月24日(土)大阪 12月25日(日)福岡
12月28日(水)沖縄
12月31日(土)カウントダウンライブ(宮城県)
1月3日(火)札幌
1月7日(土)宮城県利府町 1月8日(日)金沢 1月9日(祝)大宮
 
青葉は12月10日の朝から新幹線で東京に移動し、ツアー一行と合流した。
 
最近のローズ+リリーのツアー参加者は演奏者の数が物凄い。ケイが最近重厚なサウンドを志向している上に、音源を使用せずに生演奏することにこだわっているので、どうしても多人数が必要なのである。
 
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青葉が内心参加を期待していた「謎の男の娘」さんは今回は来ていない。今回のツアーで千里に代わって龍笛を吹くのは、林田風希さんという女子大生で、千里が学生時代に奉職していた千葉市内の神社の後輩巫女さんらしい。この子結構霊感があるな、と思って青葉は見ていた。
 

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青葉がついじっと彼女を見ていたら彼女はこちらに気付く。
 
「こんにちは。林田と申します。大宮万葉先生ですよね?私はこういうのは初めてなんで至らない所があったら、ぜひご指導してください」
 
「あ、いや。私も時々参加しているだけだから。実は春のツアーに参加していた《謎の男の娘》さんが来てないかなと思ってつい探してしまった」
と青葉が言うと
 
「それ私のことですか?」
と言う。
「え?春のツアーに林田さん、出てました?」
「いえ。参加はしてないですけど、私も男の娘だから」
 
「嘘!?」
 
「あれ?分かりませんでした?」
「全然気付かなかった。きれいな女の子のチャクラになってる」
「ああ。昔から何人かの霊能者さんに驚かれたことあります。私は霊的には完全な女の子だって。逆に男性として生きて行くのは無理だろうとも」
 
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「林田さんのレベルなら、男性の服を着ても、変な男装してる女の子にしか見えませんね。背広着て会社に出て行っても、これ着てねと言われて女子制服を渡されますよ」
 
「その手の体験は過去に何度もしてます」
「やはり」
 

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和実はショコラのオーナー神田、エヴォンのオーナー永井に許可を取って過去にショコラやエヴォンにいた元メイドの子たちにメールを送り、来年の夏くらいに仙台で新しいメイド喫茶を開店させるので、働く気は無いかという照会をした。その結果、5人から反応があり、念のため仙台市内で会って簡単な面接をした上で採用することにした。彼女たちは4月1日付けで雇用し、開業までの間、東京に派遣してエヴォンで少し研修を受けてもらうことにした。宿泊に関しては都内のマンスリーマンションを契約する予定である。
 
12月の中旬に、ショコラで最初に和実を指導してくれた先輩メイドで一時は新宿店のチーフをしていた佐々木悠子から連絡があった。
 
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「とうとうメイド喫茶作るんだって?」
「今建設中です。悠子さんもホテルの方はうまく行ってます?」
「何とかなってるかなという感じ。初期投資が凄まじくて、銀行のローンのハンコ押す時は、奴隷契約する気分だったよ」
 
「ああ。そちらは恐ろしい金額でしょうね」
「はるか(和実のメイド名)ちゃんも、凄かったでしょ?」
「こちらのローン契約は1億5千万だから大したことないですよ」
 
「こちらは30億円だよ」
「ああ、恐ろしい」
 

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「それでさ。私の従姉の息子が今仙台の近くの大学に通っているのよ」
「へー。どこですか?」
「S学院大学」
「それうちのカフェの近くじゃないですか」
「ああ、やはり近くだよね? それでさ、良かったら使ってくれないかと思って」
 
「それはいいですが。。。」
 
と思って和実は悩む。確かにメイド喫茶には男性スタッフが少数だが必要である。たまに不届きな客がいるので、女性ばかりだと、そういう客に対応できない。それでできたらがっちりした体格で、柔道か空手のできる、強面の男子がいると助かるのである。ただ、そういうスタッフの採用はオープン直前にするつもりだった。今採用すれば遅くとも4月くらいからは給料を払い続けなければならないが、お店が実際にオープンするまでは不要な人材である。
 
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「可愛い子だよ。メイド服似合うと思うよ」
 
へ?
 
「ちょっと待って下さい。いとこの息子さんとか言いませんでした?」
「まあ生物学的な性別は男だけどね」
「そういう人ですか!」
 
「大学にも普通に女子として通学しているよ。保母さん志望」
「へー!」
「保父さんじゃなくて保母さんになるんだと言っている」
「なれるといいですね〜」
 
「取り敢えず1度面接してみてくれない?」
「はい、ぜひ」
 
彼女は竹西佐織(本名は改名済み)と言ったが、とても可愛い人だった。声もふつうに女子の声だし、骨格が明らかに女子の骨格である。身長も160cmくらいか。小学5年生の時からこっそり女性ホルモンを摂っていて、中学2年生の頃には既にAカップサイズのおっぱいができていたらしい。
 
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「それでも高校卒業するまで男子制服を着せられていたんですよ」
「あれは苦痛だよね〜」
「何度自殺しようかと思ったかしれないけどとにかく高校を出たら普通の格好ができると思ってひたすら我慢してました。大学受験も友だちから女子制服借りて女子制服で受けにいったんですよ」
 
「貸してくれる子がいてよかったね」
 
彼女はカフェの経営にも興味があるということであった。実際にコーヒーを入れてみせてもらったが、美味しいコーヒーを入れることができた。彼女にはマキコというメイド名で働いてもらうことにした。メイドカフェの経験は無いということであったので、大学の春休みの間に東京に出てエヴォンで研修を受けてもらうことにした。
 
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ローズ+リリーのツアーは12月23日(祝)が名古屋、24日(土)が大阪、25日(日)が福岡と続いたが、名古屋公演が終わった後、24日の午前中にケイだけ福岡まで行ってくるということだった。その日アクアの新しいCDが発売されるので、その発表記者会見をするのだが、アクアはその日博多ドームでライブがあるので、記者会見を福岡天神の放送局でやるということであった。
 
そして青葉は冬子(ケイ)から
「ちょっと一緒に付いてきてくれない?」
と言われたのである。
 
今回のアクアのシングルはマリ&ケイの『モエレ山の一夜』と醍醐春海の『希望の鼓動』の2曲カップリングで、青葉は参加していないのだが、このついでにアクアのプロジェクトに関わっている人達で集まって少し打合せしたいということだったのである。
 
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それで早朝の新幹線で冬子と一緒に博多に移動し、地下鉄で移動して市内のロイヤルホストに集まった。ここに顔を揃えたのは、秋風コスモス、三田原彬子、千里、冬子、青葉の5人である。女性5人の集まりだが、この中の4人が性別を変更している。凄いメンツだなと青葉は思った。
 
この日話し合ったのは、この業界の打合せの常として70%を占めた雑談を除くと、アクアの今後の制作方針に関する意見の出し合い、今日の記者会見で言う内容の確認のほか、アクアの「去勢済み疑惑」に関する議論もあった。三田原さんはアクアが既に去勢しているのではないかと、かなり疑っているようだったが、青葉と千里はどちらもその疑惑を否定する。その上でふたりともあと5年程度はアクアに声変わりは起きないと言明した。
 
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「姉さん、龍虎に何したのさ?」
と青葉が訊くと
「青葉の邪魔をするようなことはしてないよ」
と千里は言う。
 
青葉と千里は微妙な視線を交わすが、その問題についてはコスモスが再度本人とよくよく話し合いたいと言っていた。彼自身がこのまま男の子として生きていきたいのか、それとも女の子になりたいのかで、制作方針は大きく変わってしまう。そして男の子として生きて行く場合、実は声変わりがいつ頃起きるかというのも制作側としてはひじょうに大きな問題なのである。
 
多くの男の子アイドルは声変わりを境に大きくセールスを落とす。
 
といって性転換でもしたらファンは激減する。
 
男の子アイドルというのは、いわば砂上の楼閣のように、はかない存在だ。
 
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この他、今日のアクアの公演で爆弾予告があったことが報され、青葉は大いに驚いた。ただ「物探し」のうまい千里姉がドームまで一緒に行くと言っていたので、多分どうにかなるかな、と青葉は思った。
 
そして!青葉は、今日はテレビの画面には出ないものの、今着ている服は酷すぎると指摘された。
 
「そんな服を着ていると40歳のおばちゃんかと思われるよ」
「え〜!?そこまで??」
 
結局、コスモスの事務所の沢村さんが若い女の子向きの服を買ってきてくれたので青葉はその服に着替えさせられた。
 
「こんな可愛い服なの〜?」
と青葉は恥ずかしがっている。
 
「女子大生はこのくらいチャラチャラした服が良い」
と千里。
 
「桃姉が、スカート穿いたら女装でもした気分だと言っていたのが少し分かる」
と青葉は言う。
 
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「うん。これならまあ22-23歳くらいには見えるかな」
と冬子が言うので、また青葉はショックを受けていた。
 

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放送局まで行って少し打合せをした後、冬子が青葉に頼んだ。
 
「青葉。実はマリからちょっと買物頼まれていたんだけど、博多駅に一足先に行って買物しといてくれないかな」
 
ところがそこに千里が言ってくる。
 
「それは青葉が行く必要無いよ。私の友だちにさせるよ。何が必要?」
 
と言って、千里はその「お友達」に電話をしていた。青葉は千里が電話するように装って実際は眷属に作業させるのでは?と思い、その電話する所を見ていたものの、千里は普通に電話しているように見えた。
 
「醍醐先生はガラケーをお使いなんですね」
と放送局のディレクターさんが言っている。
 
「私、静電体質だからスマホはダメなんですよ。ショップで私が触ったら、いきなり電源が落ちて、二度と起動しませんでしたよ」
 
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「なんて怖い」
 
「マリちゃんもスマホがダメだよね?」
と千里は冬子に訊く。
 
「そうそう。スマホを半年単位で壊すもんだから、とうとうガラケーに戻してしまった」
と冬子。
 
「なんか大変ですね!」
とディレクターさんは同情するような感じの顔をしていた。千里はその後、三田原さんとも似たような会話をしていた。
 
しかし・・・千里姉がガラケーとスマホの両方を使っている所を鈴木真知子ちゃんが目撃している。千里姉がその2台をどう使い分けているのかも、青葉には謎である。
 

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話題は千里がバスケット選手だという話になり、千里はいつも持ち歩いているというバスケットボールをバッグから取り出し、膨らませてその場でドリブル・パフォーマンスなどしてみせ「すごーい」という声があがる。そして千里はいきなりボールを青葉にパスした。反射的に受け取るが、それと同時くらいに千里は「パス」という声を出した。
 
普通先に声を出さないか!?
 
ちゃんと受け取れたからいいけど。
 
「青葉、なかなか反射神経が良い」
「私も水泳選手だし」
 
「大宮先生は水泳なさるんですか?」
「高校時代はインターハイに出たし、今年もインカレに出たね」
「まあ出ただけだけどね」
「そんなこと言って金メダル取ってるし」
「それは凄い!」
「それリレーだから、他の人の力ですよぉ」
 
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「しかしスポーツ姉妹なんですね。凄いですね」
 

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