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■春封(3)

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8月になってから、青葉の所に和実から連絡があった。
 
「あの若林区の物件4区画買っちゃった」
などと言っている。
 
「4区画!?」
「あの直後、あそこに建っていた古い旅館も土地を売って撤退することになったんだよ。だから4区画まとめて空いちゃって。旅館はちゃんと更地にしてから引き渡してくれる。それで4区画まとめて約400坪、1500万円ジャストで買えちゃったんだよ」
 
「すごーい!」
 
「旅館の人がどうも早く現金が欲しかったみたいで。こちらが即金で払うと言ったら、簡単に妥結しちゃった」
 
「それ運が良かったと思う」
 
「まあ衝動買いかな」
「1500万円の衝動買いって、セレブみたいだ」
「うん。このネタ、営業トークで15年は使える」
 
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「私もせめて100万円くらい衝動買いしてみたい」
などと青葉は言っていたが、それはすぐ実現することになる。
 
「土地代で5000万円考えていたから、その分、建築費に回せるよ。まあ建築費用はハナっから銀行頼みだけど」
 
「それ代理母でもたくさん使ったからでしょ?」
「それもあるんだよねぇ」
 
「風水の造成もするんだよね?」
「うん。それがよく分からないから、見てくれない?」
 
それで青葉は期末試験が終わった8月6-7日(土日)に再度仙台に行ったのである。今回は彪志がちょうどお休みを取れたので、東京から彪志にも同行してもらった。
 

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「きれいに更地になっている」
「この広さがあれば確かに風水的な改造の余地があるなあ」
 
「建物面積はどうするの?」
「ここは建蔽率60%容積率100%なんだよ。だから400坪の土地があれば例えば1階240坪、2階160坪の建物が建てられる計算になる」
 
「ビルでも建てて、貸しビルのオーナーになる?」
「それは市と交渉すれば可能だと思うけど3−4年掛かりそうだ」
 
「まあ無理に限度一杯建てる必要はないでしょう」
 
「店舗面積はどのくらいを想定してたの?」
「50-60席くらいを想定していたから客席40坪。この客席数だと実はトイレで15坪程度は必要。うちは雰囲気重視だからトイレにはお金掛けたいからね。あそこトイレが素敵だからまた行きたい、と言われるくらいにしたい。それと客席が40坪なら厨房は20坪になる。他に事務所4坪、更衣室8坪、と考えて行くと90坪くらいになる。あと住居は20坪で合計110坪」
 
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「結構食うね!」
 
「だから詳細な設計をしてみないといけないけど、事務所とか更衣室は2階に持っていった方がいいかなとも思っている。実はノゾキ対策もあるんだけどね。新宿店は実はそれで随分悩まされたんだよ。逆に240坪ギリギリまで使うとしたら、お店の北側に2階建ての家を20坪で建てて、店舗は220坪で、これシミュレーションしてみたんだけど、客席は160坪くらい、定員240人ということになる」
 
「それはもうフードコートだと思う」
 
「うん。だからそんなに建蔽率一杯建てなくても駐車場を広く取ればいいと思う。こういう都心から離れた場所で商売する場合、広い駐車場を持つことは必須だと思うんだよね。だから客席は50坪、75席くらいかな」
 
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「それは確かだと思う。あれ?でももしかして、その住宅自体が、店舗の玄武になる?」
 
「そうそう。そのつもり。但し建て方によっては斜面規制で斜めの形の屋根にする必要があるかも」
 
「北側は道路だから大丈夫と思うけど。でも住居を玄武として使うのなら、日々掃除をしてきれいにしておかないといけないよ」
 
「それは淳がやるから大丈夫」
 
「なるほど〜!」
 

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「でも75席を埋めるほどのお客さんを呼べるかというのが問題だなあ」
 
「銀座店みたいにステージ作ってミュージシャンを呼んだら?」
「それいいかも知れない」
 
「銀座店のステージは確か15平米くらいあったよ」
「ここは土地安いしもっと広くしてもいいかも」
「だったら、ステージでどーんと10坪・33平米くらい使っちゃったら?そしたらライブ目的の客が来るよ」
 
「10坪というと・・・5間×2間として、9m x 3.6mか。それかなり広いよ」
「逆にそれより広くすると3〜4人のバンドではちょっと寂しくなる。だから無闇に広くすればいいというものではないと思うんだよね。ローズ+リリーとか連れてくる訳でもないし」
 
「実質ライブハウスにしちゃう訳か!?」
「そうそう」
 
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「ステージで10坪使うと客席は40坪で席数に直すと60席くらい。その方が結果的に適正規模かも。60席くらいなら何とかなる気もするなあ。メイドカフェという特殊事情を考えると」
 
「40坪は詰め込めば100席くらいまで設定できると思う」
「オールスタンディングなら300人は入るね」
「そこまで詰め込んでも仕方ないよ。100席で消防署の認可を取って、ふだんは60席くらいで運用するといいかもね」
 
「うん。それでいいと思う」
 
青葉はその場で羅盤で確認しながら図面上に、この付近に住宅を建て、この付近に店舗を建てて、朱雀にする池はこの付近に造成するといい、といった概略の図を書いた。後できちんと清書して送ることにする。
 
彪志がたくさん土地の写真を撮っていた。
 
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「店舗と住宅を建てる場合って、それ分筆しないといけないのかな?」
と彪志が訊く。
 
「基本的にひとつの土地に建物は1“構え”しか建ててはいけないからね。その辺りは司法書士さんと話してみて、必要なら分筆するよ。各々で建蔽率は充分満たせると思うし」
 
「これだけ広ければね!」
 

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「ところでここ霊道とかは?」
「近くにあるけど凄く不安定。空き地が多いから、わりと簡単に移動する。こんなの今処置しても仕方ない。何か怪異とか起きたら相談してよ。移動させに来るから」
「了解。じゃその時はお願い」
 
「この付近で迷っている霊さんたちは?」
「私は気にしないけど、メイドの女の子たちがキャーキャー悲鳴あげそうだな」
「あまり出るという噂を立てられても困るしね〜」
 
「慰霊碑とか建てておくと割と処理できると思う」
「じゃその慰霊碑を建てる場所は教えて」
「うん。後で検討してそれも一緒に図面送るよ」
 

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加根子はいきなり夫から殴られた。
 
殴られた勢いで倒れてしまうが、何も言わない。文句をいえば逆上するだけだというのを学習している。
 
夫は普段はいい人なのだが、酒を飲むと人が変わったように猥褻になるし暴力的になる。加根子はともかくも娘や息子たちが暴力を受けないように、ひたすら自分が楯になってきていた。
 
夫は更に加根子を殴った。
 
ところがここに息子の裕夢が割り込んだ。
 
「父ちゃんやめなよ」
「こら、お前親にたてつく気か?」
 
「父親というのは自分の奥さんを大事にし、子供を守ってくれるものを言うんだよ。子供を殴るような奴は親でもないし、奥さんを殴るような奴は夫でもない」
と裕夢が言う。
 
「なんだと?誰のおかげで、ここまでおまんま食わせてもらってきたと思っているんだ?」
と言うと、父は裕夢を殴ろうとしたが、裕夢はそのパンチをさっと交わすと、カウンターで父の顎に一発フックを決めた。
 
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父が倒れる。
 
姉がそっとそばに寄って父の様子を見る。
 
「お父ちゃん、気を失っているみたい」
 
すると裕夢は言った。
 
「こんな奴はもう金玉取ってしまおう。そしたら少しは暴力も収まるだろう」
 
そう言うと、裕夢は父のズボンとトランクスを脱がせると、その付近を握りしめぎゅっと力を入れて、引き抜いてしまった。彼は「金玉」と言ったのに実際は男性固有の物を全部取ってしまった。
 
「うっそー!?」
と言った所で、加根子は目が覚めた。
 

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和実は淳と相談して設計・建築作業を進めたかったようだが、システム作成の仕事が忙しそうで全然捕まらない。そこで、この手の話に明るそうな高校時代の友人、伊藤春洋君(仙台在住)と会って、彼とふたりで住宅と店舗の大まかな間取りや構造を決めた。
 
彼には
「手伝ってくれた御礼にメイドの衣装3Lサイズくらいの1個プレゼントしようか?」
などと言ってみた。
 
「おお、くれくれ。たぶん女子のサイズXLで入ると思う」
などと彼は言っている。
 
「何ならうちでメイドとして働かない?チーフにするよ。伊藤ってお化粧したらけっこうな美人になりそう」
 
などと言ってみたものの、彼は
 
「それ癖になったら怖いからパス」
と言っていた。
 
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彼と2人でだいたいの設計を固めた所で、いくつかの工務店に見積もりを取った。その結果、大手ハウスメーカーの代理店にもなっている所で重量鉄骨構造で作ることを決めた。
 
和実は最初、軽量鉄鋼構造を考えたのだが、窓が取りにくいので、窓が使えないと圧迫感が出ること、客席の広い空間を壁無しで保持するのが困難であること、そして建物が軽すぎて防音にするのが困難という結論に達し、重量鉄骨構造を選択した。旭化成系列なのでヘーベルを使用するが、ヘーベルだけでなく防音材をしっかり貼り付ける。床などもしっかりした構造にする。防音の決め手は実は床である。そして地面を少し掘って、本来の地面より40cmくらい低い所に基準面を設定した。これで床下が実質地下になるので、周囲に響きにくい。
 
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住宅と店舗の「2軒建てる」問題について、司法書士さんは微妙だと言ったが(住宅を管理人宿舎と言い張れば物置などと同様の単なる付属物なので、1つの土地の中に建てられる)、あとで揉めるよりはということで分割することにした。それで412坪(但し長方形として取れるのは384坪)あるのを、住居用64坪と店舗用348坪に分筆した。
 
(元々4筆あったのを1つに合筆していた)
 
店舗部分は1階は8間×14間の112坪、2階が8間×8間の64坪とした。2階はトイレと防音室以外はフリーレイアウトとし、固定の壁ではなくパーティションで対応することにした。実はこれも軽量鉄鋼構造では難しい所だった。
 

 
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2階には本番前の出演者のリハーサルルームも兼ねて、ステージと同じサイズのスタジオを設置する。ここには録音の機材も入れて、音源制作もできるようにする。↑の図面で土地の四隅の赤・白・黒・青のマークについては後述。
 
総面積が176坪になるので、建設費は坪単価50万円で8800万円である。住居は42坪の坪単価28万で1176万円。合計9976万円。和実は店舗部分だけでも1億を超えるのを覚悟していたので、思ったより安くて驚いたようである。
 
南西側には12 x 20間(240坪 792平米 21.8m x 36.4m)の駐車場が取れるようになった。駐車場は1枠5m x 2.5m なので3 x 14列に枠を作れば42台の駐車スペースが作れることになる。実際には福祉車両枠と大型車枠も作って合計30台くらいで考えたいと和実は言っていたが、客席が60席程度の飲食店ではその程度あれば充分すぎるであろう。なお食材などの配送用トラックは反対側から和実の自宅の庭に入れて駐めてもらい、裏側から運び入れることにする。ライブをやるミュージシャンの機材を乗せた車などもそちらから入ってもらう。
 
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和実は結局銀行から1.5億円借りることにした。和実は昨年1年間の年収が800万円を越えていたし、淳も700万円ほどの給料をもらっている。それで銀行は1億5千万円貸しても大丈夫と見たようである。一応保証人に関しては、双方の父の年齢が高いこともあり、保証協会を使うことで銀行側と合意したが、融資決定の前に事業体を設立して欲しいと言われたので、仙台市内の司法書士さんに頼んで急いで設立作業を行い、8月12日午後に運営会社“クレール”を登記した。実際の融資は工務店に工事代金を支払う時に実行され、そこから利子が掛かっていくことになる。
 
会社の役員は和実が代表取締役社長、淳が代表取締役会長、胡桃が「名前だけだからね」ということで平の取締役で、監査役は青森県黒石市在住の淳の伯父に頼んだ。資本金は2000万円である。
 
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実は土地を衝動買いした時、現金があと2000万円残っていたので、これを全部会社の資本金として投入したのである。株式の所有率は和実が51%、淳が49%である。
 
8-9月は青葉は忙しいようで、現地には来てもらえなかったのだが、電話やメール、FAXでやりとりしながら作業を進めた。
 

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