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■娘たちの誕生日(19)

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これらの演奏が実質入試代わりになったようで、その場で合格内定を告げられる。あとは、事務的な手続きや、入学にあわせて準備しておいてほしいことなどの連絡となった。
 
通学に関してはこの学校の近くにマンションでも借りて、そこに龍虎が1人で住み、通学してくることにしようということになる。また事務所の車で迎えにくる場合は、その車のナンバー、迎えにくる可能性のある人の名前などを届けて欲しいということだった。
 
制服については、男子の制服は定めていないので、学生らしい服であればよいということであった。教頭先生が「男の子に女子制服を着せる訳にもいきませんしね」と言った時、龍虎が微妙な顔をしたので、先生は
 
「女子制服を着たければ着てもいいですよ」
と言い、龍虎は
 
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「どうしよう?」
と悩んでしまった!
 
「実は既に入学が決まっていた男子生徒の1人は女子制服で通学したいということだったので、認めたんですよ」
 
「へー!女の子になりたい男の子ですか?」
「そのあたりは個人情報なので明かせませんが、中学も3年間女子制服だったそうで、それなら高校も女子制服で全然問題無いですよと言ったんですよ」
 
「あんたも中学時代、けっこう女子制服を着てたね」
などと母が言うので
 
「ああ、だったら田代さんも、この学校でも女子制服で構いませんね」
と先生は笑顔で言った。。
 

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学校での面談を終えてから、上島さんと別れ、田代夫妻・支香と4人で近くの不動産屋さんに行った。昨日の内にネットで検索して、目星を付けていたお店である。それでC学園高校に入るので、学校からあまり遠くないマンションを借りたいと言った。
 
「お母様かお姉様と一緒にお住まいなさいますか?」
と不動産屋さんが訊く。
 
どうも支香は龍虎の姉と思われているようである。実際の年齢は、田代涼太・幸恵・長野支香、全員1979年生れの37歳である!
 
「いえ、ひとり暮らしです」
「でしたらオートロックがいいですよね?」
「はい、それがいいです」
 
オートロックじゃなかったら、帰宅したら部屋の前にファンが立ってた、なんてことがあり得る気がした。
 
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荷物が多いので最低2DKだが、あまり広すぎても持て余すので3LDKくらいまで、C学園から徒歩20分程度以内・赤羽駅から10分程度以内、そしてあまり古すぎない所、というので探してもらった所、学校まで15分、駅まで4分という場所で、築10年、2SLDK 12階で家賃16万円という所が見つかった。
 
「この場所でこの家賃は安い気がする」
と支香が言った。
 
「駐車場が無いのがネックでしょうかね」
「まあこれだけ駅が近ければあまり必要ないかもね」
 
支香は本人が芸術コースに入学するのでピアノを弾きたいので、そのSの部屋に防音板を貼り付けてもいいかと尋ねた(窓の無い部屋は防音化しやすい)。不動産屋さんは基本的には出る時に原状回復してもらえれば問題無いと言った。
 
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「ただこの図面を見て頂ければ分かりますが、この部屋は偶然にも角部屋なので、Sの部屋は外壁に面しておりまして、お隣の部屋には響きにくいとは思いますけどね。それに最上階だから上の階に響く心配も無い」
 
「夜中に弾いても大丈夫なように防音材を貼りたいんですよ」
「ああ、それなら貼ったほうがいいかも知れませんね」
 
「床にはダンススタジオなどに使われている厚手の防音マットを敷いた上に毛の豊かなカーペットを敷こうと思っています」
「それはかなり防音効果ありそうですね!」
 
実際、龍虎が歌や楽器の練習をするのはたいてい夜中になってしまうだろう。
 
それでここを借りることにしたが、龍虎は未成年なので書類上の契約者は親権者である長野支香になった。家賃自体は長野龍虎名義の口座から引き落とす。
 
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防音工事に関しては、事務所が経験豊かな業者を知っているので、そちらに頼むことにした。
 

12月19日(月).
 
龍虎が学校で担任の先生に東京北区のC学園に進学が決まったたことを報告し、昨日その場で書いてもらった合格内定証を見せると、担任は
 
「良かったね。行き先が決まって」
と言ってくれた。
 
しかし、そばに居た桐絵が
「龍、やはり女子高生になるんだ?C学園って女子高だよね?」
と言った。
 
「違うよ。C学園は来年度から芸術コースに限って男子を最大5名まで入れることになったんだよ。ボクはその3人目の合格者」
 
「そうだったんだ!でも龍ならふつうに女子高でも通るよね、なんて言ってたんだけどね」
などと桐絵は言っていた。
 
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昼休みにランチルームで、龍虎がいつものように彩佳・桐絵・宏恵の仲良し4人組で給食を食べていたら彩佳が言った。
 
「各クラスの情報通の子に聞いてみたんだけどさ、うちからC学園に行く生徒は龍以外に居ないみたい」
 
龍虎は、それって今日の帰りまでには3年生の女子全員がボクの進学先を知ることになるな、と思った。
 
「まあ、そもそも県外に行く子自体が少数だよね」
「ミッション系では、さいたま市のL高校に行く子が1人」
「へー」
「L高校は制服が無いんだよ。だから龍、女子っぽい服で登校しても咎められないかもよ」
「別に女の子の服で登校する趣味は無いよ!」
 
3人は顔を見合わせる。
 
「龍、私たちの前で恥ずかしがる必要ないよ」
「女子制服で通学したいんでしょ?」
「したくないよぉ」
 
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「素直じゃないなあ」
「今更隠したって意味無いのにね」
 

などといった話をしていた時、唐突に桐絵が言った。
 
「よし。私もC学園に進学しよう」
「え〜〜〜!?」
「だってうちの中学からC学園に行く女子生徒が居なかったら、龍1人で寂しいでしょ?」
「大丈夫だと思うけど」
 
「遠慮することないよ。小学2年の時以来の親友だし。それに私が近くに居れば、龍が女子トイレを使おうとして咎められても弁明してあげられるよ」
 
「別に女子トイレを使う趣味は無い!」
「だって龍、かなり女子トイレを使っている」
「みんながボクをそちらに連れ込むんだもん」
「実際、男子たちは龍が男子トイレに入ってくると、ちんちん出しておしっこするのが恥ずかしいらしいよ。だから龍には男子トイレ使ってほしくないって」
「ああ、そういう意見も強い」
 
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そんな会話を聞きながら、少し嫉妬するような表情をしていた彩佳が言った。
 
「よし、私もC学園に行く」
「熊谷西じゃないの〜?」
「桐絵1人だと、風邪とかで休んだ時に心配じゃん。2人いれば安心だよ」
 
すると宏恵は呆れるように言った。
「あんたたちも、よくやるね〜。私はコーラスやりたいから熊女(熊谷女子高)に行くよ」
 
「うん、それでいい」
「結果的にはこの4人全員女子高に進学することになるね」
「ボクは共学だよぉ」
「男子が5人しか居ないのなら、ほぼ女子高ということでいいよね」
 
「でもあんたたちも学校の近くにマンション借りる訳?」
「高そうだしなぁ。自宅から頑張って通学するかな」
「定期券代でアパートくらいは借りられる気がする」
 
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「龍は熊谷から東京までの定期持っていたよね?」
「これ?」
と言って龍虎が見せる定期の額面は3ヶ月で199,400円である。
 
「3ヶ月でこれだから1ヶ月あたり6万6千円くらいかな」
「これ新幹線定期だから、在来線だけでいいなら、確か3ヶ月で7万円くらいだよ」
 
(龍虎が使用しているのは通勤定期なので199,400円だが、通学定期なら155,820円。在来線なら熊谷−赤羽は51.5kmなので通勤70,670円・高校生の通学31,820円になる。金額的には庶民でも通学可能だが体力は無茶苦茶使う)
 

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「そのくらいなら何とかなるかなあ」
「熊谷駅までの交通費も忘れないように」
などと言っていたら、スマホで何か見ていた桐絵が
 
「C学園は女子寮があるよ」
と言った。
 
(女子校にはたぶん男子寮は無い)
 
「よし、そこを狙おう」
「希望者多数の場合は成績順だって」
「じゃ上位で合格すればいいね」
「それに上位5名以内なら校納金全額免除、上位10名以内なら8割免除」
「よし、入試頑張ろう」
 
「そこ定員は?」
「高校から募集する分は進学コース30名・芸術コース10名。但し芸術コースは一般募集無しで自己推薦のみ。一定レベルに到達している生徒が少数の場合は10名まで採らない場合もある」
 
「30名の中の上位10名って厳しくない?」
と龍虎は心配したが
「冬休みは毎日一緒に勉強しようよ」
と彩佳が桐絵たちに提案する。宏恵は
「一緒にやるのはいいけど私教えないからね。勝手に勉強しててよね」
と言っている。熊女はレベルが高いから、頭のいい宏恵でも、ゆとりが無いのだろう。
 
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しかしそういう訳で、彩佳・桐絵が一般入試でC学園を受けることになった。2人は親と話して、寮に入れば1ヶ月1万円で済むこと、学費も上位に入ればかなり減免されることを言って、結局その上位10位以内に入ったら進学を認め、熊谷商業との併願にすることで親の承諾を得た(彩佳は模試の結果も見た上で熊谷西は諦めて県立なら熊谷商業ということに変更したようである)。
 

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今年は12月23日が祝日、24-25日が土日なので、龍虎の学校では12月22日(木)に終業式が行われた。これから1月10日に始業式があるまで学校が休みなので、アクアは東京足立区の寮に泊まり込むことになるが、実際にはその間ツアーがある。
 
22日に終業式が終わった後、新幹線で東京に出てきて、その日いっぱい仕事をし、23日も夕方近くまで様々な撮影・録音をこなして、18:00にお台場の放送局を出る。そして20:00の飛行機で川崎ゆりこと一緒に福岡に飛んだ。
 
HND 12/23 20:00 (7G55 A320) 21:55 FUK
 
(実は千里が乗ったのと同じ便なのだが、龍虎たちと千里は空港や機内では遭遇しなかった)
 
福岡空港からはタクシーでシーホークホテルに入り、案内された部屋に入ってシャワーも浴びずにひたすら眠った。
 
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12月24日は朝8時に目を覚ます。朝食券がテーブルに置いてあり、4階かと思って部屋を出ようとした時、コスモス社長から電話が掛かってくる。アクアがラウンジに入って、ファンが騒いだりしてはいけないので、食事は部屋に持って行ってもらうようにしたということだった。
 
それで待っていると、鱒渕さん!が食事を持って来てくれた。
 
「ホテルの人が持って来てくれるのかと思った!」
「この時間帯はルームサービスの時間外だということだったから、レストランの人に許可をもらってテイクアウトしてきた。もし足りなかったら言ってね。また持ってくるから」
 
「これだけあれば充分だと思います!」
 
鱒渕は忙しいようで龍虎の部屋に置かれていた食事券を取るとすぐ出て行った。それでアクアは今日のライブの譜面を斜め読みしながら、のんびりと朝食を取った。食べ終わった所で連絡したら倉橋さんが取りに来てくれた。
 
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昨夜シャワーも浴びずに眠ってしまったので、食事の後でシャワーを浴びる。鱒渕さんからメールが入っていて、テレビ局には11:30に入ればいいから、11時すぎにホテルを出るよということだった。
 
やがて愛心とハナちゃんが来てくれて、2人がギターとキーボードで伴奏をしてくれるので、龍虎は発声練習ぎみに今日の楽曲の練習をした。
 
11時前に
 
「じゃお着替えして出てきてね」
とハナちゃんが言い、部屋の鍵も持って2人は出ていった。それで精算するのだろう。龍虎は今日のテレビ出演用の服を着て、荷物をまとめ下まで降りて行った。
 
12時から福岡のテレビ局で、今日発売になるアクアの7枚目のシングル『モエレ山の一夜/希望の鼓動』の発売記者会見をするのである。
 
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下に降りていくとゆりこと鱒渕が待っている。
「済みませーん。遅くなりました」
「私たちが早く来ていただけだよ」
 
という会話を交わして、ホテル前からタクシーに乗り、11:20くらいに天神北にある放送局に到着した。中に入っていくと、紅川会長とTKRの松前社長がいるので、びっくりする。
 
「何かあったんですか?」
「いや、ツアー初日だから来ただけだよ」
「ありがとうございます!」
 
しかし後ろで『こうちゃんさん』が笑っているので、どうも何かあったようだなと龍虎は思った。この時点では、桜野みちるさんの彼氏との交際がバレたとか?などと龍虎は考えていた。
 

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少しして、コスモス社長、三田原課長、ケイさん、千里さんに、青葉さんまで来る。どうもこの5人は何か会議をしていたようである。表情が厳しいので、やはり何か事件が起きているなと思う。この時点で、自分に関する何かが起きているようだと判断した。きっとライブ前の自分を動揺させないように何も言わないことにしているのだろう。
 
チラッと《こうちゃんさん》を見たら
 
『龍の手とか足とか目とか耳とか、内臓全部にヴァギナとかも全部IPS細胞から作った予備があるから安心しろ』
などと言っていた。
 
もう!
 
つまり、ボクを襲撃するとかいう予告でも来ているのかな?しかし、ヴァギナの予備まであるの〜?作った女性器は1組だけじゃないわけ?
 
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社長たちの様子を見ていたら、千里さんが持っていたバスケットボールを膨らませて、ドリブルしたり青葉さんにパスしたりしている。まあ千里さんたちもいるから大丈夫だよね?と龍虎は思った
 

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娘たちの誕生日(19)

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