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■娘たちの誕生日(2)

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現在の寮生はこのようになっている。
 
201.秋田利美(小6)2015ロックギャル優勝
202.南田容子(中2)2015ロックギャル10位
203.佐藤ゆか(中3)2015ロックギャル8位
204.米本愛心(中3)2013フレッシュガール3位
205.山口暢香(中1)2016ロックギャル2位
206.吉沢蕾美(中2)2016ロックギャル4位
207.高島瑞絵(中1)2016ロックギャル5位
208.
 
301.
302.吉田和紗(高3) 2016ロックギャル8位
303.姫路スピカ★(高1)2016第3代ロックギャル
304.花咲ロンド(高2)2015第2代ロックギャル権利者
305.川内峰花(高3) 2014ロックギャル4位,2015ロックギャル3位
306.品川ありさ★(高2)2014フレッシュガール優勝
307.高崎ひろか(高2)2014初代ロックギャル
308.アクア★(中3) 2014ロックギャル優勝
 
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(★は居住はしておらず遅くなった日や早出の前泊に利用している人。また2016年組は部屋を割り当てられただけで、引越はこれからの子が多い。この日は偶然にも、ひろか以外の全員が揃っていた)
 
通学研修生
 
天月西湖(中2) アクアのボディダブル 桶川市在住
溝口ルカ(中2) 2015ロックギャル12位 八王子市在住
仲原恵海(高2) 2014ロックギャル6位 川口市在住
西宮ネオン(高2)2015ロックギャル特別賞
門脇真悠(中1)2016ロックギャル3位
木下宏紀(中2)2016ロックギャル10位 板橋区在住
 

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「実際、寮も2-3階は満杯に近いよね」
「たぶん3月には高校3年の2人が4階に移動されて、中3の2人が3階に移動になって、2階が5人に減るんじゃないかな」
「利美ちゃんは来年の春にデビュー予定だから中学進学と同時に3階かも」
「すると3階が満杯?」
 
「あ、私は3月で辞めるから1つ部屋が空くよ」
と米本愛心(アコ)が言った。
 
「辞めるの!?」
 
「元々研修生になった時、3年以内にデビューできなかったら辞めると、親と約束していたんだよ。あらためて社長・会長と私・私の両親と5人で面談したんだけど、今の私のレベルではデビューは難しいということだったので3月で辞めること決定。中学卒業と同じタイミングで退所」
 
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「えー?もったいない」
「愛心ちゃん、ギターもベースもキーボードも凄く上手いのに」
「私の歌はあまり褒められたことがない。演技もあまり上手くないし」
 
「そうだ!キーボード奏者としてデビューするとかは?」
「私の腕では無理だよぉ」
「でもエレクトーンの6級持っているんでしょ?」
 
「プロ奏者になるような人は4級とか3級とか持ってるよ」
「柔道の初段と三段・四段くらいの差?」
「たぶん、それに近いと思う」
 

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「まあアコちゃんはソロ歌手は難しいと思う。まとめ売りコースだな」
とハナちゃんが言っている。
 
「いや、実は優羽(ことり)ちゃんが三つ葉としてデビューすることになったでしょ? それで私もちょっと勇気づけられた面はある」
と愛心。
 
「デビュー決定ですか?」
「CDが3万枚売れなくても?」
「たぶん2日目の福岡か3日目の札幌で完売すると思う。万一札幌でも売れ残ったら、さくらを動員する秘密計画が進んでいる」
と品川ありさ。
 
「ああ、そうでしょうね」
「さすがに性転換手術なんて、やる訳にはいかないよ」
「それは何とかするんだろうと思ったけど」
 
「でもああいうの狙っているんだ?」
「あの番組の次のオーディション受ける?」
「いや。三つ葉の後はしばらくオーディションしないらしい」
「へー!」
 
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「スター発掘し隊は9月で終了。10月からは新番組『3×3大作戦』が始まる」
と品川ありさが言っている。
 
「そんな話があるんだ」
 
「実は私とひろかとみちるさんの3人も出る」
「凄い!」
 
「三つ葉、スリファーズ、信濃町シスターズで3者対抗。それで3×3」
「シスターズ?」
「信濃町ガールズのお姉さん格ということで」
「ありささん、ひろかさん、にアクアさんじゃなかったんですか?」
「アクアはスケジュールが鬼畜すぎるから無理」
「そうですよね!」
「ネオンを誘ったけど、おそろいのスカートのユニフォーム着てと言ったら逃亡した」
「スカートくらい穿いてもいいのに」
「ネオンさんの女装可愛いのに」
などと女子たちが言っているので、真悠も葉月もドキドキした顔をしている。
 
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「それで、みちるお姉様にお願いした」
「なるほどー」
 

お肉を食べながら1時間くらいおしゃべりしていた時、唐突に愛心が言った。
 
「あ、今日はハナちゃんのお誕生日だ」
 
「え?ほんと?」
 
「誕生日おめでとう!」
「ハッピーバースデー!」
とみんなから声が掛かる。
 
「さんきゅ、さんきゅ。誕生日のプレゼントは来月いっぱいくらいまで受け付けるよ」
 
「ケーキ買っておけば良かったね」
「そうだ。龍宛てに送られてきているケーキ、いくつか持って来たら?」
などと彩佳が言っている。
 
「おお、それも歓迎」
などとハナちゃんが言うので、紅川知世子さんが大田区のサテライトオフィスにいる人に電話して5個くらい!持って来てもらうことにした。
 
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「なんか個人的な用事で申し訳無いね」
「いや、大量にあって困っているから、消費してもらえたら助かるのよ」
「確かにね〜」
「特に生クリームを使っているものは足が速いでしょ。夏だから処理が追いつかなくて去年も泣く泣く廃棄になったものもかなりあった」
「もったいないなあ」
「ファンクラブでは、できるだけギフトカードとかにしてくれと呼びかけているんだけどね」
「それでバレンタインも量的にはかなり減ったね」
「そのギフトカードはどうしてるの?」
「実は処理が追いつかなくてどんどん溜まっている。期限のあるもの優先で使用したり、どこかに贈ったりしている」
 

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「ハナちゃん、出生時刻は何時ですか?」
とパソコンを取り出した彩佳が訊いている。
 
「1998年8月10日、0:51 佐賀県多久市」
「あ、聖廟のあるところだ」
と吉田和紗が言う。
 
「よく知ってるね。近隣の人でも知らない人多いのに。和紗ちゃん、どこだったっけ?」
「せんだいなんですよ」
「それもしかして鹿児島の川内(せんだい)?」
「正解です!すごーい!“せんだい”と言えば、みんな東北の仙台を連想するから」
「まああんたのイントネーションは東北系ではない」
「ああ、それでバレますよね」
と言っていたのだが
 
「せいびょう?」
という質問がある。
 
「孔子廟(こうしびょう)と言う人もあるけど“聖廟”(せいびょう)が正式名称。聖者の聖、廟は日光廟とか大谷本廟とかの廟、死者の霊を祭る場所」
 
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「こうし?」
という質問が更にある。
 
「論語の孔子。子曰く(しいわく)之を知るを之を知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり、とか」
 
「ああ、その孔子か!“こうし”というから、どこの先生(講師)かと思った」
「私は格子模様を考えた」
「光の素粒子(光子)かと」
「まあ“こうし”は同音異義語が多い」
 
などという会話がなされるが、学校の授業の出席率が悪い葉月は意味が分からず頭をひねっていた。彼は論語も李白や杜甫も知らない。
 

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「これ凄い」
とパソコンでハナちゃんのホロスコープを出してみた彩佳が言う。
 
「ん?私、天才?」
とハナちゃんが訊く。
 
「音楽の天才だと思います」
「ほほぉ」
 
「太陽が獅子座の16度51分、サビアンが“ボランティアの教会の聖歌隊”、
月が魚座の7度36分、サビアンは“ラッパを吹く女の子”、
アセンダントは双子座の12度46分、サビアンは“ピアノを弾く偉大な音楽家”、
これだけ音楽に関する象徴のある人は凄いです」
 
「ほほお。サビアンは利美ちゃんも何か言ってたね」
 
「はい。私の太陽のサビアンが“旗が鷲に変わる”なんですよ」
「何か格好いい!」
 
「利美ちゃんの出生時刻と出生場所教えてください」
「2004年12月3日15:46 北海道弟子屈町です」
「てしかがちょう?どんな字だっけ?」
「弟、子供の子、屈折の屈です」
「ああ、あった。これ“てしかが”と読むんだ?」
「北海道の地名は難しいですね」
「秋田県生まれかと思った」
「秋田は苗字です!」
「北海道生まれ・新潟育ちの秋田です、とか言ってたね」
「どこも雪の多い所だ」
 
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「利美ちゃん、アセンダントがハナちゃんと同じ。双子座の12度23分で、“ピアノを弾く偉大な音楽家」
「おお、それは凄い!」
 
と言って、ハナちゃんが利美と握手している。
 
「あとリリスが蟹座20度59分で“歌っているプリマドンナ”」
「完全にソロ歌手向きだな」
 
「私は音楽に関わっていても、コーラスにピアノにラッパだから、伴奏者かも」
などとハナちゃんは言っている。
 
それでしばらくその場にいる人のホロスコープを表示させてワイワイやっている内に大田区のサテライトオフィスから持って来てもらったケーキが届く。
 
「11個もある!」
「多すぎました?」
「いや、食べちゃう食べちゃう」
「この人数だからね」
「1人ラウンドケーキ半分ずつだね」
「私はそんなに入らない!」
「女の子ばかりだから、遠慮せずに本音の食欲でいこう」
「そうだね。男の子の前では控えめになるけどね」
 
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などと言っているので、葉月はどうしよう?と思っていた。アクアや真悠は動じていなかった!
 
この日、10kgの牛肉も11個のホウルケーキも、きれいに22人のお腹に収まったのであった!
 

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ハナちゃんは誕生日をすぎて18歳になったことから、前もって許可を取っていた自動車学校に行くことにした。
 
「和紗ちゃん(後の桜木ワルツ)は誕生日は7月19日って言ってたね?」
「よく覚えてますね!」
と和紗は驚いて言う。
「だって、昨日全員の誕生日言ってたじゃん」
「あれだけたくさんの人の誕生日出てたのに」
「私たぶん全員の誕生日覚えた」
「すごーい!」
 
「和紗ちゃんも18歳なら、もし学校で禁止されていなかったら一緒に取りに行かない?」
「禁止はされてないですけど、お金が無いです」
「そのくらい貸しておくよ、出世払いで。デビューした後は、とても取りに行く暇なんて無くなるよ。それに高校在学中はまだいいけど、卒業したら、こき使われるだろうし」
 
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「そうかも」
「私も友だちと一緒なら心強いしね」
「はい!」
 

和紗は母親とコスモス社長に電話して免許取得の許可を取った。それでハナちゃんが入校する予定の自動車学校に電話してみると、普通自動車MTコースにはまだ余裕があるということだったので、一緒に入校することにする。
 
「じゃ、行こう」
と言って、ハナちゃんはヘルメットと軍手を和紗に渡した。
 
「これは?」
「バイクに乗る時は必須だからね。バイクスーツは自分で買って」
 
ハナちゃん自身、黒いバイクスーツを身に付けている。
 
それで寮の裏に連れて行く。黒いボディのわりと大きめのバイクが駐まっている。
 
「これハナちゃんのだったんですか?」
「うん」
「黒くて大きいし、山本さん(男性マネージャー)のかな?とかツボミちゃんとかと話してました!」
 
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「ああ、だいたい私の持ち物は男のものだと思われることが多い」
とハナちゃんは言っている。
 
「男兄弟の中で育ったとか?」
「兄貴が3人いる」
「なるほどー、家庭環境が分かった気がした」
「でも私は兄貴たちのアイドルだったんだよ」
「ああ、それも分かる!」
 
「かずちゃんは?」
「うちは兄貴2人です。でも、私は召使い並みの扱いだった」
「ああ、そのパターンもある。南九州は男尊女卑が酷いから」
「北部九州は女が強い土地ですよね」
「そうそう。特に博多から唐津、伊万里、佐世保付近は女が強い」
 

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娘たちの誕生日(2)

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