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■娘たちの誕生日(6)

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電車を降りて結構歩き、角を曲がった所で、毛利が驚愕する。
 
「俺のアパートが無い」
 
そこには見慣れたボロアパートではなく、真新しいマンションが建っていたのである。
 
佐藤からの連絡でスタンバイしていた大家さんが出てきて
 
「あんたまだ生きてたの?」
と迫真の演技!
 
そして多少のやりとり(ほぼ台本通り)があってから、佐藤ADが100万円の札束(実は中味が白紙の小道具!)を大家さんに渡して“契約成立”となり、毛利は8月14日夕方以降、家賃1万円のボロアパートを卒業して、このマンションの8階の広々としたペントハウス付きの部屋に住むことになったのである。
 
家賃は今までの20倍である!
 

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毛利が戸惑いながら、佐藤と一緒にエレベータで8階に登り、中に入る。
 
「広ーい!」
と言って中を見渡す。
 
「螺旋階段がある」
「雨宮さんが取り付けたらしいですよ」
「雨宮先生が犯人か! 家具も随分揃っているみたいだけど、ここ家具付き?」
「雨宮先生が人に頼んで買い出しさせたらしいです。代金は毛利さんのカードでボーナス払いにしたので12月引き落としらしいです」
「嘘!?」
 
「家電品とかも揃っているみたいですね」
と言って2人で見て回る。
 
「ドレッサーがある」
「化粧品も揃っているみたいですね」
「何のために?」
「CDが売れずに毛利さんが性転換することになった時のためじゃないですか?」
「性転換するのは三つ葉では?」
「責任を取って、三つ葉の前に毛利さんが性転換手術を受けるということになっていたようですよ」
「うっそー!?」
 
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「シナリオ見せてもらいましたが、毛利さんの手術が終わった所で、視聴者投票を実施して、三つ葉に再挑戦を認めるということになったら、別の曲で4万枚手売り挑戦。それが成功したら三つ葉は性転換しなくてもいいということで」
 
「俺は?」
「性転換され損ですね」
「ひっでぇ!」
 
毛利は、雨宮先生ならそのくらい強引にやっちゃうかも、と一瞬思った。ケイも性転換するかどうか悩んでいたのを、航空券と手術のクーポン持たせてタイに無理矢理送り込んだとか聞いたし、醍醐ちゃんも手足を縛って手術台に載せて去勢手術を受けさせたと聞いたし、などと毛利は思った。
 
(ケイにしても千里にしても本人たちの主張がどうも信用できないせいか、周囲の人間がかなり無責任な噂を流している)
 
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「良かったですね。3万枚売れて。三つ葉の3人に感謝ですね」
と佐藤ADは言う。
 
「あはは。あれ?この招き猫は見覚えがある」
「崩壊した元のアパートから回収できたものは全部運び入れたと言っていました。エレキギターとかキーボードとかトロンボーンとか」
「あのトロンボーンも無事か!実は亡くなった友人の遺品なんだよ」
「それは救出できて良かったですね。このあたりに置いてあった筈です」
と言って、楽器棚に案内した。
 
「リコーダーまである!」
「プラスチックなのに、よく壊れませんでしたね」
 
「あれ?待って。さっき崩壊したと言った?」
「大雨で崩れたんですよ」
「そうだったのか」
「でも毛利さんはきっと死んだのだろうと思って崩した、とか言った方が面白いですから」
「なるほど〜。台本か!あの爺さん、よくやるわ」
 
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「冷蔵庫にも食材が入ってますね。親切ですね」
「インスタント食品が無い」
「健康のため、インスタント禁止らしいです」
 
毛利がタバコを取り出して火を付けようとしたら、佐藤が取り上げる。
 
「どうしたんです?」
 
「そこの貼り紙を見て下さい」
 
そこには「禁煙」という大きな文字で書いた貼り紙があり、その横に“健康のため”という小さな字の添え書きもあった。雨宮先生の字である。
 
「タバコやライターは回収するように言われましたので」
と言って佐藤はタバコとライターをバッグに入れてしまった。
 
「突然辞めろと言われても辛いよぉ」
「禁煙頑張りましょう。ちなみにライターの火をつけると火災警報器が鳴るそうです」
 
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むろんこのやりとりは全て隠し撮りされていて後日大公開されて爆笑の嵐となる!
 

8月20日、アクアは23時すぎまで撮影をしてから、クタクタになって、足立区の寮に戻ってきた。そのまま寝ようと思ったら、部屋に品川ありさ・高崎ひろか・ハナちゃん・吉田和紗、それに彩佳!の5人がいる。
 
「なんでここにいるの?」
「鍵が掛かっていなかったし」
 
実際問題としてこの寮では、女子だけの気安さで鍵など掛けない子が多い。
 
「彩佳まで」
「お母さんのお使い。ケーキ買ってきたよ」
「わあ、ありがとう」
 
「私はチキン買ってきた」
とありさ。
 
「私は飲み物買ってきた」
とひろか。
 
「私たちは部屋の掃除をしてあげた」
とハナちゃん・和紗。
 
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実はハナちゃんはこの誕生会に出るのに、自動車学校の寮からバイクでこちらに戻ってきたのだが、その時、和紗が「アクアさんのお誕生日?行く行く」と言って付いてきたのである。
 
なお他の寮生たちは深夜なのでもう寝ていた。それにハナちゃんが「あまり多人数で祝うよりも、少人数で祝ってあげた方が楽しい」と言ったので、他の子たちには言わず、この5人だけになった。
 

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「みんなありがとう」
とアクアは嬉しそうに言う。
 
「お誕生日おめでとう」
 
それで6人で一緒に誕生日会をしたのだが、実際はアクアは途中1時間もしない内に眠ってしまった。
 
腕力のあるありさが、アクアを抱いて布団に寝せてあげた。残った料理は一部アクアの部屋の冷蔵庫に入れ、一部はハナちゃんの部屋!に運んで、残りの5人でおしゃべりの続きをした。
 
「君は今夜どうするの?」
とハナちゃんが彩佳に訊く。
 
「よかったら誰か泊めてください。ゴロ寝でいいですから。もう電車も無いし」
 
本当は終電で帰るつもりだったのだが、龍虎の帰宅が遅くなったので予定がくるってしまったのである。
 
「だったら、私の部屋に泊まるといいよ。二段ベッドがあるから」
とひろかが言う。
「ああ、詩恩さんが泊まる時用のですね」
 
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「あるいは龍ちゃんと同じ布団に寝る?」
「それでもいいけど、コスモス社長に叱られそうだから自粛します」
「ふむふむ」
 
「いや、コスモス社長はむしろ、君を龍ちゃんにあてがうことで、性的欲求を満たして、ファンの女の子などからの誘惑を拒否できるようにしている気がする」
とひろかが鋭い指摘をする。
 
「実際、アクア様に私のバージンをプレゼントしたいので○○ホテルに来てください、なんて手紙も多い」
とありさ。
 
「ネオン君の所にも来るから、行ってみたい気分になる時もあるけど、あとが怖いから我慢したって言ってた」
「男の子タレントは、その気になったらやりたい放題かもね」
「見つかれば謹慎ものだけどね」
「最近その相手がインスタとかにあげてバレるケースも多い」
「まあ馬鹿だとしかいいようがない」
「ネットの無い時代はバレなかったろうけどね」
 
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「でも、私は龍の性欲解消係でもいいですし、龍の赤ちゃん産んでもいいですよ。産んじゃった場合は噂になったりしないように外国で育ててもいいし。でも実際には一緒に寝ても、何かされることが無いですけどね」
と彩佳は言う。
 
「ああ、ちんちんが無くても、おっぱい揉むとか、あの辺いじるとか、してくれてもいいのにね」
とハナちゃんは大胆なことを言う。
 
「龍は本当に性欲が無いみたい」
「まあ睾丸が無いのなら性欲も無いよな」
 
そんな感じで5人は2時すぎまで龍虎の噂話をしていた。
 

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8月20日は今井葉月(天月西湖)の誕生日でもある。彼はアクアより早く22時頃に撮影から開放されて、都内のホテルに泊まった。疲れているので取り敢えず寝て、夜中の2時頃に起き出す。お腹が空いたのでシャワーで汗を流した後、近所のコンビニに行った。
 
「あ、ケーキもいいな」
と思い、お弁当・お茶のほかにイチゴのショートケーキも買った。
 
「ハッピーバースデイ・トゥ・ミー」
などと言ってケーキを食べながらスマホのメールを見ていたら4件メールが入っている。
 
アクア、鱒渕マネージャー、コスモス社長、ハナちゃんの4人から
「葉月ちゃん、お誕生日おめでとう。いつもお疲れ様」
というメールだった。
 
西湖はつい泣いてしまった。
 
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「ありがとうございます。僕がんばりますね」
と西湖は4人に返事を書きながら誓った。
 

8月21日朝、寮の自分の部屋で起きた龍虎は、何か気分がよくなかった。疲れているのかなあと思い、トイレに行く。するとパンティに血が付いているので、嘘?どこ怪我したのかな?と龍虎は思った。
 
そして取り敢えずおしっこをしようとして便器に座りながらパンティを下げたら、とんでもないことが起きて、龍虎は悲鳴をあげそうになった。
 

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リオ五輪の女子バスケット競技は8月20日に決勝戦が行われ、アメリカがスペインを大差で破り優勝した。最終的な順位は下記のようになった。
 
1.USA 2.ESP 3.SRB 4.FRA 5.AUS 6.TUR 7.CAN 8.JPN 9.BLR 10.CHN 11.BRA 12.SEN
 
フランスには勝ったし、オーストラリアともいい勝負をして、もっと上位が狙える陣営だったのに、悔いが残る大会だった。トルコに大敗したのがとにかく全てだった。
 
千里はスリーポイント女王になり、賞状ももらったが、全然嬉しくなかった。他に玲央美がアシスト女王、王子は得点数第3位でいづれも賞状をもらった。玲央美はスティール数の3位でも賞状をもらった。
 
「佐藤君も、高梁君も、村山君もあんなにできるとは思わなかった。僕は陣容を把握できていなかった」
と監督は言ったが、Wリーグの試合ばかり見ていたのでは、この3人は全く把握できない。監督の能力の問題ではないよなという気はした。
 
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日本選手団は次の乗り継ぎで帰国した。
 
GIG 8/22 21:05 (AA974 777-200) 8/23 6:10 JFK (10'05)
JFK 8/23 9:40 (AA495 787-8) 8/24 12:40 NRT (14'00)
 
GIG リオデジャネイロ:アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港
JFK ニューヨーク:ジョン・F・ケネディ国際空港
NRT 成田空港
 
ほぼ丸一日の空の旅だが、日付変更線を越えるので到着は翌々日になる。
 
千里は考えていた。
 
今回、結果的に主力になった選手達の年齢
 
花園亜津子 1989.04.07 27歳
佐藤玲央美 1990.12.28 25歳
村山千里_ 1991.03.03 25歳
高梁王子_ 1992.07.30 24歳
湧見絵津子 1992.07.01 24歳
 
今回千里たちより上の世代では武藤博美(1983)・広川妙子(1984)だけが選ばれている。1985年度生の馬田恵子は落選した。
 
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しかし1986年組には(今回の代表には入らなかったが)石川美樹・月野英美などがいたものの、1987-88年度生にはあまり目立った選手が居ないなと思った。やはり当たり年・外れ年があるのだろう。
 
次の東京五輪では、王子が名実ともにエースになるだろうし、主力は現在の22-23歳前後の世代(水原由妃・小松日奈・永岡水穂付近)だろう。千里たちの世代(亜津子・玲央美・千里・鞠原江美子・大野百合絵・森下誠美・前田彰恵)の中で代表に残っていられるのは恐らく1人か2人程度・・・かな?
 
その時の監督や強化部の首脳がまともであれば!
 
これはサバイバルレースではなく、どれだけ4年後まで運動能力とゲーム感覚を“向上”できるかの勝負だと思った。同程度なら若い選手が選ばれる。
 
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Wリーグは10月7日に開幕する。それまで1ヶ月半ほど何しようかな?と千里は思った。
 

8月24日はいったんNTCに泊まり、翌25日の午前中に解団式をして今年の日本代表の活動を終えた。
 
この日の夜、青葉から電話があり、今青葉が関与している金沢での交通事故に起因する“飴買い幽霊”事件で、はねた車のヒントがもらえないかと言ってきた。千里は自分を“受信モード”にすると、青葉にこんなことを言った。
 
「長野県**市の修理工場に8月11日頃、入庫した車を調べてごらんよ」
 
「ありがとう!すぐ刑事さんに連絡してみる」
 
しかし千里は青葉に忠告した。
 
「青葉さあ、あまり優秀な霊能者であることを見せると、青葉、このあと頻繁に警察から協力を求められて、自分の生活が成り立たなくなるよ」
 
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「うっ・・・」
「だから匿名で密告しなよ」
「そうしようかな」
 
そんな会話をした時、青葉の思考の“隅”に“玉鬘”という名前が浮かんだのに千里は気付いた。
 
「だから、どこかの公衆電話から、玉鬘ちゃんに密告させればいい」
 
「ちー姉、どうして私の眷属の名前知ってるのさ?」
「さあ。今何故か思いついたから言ってみたけど、青葉の眷属の名前なの?お友達の名前かと思った」
 
自分の思考の中味が完全にオープンなんだから、青葉も脇が甘すぎるよね、と千里は思った。
 

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