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■娘たちの1人歩き(3)

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東京では、4月3日の夜、ケイが呼びかけて、千里・後藤正俊・田中晶星・上島雷太・雨宮三森の6者で“ドライバーチーム”解散の噂について緊急の協議をした。
 
これは6月の株主総会で社長に就任予定の村上氏が、自分は無駄を徹底的に省くと言い、費用ばかり掛かっている、作曲家のドライバーチームは解散させると言っているらしい、という情報があり、その問題への対処を協議したのである。千里はこの会議がまともにスペインの試合とぶつかっていたので、代わりに《いんちゃん》に出てもらった。これはすーちゃん・てんちゃんはあまり弁論ができず、びゃくちゃんは体育会系だし、きーちゃんは疲れていたからである。
 
この夜の協議の結果、村上氏が社長になってドライバーチームが解散ということになる前に、松前社長の支援が得られる間に、ドライバーチーム運用のための会社を設立することにし、★★レコードにも出資してもらい《★★情報サービス》という会社を設立することになった。
 
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出資比率は★★レコード22%、後藤・田中・上島・雨宮・ケイ・千里の6人が13%ずつである。会社は★★レコードの社長が村上氏になっても納得してくれるように毎月ちゃんと黒字になり、配当も出せるように運用することにする。
 
★★情報サーヒスは取り敢えず事務所は★★レコードのオフィス内に1室借りて鶴見係長が社長に、染宮さんが専務に就任して、昨年から契約していたドライバーの大半がこの会社の社員となった(元々★★レコードの社員だったドライバーが一部退任して元の部署に戻った)。また上島が個人的に雇っていた2人のドライバーもこの会社に合流した。
 

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千里(本人)は日本時刻の4月3日17:00-18:30(スペイン時刻10:00-11:30)くらいにレオパルダの最終戦に出場した後、(スペイン時刻で)その日いっぱい選手代表と会社側との団体交渉が行われる間、待機、というより実際には仮眠していた。
 
だいたい両者の話し合いがまとまったのがスペイン時刻の夕方20:00頃で、これは日本では4月4日3:00頃。それで選手の大半も21:00(日本時間4:00)すぎにはお互いの電話番号・メールアドレスを再確認してから解散した。
 
それで《いんちゃん》と連絡してみると、そちらもだいたい話はまとまったような感じでほぼみんなダウンしているということだった。ケイと“千里”は帰ろうということになったようなので、取り敢えず千里は《いんちゃん》と入れ替わって日本に戻る(いんちゃんはグラナダのアパートで寝る)。それでここに持って来ているアテンザにケイを載せて、彼女を恵比寿のマンションまで送って行った。
 
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もう既に8時近いので、40 minutesの会社登記に行くことにする。運営会社の社長になってくれることになっている立川さん、および司法書士さんと一緒に法務局に行き、会社設立登記をした。手続きが終わってから、40 minutesの事務所に戻った。この間のドライバーは《きーちゃん》にお願いした。
 
この日はこのあと会社設立のお祝い会をしたのだが、人によって出て来られる時間帯が違うのでお昼からと夕方からの2回やって終了したのはもう24時近くである。千里は適宜《てんちゃん》、《すーちゃん》などと入れ替わりながら最後まで付き合ったが、途中けっこう葛西のマンションで仮眠していた。
 
全部終了した後で、経堂の桃香のアパートに戻ると、高知の祖父が亡くなったので葬儀に付き合ってくれと言われる。5年前に行った時も付き合ったしなあと思い、千里は4月5-6日、高知まで行ってくることになった。
 
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それで千里と桃香は、翌日朝、羽田で彪志、千葉の洋彦夫妻と合流してから高知に飛ぶことにした。
 
それで取り敢えず寝てから5時に起きて、桃香がまだ寝ている中で旅支度をしていたら、電話がある。北海道に住む千里の祖母・天子であった。
 
「お早う、お祖母ちゃん。和彦(にぎひこ)さんの訃報は聞いた?」
「その件なんだけど、私もできたら葬儀に行きたい所だけど、とても高知まで行く体力の自信が無いからさ。香典持って行ってくれない?あと向こうの地元の業者さんに頼んでお花も贈ってくれると嬉しい」
 
天子と(和彦の奥さんの)咲子は“姉妹のようなもの”なのである。実際の関係としては“従姉妹くらい”だと言っていた(本人たちもよく分かっていない模様)。
 
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「いいよ。香典もお花もやっておく。取り敢えず費用は私が立て替えておくね」
「すまないね」
 
それで千里は《きーちゃん》に
「悪いけど、村山天子の名前で、香典を速達で送っておいてくれない?」
と言った。
 
「お祖母ちゃん、香典を“持って行って”と言わなかった?」
「そうだっけ。でも郵送でもいいんじゃない?」
「まいっか。札幌の消印で送った方がいいよね?」
「うん。そうできたら完璧」
「いくら包むの?」
「うーん。。。いくらだろう?たった1人生き残っている妹の旦那さんだし、200万くらい入れておく?」
「それ絶対多すぎると思うけど」
「そうかな。まあ少ないよりマシだろうし、その金額で」
「いいけどね」
 
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それで《きーちゃん》はわざわざ新千歳まで飛行機で飛び、北海道の郵便局から速達で香典袋に入れた200万円の小切手を送ったのであった。また千里は高知の地元の業者に電話し、天子の名前でお花を頼んだ。代金はカードで決済した。
 
(後日金額を訊かれた千里は「お花は10万円の贈っておいたよ」と言ったので天子は“香典とお花で”10万と思い込み、10万千里に払ってくれた。香典のことは、千里自身きれいさっぱり忘れていた!←千里は物忘れの天才)
 

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高知空港まで来た所で、青葉・朋子と落ち合うが、ここで偶然、札幌から飛んできた花山月音(かやま・だいな)とも遭遇した。それでこの8人でエスティマ・ハイブリッドを借りて、土佐清水市に向かうことにした。
 
なお、月音は札幌に住んでいるのでここで合流したのだが、彼女の両親や妹の波歌(しれん)は稚内から出てくるので、もう少し遅い便になった。
 
和彦は宗教嫌いで無宗教だったのだが、今回の葬式は“世間体”もあって仏式で行われた。2日目の告別式が終わった後は、故人がカラオケ好きだったというのでカラオケ大会と化した。千里や桃香も歌ったが、千里は波歌がとても歌が上手いのに感心した。その波歌が千里に相談した。
 
彼女は歌手になりたいのだと言う。それで千里が音楽関係の仕事をしていると聞いて、自分は見込みがあると思うかと聞いたのである。千里は言った。
 
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「波歌ちゃんは歌は上手い。でも目立たない」
「うっ・・・。それ結構友だちに言われます」
「ちょっとだけ改善してあげるよ」
 
と言って千里は波歌の手を握り、彼女のオーラの吹出を制御しているゲートが閉まったままになっているのを開けてあげた。こういう操作は青葉が上手いのだが、千里にもこの程度のことはできる。
 

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「あ、雰囲気が変わった」
と近くに居た親族からも言われる。
 
「これでオーディションとかに出てごらんよ。波歌ちゃんの歌唱力があれば関心を持ってくれる事務所もあると思うよ」
 
「ほんとですか?でもオーディションといったら東京とかに出ていかないとダメですよね?」
 
千里は時間的に考えてこの情報はもう明かしてもいいと思った。
 
「明日の夕方からΨΨテレビ系で放送開始予定の『スター発掘し隊』という番組で全国規模のオーディションをやるんだよ。札幌でも一次審査するから行ってみるといい。詳細は明日の番組を見て」
 
「分かりました!ありがとうございます!」
 
それで波歌はオーディションを受けることになったのである。
 
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今回の葬儀の中で、千里は岐阜の義肢製作所に勤める舞耶さんとも知り合った。彼女は和彦の長男・山彦の長男・春彦の長男・芳彦の婚約者(事実上内縁の妻)である。彼女との関わりが、この直後青葉が関わり合うことになる事件で重要な役割を果たすことになった。
 

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青葉は4月7日が入学式なので、千里と桃香はそれに付いていくことにした。レンタルしているバスを千里が運転して高知空港まで行き、伊丹に飛び、最終のしらさぎで金沢まで行って金沢に泊まる。青葉は一足早く帰ったので高岡まで到達して家で寝た。
 
ところでここで青葉が入学式用に買っていた服を、誰も見ていなかったという問題が発生する。
 
桃香たちが青葉より遅れて会場に入り、初めて青葉の格好を見て全員絶句する。
 
「酷い」
と桃香は言った。
 
「千里、その青葉の、できそこないのオカマみたいなメイクを何とかしてやってくれ」
「うん。これが第1だね。青葉おいで」
 
と言って千里は青葉を連れてトイレに行き、あまりにも酷すぎるメイクをクレンジングで全部落とし、きれいにメイクしなおしてあげた。
 
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「あ、可愛くなった気がする」
「さっきのは、痴漢目的の変態ではと思われて警官に職務質問されるレベルだね」
「そんなに?」
 
「この服、どうしよう?」
と朋子が困ったように言う。
 
「私や千里の服が入ればいいのだが、青葉は細すぎて私たちの服では無理だ」
と桃香が言った。
 
桃香は肥満気味だし、千里はスポーツ女子なので、ふたりともサイズが大きい。結局どうしようもないので、入学式は目を瞑ることにしたが、案の定青葉は「保護者の方はこちらにおいでください」と言われてしまった!
 

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結局入学式の後、香林坊の109や金沢駅そばのフォーラスなどで、青葉の通学用の服を買うことにする。これに青葉の親友で一緒に入学した星衣良、たまたま遭遇した桃香の元恋人・優子(奏音の母だがこの時点ではまだ妊娠中)が協力してくれた。星衣良は自分のセンスでおしゃれな服を選ぶし、優子は「若い子はこういう可愛いの着なきゃ」といって物凄く可愛い服を選ぶので、青葉は「こんな服着るの〜?」と悲鳴をあげていた。
 
千里と桃香はその日の最終新幹線で東京に戻った。
 
そして千里は4月9-20日の日程でNTCで今期の女子日本代表第一次合宿に入った。
 

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12月いっぱいで§§ミュージックの研修生を辞めて“普通の女子中生”に戻っていた月嶋優羽(つじま・ことり)は、3月に中学を卒業し、東京都品川区のD高校に進学した。優羽は今年の夏くらいにまたどこかのオーディションを受けて芸能界に復帰したいと思っていたので、芸能活動がやりやすい所を選んだのである。願書の特記事項にも芸能活動をしたい旨書いたし、面接の時も§§プロの研修生をして、ビデオに出演したり、ライブでバックダンサー・コーラスなどをしていたことを話した。
 
通学は川崎市内の自宅から電車を使い1時間半ほどの通学になる。
 
「あんた1時間半も掛けて通学するなら、どこかアパートでも借りたら?」
と親は言ったのだが
「都内は家賃高いし」
と言った。正直な所、もしどこかのオーディションに通った場合、どっちみち引っ越すことになる可能性があるので、それなら数ヶ月だけ、わざわざ敷金礼金など払ってどこかに住むのは不効率だという気持ちがあったのである。
 
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D高校では4月6日に入学式をしたが、芸能関係で見知った顔がたくさんあり、ちょっと安心した。自分の出身中学からここに進学したのは優羽1人だけだが、これだけ知り合いが居たら安心感がある。
 

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4月10日(日).
 
優羽は昨夜、D高校の同級生で雑誌のモデルをしているもののロックバンド志向もある典佳から
 
「今日バンドの大会あるんだけど、うちのバンドのギター担当が突き指しちゃって。ことりちゃん確かギター弾けたよね?代わりに弾いてくれない?」
 
とLINEがあった。それで朝から愛用のギター Yamaha Pacifica 510V -Candy Apple Red を持ち、横浜まで出て行った。実は§§プロ研修生時代に、ギター弾いたことないと言ったら、ヤコさんから「私の古いのをあげるから練習してみなよ」と言われ、もらった品である。優羽は研修所に住んでいた訳ではないが、そこに行くと借り賃とか無しで練習室が使えるので、一時期毎日のように通っては、かなり練習していた。
 
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「短期間で随分うまくなったね」
とヤコさんからもハナちゃんからも褒められた。
 
実は、品川ありさのライブでギターの人が急病になった時、1ステージだけだが代行でギターを弾いたことがある。とてもいい想い出である。
 

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みなとみらい21パシフィコ横浜で行われた大会は3位に入賞して、“チョコ1年分”という賞品をもらい、バンドメンバー4人で山分けした。何だか様々なメーカーの様々な種類が混じっているので、これを主催したレコード会社で、タレントの所に来たバレンタインの余ったやつの処分では?などと言い合った。
 
それで、どこかでお茶でも飲もうと4人でランドマークタワーを歩いていたら、何やら人だかりがある。やはりD高校の同級生・泰菜ちゃんが居る。こちらの4人と目が合った。
 
「何やってんの?」
「典佳ちゃんたちも参加するの?」
「何に?」
「オーディション」
「そんなのやってんだ?」
 
「でも機械の調子が悪いみたいで」
「機械?」
 
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何だかプリクラくらいのサイズのブースがあり、そこにカラオケの機械があって、そこで歌ったのがビデオに撮られて採点されるらしい。事前申し込みとかも不要で、ここで1曲歌えば参加したことになるという、手軽な(安易な?)システムとのこと。
 

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しかしそのカラオケのスイッチが入らないらしくて、係の人?があちこち懐中電灯で照らしたりしながら調べているようである。
 
優羽は見ていて、ブースの外側に出ている電気の線?がきちんとハマっていないことに気付いた。
 
「あのぉ、これ外れている気がするんですが」
「あ、ほんとだ!」
 
それで係の人がそこをしっかり差し込むと、カラオケのスイッチが入った。
 
「やったやった」
「君、ちょっとテストで歌ってみてよ」
と係の人から言われる。
 
「私がですか?」
と言いながらもブースの中に入り、どうせテストだからと思って適当な数字を打ち込んだ。するとアクアの『冬模様』が出てくる。あ、この曲は楽勝と思い、優羽は表示される歌詞を確認しながら歌った。
 
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実をいうとこの曲の発売された音源には、優羽自身のギター演奏も含まれている。
 
演奏はジャスト3分で打ち切られることになっているらしく、中途半端な所でカラオケ伴奏が停まるので、ついその少し先まで優羽は歌ってしまった。
 
カラオケボックスに100という数字が表示されている。
 
「これ何ですか?」
「点数。君は100点」
「へー」
 
「いや、今の歌、ものすごく上手かった」
と典佳も言っている。
 
「後で連絡しますから、そこの10キーから、ご自分の携帯番号を入力して下さい」
と係の人が言う。
 
「もしかして私、このオーディションにエントリーしたことになっちゃった?」
 
「うん」
と典佳も泰菜も言った。
 

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娘たちの1人歩き(3)

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