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■娘たちの1人歩き(2)

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病院が終わった後、龍虎は名古屋市内の大学の空手部に連れてこられた。
 
人気のアクアというので、部員たちが騒いでいた!
 
この日、タレントさんを連れてくるというのは事前に照会して承認を取っていたもののアクアだということは言っていなかった(言ってしまうと撮影不能になるほど見学者が押し寄せる)。
 
更衣室で空手の道衣に着換える。むろん着換え中は撮影しない。着替えはマネージャーも兼ねて付いてきてくれたハナちゃんが補助してくれることになった。ハナちゃんは剣道の有段者だが、柔道や空手も少し習ったことがある。
 
ジュニア(16-17歳)やカデット(14-15歳)の試合では義務付けられている安全具を着けさせる。これは空手になるということで、予めアクアに合うサイズのものを用意していた。
 
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シンガード(すね当て)およびインステップガード(足の甲当て)、ボディ・プロテクター(胴の保護具)、拳サポーター(手袋)、メンホー(顔面防具)。これに男子の場合はセーフティカップ(睾丸ガード)を着けるのだが、ハナちゃんは
 
「龍ちゃんは睾丸とか無いから不要だよね」
と言って省略した!
 
その上にズボンを穿き、道衣を着て、帯を結んだ。
 
それで出て行くが、道衣姿のアクアにまた部員たちが騒いでいた。
 

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アクアが空手のルールを知らないというので、部員が2人出て模範試合をしてくれた。
 
「相手にパンチかキックを当てればいいんですか?」
「そうそう。但し顔面攻撃、金的攻撃は無しね」
「キンテキって?」
とアクアがマジに訊くので部員が一瞬顔を見合わせていたので、アクアのそばに付いていたハナちゃんが
 
「金玉のことだよ」
と答えた。
「へー!」
 

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試合の形式は原則として寸止めでジュニアカデットルール(顔面などには接触即反則。10cm以内で極めていればポイント獲得)だが、アクアは空手の経験が無いというので、アクアの攻撃は当たっても構わないことになった。実際、アクアの筋力で当ててもダメージがあるとは思えないと言われた。
 
最初はいきなり主将さんが出てくる。
 
強そう〜!と雰囲気だけで感じ取る。
 
見よう見まねで、いわゆるファイティングポーズを取り、腰でバランスを取りながらフットワークで相手と対峙する。アクアは、あ、これはバレエのステップと似てると思った。
 
一瞬相手が動いた。
 
と思ったら「1本」と言われた。
 
「キャプテンの勝ち」
と審判を務めてくれている副主将が言った。
 
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どうも相手の蹴りがアクアの上半身に当たった?っぽい。
 
「今の当たったんですか?」
「接触したら反則だから、今のは2cmくらいの距離」
「へー!」
 

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続いて2年生の人が出てくる。
 
「あ、この人はさっきの人ほどじゃない」とアクアにも分かった。
 
相手が1歩踏み込んでくるが、アクアはフェイントだと思った。その踏み込みにより出来た相手の隙を狙ってこちらからパンチを当てようとしたが、向こうは、すんでで回避した。
 
しかしそれで向こうの“マジ度”があがった気がした。こいつは結構できるぞと思ったのだろう。
 
また踏み込んでくるが今度は当てる気だと思った。逃げながらカウンターを打とうとしたのだが、相手の腕の動きだけ気をつけていたら蹴り技が来て、アクアはそれを更に避けようとして転倒した。そこに相手の技が決まり、1本が成立する。
 
「蹴り技で決めようと思ったんだけど、回避されるとは思わなかった」
「でも倒れた後、無防備になっちゃったからボクのアウトです」
 
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「いや、今のは突きを回避しながら更に逃げようとしただけでも凄い」
とさっきアクアと組んだ主将が言っていた。
 
「うん。反射神経いいね」
と別の4年生も言っていた。
 

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最後は1年生の部員が出てくる。
 
対峙していて、アクアは相手が隙だらけなのに気付く。これどこからでも攻撃ができる気がする!
 
その時部室のドアが開いた。相手が一瞬そちらに気を取られる。
 
瞬間アクアは1歩踏み込み、鮮やかに1発寸止めに近い感じで当てた。これが有効になる。
 
相手の攻撃が来るがアクアはそれを回避しながらカウンターを打つ。相手の身体に遠すぎたかな?と思ったが、それでも有効と判定されて2ポイント目。
 
最後は相手が一瞬気が抜けた感じの所に蹴りを入れてこれは技あり。
 
結局アクアが有効2つ技あり1つで合計4ポイント獲得して判定勝ちになった。
 
「おお、アクアちゃん1勝2敗。最後は一矢報いたね」
とレポーターさんが言ったが、実際これは放送された時も女性ファンが狂喜した。
 
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男性ファンの間からも「アクアは結構運動神経いいよ」「反射神経がいいから、下手くそな奴はパンチを当てきれないと思う」という評価の声が出ていた。
 
「でもよくあの小さな身体でキックが相手上半身に当たるね」
「いや、アクアはバレエの経験者だから身体が柔らかい」
「そうだった!」
 

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ともかくもそれで今年、アクアは
「性別の検査をしましたが、アクアちゃんは“今の所まだ”男の子でした」
 
という結果報告となった。
 
もっとも空手対決の時に、アクアがセーフティカップを着けていなかったことに気付いた視聴者もあり
 
「なんでアクアはファウルカップ着けてなかったの?」
「そりゃ不要だからじゃない?」
「金的が存在しなければそれを守る必要もないよな」
 
などと噂されていた。
 
「だけど空手とかしても全然性別の確認にならない気がするけど」
「うん。女で空手の強い奴もたくさんいる」
「病院の映像だけじゃつまらないから、ただの尺稼ぎでは?」
 

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「それで・・・どうやって崩れたって?」
と千里は腕を組んで《南田歓喜》に尋ねた。
 
「いや、九重のやつがさ、夜中ねぼけててうっかり伸びをしたら床に穴開けちまって。その下が七瀬の部屋で、『女の部屋覗くな』って、近くにあった鉄の玉を投げつけたら、それが鵜波の部屋に飛び込んで、あいつに当たって。それで『何するんだ?』と投げ返したら、清川の部屋に飛び込んで・・・」
 
と歓喜は頭を掻きながら長々と説明したが、さっぱり分からない!
 
だいたい鉄の玉って何のためにそんなものがあるのさ?
 
ともかくも彼ら市川ドラゴンズのメンバーが住んでいたボロアパートは今無惨な姿になっているのである。
 
「まあ仕方ないね。元々建て替えようと言っていたし、建設会社に見積もり取って建て替えるか」
 
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「ごめーん!」
 
その時、青池が言った。
 
「ね、ね、千里ちゃん。その建て替えるのって僕ら自身でやってもいい?」
「いいけど」
「だって建物建てるのって楽しそうじゃん」
 
「ああ、あんたたちにも娯楽が必要だね。でも物置とか作るのとは違うからさ。色々日本の法律に準拠して建てないといけないし、多分資格が必要な作業もあると思うよ」
 
「だったらそのあたり勉強しながら建てていい?」
「いいよ」
 

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それで結局、青池と前橋が中心になって色々調べていったところ、建設会社を設立した方がいいということになり、千里が資金を提供して取り敢えず資本金1000万円で株式会社・播磨工務店を作ることになったのであった。
 
それでその播磨工務店の手で、彼らのアパートは再建されることになるのだが、それまでの仮の住まいも必要である。それでこのアパートを買った不動産屋さんに相談したら、空いている土地はいくらでもあるから、そこにプレハブのアパートを建てるといいかもということだった。そこで仮住まいを建てる場所として、少々不便な場所ではあったが駅から6km離れた山林内に100坪の住宅用地があったのを200万円で買った。そして不動産屋さんに紹介してもらった工務店に頼んで、ほんの2ヶ月で軽量鉄骨構造のアパートを建ててもらった(ここはアパート再建後は播磨工務店の本社になる)。この仮住まいの建設作業に頼み込んで市川ドラゴンズのメンバーを使ってもらったが、工務店の社長さんは
 
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「あんたら凄い腕力あるね!」
と感心し、重宝に使ってもらった。実は仮住まいがわずか2ヶ月で完成したのも彼らの非常識なほどの腕力のおかげである。
 
それで自分たちの建設会社を作りたいと思っていると言うと、色々教えてくれて、許認可を得るコツとか、必要な免許・資格の類いについても指導してくれた。
 

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2016年4月3日(日)、今期プレイオフ準決勝で敗退したレオパルダ・デ・グラナダの選手たちは試合後オーナーから突然チーム解散を宣告された。キャプテンが中心になって団体交渉を試みたが、会社側の方針は変わらなかった。会社の経営状況が厳しく、不動産の売却も進めているため、現在1軍・2軍が使用している体育館も土地を含めて売却したいらしい。選手たちへの処遇だが会社の提案はこのようであった。
 
・1軍選手全員の報酬を20%上げる。
・明日まで+30日の日割りの報酬を支払う(年俸×34/366)
・特別退職金として在籍年数に応じて下記の月数分の報酬を払う。
−1年目の選手は6ヶ月
−2年目の選手は9ヶ月
−3年以上の選手は12ヶ月
 
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・育成選手はできるだけ国内他チームの育成チームへの斡旋をする。現在1軍の選手でも育成チームへの斡旋を希望する場合は対応する。移籍先あるいは就職先が見つかるまでの暫定生活費として一律1万ユーロ(128万円)支給。
 
・1軍選手が1年以内(2017年4月末まで)に新しいプロチーム(EEA域内に限る)に移動した場合、引越の費用が必要な場合、その距離に応じて標準的な引越費用を支払う。あるいは行き先未定でも先にもらっておきたい人には1万ユーロ(128万円)払う。
 
キャプテンをはじめ弁の立つ選手5名が会社と交渉し、下記の結果を勝ち取った。
 
・計算の基準となる報酬の上げ幅は25%とする。
 
・1年目の選手は9ヶ月、2年以上の選手は12ヶ月。
・育成選手の当座生活費の補助は一律2万ユーロ(256万円)
 
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・引越費用は、実際に引っ越した時に請求するのではなく、最初に15,000ユーロ(192万円)支給し、後日引越した時に標準額を計算してその金額が15,000ユーロを越えていた場合は(1年以内に限り)差額を請求できる。
 
会社も不動産売却・遠征費の削減が主目的なので結果的に1年分の選手報酬程度は出してもよいという姿勢だったようである。
 
千里の場合は2014年春から1軍に入っていて2年目だったので25%増しの1年分(60,000×1.25×(400/366)+15,000=96,968EUR≒1241万円)もらえることになった(1年後の2017年4月にマルセイユのチームに入ったので追加で7000EUR≒84万円もらった)。
 

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千里はシンユウ(Lin Xinyu 林心玉)から訊かれた。
 
「チェンリー(千里)は、どこに行く?」
「一応日本のチームにも籍はあるんだけどね。とりあえずオリンピックまでは日本代表での活動がひたすら続くから、秋になってから考えようかな」
 
「ああ、私も中国代表の活動で忙しい」
「6月の世界最終予選頑張ってね」
「うん。じゃリオで会おう」
 
と言って彼女とは握手をして別れた。
 
日本は昨年のアジア選手権で優勝したのでオリンピック切符を掴んでいるが、中国は世界最終予選で5位以内に入らないとオリンピックに出られない。
 

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