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11時頃、浅谷さんが自分の車で迎えに来たので、それに乗って、今日の撮影が行われる比布町(ぴっぷちょう)まで行く。1980年代に、ピップエレキバンのCM(出演:樹木希林&横矢勲会長)が、比布駅や比布神社で撮影されたことで全国的に有名になった所だが、千里たちの世代は知らない。
撮影に参加するのは、千里の他には22-23歳の女性と、小学生の女の子4人である。昨年2度一緒に撮影した女子高生2人は来ていない。なんでも受験勉強が忙しくて不参加ということになり、小学生4人を知り合いのツテで急遽集めたらしい。22-23歳に見えた女性は音大の4年生さんらしい。
ちなみに小学生4人の内1人は実は男の子(男の娘?)らしいが、千里にはどの子が男の子か分からなかった。女の子が3人しか揃わなかったので、ディレクターさんが、ヴァイオリンの弾ける自分の息子に女の子の衣裳を着せちゃったらしい。でもドレス姿に違和感のある子が居ないので、普段からスカートとか穿いているのだろうか?
この比布町で撮影に使われたのは、白亜の素敵なおうちだった。2000坪ほどの広大な敷地に200坪ほどの平屋建ての邸宅が建っている。ここも“充分土地があるならわざわざ2階建てにする必要は無い”というのの典型という感じだ。広い家だがユニット工法で作られており、建築費が2000万円と聞いて驚いた。
千里と共演者は全員白いドレスで庭を歩き、また楽器を合奏した。音大生さんが庭に置かれた透明外装のピアノの前に座り、千里がフルート、小学生たちがヴァイオリンを弾く。譜面は、千里は初見になったが、他の5人は一週間ほど前に渡されていたらしい。
「あ、ごめん。送るの忘れてた」
などと浅谷さんが言っている!この人らしい。
しかし簡単な曲なので、千里は一発で吹けた。
正式の音は後でスタジオで録音すると言っていたのだが、この合奏がとてもうまく行ったので、結局この場で録音した音がそのままCMに流れることになった。この庭の音響をそのまま活かしたいとディレクターさんは言っていた。確かにこういう響きはスタジオでは再現できないだろうなと千里も思う。
ピアノを家の中の“パーラー”に戻し、ここでも再度同じ曲を演奏した。パーラーはまたパーラーなりの音響がある。響きがいいので、しっかり音響設計された部屋なのだろう。
その後、家の中のあちこちで撮影を行った。
この家での撮影を3時間ほどしてから、16時頃撮影一行はマイクロバスで層雲峡に移動する。夕方の層雲峡の絵が欲しかったらしい。それで銀河流星の滝の前で、また同じ曲を演奏(ピアノは電子ピアノ)して撮影は完了した。
小学生がいるので、撮影一行はマイクロバスで銀河流星の滝からとんぼ返りし、19時頃、旭川駅前で解散した。千里(G)は星子に電話した。
「今終わったけど、そちらは今どこ?」
「ついさっき、Rさんを貴子さんの家に届けました。今タクシーで旭川駅に向かっています」
「ごはんは食べた?」
「17時半にRさんからサンドイッチを頂きました」
「じゃお腹空いてるよね。何か食べようよ」
と言って、旭川駅の中央北口で待ち合わせ、駐車場に駐めているライフに乗る。びっくりドンキーに行って食事をし、一休みしてから、21時過ぎに旭川を出発。22時半頃に、留萌市W町のGとVの自宅に帰着した。
留守番していた千里Vが
「お疲れ様。ひとりで辛かったよお」
と言っていた。
この日の星子の行動
7:50 駅前のバスターミナルに出現した千里Bに、小春のふりをして水着を渡す。
8:00 千里Bを装い、Q神社に転送移動してご奉仕。
15:00 Q神社でのお務めを終えてW町のGV宅に帰宅。この後、2時間ほど“管理室”の監視業務をVと代わり、Vは仮眠する。
17:30 天野道場に行き、セレナを運転してRを旭川のきーちゃんの家に送る。
19:00 きーちゃんの家に到着。タクシーで旭川駅に移動。Gと落ち合う。
21:00 ライフを運転してGと一緒に留萌へ。
22:30 留萌のW町の家に帰還。
(この日いちばん仕事した人かも!?)
この日の千里Yの行動。
8:00 P神社に出掛けて勉強会を始める。
16:00 勉強会終了。千里以外は全員帰宅。千里は花絵さんと算数!のお勉強。
20:00 お勉強終了。帰宅しようとして途中で消える!
今日は多数の千里が動き回ったもののYの出番は無かった!!
※8/28後半の千里たちと眷属の行動
15:00 ●道田やRたちが留萌の天野道場到着。
15:00 ☆星子がQ神社のお務めを終えて帰宅
15:00 ■Bが出るTV番組の生放送開始
16:00 ♪GたちCM撮影隊は層雲峡へ
16:00 ■Bが出た生放送終了。愛子とミスドで話す。
17:00 ●Rたち天野道場組練習終了
17:00 ♪Gは銀河流星の滝で撮影
17:00 ■BがJRで札幌を出る
17:30 ●Rが星子の運転するセレナで旭川へ
18:00 ♪CM撮影終了。旭川へ。
19:00 ●Rが旭川のきーちゃん宅に到着。星子は駅へ移動。
19:00 ♪CM撮影隊、旭川駅前で解散
19:03 ■Bが留萌駅到着。小春に送られて帰宅。
19:30 ■BがC町の村山家に帰宅
19:50 ▼Yがお勉強終了。(帰宅途中で消滅)
21:00 ♪星子がライフを運転してGは留萌へ。
22:30 ♪Gと星子がW町の家に帰宅
8月28日(土)。愛子からの呼び出しがあり、またもや強引に起こされた千里Bはぶつぶつ言いながら、高速バスで札幌に向かった。
留萌7:30(高速るもい号)10:09札幌駅前
千里Bは中学2-3年の頃ほとんど冬眠していたので、中学時代の記憶が非常に少ない。しかしこの札幌行きは数少ない記憶のひとつである。
出がけに小春(実は小春のふりをしている星子)が
「千里、この水着持ってって」
と言うので、何気なく持ってバスに乗った。
愛子は函館に住んでいるのだが、この日は札幌での待ち合わせだった。
函館7:20(スーパー北斗1号)10:35札幌
駅前で落ちあってマクドナルドで話したのだが、愛子は言った。
「ちーさ。私の身代わりでオーディション受けてくれない?」
「へ?」
それで千里は愛子に連れられて、11時半頃、札幌の放送局に入った。
オーディションを受ける女の子は全部で50人くらい居る。
やがてお昼頃から第一次審査が始まる。
1人ずつ出て、審査員の前で歌を歌う。歌う曲目は事前に申請しているらしく愛子は松原珠妃の『夏少女』という曲を指定していた。千里はその曲を知らなかったので直前にmp3プレイヤーで聴かせてもらっただけである。自信無ーいと思ったのだが、先に歌った参加者の歌を聴くと下手糞ばかりである。それでこれなら自分の覚え立ての歌でもいいかと思った。
下手な人は15秒程度で止められて、お帰り頂くようである。ほどほどだと1分近く歌わされる。そしてスタッフ?の男性と少し言葉を交わしていた。この人たちは残されている。
千里の番になる。さっき聴いたばかりの歌で歌詞はうろ覚えだが、どうせすぐ止められるだろうからと思って歌い出す。
ところが止められない。
うっそー!?歌詞全部覚えてないのに。
それで分からなくなった後は適当に作詞しながら歌う。目の端で愛子が頭を抱えているのを見たが、千里は笑顔で最後まで堂々と歌いきった。
つまり最後まで止められなかった!
スタッフ?の男性から声を掛けられた。
「ねぇ、君、この歌、よく歌ってるの?」(*15)
「いえ。実は会場に入る直前に覚えました」
と千里は正直に答える。
(*15) 『夏少女』は蔵田孝治!が昨年(2003年)7月発売の松原珠妃のミニアルバムに提供した曲である。つまり、千里は作詞作曲者自身と話しているのだが、そのことに千里は全く気付いていない!
千里は蔵田のことを放送局のADか何かと思い込んでいる。
「なんかオリジナリティあふれる歌詞だったね?」
「はい、私、しばしば友だちから発想が独創的だと言われます」
スタッフさんがお腹を抱えて笑っている。
(これを怒らずに笑ってくれる蔵田は本当に器量が大きい)
ああ、これは落とされたよな、と千里は思う。
「でも君、髪が長いね」
「はい。テレビから這い出す山村貞子を演じるために髪を伸ばしました」(*16)
千里はもうやけくそで答えたのだが、スタッフさんはまた笑っていた。
それで「帰っていいですよ」と言われると思ったのに千里は残された。どうも一次審査は合格のようである。なんで〜?と思う。
(*16) 鈴木光司『リング』は1991年6月に発表され、映画は1998年1月31日に公開されている。クライマックスで貞子がテレビから這い出して来て被害者を呪殺するシーンは、その後多くのパロディを生んだ。このシーンは映画オリジナルで原作には無いシーンである。
2次審査は市内の私立高校のプールに移動し、水着審査になるということだった。
うっそー!? 水着なんて恥ずかしいよぉ。
でもそういえば、出がけに小春が水着を渡してくれたなと思い、その水着に着替えようとして
何よぉ!この水着!!こんな可愛いのを私が着るの〜?
と思った(先日ガトーキングダムでこの水着を着たのは千里Rである。RとBのバストサイズはほとんど変わらないので、Rが着た水着はBも着られる)。
でも仕方ないのでその水着を着たが、他の参加者もすっごい可愛いのばかり着ているので、自分はそう目立たないかもと思った。さっすがオーディションである。
プールに出ると、水の上に板が浮かべられており、ゴムボートでそこに連れて行かれ板の上に立って並んで下さいと言われる。ひとりずつ押しボタンを渡されたのでそれを手に持った。
これから出るクイズに早押しで答えて下さいと言われる。
へ?
なんか想像してた“水着審査”と違う!?
問題が出る。
「トルコの首都はどこですか?」
イスタンブールだっけ?と思ってボタンを押すが、一瞬速く別の人が押していた。
「アンカラ」
「正解」
えー!?イスタンブールじゃなかったのか。良かったぁ。
「韓国の大統領は?」
確かキン・ダイチュウとかじゃなかったっけ?と思ってボタンを押すが、またもや遅れる。うーん。私って反射神経悪いのかなあ(最近ひたすら冬眠しているせいだと思う)。
「ノムヒョン」
「正解」
あれー。何か全然違う名前だ。でも間違わなくて良かったあ。
例の男性スタッフが「ブッシュじゃなかったの?」と言う。ナレーターさんが「それはアメリカ大統領です」と言う。その時、偶然千里はそのスタッフさんと目が合った。
「18番の貞子みたいな髪の子、君2回続けてボタン押したの2番だった。答えは何だと思った?」
などと訊かれるので
「キン・ダイチュウと思いました」
と正直に答える。
「本当はキム・デジュンですが、それは前の大統領です」
とナレーターさん。
ああ、交替してたのか、と思う。
「お前遅れてよかったな」
とスタッフさん。
「はい。生理が遅れたらやばいですけど」
と言ったら、何だか受けてた。
そんな感じで千里は毎回ボタンは押すのだが、なかなか1番になれずランプが点かない。それで全然回答できないままオーディションは進行する。スタッフさんは、途中でしばしばボケたり、千里を含めて受け答えのできそうな子に当てて、笑いを引き出していた。
「『恋のバカンス』をヒットさせた双子歌手は?」(正解はザ・ピーナッツ)
に対して誰も答えられなかった(この世代の子が知っている訳無い)ので、千里が当てられる。千里は
「ダブルユー」
と答えた。(ダブルユーもカバーしている)
「双子じゃないだろ?」
と突っ込まれる。
「あ、四つ子でしたっけ?」
と千里が言うと
「せめて三つ子と発想しろ」
と言われた。
その内2問間違った人が出る。
「2問間違った人は残念ながら退場です。さよならー」
と言われて、上から凄い水鉄砲が浴びせられる。
「きゃー」と悲鳴をあげて、その人が水中に落ちる。なるほどー。このための水着だったのかと水着の目的を理解した、
ところがその人が落ちた時、板が揺れて、あおりをくらって一番端に立っていた回答者まで落下した。プールの上に浮かんだ板の上に立っているという状態はそもそも不安定なのである。
「はい。そこ、落ちた人も一緒に失格」
とスタッフさんが言う。
うそー!? そんなのあり〜?
その後クイズは進む。千里はかろうじて1問。
「伊勢神宮があるのは何県?」
というのに
「三重県」
と答えることができた。巫女研修や笛の会で行ってきたからね〜。
やがて3問正解して勝ち抜けしていく回答者が現れる。24番の人と3番の人が勝ち抜け、3人落とされ、あおりをくらって水中落下した人も2人いて、残りは3人になっている。ここで
「これが最後の問題になります」
とスタッフさんが言った。
「アメリカのプロスポーツ選手でマイケル・ジョーダンと言えば何の選手?」
千里は質問を聞き終わるのと同時に押したが、また遅れた。
隣の女の子が回答する。
「アメリカン・フットボール」
「違います」
いきなり上から水鉄砲が落ちてくる。悲鳴を上げて水中に落ちる。千里はすぐ隣で水しぶきがあがるので、ひゃーっと思ったものの何とかバランスを保って落ちるのを免れた(さすが運動神経が良い)。
「えっと2番目に押した人、四つ子の貞子の18番さん」
と千里が指名されたので答える。
「バスケットボール」
「正解」
やったね。
「えー、2人残っていますが、18番の子は2問正解、32番の子は1問正解。ということで18番が決勝進出!」
きゃー、ラッキー!と千里は思ったが、だいたいこのオーディション、何のオーディションなんだ?と疑問を感じた。
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女子中学生・ミニスカストーリー(20)