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翌朝、雅海は爽快に目が覚めた。
「なんかぐっすり寝たみたい」
と思うが、この段階では頭が働いていない。
いつもの習慣でベッドから起き上がり、トイレに行く。便器に座っておしっこをした段階でギョッとする。
何このおしっこの出方!?
と思って自分のお股を見ると、ちんちんが無くなっている。そしておしっこは身体の随分後ろの方から出ている。
あ、そうか。女の子にしてもらったんだ!
ふと気付いて胸を触るとそこには可愛い2つの膨らみができてる。
すごーい!
おしっこが終わり、トイレットペーパーを取って拭くが、かなり後ろの方まで手を伸ばさないと拭けないので、女の子って全然違うところからおしっこしてるんだなあと思った。雅海は通常タックしているので、普通の男の子よりかなり後ろの方で拭いている。しかし今拭いた場所はそこよりずっと後ろである。(元々雅海のちんちんが短いという問題もある)
手を洗ってからベッドに戻る。毛布の下でドキドキしながら自分の身体を触ると、完全に形が変わっているので、女の子ってこういう形なのか!と感動した。クリトリスとおしっこの出て来たところ、更にヴァギナの位置も確認したが、ヴァギナには恐くて指を入れたりすることはできなかった(自分の指にヴァージンを捧げる必要は無いと思う)。
ぼーっとしていたら、隣のベッドの司も起きたようで、トイレに行って来た。彼女が戻ってきてから
「おはよう。これ凄いね」
と言った。
「おはよう。凄いよね。このままずっと女の子のままで居たい気分にならない?」
「悩む〜」
「でも今夜、再度貴子さんが来たら、『男の子に戻りたい』としっかり言いなよ。曖昧な態度だったら『じゃ女の子として可愛く生きてね』とか言われてそのままにされちゃうから」
「あはは。ぼくまだ女子中学生する勇気無いや」
「沙苗ちゃんとか勇気あるよね〜」
(ふたりともセナのことは忘れている)
それで2人で一緒にホテルの朝食を食べに行く。和朝食と洋朝食を選べるので2人とも洋朝食を選んだ。焼きたてのロールパン(好きなだけ取れるので2人とも3個取った)、マーガリンかジャム(2人ともイチゴジャムを取った)、スープ、ハッシュドポテト、野菜サラダにウィンナーとスクランブルエッグ、といったものである。また紅茶・コーヒーがお代わり自由なので、2人ともコーヒーを選びミルクと砂糖をたっぷり入れた。
「割と美味しいね」
「うちの朝御飯より豪華だ」
などと言っていたら2人ともメールが着信する。見ると白浜さんからである。
《水着の件は本当にごめんなさい。社長とも話し合った結果、今回は全国的にパトロールガールズは水着ではなくてムームーで撮影することになりました》
とある。
「ムームーだって」
「ムームーなら、おっぱい無くても平気だよね」
「あはは。だったら女の子になる必要無かった?」
「まいっか。女の子体験は悪いこととではない」
「うん。ちょっと楽しみ」
(8/11 Wed)朝9時にホテルのロビーに集まる。
でも人数が少ない!?
昨日の説明と簡単な練習の時には20人いたのだが、今居るのは16名である。質問があったので斉藤社長が答えた。
「昨日の練習の時に、みんなと動きのタイミングが合っていなかった人には残念ですが、ご遠慮して頂くことになりました」
それでみんな昨日の“練習”は実はテストだったのか!ということに思い至った。
「こういうのではやはりダンス自体の上手下手より、みんなと合わせられるかが大事なんだろうね」
と隣に居た小樽のヨシミちゃんが言う。雅海も
「たぶん上手下手で言ったら私は落とされる」
と言う。
「私より上手いのに!」
とヨシミは言った。
結局前回参加していた6人とそのお友達4人は全員ここにいる。どうも一般応募の人10人の内の半数近くが落とされたようだ。かなり厳しい選考かも?きっとタイミングの問題だけでは無い気がした。
(実は個性の強すぎる子も外した:一般応募者はタレント志向の強い子が多く結果的に個性が強すぎた。ごく普通の女子中生・女子高生の方がバックダンサーには良いのである)
なお、前回・今回とも参加した6人(小樽のヨシミ、函館のヨーコ、帯広のサユリ、苫小牧のカンナ、千歳のトーコ、留萌のマサミ)は後に“伝説の北斗六星”と呼ばれることになる。
ここでヨーコというのは桜川陽子で、後のチェリーツインの“少女X”であり、トーコというのは内野透古で、後のタレント・内野音子(うちのねこ)である。また、サユリというのは、後の作曲家・樋口花圃である。
地方パトロールガールズの初期メンバーには他に北陸方面の“日本海5”(XANFUSの吉野美来を含む)、関東方面の“八州8”(ローズ+リリーのケイを含む)などもあるが、北斗六星は特に“出世した人の密度が高い”。またお互いの交友も長く続いた。
しかし、この6人の中に男の娘が2人も混じっていたことには(本人たちも含めて)誰も気付いていない。白浜が5月に大通公園で道行く女子中高生を呼び止めた時、比較的長身かつ、丈夫そうで2時間倒れずに踊ってくれそうな子を選んだ結果、男の娘率が上がった。
斉藤社長からあらためて水着の件の謝罪があり、全員お揃いのムームーを着ての撮影になったことが再度説明される。ただ折角プールに行くので、プール内で解散するが、その後は自由にプールで遊んでいいこと、そしてお詫び代も兼ねて水着代として全員に2万円を支給することが説明された。思わぬボーナスに歓声があがる。
「もちろん撮影のギャラとは別ね」
と社長は付け加えた。
この2万円は今ここで配られた。なおプールに行く前にスポーツ用品店に寄るので、水着はそこで好きなのを買えばいいですよということだった。
マイクロバスに乗って、会場の札幌文化ホールに入る、ゴールデンウィークの時は定員1300人の札幌きららホールだったが、今回の札幌文化ホールは定員が2000人である。パーキング・サービスも次第に人気が上昇してきているのだろう。
ここでまずは衣裳合わせをする。前回参加者はそれを身につけてもらい、新規参加者には事前提出されていたサイズに基づき「これかな」というので渡されるが、それでは合わない子もいて、交換する。前回参加していた千歳市のトーコちゃんはスカートのウェストが合わず交換になった!
「私ダイエットすべきかなあ」
「中学生の内は極度の肥満でない限りは大丈夫だと思うよー」
やはり前回参加者で、函館のヨーコちゃんはバストがきついのでブラウスが交換になる。
「羨ましい」
とヨシミちゃん。
「私も次はブラウス交換になりたい」
とトーコちゃん(後の内野音子)は言っていた。
司は初めてのミニスカート体験で、それだけでドキドキしていた。
「これって下半身に何も着けてない感じ」
と司が言うと、
「実際そうだと思うよ。下半身が下着だけだったら逮捕されるから、スカートちゃんと穿いていますというただの言い訳」
と苫小牧のカンナちゃんが言っていた。
「そうそう。パンツ見えててもミニスカ穿いてればお巡りさんには捕まらない」
とサユリまで言っている。
「私、初めてミニスカ穿いた時は思わず興奮してオナニーしちゃった」
などとカンナ。
女同士の気安さでオナニーとか言っているのだろうけど、ミニスカでオナニーと聞いて雅海や司はドキドキしていた(2人は女の子のオナニーのしかたを知らない)。
「そういう過激な発言は人前ではしない方がいいよー。誰が聞いてるか分からないから」
と心配そうにトーコが言っていた。
本番衣裳をいったん脱いで、練習用の衣裳を渡されるのでそれに着替える。そしてリハーサルをする。
それで10時から11時まで1時間掛けて、本番の倍速で、主としてステージへの出入りや立ち位置などについて練習をした。前回はぶっつけ本番だったから結構混乱したよなあと雅海は思った。
「お疲れ様でしたー。本番まで休んでてください」
と言われるので、全員練習用の衣裳を脱ぎ、汗を掻いた下着も脱いで汗拭きシートで身体を拭き。替えの下着を着けていったん普段着に着替える。
当然控室では女子たちがみんな裸になる。雅海は司に「平常心、平常心」と耳元で囁き、自分も裸になって汗拭きシートで汗を拭いては下着交換した。司もプールやお風呂に連れて行かれた時のことを思い出し、気合を入れて裸になり、汗を拭いてから下着交換した。
お弁当が配られるのでそれを食べてお昼御飯とする。雅海・司は何となく、小樽のヨシミ、千歳のトーコとその友人ミミカの5人でおしゃべりしながら食べることになった。
「トーコちゃんって、どんな字書くの?」
「透明の透に、古いの古」
「子供の子じゃないんだ!」
「そうそう。電話とかで伝えると説明してても高確率で子供の子にされちゃう」
「でも珍しい書き方だね」
「うちのお母ちゃんが『イティハーサ』という漫画が好きで、その主人公の名前“透祜”(とうこ)から取ったらしい。“祜”の文字が常用漢字に無いから“古”にしたんだって」
と彼女は紙に名前を書いて説明した(*2).
(*2) 彼女の名前は後にトーコ→トコ→おトコちゃん→音子(おとこ)→音子(ねこ)となって“内野音子(うちのねこ)”が芸名として定着する。彼女が猫好きというのもあった。
“うちのおとこ”時代は男性と誤解され、男性用の控室に放り込まれたが、開き直って堂々とそこで着替えていたので
「君、ニューハーフさん?」
などと言われていた。
“うちのねこ”にしてくれたのは、山田犬次郎(後のケンネル)で、彼があれこれ芸事の基本を教えてくれたので、音子はケンネルを“師匠”と呼び慕っている。
だいたいみんなお弁当を食べ終えた頃、
「ダンス自体に不安がある」
という声があり、何人か自主的に練習を始める。
さっきのリハーサルでは出入りやライティング(照明)などの確認がメインだったので、実はダンス自体は全く練習していない。
「私も不安だぁ」
という声が次々にあがり、結局全員での練習になる。
お世話係?も兼ねて同室していた、レギュラーのパトロールガールズ、オーリンとテルミが指導してくれて、結構本格的な練習になった。
「そうか。ここはこういう動きだった」
「ああ、ここ勘違いしてた」
などという声もあがるが、
「みんなしっかり覚えてるじゃん」
とオーリンは言っていた。
やはりみんなビデオとか見て練習してたんだろうなあと雅海は思った。
またオーリンは練習しながら、ガールズたちの“並び”を入れ替えていった。
「あんたはここに来て」
などとやっている。
どうも上手い子を適度に分散させて、やや不安のある子は隣かその隣に上手い子を見ながら踊れるように調整しているようだ。色々入れ替えられた結果、16人の“北海ガールズ”の中で、雅海は7番目(ほぼ中央)、司は10番目、ヨシミが4番目、ミミカが13番目に配置された。左右両端、つまりオーリンとテルミの隣はヨーコ(桜川陽子)とトーコ(内野音子)になった。この2人は、オーリンとテルミが前面に出てパフォーマンスする時はお手本無しで踊る必要があり、完璧に覚えていなければならない。つまりこの6人がいちばんしっかり踊っていると判断されたようである。
「これ以上やると疲れて本番がもたないから少し休もう」
ということになり、12:15頃に自主練習は終了する。
でも「汗掻いたぁ」と言ってまた着替えてる子が居る。雅海も汗を掻いたのでまた裸になり、汗拭きシートで身体を拭いて下着交換した。
「汗掻きってほんとみたいね」
とヨシミちゃんが言う。
「5月の時は『私汗掻きだから』と言って裸にならないのは、おっぱいが小さいからかなと思った」
などと言っている(正解!)。
「おっぱい小さいよぉ」
「大丈夫だよ。この程度あれば男の子と間違えられる心配は無いから」
と言って触られる!(きっと触って“本物”かどうか確認している!)
「あはは」
男の子ですみません!
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女子中学生・ミニスカストーリー(2)