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■夏の日の想い出・虹の願い(7)

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「私は(小林)団長に命じられてこの邸宅に警備員として入らせて頂きました」
と谷本(仮名)警備員は言った。
 
「そういうことなら、最初から言ってもらったら、面接とか面倒なことせずにそのままここの警戒に入ってもらったのに」
と芳本が言うが
 
「主任、欺すことになって大変申し訳ありません。ミッション開始時点では、既に二十面相の仲間が警備会社に侵入している可能性を考えていたので、警備員さんたちにも知られない形で行動したかったので」
と谷本(仮名)は答える。
 
「なるほどー、そういうことか。分かった。でも頼もしい女性ガードマンが入ってきたと思ってたのに。残念」
と芳本さん。
 
「ごめんなさい。それで団長から依頼されたことを実行するために、監視モニターのプログラムを改造版と入れ替えようとしたのですが、既にプログラムが改竄されていて、一定条件で偽の画像を表示するようになっていることを知りました。それでやはり賊はモニター画像を誤魔化して、おそらく警備員に化けた二十面相の仲間がローテーションによって仏殿内の担当になった時に、仏像を運び出すつもりだろうと推測しました」
 
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芳本主任が難しい顔をして腕を組んでいる。
 
「2月2日、私が仏殿内で警備していた時、社長と専務が入ってこられて、私は社長に言われて、一応仏殿外に出たのですが、戻ってみると仏像が偽物になっていたので、ああ。本物を隠して偽物を並べたんだなと察しました」
と谷本。
 
「あれ、そんなにすぐ分かった?」
と音三郎氏が言っている。
 
「光沢とかもまるで違いましたから」
 
「うーん」
 
「私は仏殿内に独自の隠しカメラを仕掛けておいたので、仏殿内に居ない時でも中の様子を見ることができます。2月4日、社長が仏殿内に入ってこられたのを隠しモニターで見たのですが、様子が変です。見ていたら、社長と今そちらの部屋にいる偏雲警備員が」
 
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と言うので、みんなが二十面相が化けている女警備員(演:麻生真衣子)を見る。
 
「2人で協力して、台座の上に載っている仏像を全部どけて、物置の中に入れ、台座を上げて本物を上に出しました。本来警備員はその手の作業を手伝わないはずなのに」
 
「私は知らんぞ」
と社長が言っている。
 
「私も不審に思ったのですが、その内、これは二十面相と手下の変装ではないかと思い至りました。2人は小型クレーンなども使って、本物の仏像を段ボール箱に詰めてしまいました。そしてどこかスイッチを入れると、台座の上に仏像が出現したので、ホログラフィか!と思いました。ところがここて交替時間が来てしまったので、社長と警備員は箱詰めした仏像の上にブルーシートを掛けて隠し、社長は出ていって、次の警備員が入ってきて交替になりました」
 
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と谷本警備員が言うと
 
「あ、そういえばブルーシートがあった」
と言う警備員が多数居る。
 
「私は自分が仏殿内の番になった時、その箱の中にあった仏像を全部出して、物置の中の仏像と入れ替えてしまいました」
 
「よく女ひとりで作業できたね!」
「実はそれを少年探偵団を入れて14人がかりでやったんです」
と小林が言う。
 
「14人でやっても20-30分かかりました。2人では1度には無理だったでしょうね」
と小林は付け加えた。
 
谷本警備員の話は続く。
 
「そして、今日というかもう昨日の夕方、社長と専務が入ってきて、警備員が見ている前で、ブルーシートの掛かっていた段ボール箱を台車に載せて全部運びだしてしまったんです」
 
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「確かに社長が入ってこられて段ボールを持ち出されました。でも社長ですので、特に不審には思いませんでした。一応箱の中は確認させて頂いたのですが、土が入っていたので。すみません」
と言う警備員がいる。
 
「仏像の上にふたをして土を乗せてカモフラージュしたみたいですね」
と小林が言った。
 
「でも本物の警備員の前だから、土をどけて、中身を確認することまではできなかった」
と小林は付け加える。
 
「そういう訳で、本物の仏像がそこの物置に残ったのです」
と谷本警備員は言った。
 

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「参ったよ。じゃ俺はわざわざ偽物を運ばせていったのか」
と二十面相が参ったように言う。
 
「あの重たい仏像群の運搬には、さすがの君でも時間がかかるだろうからね。でも偽物が無かったら、90分以内に運び出しまでできたかもね」
 
「確かにあの出来の悪い邪魔物をどけるのに時間が掛かった」
と二十面相。
 
「つまり、警備員を90分交替にした村正社長の考え、そして偽物を作った専務のご苦労が、結果的には犯行を防いだことになります」
と小林が言うと
 
「あの偽物も一応役にたったのか」
「へー。ただじっと見ているだけは辛いだろうと思って交代制にしたのが結果的にはうまく行ったのか」
 
「でも兄貴は昔からそのあたりの運が強い」
と音三郎氏が言っている。
 
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その時、パトカーのサイレンが近づいて来た。
 
「どうやら警察も到着したようだね。潔く縛に付き給え」
と明智は言った。
 
しかし女性警備員に化けた二十面相は
「いや、小林君と少年探偵団のご活躍の話を拝聴してたら、すっかり遅くなった。今日は楽しい話がたくさんできた。また会おう」
 
と言うと、一瞬にして二十面相の姿が消えた。
 
「え!?」
 
「しまった」
と言って明智が駆け寄る。
 
「この床に細工がしてある。ここに非常時の脱出口が作られていたんだ」
と森田助手。
 
「なんと」
 
「この仏殿は、壁も厚いし、屋根も上部だけど、床は盲点だったかも」
 
「開きますかね」
と葛西助手が言う。
 
「ダメだ。開かない」
「破壊しますか?」
「いや、そんなことしている間に奴はどこかに逃げ出してしまうだろう」
と明智は悔しそうにして腕を組んだ。
 
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多数の警官が入ってきたが、明智が、すんでで二十面相に逃げられてしまったことを中村課長(広川大助)に説明する。
 
「それは惜しかった。しかし宝物は守れたんだね」
と中村。
「はい。明智先生や小林さんたちのおかげで、何とか守ることができました」
と岩次郎が言う。
 
「いや、犯行の状況を明かしていく段階で妙に余裕がある気はしてたんだけど。面目ない」
と明智は言った。
 

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村正邸の前に多数のパトカーが駐まり、多数の警官が邸内に入っていった時、1人の警官が邸から出て来て、パトカーに乗ると2〜3分後、車を発車させた。
 
「全く小林のおかげで酷い目に遭った。あやうく捕まる所だったぜ。しかしあの女警備員、その内仕返ししてやる」
と運転しながら呟いている声は二十面相の声である。
 
彼は地下に逃れたように見せかけて実はイチかバチかで仏殿の梁に飛び上がっていた。床板は切り取って脱出口は作ったものの、床も基礎がコンクリートでできていて、抜け穴までは掘れなかった。
 
梁に隠れていた二十面相は、素早く警官に変装し、多数の警官が入ってきた所で、その警官たちの間に紛れて脱出した。それで表に出てパトカーを無断借用したのである。鍵は付いていなかったが二十面相なら鍵無しでも始動できる。
 
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やがてパトカーは、郊外の庭の広い家に到着した。少し置いて、中から降りてきたのは素顔?の二十面相(演:大林亮平)である。
 
「お頭、お帰りなさいませ。今回は上出来でしたね」
と手下が出迎えた。
 
「はあ?上出来?大失敗だよ。小林の野郎、ほんとに忌々しい」
「でも黄金の薬師如来、十二神将像が手に入ったのでは?」
「偽物を掴まされたんだよ。あんなもん、どこかに捨てとけ」
「え〜?偽物だったんですか?」
と手下は驚いている。
 
とにかく食事を用意させますと言って手下はコックに命じて食事を作らせた。
 
「俺は一眠りする」
と言って、二十面相は自室で寝てしまった。
 

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その頃、庭に駐められたパトカーのトランクが小さく開くと、そこから少女が這い出して来た。ところがいきなり懐中電灯を当てられるのでギョッとする。しかし懐中電灯を当てた少女は
 
「なんだ。ナナちゃんか」
と言う。
 
「なんだ、サキちゃんか」
と北里ナナ(演:アクア)。バイクスーツなのでバストが目立つ!
 
懐中電灯を持っていたのは少年探偵団の団員・朝倉紗希(演:栗原リア)だった。
 
「なんでナナちゃん、そんな所に」
「怪しい警官を見たから、トランクに忍び込んだ。サキちゃんは?」
「(偽の仏像に)発振器を付けておいたから、その信号を元にさっき辿り着いた」
 
実は二十面相を前に明智たちがゆっくりと犯行の解説をしたのは、少年探偵団がアジトを見つけ出すまで時間稼ぎをしたかったからなのである。
 
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「ともかく小林さんに報せなくちゃ」
と言って、ナナはスマホで連絡を取った。
 

撮影時にアクアは質問した。
 
「なんでこんな所で北里ナナが出てくるんです?少年探偵団員だけで用事は済んでいるじゃないですか?」
 
「だってナナちゃん出さないと視聴者がうるさいもん」
と監督は答えた。
 

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やがて二十面相が目を覚ます。
 
「お頭(かしら)、食事ができてます」
「ああ、ありがとう」
 
それでドアを開けたのだが、そこにはコックでも手下でもなく、中村課長が立っていたので仰天する。
 
「通称・怪人二十面相、窃盗罪の疑いで緊急逮捕する」
と言っても中村課長は二十面相の手に手錠を掛けたのであった。
 
「待て。俺は盗ってない」
「パトカーを盗ってったろ?」
「うっ」
「それに偽物の像も持ち出したし」
「あんなガラクタでも罪になるのか〜?メルカリに出したって誰も買わんぞ」
「そして最後は仏像の窃盗未遂だな」
「ふん」
 
「朝食前に逮捕して悪いが、朝食は警察署で食べてくれ」
と中村課長は言った。
 
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『少年探偵団』の主題歌は11月上旬、ワンティスのトリビュートアルバムに入る直前に録音された。
 
これはアクアの27枚目のシングルとなる。収録曲は『風よりも速く』と今シーズンではわりと見せ場のある別働隊“黒豹”を歌った『Panther Quality』である。
 
『風よりも速く』(BD version)
『Panther Quality』
『風よりも速く』(Bike mix)
 
『風よりも速く』はマリ&ケイの作品、『Panther Quality』は、加糖珈琲+琴沢幸穂の作品である。今回は、青葉が『ザナドゥ』のトリビュートアルバムの作業で忙しいので、主題歌はマリ&ケイで書いた。
 
『風よりも速く』は2種類のアレンジのものが収録されている。BD version (BD=Boys detective) はアコスティック楽器を多用し(実はスターキッズの演奏)、Bike mix の方がオリジナル(エレメントガードの演奏)で、電気楽器を使っている。後者は、Kawasaki のバイクのCMに使用される。
 
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PVは、BD version では、多数の少年探偵団員が走って、やがて1ヶ所に集まる様子が映される。Bike mix では、小林少年(演:アクア)と北里ナナ(演:アクア)がともにNinja 250 に乗って走っている所が映っている。小林は青いバイクスーツで青いバイクに乗り、ナナは赤いバイクスーツで赤いバイクに乗る。2人を見分けるポイントは、ナナには豊かなバストがあることである!
 
(放映時には「アクアちゃん、上手にバストを隠してるね」「まるで無いみたいに見せてる」などと言われた!)
 
アクアの鏡迷宮での写真集など見ると、かなり大きなバストが確認できるので、アクアにバストがあるのは当然と、国民の多くが思っている。
 

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『Panther Quality』の方では、今回登場した谷本警備員(仮名)こと役名:清川なぎさ(コードネーム"Snow")を演じる中川友見と、この後の回で出てくる保桂小造(コードネーム"Pocket":原作のポケット小僧に相当する)役の川口康政が映像に出ている。
 
中川はグレイの柔道着に黒帯を締めて、白い柔道着の相手(やはり黒帯)と試合をし、背負い投げを決める所が映っている。
 
「この人、マジで強そう」
という声を聞いて、本人は笑顔だった。
 
川口康政の方は、カバンの中に身体を納める演技を見せてくれている。彼は体操選手を目指していた人で、物凄く身体が柔らかいのでこういう真似もすることができる。身長157cm 体重38kg で、あまりにも小柄であるため体操選手の道を断念し、人生に迷っていた所を雨宮先生に発掘されたのである。
 
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小柄なので女装もさまになり、ドラマの中でも披露することになる。
 
彼は雨宮にナンパされたものの、あくまで女装を拒否したレアな人である。
 
「あんた女の子になりたいよね?」
「絶対嫌です」
 
などと言っていたのに、ドラマでは美高さんにうまく乗せられ、セーラー服を着て女子中学に女装潜入するなどの役割を演じるはめになった(北風と太陽?)。演技力があるので、もし来期も『少年探偵団』が制作されたら、再登場の可能性がある。
 

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