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■夏の日の想い出・天下の回り物(24)

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それで結局、私と若葉、千里、アイ、山鳩の5者会談をしたのである。
 
冒頭山鳩さんは
「無理です」
と言い切った。
 
「あの程度のスーパーコンピューターの処理速度ではとてもホログラフィーのリアルタイム計算は不可能です」
 
「あのスーパーコンピューターでも無理なのかぁ!」
 
「ホログラフィーの計算ってどのくらいの演算能力が必要なの?」
と私は尋ねた。
 
「画素数にもよりますが、仮に150万画素としても理化学研究所の京(けい)の10倍くらいのパワーが必要だと思います」
 
「京(けい)って何Flopsだっけ?」
「1京flops、つまり10の16乗Flopsですから、普通の言い方だと10P(ペタ)flopsですね」
「AI-Museのマシンは?」
「1号機が95TFlops、2号機が492TFlopsですから、京の20分の1の速度です」
 
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(1P flops = 1000T flops = 1000,000G flops)
 
「ということは1万画素くらいでフレイムレートを落としたりディファレンシャル(前の画像とほとんど変わっていないところを計算しない手法)を使ったりしたら動かせる?」
 
「ディファレンシャルは既に計算に入っています」
「既に考慮済みかぁ!」
 
「アニメならその程度の画素数でもいけますが、人間の画像で1万画素は見るに堪えないと思います。アナログテレビだって30万画素ですよ」
 
「じゃかなりボケた画像になってしまうか」
 

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「別にリアルタイムでなくてもいいんじゃない?」
と千里が言い出した。
 
「ん?」
 
「ローズ+リリーって歌に集中するから、あまり大した振り付けが無い。だからマリちゃんの動きってパターンが限られていると思う。その全パターンを予め立体画像として計算しておけばいいんだよ」
と千里2が言った。
 
私はこれ“千里2”じゃなくて別の誰かが来ているのではという気がした。千里がこういう技術的な問題を指摘するのが信じられん。
 
「それはいけるかも知れないね」
「口の周りだけリアルタイムで撮って映すとか。あるいは顔の部分だけ」
 
「それならMuse-3のパワーでも行けるかも知れないなあ」
 
「だったら演奏予定曲目のマリちゃんの振り付けを今のまだ妊娠周数が少ない内に全部踊らせて3D録画しておく。その立体映像を計算してストックしておく。そして本番では顔だけ1万画素くらいで撮影してリアルタイム変換する」
と私はまとめた。
 
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「それなら行ける?」
とアイが山鳩さんに尋ねる。
 
「行けるかも知れません。フレイムレートは30fpsではなく20fpsくらいに落とす必要があるかも知れませんが」
 
「Muse-3はMuse-2より少し速くなるよね?」
「Muse-2が3.7GHzの素子を使って492Tflops出ているのですが、Muse-3は最高5GHzの素子を使うので単純計算では660Tflopsくらいになる可能性はあります。ただ相互作用の問題があるので550から600Tflops程度に留まるかも知れませんが」
 
「でも顔だけリアルタイムにして画像をはめ込む場合、顔とそれ以外の部分が一瞬ずれたりしない?」
と若葉が心配する。
 
「それは大丈夫です。そんなみっともない真似はしませんよ」
と山鳩さんが言うので、そのあたりはお任せすることにした。
 
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そういう訳で11月に運用開始する小浜市のMuse-3を使用してカウントダウン・ライブをしようという話が8月上旬にまとまり、過去にローズ+リリーのカウントダウンを何度も仕切っているTKRの松前社長(★★レコード相談役)を中心にイベントの詳細が詰められた。松前さんが小浜市側とも協議してくれてタイムスケジュールや地元住民との協議も進めてくれたし、旅行代理店を使って温泉宿泊を確保していく。また温泉宿だけでは足りないので、いつものように体育館に簡易ベッドを並べて客を収容する計画も進めた。
 
このあたりは佐田副社長も巻き込んで、彼直属のメディアミックス推進室のスタッフにも大いに動いてもらった。
 

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「よし。ミューズ温泉を年末までにオープンさせるぞ」
と若葉は言った。
 
「間に合うの〜?」
「大丈夫、大丈夫。ユニット工法ならあっという間に旅館くらい建つ」
「それ何人くらい収容できる?」
「うーん。Muse Park側に8畳の部屋を横に10個並べたら、反対側には20畳の大部屋が6つ入るかな。3階は8畳の部屋を20個にすると、全部で360畳。日本旅館は1人2畳で計算するから180名収納」
 
「じゃその旅館も180名で宿泊確保にカウントしていい?」
「そうだね。これ2つ建てたら360名収容できるけど、いくらお金が余っているといっても、さすがに2つも建てるのは意味が無い気がする」
 
「同感」
 

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「体育館建てていい?」
と千里は言った。
 
「は?」
「土地はたくさんあるんでしょ?だったらそこに50m×50mくらいで体育館1個建てちゃう」
「こんなところに建てて何に使うの〜?」
「ああ、使い道はいくらでもあるから」
 
「まあ好きなように。それどのくらいの期間で建てられるの?」
「過去の経験からすると、だいたい3ヶ月」
「もしかしてカウントダウンライブに間に合う?」
「間に合う」
「だったらそこに簡易ベッド並べて宿泊所にしてもいい?」
「いいよー」
「何人入る?」
 
「フロアは30m×40mくらいになると思うから大雑把に計算して300-400人は収納できると思う」
 
「それをチケットのセット売りに入れていい?」
「いいよー。御飯は若葉の作る旅館に食べに行けばいいね」
「うん。それで何とかなる気がする」
 
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そういう訳で、会場そばの旅館と体育館で500人くらい収納できることになり、実際にチケットを販売した時、ここが真っ先にソールドアウトしたのである。
 
会場のレイアウトはコンピュータとの「ケーブルの長さ」の問題でステージを電算室のある坂下側に設置するので、ちょうどホールのように後ろの人ほど高い場所で見ることになる。
 
敷地面積は10ha(250m×400m)あるのだが、5万人を収容するパーク部分は160m×160mで設計した。ここは勾配が3%なので客席の最後尾はステージのところから4.8m高い。この「ミューズパーク」部分に騒音防止のために高さ5〜10mの防音壁を建て、更に防寒と防音を兼ねてテント布(防炎加工済)を天井に張ることにした。これはあくまで「仮設物」なので1月中には全て撤去することを条件に市側の許可を取った。
 
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実は・・・安中榛名の場合も松島の場合も「雪」だけを心配すればよかったのだが、昨年は熊本で計画が進んでいたので「雨」が降ったらどうしよう?と言っていたのである。夏の雨ならよいが、冬の雨は観客の健康に極めて重大な影響を及ぼす。結果的にドームになったので良かったのだが、今年の会場も雨を心配する必要があった。
 
それで仮設の屋根を作ってしまおうということになったのである。費用は掛かるものの「お金が余って余って困っている」人がバックにいるので心強い。
 
今回はたくさん土地が余っているので送迎用のバスを全部駐めておくことができる。こういう運用ができるのは3年前の安中榛名でのカウントダウンライブ以来になる。送迎のバスについては地元のバス業者が一括で請け負ってくれた。
 
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出店(でみせ)についても敢えて地元の商工会に投げることにした。それで地元の飲食店や若い人のグループが出店を出してくれるようである。地元だけではまかないきれないので、地元商工会は福井県・滋賀県・京都府内に広く呼びかけてけっこう京都や大津などからも来てくれることになったようである。
 

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アクアは結局9-10月にミニアルバムの制作をして、映画公開のタイミングと少しずらし、11月中旬に発売した。収録曲は下記である。
 
『6人のカノン』(加糖珈琲/Johann Pachelbel)6人のアクア 
『五足の靴』(琴沢幸穂)アクア・桜野みちる・品川ありさ・高崎ひろか・川崎ゆりこ 
『四季の歌』(松本葉子/松本花子)
『三毛猫のワルツ』(岡崎天音/大宮万葉)アクア・今井葉月・桜木ワルツ 
『龍と子供』(Leonard Lipton/Peter Yarrow/日本語歌詞:鴨乃清見) 
『1人のアクア』(森之和泉/水沢歌月)
 

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『6人のカノン』は9月上旬に撮影した3人のアクアのヴァイオリン合奏に3人のアクアの合唱を合成したものである。この曲は映像と一緒に見ることに価値がある。アクアの特に女性ファンを熱狂させた曲であった。
 
「アクアだらけだ!」
 
「やっぱり男の子アクア様より女の子アクア様の方が可愛くていいなあ」
「3人ともドレスでも良かったのに」
 
「これ実はアクアは六つ子でした、というカムアウトだったりして」
「実際アクアの忙しさは、アクアって4〜5人いるのでは?と思いたくなるほどだからなあ」
 
「多分、男のアクアと女のアクアと、男の娘のアクアと、女の息子のアクアと、無性のアクアと両性具有のアクアがいるんだよ」
「いや、それ信じたくなる」
 
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『五足の靴』は与謝野鉄幹・北原白秋・木下杢太郎・平野万里・吉井勇の5人による九州紀行『五足の靴』にインスパイアされて琴沢幸穂(千里3)が書いた曲だが、実際には歌詞の内容はカナリア諸島の紀行文になっている。実際に千里3がワールドカップでカナリア諸島に行ってきたので、その時に書いた詩がベースになっているらしい。
 
この曲はアクアが先輩たちと一緒に歌っている。川崎ゆりこ、桜野みちるは元からの§§プロのタレントだし、品川ありさはアクアより2ヶ月ほど早くデビューしている。高崎ひろかはアクアが選出された第1回ロックギャル・コンテストの準優勝者(アクアが男の子だったので実質的な優勝者)である。
 
『四季の歌』は松本葉子・松本花子から提供してもらったが、とても可愛いアイドル歌謡である。PVでは春の桜模様の振袖、夏の花火やスイカをあしらった(男性用)浴衣、秋の紅葉などをあしらった涼しげな(男性用)小紋、そして冬を表す雪の結晶や雪だるまなどの模様の(女性用)訪問着を着ている。
 
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リリース後、多くの女性ファンから「夏の浴衣と秋の小紋も女性用着ればよかったのに」と言われたビデオであった。
 
『三毛猫のワルツ』はアクアがミニアルバムを制作すると聞いたマリが「ぜひ歌って欲しい」と言って歌詞を書き、青葉に曲を書いてもらったものである。アクアがメインであるが、今井葉月と桜木ワルツの声も入っている。
 
『龍と子供』はPPMことピーター・ポール&マリーの名曲『パフ・マジックドラゴン (Puff, the Magic Dragon)』に鴨乃清見(実際には千里2)が新たな日本語歌詞を付けたものである。パフというドラゴンと少年の交流を歌った曲だが、この曲を見た時、山村さんが涙を浮かべていたのを見て私は驚いた。およそ人前で涙など見せる人ではないのだが、あるいは若い頃に愛唱した曲なのだろうか。
 
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アクアの歌い方もとても哀しみをたたえていて、リリース後、なぜか泣けてくるという意見が多数あった。
 
この曲は野上彰の歌詞でNHKの「おかあさんといっしょ」の中でも歌われているし、芙龍明子の歌詞で小学校の音楽の教科書にも載っている。また過去に「Tom and Susie Song」として中学校の英語教科書(CROWN)に掲載されたこともある。山村さんはもしかしたらその「Tom and Susie Song」を歌っていた世代かな?という気もした。
 
『1人のアクア』は「森之和泉/水沢歌月」とクレジットしたが、実際にはほぼ私の作品である。ただし私が書いた後で、ゴールデンシックスの花野子に頼んで添削してもらった。かなり直されたものの、彼女は元の曲のイメージを大切にした改訂をしてくれるので、私も満足のいく作品に仕上がった。私が10月に書いたのはこの1曲のみである。
 
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この曲ではエレメントガードを使わずに今井葉月にピアノを弾かせてそれでアクアが歌ったし、その様子を撮影したものをPVとしても公開した。
 
演技では色々なキャラクターを演じるけど、本当のボクは1人と歌う歌詞で、アイドルの心の孤独のようなものを独白したような歌詞である。実際アクアはこの曲を見た時、泣いてしまった。そのアクアに同調して伴奏できるのは葉月だけだと思ったので、私は葉月に伴奏させたのである。
 
彼女(彼?)は実はピアノがかなり上手いのである。元々お母さんが所有していたアップライトピアノを小さい頃から勝手に弾いていたらしいが、お母さんからはしばしば
 
「あんた女流ピアニストになれるかもね」
と言われていたらしい。
 
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