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■夏の日の想い出・天下の回り物(18)

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そういう訳で3人はお着替えさせられる。
 
アクアMには可愛いピンクのドレス(サンローラン)を着せた。 
アクアFには格好いい紺色の男性用スーツ(ダンヒル)を着せる。 
アクアNには性別曖昧なパンタロンスーツ(一応女性用。ディオール)を着せる。 
 
「なんでボクがドレスでFが男物なんですかぁ?」
「3人の性別感を近づけるため」
「あぁ!」
 
「Mの男装とFの女装ではもう同一人物に見えないから」
と千里が言う。
 
「3人は体液を共有しているんだよ。試しに1人にお酒飲ませてみたら全員酔っ払った。だからホルモン的には差が無いはずなんだけど、結構雰囲気に差があるよな」
などと山村が言っている。
 
「未成年に飲酒させないように」
と私は一応注意しておく。
 
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『カノン』自体は過去に練習したことがあったのですぐ弾けた。それで2度ほど練習させてからその後撮影・録音したが、とても息の合った演奏を見せた。
 
演奏は最初「ヴァイオリンがいちばん上手い」と他の2人から言われたF(男装)が最初に弾き、その後N、最後にMが弾き始める方法で行った。
 
色々な角度から撮りたいというのもあり、また違う順序で弾いている様子も撮りたいということで、その後、M→N→F、N→F→M、更に他の3種類の順序も撮影・録音して6通りの順列での演奏が収録された。
 
あらためて聴き比べると本人が言うようにFがいちばん上手いようだ。
 
「記憶は共有しているはずが、何をやる場合でも若干のレベル差が出るんですよ」
とNは言っている。
 
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「それは各々の身体のつくりの問題かも知れないね」
「ええ。睾丸のある子、卵巣のある子、どちらも無い子で差が出るみたい」
「筋力はどうしても差が出るでしょ?」
「そうなんですよ。だから今はお互いのボディサイズは完全に一致しているんですけど、将来的には差が出てしまうかも」
 
「まあそこまで差が出る前に1人に戻るかもね」
と千里が言っている。
 
「醍醐先生、ボクたちいつかは一人に戻れると思います?」
「たぶん2020年には」
「へー!」
 
「しかし1つに戻ったら、仕事が3倍忙しくなったりして」
「たぶん・・・その頃にはボクの人気、少し落ちてますよね?」
「まあ今年・来年くらいが人気のピークだろうね」
「少し仕事が落ち着けば何とかなるかな」
 
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「ひとつに戻った場合、ボクたちの意識はどうなるんでしょうか?」
「戻ってみないと分からないけど、おそらく3人はひとつの身体の中の多重人格として残るんだと思う」
「なるほどー!」
 
そのことは3人は薄々予測していたようだが、千里から言われて少し安心したようである。3人とも1つに戻ることは願っていても、各々、自分が消えるのは怖いのだろう。
 
「心は残っても身体はどれか1つですよね」
「それもよく分からないね。どれかひとつにまとまっちゃうか、ふたなりになっちゃうか」
「ふたなりでもいいけどなあ」
 

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Fが大胆なことを訊いた。
「私とMがセックスしたら妊娠する可能性あります?」
「ある」
 
「その場合、生まれた子供は3人がひとつになっても消えたりしませんよね」
「赤ちゃんが消えたりはしないよ」
「だったら、私ひとつに戻る前に赤ちゃん産みたいなあ。自分が生きていた証に」
 
おそらくFは自分(の少なくとも肉体は)は消えるのだろうと思っているのだろう。
 
「その子、誰が育てるのさ?」
と千里が訊く。
 
「ちゃんと育てますよ」
とNとMが声を揃えて言う。
 
「アクアに隠し子がいた、なんてバレたら凄い騒ぎになるかもね」
と私は微笑んで言った。
 

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ヴァイオリンの演奏が短時間で出来てしまったので、次は歌わせようと千里は言う。3人のアクアは「え〜〜!?」と不満そう。
 
しかしカノン用の歌詞をちゃんと用意している所がさすが千里である。それでやや文句を言いながらも3人のアクアは練習する。歌詞はすぐに覚えてしまうので、あとは輪唱の練習である。
 
これも1時間ほどで6通りの順序での収録が完成し、撮影は完了した。
 
「これどうするの?」
と私は訊いた。
 
「次のシングルのカップリング曲にするとか?」
と千里が山村を見ながら言うが
 
「この曲自体は、3人のアクアがヴァイオリンを弾いている所で3人のアクアが歌っているように合成して公開しよう。6人のアクアだな」
 
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「それは結構面白いかも」
 
「ついでにミニアルバムくらい作ってもいいかも知れない。10月まではわりと時間が取れるんだよ」
と山村は言っている。
 
「じゃそのあたりはコスモスちゃんと話して」
「うん。話してみる」
 

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そこでアクアを帰したのだが、その後で山村が私と千里に言った。
 
「まあ万一Fが妊娠した場合ですが」
「それどうします?あの子たち興味本位でセックスしてみるかも」
 
「そのうちやっちゃいそうな気がします。妊娠した場合はFは休ませてMとNで仕事は乗り切ります」
 
「まあそうなるでしょうね」
「そして生まれた赤ん坊は黙って育ててくれる女性に託して私が責任持って面倒を見ていきますよ。アクアの負担にはしません」
 
「あの子たち、団結力あるから自分たちだけでも何とかする気はするけどね」
 
「しかし妊娠したら大量の女性ホルモンが出るだろうから、あの子たち3人とも女性化してしまったりして」
 
「ああ、その可能性はある」
「するともう男にはなれなくなるね」
「あの子、あまり男にはなりたくない気がするよ。Mもわりと女装が好き」
「その気もするする」
 
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「あの子たちの前では言わなかったんだけど」
と千里が言う。
「たぶんね。ひとつに戻った後でも、緊急の時とかは3人に分離して行動できると思う」
「へー!」
 
「ちょっと似た例を2組見ているんだよ」
と千里は言った。
 
「似たケースが2つもあるの!?」
 
(ハルとアキのケース、マソとマラのケースである)
 
「どちらもふだんは1人の状態で行動しているけど、時々2人に別れて分離行動もしているんだよね。ただ3人という例は他では見てない」
 
「人間が分裂するというと、昔スキャンドールという漫画があったよ」
などと山村が言う。
 
「へー。そんな漫画があったんですか」
と私。
 
「その子の場合は元々女の子だったのが、分裂した内の片方はどんどん男性化して胸もペッタンコになってしまうし」
と山村。
「そのあたりはアクアの今の状況と似てない?」
と千里。
「うん。あいつら分離した当初よりMの男性化、Fの女性化が進んでいるよ」
と山村。
 
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「しかしその漫画、マリに教えたら夢中になって読みそうだ」
「古い漫画だからコミックスの入手は困難かも知れないけどKindleとかで読めると思うよ」
「へー」
 

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「ところで冬、そろそろ自白しなよ」
と千里が言う。
 
「何を?」
「実は冬って10人くらい居るでしょ?」
「そんなに居たら、作曲を分担してやりたいよ!」
「今度のツアーもね」
「うん。KARIONの蘭子と、ローズ+リリーのケイは別人でやりたい」
 
と私はマジで言ったのだが、千里と山村は何だか視線を交わしていた。
 
「でも冬だらけのバンド演奏というのも撮影してみたいんだけどなあ」
と千里は言っている。
 
「冬って何でも楽器できるから、冬がギター、ベース、ドラムス、キーボード、フルート、ヴァイオリン、サックス、胡弓を弾いている状態で2人の冬が歌う」
と千里。
 
「ここだけの秘密にするから、他のケイちゃんをここに呼びません?そのケイちゃんだらけのバンド演奏撮影・録画しちゃいましょう」
と山村。
 
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「そんな分身いませんよ!」
「今更隠さなくてもいいのに」
 

アクアと葉月はそのローズ+リリーのPV撮影の後、次の週末(9月7-9日)には“北里ナナ”のセカンドシングルの制作に臨んだ。これは普段通りに葉月を使って流れを固めておいて、最終的にアクアで撮影するのである。
 
葉月がPVの作業をしている間にアクアは音源の方の練習・収録をするということで、短時間で音源とPVが完成する。二人三脚で短期間にシングルを制作できる。葉月はアクアと本当に雰囲気が似ているので、葉月で練り上げた映像が、最終的にアクアに代わっても、ほぼそのままのイメージで撮影できるのである。
 
今回の北里ナナのCDでは、前回と同様、加藤珈琲作詞・琴沢幸穂作曲の作品(『愁末日記』)とマリ&ケイの作品(『青い城の姫』)をカップリングしている。但し実際に『青い城の王女』を書いたのは青葉である。この曲を聴いて私は、青葉が一時期に比べてかなり精神力を回復させているのを感じた。自分の闘争心が奮い立たせられる思いだ。
 
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『愁末日記』のPVでアクアは衣装の女子高生制服を着て、メタセコイアの並木道を散歩している。これは滋賀県のマキノ町で撮影したものだが、アクアはこの長い並木道を端から端まで歩かされている。もっとも前日にマキノ入りした西湖はここを10回歩かされた!
 

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『青い城の姫』は北海道内の関係者の私有地に実際に青い城を建てて撮影した。ドイツのノイシュバンシュタイン城を参考に、川崎ゆりこが描いた絵をもとに建築したのだが、城は1/8スケールで作られており、窓やドアが小さく作られていて実際は本家(65m)の1/8の8mほどの高さしか無い。しかし周囲には1/8スケールのミニチュア樹木なども並べてジオラマにしているので、遠景ではノイシュバンシュタイン城と似たような大きさに見える。遠近法を利用した錯覚建築になっているので、アクアを所定の位置に立たせると、ちゃんとアクアが大きな城の前に立っているように見える。
 
一方、この城の裏には普通のサイズの豪華なドアがあり、そこを開けて中に入ると、お城の豪華な部屋や廊下が2階建てで再現されているのである。このセットは実は6月に計画して7−8月の間に建設を進めたもので建築費は5000万円掛かっている。
 
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この映像に映るアクアは豪華なブルーのドレス(安芸千紗登デザイン豪華刺繍入り200万円のドレス)を着て、お城のセット内の部屋で歌っている。その映像、豪華なドアが開くシーン、廊下を歩くシーン、夜中にライトアップされた青い城を背景にアクアが歌うシーンなどが撮影された。
 
PV撮影の予算が恐ろしいが、コスモスが
「ケイ先生の作品だから、予算使っても文句言われないんですよ」
と言っていたので、私はさすがに罪悪感を感じた。
 

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そういう訳でこの週末の葉月とアクアの日程はこのようになった。
 
葉月
9.7(Fri) マキノで1日掛けて予備撮影(学校は休む)。最終便で北海道へ。 
9.8(Sat) 北海道で1日掛けて予備撮影
9.9(Sun) 午後からアクアの撮影に付き合い王子様役(顔は映らない)を演じる。一応最終便で東京に戻る。
 
アクア
9.7(Fri) 放課後都内で歌の練習
9.8(Sat) 1日掛けて音源制作。夜間に山村の車でマキノに移動(という建前)。 
9.9(Sun) 早朝からマキノで撮影。お昼の便で新千歳に飛ぶ(という建前)。夕方から夜に掛けて青い城で撮影。10日朝1番の便で東京に戻った(という建前)。
 
(実際にはマキノで撮影したのはN、北海道で撮影したのはFであり、東京で音源制作したMは9日は一日マンションに居て、10日普通に学校に登校した。かくして日々葉月はアクアより重労働でたくさん学校を休んでいるのである)
 
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