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■夏の日の想い出・天下の回り物(20)

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ライブ再開を告げるブザーが鳴り客が席に戻る。そして第2部が始まるが伴奏者が違うので少しざわめきが起きていた。
 
最初の曲『同窓会』を演奏した所で、ありさが事情を説明する。
 
「今回のツアーでは10周年記念ということで曲数が30曲になっており、演奏時間も長くなったので、演奏者の健康に配慮して途中2回の休憩を頂くようにしました。それで途中にはさまれた第2部では、伴奏者を交替することにしました。ここから約30分お付き合い頂く伴奏者を紹介します」
 
「ギター・清原空帆。KARIONの『黄金の琵琶』で国宝級の華麗な琵琶プレイを聞かせてくれた」
とまで、ありさが言った時は客席でかなりのざわめきがあったのだが
 
「琵琶の名人さんのお孫さんです」
とありさが続けると、客席で笑いが起きた。
 
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空帆は両手で客席に手を振り、それに応じて客席からは暖かい拍手が送られた。
 
「ベース・朝風美空」
とありさが紹介すると、物凄い歓声と拍手である。
 
「特に本人のコメントを」
「私この後、幕間ゲストでもGolden Sixとして出てきますので、よろしくー」
また拍手がある。
 

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「アルトサックス・ココア。バレンシアのメンバーですが、ローズ+リリーのライブには度々参加しています」
とありさは紹介する。
 
実際彼女のことは覚えてくれている観客も結構あったようで
「ココアちゃーん!」
と呼ぶ声もあった。
 
「マリンバ・ミルク。同じくバレンシアのメンバーで、普段はフルートで参加なのですが、実は中学高校時代には吹奏楽部でヴィブラフォンやベルリラを弾いていたということで今回マリンバでの参戦になりました」
 
彼女にも「ミルクちゃーん」と声が掛かっていた。
 
「ピアノ・谷口翼。彼女には第1部から引き続き演奏をお願いします」
と言った所で近くに立っている風花が
「彼女じゃなくて彼」
と注意する。
「あ、ごめんなさい。彼女じゃなくて彼です。今本気で間違いました」
とありさは珍しく焦っている。
 
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翼が頭を掻いている。
 
「それで彼はこの第2部であがりになります」
とありさは続けた。
 
「ドラムス・レイア。現在、イグニス、アレモナ、赤羽ドラゴン、ソルトレイクという4つのバンドのドラムスを兼任しています」
と紹介すると、それなりに拍手がある。
 
「ヴァイオリン・田中成美」
「同じくヴァイオリン・伊藤ソナタ・桂城由佳菜・前田恵里奈・生方芳雄」
「この5人も第2部で上がりになります」
 
「この他適宜演奏者が増えたり減ったりしながら30分ほど演奏を続けます」
とありさは言った。
 

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それでこの「バックアップバンド」で『花園の君』『Heart of Orpheus』、『雨の金曜日』『砂の城』『言葉は要らない』『Long Vacation』と演奏を続ける。
 
第1部がほとんどアコスティックの曲だったのに対して、第2部は電気楽器で演奏するので、ノリが良く、観客はすぐに乗ってくれた。
 
特に各演奏者たちの能力を知ってもらうためにギターソロ、ドラムスソロ、サックスソロ、マリンバソロ、ピアノソロと入れているので、それを聴いて「結構やるな」と思ってもらえたようだ。
 
『Heart of Orpheus』は楽しく別れる!?歌だし、『雨の金曜日』『砂の城』は悲しい恋の歌だが、『言葉は要らない』で熱い恋になり『Long Vacation』の復活愛で美しくまとめる。
 
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ここで司会者の品川ありさは
「では次の『愛のデュエット』で第2部は終了しますが『Long Vacation』まで演奏してくれた人の中で、ベースの美空さん、ギターの空帆ちゃん、バレンシアのミルクちゃんとレモンちゃんはここまでとなります。今一度暖かい拍手を」
と言う。
 
それで拍手の中4人が退場するが、ありさが話している間にステージ上に次の曲を演奏する準備ができている。
 
「では第2部最後の曲『愛のデュエット』です」
 
ステージ上には何人かの演奏者がいるのだが、ステージの照明が落とされている。私とマリの所、ヴァイオリニストたちの所だけスポットライトが当たっている。まずは私とのアイコンタクトで伊藤さんたち4人のヴァイオリンが奏で始める。
 
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ステージ左側に置かれたピアノにスポットライトが当たる。風花と翼がその前に座っている。ピアノの連弾演奏と同時に私とマリの歌(Aメロ)も始まる。
 
8小節の連弾が終わると二人はすぐにそばに置いていたリコーダーに持ち替え、リコーダーの合奏(Bメロ)をする。
 
リコーダーで8小節演奏したところで、ふたりは更にフルートに持ち替え、Aメロを演奏する。これを8小節演奏した所で、風花を照らしていたスポットライトが少し移動して近くに立っていた心亜を照らす。心亜はクラリネットを持っている。翼もクラリネットに持ち替える。そしてふたりでBメロを8小節演奏する。
 
ここでサビに突入するが、心亜と翼はアルトサックスに持ち替えてこれを演奏する。ひじょうに上手い絡み合いで演奏したが、実は午前中に一度合わせただけである。もっともセッション経験豊富な心亜がうまく合わせてあげている部分もあるのだろうが。
 
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サビが終わった所でスポットライトは右端の方にいるふたりに光を当てる。宮本さんと田中成美がヴァイオリンを構えている。ふたりがAメロを奏でて私たちはそれに合わせて歌う。8小節終わるとふたりはそばに置いているチェロに持ち替えてBメロを8小節演奏する。そして2回目のサビに入るが、ふたりはギターに持ち替えてこれを演奏する。2度目のサビは16小節あるがふたりはバリエーションも格好良く演奏して行く。
 
そしてサビが終わった所でスポットライトは中央奥のドラムスが置かれている場所に移る。そこには酒向さんとレイアが並んで座っており、各々1本のスティックを持っている。レイアが右手、酒向さんは左手に持っており、この曲の最後、Aメロを再現するコーダでふたりは普通にドラムスを演奏する。耳だけで聴いたら1人で演奏しているように聞こえるのだが、2人で演奏しているのに1人で演奏しているかのように聞こえるのが実は凄いのである。
 
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ふたりでドラムスを演奏させるといったら物凄いプレイをさせることを普通の人なら考えるが、敢えて1人でも弾けるようなドラムスワークを2人でさせたのが、上島先生の発想の凄さだと私は思う。
 
そして終曲。このパフォーマンスをリアルで見た観衆から物凄い拍手が送られた。品川ありさが出てきて、演奏者を紹介する。
 
「秋乃風花、ピアノ・リコーダー・フルート」
「山本心亜、クラリネット・アルトサックス」
「谷口翼、ピアノ・リコーダー・フルート・クラリネット・アルトサックス」
「宮本越雄、ヴァイオリン・チェロ・ギター」
「田中成美、ヴァイオリン・チェロ・ギター」
「レイア、ドラムス」
「そして酒向芳知、ドラムスでした。今一度拍手を」
 
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それで観客から大きな拍手が送られて全員が退場し、私とマリも退場した。
 

代わってステージに上がってきたのはゴールデンシックスである。
 
カノンがマイクを取ってアナウンス。
 
「ローズ+リリーが20分間の休憩に入ったから、トイレに行きたい者は行ってきてくれ。トイレまで響くように演奏するから」
 
とカノンは言ったのだが
 
「そんな音量出したら叱られるよ」
と覆面を付けた千里が言っている。
 
「仕方ない。私たちの演奏を聞き漏らした人はあとでゴールデンシックスのCDを買うこと」
などとちゃっかり宣伝をして笑いを取っている。
 
「それでは1曲目、ロール・オーバー・ローズ+リリー」
と曲を紹介すると会場は爆笑に包まれる。
 
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それでカノンたちはこの「ローズ+リリーをリスペクトした曲」(?)を演奏した。観客の中にはこの曲を初めて聞いた人もあったようで、不快そうな表情を浮かべる人もあったようだが、周囲が笑っているので釣られて笑っている内に「まあいいか」という気分になってくれたようである。
 
この曲はビートルズのカバーでも知られる「ロール・オーバー・ベートーヴェン」からインスパイア?された曲である。
 
俺たちは下手くそな歌謡曲にハマってしまった(わざと男言葉で歌っている)。もう身体に下手くそな音楽が染みついてて俺は下手にしか歌えない。ローズ+リリーのCDを掛けてくれ。あんなきれいな音楽を聴けばこの病気も治るだろう。
 
要するにローズ+リリーの歌はきれいなだけで詰まらないと言外に言っているのだが、それをローズ+リリーのライブで演奏しちゃう所がゴールデンシックスの凄い所である。
 
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(ロールオーバーというのは、元の歌での意味はRoll over in one's graveで「死者もショックで棺桶の中で身体をよじらせる」という意味なのだが、ゴールデンシックスの曲ではこの言葉の別の意味である、ディスクジョッキーがレコードを掛けるという意味に使用している。原詩者のチャックベリーはクラシックなんてつまらないから俺たちの音楽を聴けばベートーヴェンもチャイコフスキーも墓の中で身体をよじらせて感嘆するだろうとストレートに歌ったのだが、千里の歌詞は完全に逆説的な言い方をしている)
 

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ゴールデンシックスが20分間に4曲楽しく演奏し、楽しいおしゃべりをしてステージを去った後、振袖を着た“ローズ+リリーっぽいふたり”が上手から登場するので凄い歓声と拍手が沸き
 
「マリちゃーん!」
「ケイちゃんー!」
という声が聞こえる。
 
が観客席の前の方に居た人たちがざわめき始める。この時点では後ろの方の人たちは何だろう?とお互いに顔を見合わせたりしている。
 
お腹が大きな“マリっぽい人”がマイクを取って観客に告げる。
 
「じゃ、第3部が始まるから、みんな聴いてね」
 
その声を聞いて多くの観客には今出てきた2人の正体が分かり、会場は爆笑に包まれた。
 
“本物の”私とマリが下手から出て行き、彼らに声を掛ける。
 
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「君たちは誰?」
「あら、私たちはケイとマリ、ローズ+リリーよ」
「ケイもマリもここにいるんだけど」
 
「だったらきっと分裂したのね。私たちとそちらで1日交替で演奏しない?」
「ケイとマリが2人ずつ居たら楽だろうけど、だいたい君たち男なのでは?」
「あら、私は女よ」
「私も女よ。その証拠に妊娠しているんだから」
「本物のマリはまだそんなにお腹が大きくないんだけど」
「うっそー!?」
 
と言って、大きなお腹を抱えた子がこちらにやってきて、マリのお腹を見ている。
 
「まだこんなものだっけ?」
「マリナちゃんのお腹は大きすぎる。それ明日にも赤ちゃん出てきそうだよ」
とマリが言う。
 
「しまったぁ。少し小さな赤ちゃんに交換しなきゃ」
「そんな小さくとかできるの?」
「このサイズの赤ちゃんはもう少し後に使えばいいから」
「赤ちゃんは天下の回り物ね」
「何のこっちゃ?」
 
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「ということで、君たち、本当の名前を名乗りなさい」
「失礼しました。私たちはマリナと」
「ケイナ。ふたりあわせてローザ+リリンでーす」
とふたりが言うと、笑い声の混じった拍手がある。2人とも
 
「じゃ2人は私たちを騙った罰として次の曲でダンスすること」
「おっけー」
 

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それでこのやりとりをしている間に所定の位置に就いていたスターキッズが演奏を始める。ローザ+リリンの2人はそれに合わせてダンスを始める。
 
曲は『コーンフレークの花』である。
 
ケイナとマリナは最初は振袖を着て踊っているのだが、途中で振袖(ワンタッチ式)を脱ぐと、下にはドレスを着ていて歓声が上がる。そして曲の最後ではそのドレスも脱ぐと下はビキニ姿で客席からは悲鳴?まであがっていた。
 
そして彼女ら、もとい彼らがビキニ姿のまま踊る中、私たちは『青い豚の伝説』を演奏する。青い豚が魔物達と戦うところなどは、背景にアニメも流したのだが、ケイナとマリナも格闘するかのようなパフォーマンスをしていた。
 

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ふたりのビキニ姿が、お股に変な膨らみも無く、バストも豊かで女性のビキニ姿にしか見えなかったことから
 
「ケイナとマリナは性転換しているのか?」
 
と議論されていたが、早まったことをしていなければ、彼らは男の身体のままのはずである。ウェストのくびれたボディラインや細い足は日々の努力の賜物だ。長い髪の毛も地毛である。日焼けに気をつけて白い肌を維持している。
 
彼らはこれを始めた頃は足のサイズが25cmだったものの体重を47-48kgまで落としたせいか足のサイズが24cmになり普通に売ってある女性用の靴が履けるようになった。
 
外見的には女にしか見えないので国内で飛行機移動になる場合は、女性として航空券を取っているらしい(彼らはステージでは敢えて男声を使っているが、実はちゃんと女声も出る)。
 
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彼らは足の毛、お腹の毛、脇毛、顔の毛は全部レーザー脱毛していると言っていた。あそこの毛も女性的な逆三角形に整えているらしい。
 
しかし喉仏は削ったりしていないし、バストも形成していないし、むろん睾丸を取ったりはしていない(はず)。
 
事務所の社長から
「睾丸取りたいなら手術代くらい出すよ」
と言われたらしいが
 
「結構です!」
と言ったとか。(脱毛は事務所の費用で実施している)
 
なお、ローズ+リリーに似てるけど男、というのがコンセプトなので、ペニスの切断は契約書で禁止されているらしい!むろん本人たちは
 
「ちんちん切るなんて絶対嫌だ」
と言っている。
 
彼らに男性能力が残っているのかについては「秘密」と言っていた。
 
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