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■夏の日の想い出・天下の回り物(5)
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(C)Eriko Kawaguchi 2018-08-05
当初アクアのGステージ登場は21日だけの予定で、その後20日が追加されたのだが、これに伴ってJステージの20日のスケジュールが改訂された。
11:30 石川ポルカ 12:20 桜木ワルツ 13:10 花咲ロンド 14:00 白鳥リズム 14:50 姫路スピカ 15:40 西宮ネオン 16:30 高崎ひろか 17:20 今井葉月 18:10 品川ありさ 19:00 川崎ゆりこ
10:00-11:00にアクアの演奏があるので、その後から始めることにしたのである。そうしないと§§プロのスタッフのやりくりができない!
ちなみにアクアのライブが終わった後、アクアのステージ衣装と同じものをつけた“おとり”が、アクア専用車である白いトヨタ・アクアに乗って会場を脱出するが、20日の公演ではこの役を石川ポルカが務める。それで車を追いかけていった人たちはJステージに辿り付き、石川ポルカはステージに登場すると、上につけているアクアの“男の子のような”衣裳を脱いで、下につけて女の子仕様の石川ポルカのステージ衣裳に早変わりするという趣向になっている。
なお21日のJステージは最初から11:30以降の演奏予定になっている。
11:30 矢上アキエ 12:00 平原優美 12:30 松元蘭 13:00 星原琥珀 14:00 アンミル 15:00 メグノン 16:00 松梨詩恩 17:00 田川元菜 18:00 ムーンサークル
21日の場合はアクアのおとり役は実は彼の同級生である松梨詩恩が務めて、アクアの衣裳を着たままステージに登場し、矢上アキエちゃんを紹介して演奏が始まる趣旨だ。詩恩は§§プロのタレントではないが、§§プロとしては、ほぼ身内のようなものである。実際よく信濃町の§§プロの事務所にも顔を出して勝手におやつや夜食を食べている(彼女の事務所は夜食が有料らしい)。
私と政子は19日に越後湯沢に入り、ホテルに入った。むろん私の分と2人でアクアのライブの抽選に申し込んだが、政子は20日の公演に当選したものの私は落選した。しかし政子をひとりで行かせるのはとっても怖い。誰か20日に当選した人がいないか訊いてみたら、小風が20日に当選していることが分かったので同伴をお願いすることにした。
「美空は21日で当たったのよ。冬も21日だったの?」
「ううん。私は落選」
「・・・」
「どうしたの?」
「今回アクアのライブに申し込んだ人は8万人近くあって、その中の7万人を当選にしたんだよ。確率は90%近いんだよ」
「私、ジャンケンにも弱いし」
「クジにも弱いのか!」
しかし結局アクアのディレクターである和泉の権限で私は楽屋からアクアのライブを聴くことができるようになった。それで20日の朝から政子や美空・小風と一緒に佐良さんの運転するバスで現地に入り、ステージ傍にある楽屋に入った(小風と政子は客席の方に行き、私と美空が楽屋に入る)。
この日のアクアはかなり男っぽい。アクアMだなと私は思った。トイレも男子トイレに入っているみたいだし!
実際この日の観客は
「アクアちゃん、凄く男っぽかった」
「やはり男の子になりつつあるのかなあ」
「もう声変わりも近いのかも」
「少し悲しいなあ」
などという感想をもらしたようであった。客席で見た政子など
「やばい。このままでは声変わりが来てしまう。一刻も早くあの子を拉致して去勢してしまわなければ」
などと言っていた。私はアクアに護衛を付けた方がよくないか?という気がした。
ところが21日のアクアのステージを見た観客の感想は真逆だった。
「アクアちゃん、凄く女の子らしくて良かった」
「可愛いかった」
「もっと女の子っぽい服を着ればいいのに」
「やはりアクアちゃんはこうでなければ」
本気でアクアって声変わりが来る前に性転換させちゃった方が人気を保てるのでは?と思いたくなる反応である。
この日のアクアは女子トイレを使用していたし、アクアFだったようである。同級生で、この日の“おとり役”を買って出た松梨詩恩とふたりで手を繋いで!?女子トイレに入ったりしていた。
龍虎の通うC学園は男子生徒は全校で6人しか居ないので、教室の近くには女子トイレしかなく、男子生徒は職員室そばのトイレを使うよう言われているものの、龍虎は同級生の女子たちと一緒に女子トイレを使っているらしい。
(龍虎Fは女子トイレしか使わないし、龍虎Nは女子トイレを使いたがるが、龍虎Mも女子トイレを使うこと自体は平気らしい)
この日の龍虎は本番前に楽屋で政子や小風などとも話していたが
「大丈夫ですよ。ボクまだ声変わりが来ることはないと思いますよ」
などと言って、政子たちを安心させていたようである。
いや、そうしておかないと、アクア自身の身が危ない!
ところで、21日はいつもアクアの代理を務めている今井葉月はお休みであった。これはこの苗場のステージが終わったらすぐに『八十日間世界一周』の撮影旅行に行くので、その前に身体を休めておいて欲しいということで、山村マネージャーが21-22日は葉月に休暇を与えてくれたためである。
どう考えても、撮影の時はボディダブルの方が本人より辛い。それにアクアは3人いても葉月は1人だけである!
なお、20日の今井葉月のステージだが、ほぼ女の子アイドルという感じの可愛いドレスで登場し、この日は小泉今日子のヒット曲を歌っていた。
『半分少女』『艶姿ナミダ娘』『渚のはいから人魚』『迷宮のアンドローラ』、『ヤマトナデシコ七変化』『常夏娘』『ウィンク・キラー』『魔女』、『東の島にブタがいた Vol.2』『怪盗ルビイ』
若い男性からの声援が物凄い。どうも本当に《葉月ファン》が形成されつつあるような感じだ。それも10-20代の男性が多い(小泉今日子の曲を歌うというので40-50代男女も結構見た)。最近葉月はもう今更「男の子です」とは言えなくなりつつある感じもする。
ちなみに今日は全曲ソプラノボイスでの歌唱(原曲より少しキーを上げてある)である。
彼は学校ではずっと女声で話していることもあり、男声の出し方忘れそうです、などと言っていた。彼(彼女?)は例年女性楽屋に拉致されてきていたのだが、今年は最初から女性楽屋に居て、スピカやひろかと普通におしゃべりしていた。
冒頭の『半分少女』を歌っていた時、政子は
「西湖ちゃん、今はまだ半分少女だけど、早く完全少女になれるといいね」
などと言っていた。
(曲のタイトルの意味は「まだ大人の女になりきれていない半分女・半分少女という意味で、半分少女・半分少年ではない!」)
「取り敢えず拉致しておちんちん切ってあげようかな」
「それ犯罪だからね」
私はアクアの男性器が《風前の灯火》なら、ひょっとして西湖の男性器は《扇風機の前の蝋燭》くらいかもという気がしてきた。
アクアの契約書には30歳になるまで性転換は禁止という条項が入っているらしいが、西湖の契約書にはそのような条項は無く、むしろ他の女性タレント同様に、26歳になるまで結婚・男性との交際?と妊娠!?が禁止されているらしい。
(コスモスも西湖のことはわりと適当に扱っている気がする)
「契約書には『いつも少女アイドルらしい行動を心がけ、日常生活においても女性にあるまじき言動、アイドルにふさわしくない言動や服装を控えること』
なんて項目もあるので、ボク、中学時代に学生服で通学していたのは、厳密にいうと契約違反だったみたいです」
などと西湖は言っていた。
「西湖ちゃん、中学時代はセーラー服で通学してたんでしょ?」
と政子が言う。
「セーラー服は持ってましたけど、通学は学生服ですよ」
「学校の先生注意しなかった?」
「しません!」
「じゃ学校で学生服で女子トイレに入ってたの?」
「男子トイレですよ〜」
「でも立ってできないでしょ?」
「もちろん個室です」
「だったら女子トイレ使えば良かったのに」
「逮捕されます!」
「男子トイレ使った方が逮捕されそうだけどなあ」
さて、今回ローズ+リリーの公演に参加してくれる人たちは下記である。
ローズ+リリー マリ ケイ
スターキッズ 近藤(G) 鷹野(B) 酒向(Dr) 七星(Sax) 月丘(Marimba)
青葉の友人 田中世梨奈(Fl) 久本照香(Fl) 上野美津穂(Cla) 日高久美子(Sax)キーボード 詩津紅
事務方 風花、妃美貴、鱒渕水帆
レコード会社担当 氷川
UTP担当 江口マル
これに“謎の男の娘”さんが龍笛とヴァイオリンを弾いてくれて、風花にもキーボードと篠笛で入ってもらう。妃美貴もいるし鱒渕さんもいるので風花が何曲かステージに出ていても、何とかなる。それから風帆伯母がどっちみちフェスには参戦しているのでそのついでに箏とギターを弾いてもらうことにした。
今回の龍笛であるが、青葉も千里(千里3)も日本代表の合宿中である。しかし千里2が例の覆面をして“謎の男の娘”名義で参加してくれるということだったので助かった。彼女はアメリカのリーグ戦が7月21日夕方(日本時間では22日早朝)に終わるらしいので、それから日本時間の日中寝て苗場22日18時のステージに出るのは問題無いらしい。
アメリカと日本の移動に半日かかるのでは?と思ったのだが、青葉が「2番さんの移動時間の問題は考えるだけ無駄です」と言っていたので、考えないことにした。なお苗場のステージが終わったら、フランスに移動するということだった。(アメリカに戻ってからフランス行きの飛行機に乗ると言っていたので、たぶん日本には密入出国!)
青葉は言っていた。
「信次さんのお葬式の時に、千里姉の親友の佐藤玲央美さんが来ていたでしょ?」
「うん。来てたね」
「だいたい千里の3番さんも、佐藤さんもあのお葬式の時はスペインで日本代表の合宿やってたんですよ」
「え〜〜〜!?」
「だから佐藤さんも、スペインに居る最中に日本にピンポイント・リターンする手段を持っているようです」
「うーん・・・」
私はふと思い出した。
「2年前に私が震災イベントの前日に奈良の山奥の町に閉じ込められて困っていた時、とりあえずスノーモービルで脱出して、その後、車で移動していた時、ふと気付いたらもう福島に着いていたんだけど、あれもその瞬間移動なのかな?」
青葉は言葉を選ぶように言った。
「私もどうなってんだ?と思って訊いてみたんですが、絶対口を割らないんですよね〜」
「ああ、しらばっくれるよね」
「でも多分あれはそういう超常的な力を使ったのではないと思います。あれはですね」
「うん」
「どうも小型の飛行機のようなもので移動したっぽいです」
「へー!!」
確かにあの時私たちはかなりの時間眠っていたので、飛行機に乗せられて移動したのなら、ありえる時間だ。
しかし道路から離着陸でもしたのか!?
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