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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(20)

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そんなことを言っていたら
 
「え〜!? 女湯に入るんですか?」
という男の子の声が聞こえるので、私は青葉と顔を見合わせた。
 
やがて入って来たのは、(男子用)水着を着た西湖と、叔母の上野陸奥子であった。上野さんは裸であるが、年齢を感じさせない引き締まった体つきで「すごーい」と私は思った。(天月西湖の母・柳原恋子は上野陸奥子の姉である)
 
「上野さん、ご無沙汰しておりました」
と私が挨拶すると
「やっほー。ケイちゃん、お久しぶり〜」
と上野さんは言っている。
 
「わっ、女の人ばかりと思ったら、アクアさんがいる!良かったぁ」
などと西湖は言っている。
 
ふたりとも流し場で身体を洗ってから湯船に入ってくる。
 
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「しかし凄い場所で打合せやるなあ」
と上野さんが言っている。
 
「実は先日、白鳥リズムの制作の件で、会長と私と霧島鮎子さんと桜島法子さんの4人で、山梨県の永田温泉に泊まり込んで話したのよ。まあ、知らない人もあるかも知れないけど、桜島法子さんとうちの会長は過去に色々あったんだけど、今回お互いプライドも何も全て取り払った裸で話し合って、完全にわだかまりは無くなったと思う。それで、リズムの制作を桜島さん主導でやることになったのよ」
とコスモスは説明した。
 
「そこまで許してあげたというのは、紅川さんも随分丸くなったなあ。若い頃は鬼のマネージャーと言われた人だからね」
と上野さんは言う。
 
「過去に色々あったって、愛人関係か何かだったんですか?」
などとアクアが訊く。
 
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「違う違う!」
と上野さんが笑って言う。
 
「昔、桜島法子はわがままな行動でファンの顰蹙も買って、事務所にも大損害を与えたんだよ。たぶん損害額は1億円くらい」
「きゃー!」
 
「だから、その後、うちのタレントさんは彼女とは接触禁止になっていたんだけど、数年前に、東郷誠一さんが仲介して、和解の席を設けて、それで接触禁止は解除されたけど、紅川さんとしては色々思う所もあったと思う」
と上野さん。
 
「そのあたりの感情面でかなり折り合うことができたようでしたよ。桜島さん、泣いて会長に謝って。会長もかなり辛辣なこと言ってましたが、全部言っちゃうとスッキリしたみたいです」
とコスモスは言う。
 
「ああ。口に出してしまうとスッキリするものってあるよね」
と千里は言っている。
 
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「しかし永田温泉とは、また凄い秘湯に行ったもんだね」
と和泉が言う。
 
「お客さんも少なかったし、夜の10時から朝の5時まで貸し切りにしてもらってゆっくりと湯船の中で話したよ」
 
「ちょっと待って。湯船の中なの〜?」
「うん。裸のお付き合い」
「コスモスと霧島さん・桜島さんはいいけど、紅川さんも〜?」
「女性陣が湯船から出入りする時は、目をつぶっているというルールで」
「うーん・・・・」
 
「目の前に裸の女性がいるくらいで立ったりはしないから、と言っていたけど、実はもう男性を引退しているのではと、という声もあった」
 
「さすがにまだ引退する年齢とは思えないけど」
 
「万一立ったら即去勢というルールで」
などとコスモスが言うと、西湖が困ったような顔をしている。たぶんやばい状態かなと想像する。
 
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9人の中で、西湖だけが水着を着けている。あとは全員裸である。西湖はさっきから視線をどこにやるかも、かなり悩んでいる感じだ。アクアは堂々と他の女子に視線をやっている。たぶん女性の裸を見ても何も感じないのだろう。
 

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「あれ? アクアさん、おっぱいがある」
と西湖がアクアの胸を見て、今そのことに気付いたようである。
 
「これはフェイクだよ。ほら、ここに境目があるでしょ?」
と言ってアクアはブレストフォームの末端を西湖に指し示す。
 
「あ、本当だ!作り物か!びっくりした」
 
「ドラマの撮影で使ったのをそのまま付けてきたんだよ。この場面はレギュラー陣では、ぼくと木田いなほちゃん、黒山明さんの3人だけで撮ったからね。西湖ちゃんや他の生徒役の子には次の撮影から、関わってくるんだよ」
とアクアは言った。
 
「あれ?アクアさん、おちんちんが無い。やはり性転換したんですか?」
「それもフェイク〜。西湖ちゃんなら触ってもいいよ」
「え〜〜!?」
と言って、西湖はアクアのお股の所に触っている。
 
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「これ接着剤でくっつけてあるんですか?」
「うん。それで隠しているんだけど、あまりたくさんは触らないで。さすがに感じちゃう」
「ごめんなさい!」
 
「まあ龍虎はその格好で実は時々プライベートにも女湯に入っているのではという疑惑があるのだが」
と千里が言っている。
 
「そんなことしませんよ!」
とアクアは否定するが、みんなクスクスと笑っている。どうも誰にも信用されていないようである。
 

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「まあそういう訳で、明日の放送から、『時のどこかで』は芳山和夫の性別疑惑がひとつの要素になって展開していく訳で、その放送の前に集まっておきたかったんですよ」
とコスモスは言う。
 
「それでさ、アクア」
とコスモスはアクアに声を掛けた。
 
「はい」
 
「この場だけで、みんな忘れるから、正直に言いなさい。君は女の子になりたいのか、男の子になりたいのか」
 
「ぼくは男の子です」
とアクアは即答した。
 
「その前提が違っていると、全てが変わってくるからね。アクアが実は女の子になりたいというのであれば、プロデュースする側もそれを想定した制作をしていく。でも男の子として成長して行きたいというのであれば、そういう売り方をする。だから、実は女の子になりたいというのであれば、今この場で、正直に言って欲しい。怒ったりしないし、違約金払えとかも言わないから」
 
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「女の子にはなりたくないです。女の子の服を着るのは好きだけど、ぼくにとってはファッションの一部なんです」
 
「でも男の子の友人と付き合うのは苦手みたいね」
 
「話題が合わないもので。自分の精神構造がけっこう女の子っぽいことは認めますし、ドラマとも重なるけど、何かの間違いで性転換しちゃったら女の子としても生きていける気はします。でも女の子になりたい訳ではないんです」
 
「まあそのあたりは、私も龍虎とは9年間の付き合いだから、分かってはいるつもりだけど、やはりそういう気持ちを今一度本人の口から聞いておきたかったというところかな、今日の会合の主目的は」
と千里が言う。
 
「うん。それそれ」
とコスモスは言う。
 
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「実際問題として、アクアは今日多数の女性と一緒に女湯に入っても全く普段と変わらない。普通の男の子が女湯に連れ込まれたら、今の葉月ちゃんの様子見れば分かるように、落ち着かなくてドキドキしていたりするもの。でもアクアはそういう焦ったような様子がない。つまり女湯に慣れているんだな」
とコスモス。
 
「ごめんなさい。時々女湯には入っています」
とアクアは答える。
 
「正直でよろしい。でもなぜ女湯に入るの?自分は女の子だと思っているから?」
「男湯に入ろうとしても、つまみ出されるんです」
とアクアが言うと、みんな吹き出した。
 
「それで女湯に入っちゃうんだ?」
「男湯には入れさせてもらえないけど、お風呂は入りたいから」
 
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「うーん。。。それなら、まあ犯罪性は無さそうだ」
と和泉は言う。
 
「アクアは女性の裸を見ても興奮しないはず」
と千里が言う。
 
「興奮って?」
とアクアが尋ねるので、みんな顔を見合わせ、うなずきあっていた。
 
 

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「でも、アクアちゃん、声変わりしないね」
と上野さんが言う。
 
「ぼく、小さい頃の病気のせいで元々発達が遅いんです。でも声変わりについては、色々操作してまだしばらく来ないように抑制しているんですよ」
 
「ああ、女性ホルモンとか飲んでいるのか」
 
「詳しい手法は公開できませんけど、女性ホルモンも使っていることは使っています。でも身体が女性化しないように、男性機能が消えないようにしています」
 
「なるほど。だいたい分かった」
と上野さん。
 
「本当は男性機能は消失しても構わないんですけどね。ぼく結婚するつもりもないし、・・・その、何というかああいうこともしないから」
 
「オナニーね?」
とコスモスが言う。
 
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「はい。記者会見では週に1回とか言いましたけど、実はほとんどしたことないんです。ここだけの話」
 
「それ立つの?」
「え?ぼく立ってしたこと無いです。いつも座ってしてます」
 
私たちは顔を見合わせた。話が通じてないが、まあいいことにする。
 
「じゃ、セックスの経験も無い?」
「無いですよー」
 
「へー!」
と言って、私と千里とコスモスはお互いに顔を見合わせた。
 
「アクアって恋愛対象は男性?女性?」
と和泉が訊いた。
 
「ごめんなさい。ぼく、実は個人的には恋愛ってのがよく分からないんです。『ときめき病院物語』では、男の子に好かれる女の子役、女の子を好きな男の子役としてますけど、台本そのまま話しているだけで、恋というものが想像つかないんですよ」
 
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「それは無理して分かろうとしなくてもいいと思うよ」
とコスモスが言う。
 
「そういってもらえると気楽です。ぼく、男の子にも女の子にも興味が無いんですよ」
とアクアは言った。
 
「アクアはバレンタインはお父さんと上島さんにしかあげてないね」
と千里。
「他に渡す人いないし」
とアクア。
 
「ホワイトデーは誰かに贈るの?」
と和泉は何気なく訊いた。
 
するとアクアは答えた。
 
「え?だってホワイトデーって、男の子が女の子に贈るものなのでは?」
 
この発言に千里は口に手を当てて笑うのをギリギリ我慢した。コスモスは頷くようにして優しくアクアを見ていたが、上野さんは『はぁ!?』という感じの顔をしていた。和泉は『なるほどー』という感じの顔をして頷いていた。
 
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「ところで声変わりだけど、4月からアクアも高校生だよね。どうする?」
とコスモスが言うと
 
「この声を公開しますか?」
とアクアが《男声》で言った。
 
「アクアさん、実は声変わりしたんですか!?」
と西湖が驚いて言っている。
 
「してない。でも男の子の声の出し方、だいぶ練習した」
とアクアは普段の声に戻して言った。
 
「なるほどー!」
 
「まだ長時間のキープはきついんだよ。それと、あまり速くはしゃべれない」
とアクア。
 
「まあケイが小学5−6年生頃に男声を練習していたのと同じような感じだね」
などと千里が言っている。
 
「その言葉そのまま千里に返す」
 
「ケイの“声変わり”はフェイクっぽいけど、私は高校3年の3学期になって本当に声変わりが来たんだよね。あの時はこれどうしよう?と焦ったよ。実際女の子の声を取り戻すのに半年近く掛かった。でも私みたいに、18歳くらいで声変わりする子だっているから、まだアクアは今の《声変わり前の声》のままでもいいとは思うけどね」
などと千里は言っている。
 
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「千里は小学生の頃から大量に女性ホルモンのシャワーを浴びてるからなあ。そもそも本当に声変わりが来たのか、疑問を感じるけど」
と私が言っていたら
 
「そこ、内輪もめしない」
と和泉から言われる。
 

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「今、ドラマの声はアフレコでボイスチェンジャーで男の子っぽい声に変換して入れているので、最初から男の子の声で話せると、ドラマの撮影が結構楽になるんですよね」
などとアクアは言っている。
 
「『時のどこかで』は、中性的だけどやや男の子っぽい声を使っているね」
と私。
 
「例によって、最初にボイスチェンジャー使っていることを公開していますから、前回みたいに騒ぎにはなりませんでしたけど」
とアクア。
 
「橋元さんと話してみないといけないけど『ときめき病院物語III』では佐斗志の声はそのアクアが開発した男の子っぽい声で、友利恵はアクアの地声で話してもいいかもね」
とコスモスは言う。
 
「男声・女声の両方を使えるというのを見せておくと、結果的にアクアがいつ声変わりしたのかという問題は曖昧にできる気がする」
と和泉が言う。
 
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「じゃそれはその線で橋元さんと話してみる。アクアはその男の子っぽい声をもう少し練習しよう」
「はい、分かりました」
 

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その後、私たちは女湯の湯船の中で、結局2時間近くかけて、朝の4時頃まで、今後のアクアの活動方針について話し合っていった。のぼせそうになると、適宜あがって涼んでいたが、女性陣が出入りする度に西湖は顔を伏せていた。
 
「西湖、あんただけ水泳パンツというのは、かったるいでしょ?それ脱いだら?」
などと上野さんはいうが
「勘弁してください。まだ去勢されたくないので」
と西湖は言っていた。
 
「去勢?あんた去勢したいの?」
「去勢はいやです」
 

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それで本題であるが、やはりアクア本人が俳優志向なので、音楽制作は負荷があまり掛からないようにシングルのみとし、アルバム制作は当面行わないことなども決めた。映画については、制作するにしても、昨年のような高密度・高負荷のスケジュールは受け入れられないことを明確にして行く。
 
そして最後にコスモスは言った。
 
「でもアクアに女の子になる気が全く無いのであれば、安心してたくさん女装させられるな」
 
「え〜〜〜!?」
とアクアは言ったが、全然嫌そうではなく、むしろワクワクした顔をしていた。
 
 
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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(20)

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