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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(16)

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休憩時間が10分過ぎたところで、ステージにムーンサークルと、トラベリングベルズの海香さんと黒木さんがあがる。この2人の伴奏でムーンサークルが彼女たちの最新の持ち歌を歌う。何のアナウンスも無しに歌い始めたのだが、客席に戻っている人はそこで、トイレや食べ物屋さんの列に並んでいる人はそこで、手拍子を打ちながら聴いてくれた。
 
彼女たちの演奏が終わった所で、振袖姿の和泉が登場し、これより後半のステージを始めるというアナウンスをする。
 
後半はリズミックタイムである。黒木さんはそのまま残り、スターキッズと一緒に『Twin Islands』を演奏する。この曲はベースが2人必要なので、第1ベース(メロディベース)を黒木さんが、第2ベース(リズムベース)をスターキッズの鷹野さんが演奏した。
 
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その後、さきほど歌ったムーンサークルが巫女さんの衣装を着て出てきて、『巫女巫女ファイト』を演奏する。この曲は今度はギター2本とベース1本なので、黒木さんは下がり、スターキッズ準メンバーの宮本さんが出てきてセカンドギターを弾いた。
 
その後『かぐや姫と手鞠』『やまとなでしこ恋する乙女』と演奏する。
 
『かぐや姫と手鞠』では手鞠風にペイントしたバスケットボールを撞きながら振袖(ワンタッチタイプ)を着て出てきたのは千里である!(本当はムーンサークルが出てくる予定だった)
 
この曲は今日の計画書では、千里が龍笛を吹くことになっていたのだが、龍笛を持って出てきて吹いているのは、篠笛の予定だった青葉で、篠笛を吹いているのはレッドブロッサムの咲子である。
 
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恐らくその場で風花とも話し合ってパートを交替したのだろう。千里はその手鞠風バスケットボールを使って華麗なドリブル技を披露するので、このパフォーマンスに結構会場が沸いたようである。
 
なおステージの様子は、電源が復活したので、会場の途中数ヶ所に設置したモニターのプロジェクタにも表示されており、後ろの人にも見えている。
 

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この後ステージは電気楽器を使って、『やまとなでしこ恋する乙女』『青い炎』 『東へ西へ』『門出』『コーンフレークの花』と続いていく。
 
『コーンフレークの花』を歌い終えたのが23:54:28秒くらいだった。そこから会場の3ヶ所に立てられた大きな電光文字式の時計を見ながら、私はMCをする。そして年内最後の曲『雪を割る鈴』を演奏し始める。
 
バラライカ、バヤン(アコーディオンに似た楽器)といった特殊な楽器が入っているが、こういう楽器を知らない人には単に三角形のギターとアコーディオンに見えるかも知れない。
 
この曲は前半は静かにスローテンポで演奏する。ムーンサークルもゆったりした動きの踊りを踊っている。
 
23:59:00。
 
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演奏をいったん停める。私はMCをする。
 
「いよいよ、2016年も残り1分を切りました。熊本での大地震など色々なことがあった年ですが、来年は良い年になるといいですね」
 
私は時計の秒数を見ながら話している。その間にスタッフの手で大きな鈴を下げたバスケットのゴールが上手から運び込まれてくる。そして下手からは振袖を着た小風と美空が登場する。小風が大きな剣を持っている。
 
「それではいよいよカウントダウンです!」
と私は言う。
 
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」
とマリと一緒にカウントダウンする。
 
時計が0:00:00を示した瞬間
 
「Happy New Year!!!」
と一緒に叫ぶ。
 
小風が大きな剣を振って鈴を割る。
 
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多数のキラキラするもの(氷の粒)が飛び出す。
 
同時にステージ脇からバスケットボールが飛んできて、ゴールにきれいに飛び込む。
 
そして近くの浜で花火が打ち上げられる。
 
新年になったばかりの空に大輪の菊・牡丹が広がり「わぁ」という感じの声が客席から多数あがる。
 
ズタズタズタズタという威勢の良いドラムスの音が響く。『雪を割る鈴』の後半、アップテンポの激しい曲になる。ムーンサークルも激しいダンスをしている。鈴を割りに出てきた小風と美空、バスケットにロングシュートを決めた千里も一緒に踊っている。
 

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やがて歌が終わる。
 
「改めて明けましておめでとうございます。本当に今年は良い年にしたいですね。それではライブは最後の曲になります」
 
「え〜〜!?」
という声が返ってくる。
 
小風と美空が私とマリに1本ずつ、お玉を渡す。自分たちの分も袂から取り出す。千里、ムーンサークルもお玉を持っている。
 
「では最後の曲『ピンザンティン』!」
 
客席でも多数の人がお玉を振っている。
 
私たちは歌う。
「サラダを〜作ろう、ピンザンティン、素敵なサラダを」
「サラダを〜食べよう、ピンザンティン、美味しいサラダを」
 
大きな盛り上がりの中、歌は終わった。
 

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演奏終了とともに、私たちは全員ステージ脇に降りる。
 
会場では物凄い熱気でアンコールを求める拍手が起きる。私はペットボトルのお茶を一気飲みする。政子はオレンジジュースを飲んでいる。時計は0:08を示している。
 
「よし、行こう」
と政子に声を掛け、一緒にステージに登る。スターキッズおよび多数の出演者がそれに続く。
 
アンコールを求める拍手が普通の拍手に変わる。私たちが観客席に向かって手を振ると、ひときわ拍手と歓声は高まり、やがて静かになる。
 
「アンコールありがとうございます。この会場は地元の方たちとの約束で0:20までに完全に音を落とさなければならないので、この後2曲演奏させて頂き、それで本当に終了にしたいと思います。『影たちの夜』『あの夏の日』、続けて聴いてください」
 
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私たちはまずスターキッズの演奏で『影たちの夜』を歌った。この曲は伴奏しているのはスターキッズのみで、他のあがってきた人たちはバックで踊ってくれるのである!
 
この曲は2010年3月に鬼怒川温泉で体験した不思議な夜のことを歌ったものである。あれはどうしても合理的な説明のできない本当に不思議な体験だったのだが・・・・その後、青葉や千里と出会ってから、何だか私はしょっちゅう不思議な体験をしている気がする!
 
その青葉や千里もバックで踊ってくれている。
 
会場でも多数の観客が立ち上がって踊っている。
 
興奮の中、曲が終了する。
 

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スターキッズと踊ってくれた人たちがステージを降りる。
 
私とマリだけが残る。
 
スタッフさんが、キーボードを押して前の方に持ってきてくれる。私がその前に座り、マリはその左側に立つ。リセットスイッチを押してピアノの音にする。タッチコントロールが効いていることを確認する。マリの顔を見て頷き合う。
 
ミードドミ、ミードドミ、ファソファミ・レ・ミ、というブラームスのワルツから借りた前奏に続き、私とマリは静かに歌い出す。
 
『あの夏の日』。2007年8月4日に伊豆のキャンプ場でふたりで作った曲である。あの日から私たちのコンビは始まったのである。
 
そういえばあのキャンプの時は政子に私の胸を触られてしまったから、絶対おっぱい大きくしていることがバレたと思ったのに、バレなかったよなあなどと変なことまで考える。
 
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もっともローズ+リリーとしての公式な活動はその1年後2008年8月3日、宇都宮のデパート屋上が最初であった。いや、その前6月29日にストリートライブをしたのもある!
 

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やがて私たちの歌が終わる。私は立ち上がり、マリと手をつないで前に出ようとしたのだが・・・・
 
マリはここで私にキスをした。
 
「きゃー!」という声を聞いた気がする。
 
しかしここでマリが私にキスするのは、割とよくあることなので、気にせず一緒に前面に出る。
 
そしてふたりで一緒にお辞儀をした。
 
ここで和泉がステージ脇に出てきて
「以上でローズ+リリー、2016-2017カウントダウン・ライブの全ての演奏を終了します」
というアナウンスを入れた。
 
続いて氷川さんが観客に退場についての案内をする。
 
「旅館・簡易宿泊所とのセット券をお持ちの方で、先頭ブロック以外の方はその場を動かないで下さい。そのブロックの所にバスが行きます。電車または高速ICそばの臨時駐車場にお越しの方はCゲートの所にお集まり下さい。駅や臨時駐車場へのシャトルバスを運行します。電車の駅まで歩いていきたい方は仙台行き臨時便が0:40の発車ですので遅れないようにしてください。また途中に民家がありますので、大きな声を出さずに静かに歩行してください。駅のトイレは既に施錠されています。トイレは会場内で済ませてからお越しください」
 
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「なお、ゴミは各自お持ち帰り下さい。座布団や手袋を捨てる場合もいったん自宅などに持ち帰ってから捨てて下さい。その場に放置しないでください。『立つ鳥跡を濁さず』の精神でよろしくお願いします」
 

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演奏者・スタッフは、まだ現地に残る人を除いて2台のバスに分乗し、1時間ほど走って遠刈田温泉の旅館に移動した。この旅館は出演者とスタッフだけで利用することになっており、一般の観客は泊めていない。
 
夜中の1時半に旅館に到着。取り敢えず大広間に入って、松前会長の音頭で乾杯をした後、そのまま解散!となる。
 
大半の人が「寝ます」と言って、お弁当・お茶(またはお酒)をもらって各々指定された部屋に入った。部屋はだいたい4〜5人くらいで1部屋使えるようにしている。性別に関しては「自己申告」で、男性・女性・MTF・FTMで分けさせてもらったが、その分類は氷川さんだけが知っている。
 
大広間に残ったのは、私と政子、近藤・七星・鷹野、海香・黒木、和泉・小風・美空、風花、窓香、青葉、千里、ゆま、詩津紅、氷川、綾野、といった面々である。
 
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「あの落雷って、千里が龍笛吹く時にいつも落ちている落雷とは性質の違うものだったよね?」
 
「うん。あれは完全に自然現象だったよ。不意打ちだったから、私も対処できなかった」
と千里は言う。
 
「不意打ちでなければ雷をどうにかできる訳?」
と詩津紅が訊く。
 
「青葉なら多分何とかする」
と千里。
「それは無茶だよぉ!」
と青葉。
 

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「今年の復興支援ライブはどうすんの?」
と小風が訊く。
 
「今年はどうも★★レコードさんの支援が得られないみたいなんだよね」
と私は言う。
 
「すみません。村上社長が、そんな利益が出ないどころか費用だけ発生するものに社員を使えないとおっしゃるもので」
と氷川さんが謝る。
 
「だから08年組だけでやらない? 出演者も私たちだけ。スターキッズもトラベリングベルズもお休みで」
と私は和泉に言う。
 
しかし和泉が答える前に近藤さんが言う。
 
「俺たちは手弁当でいいよ」
 
「俺たちも自腹でやるよ」
と黒木さんが言う。
 
「まあローズ+リリー、スターキッズ、KARION、トラベリングベルズ、XANFUS, Purple Cats。それだけでやるなら何とかなるんじゃない?伴奏者のお弁当と交通費は私とケイ・マリの3人で負担」
と和泉が言う。
 
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「いつやるの?」
「3月11日土曜日でいいと思う。場所は去年が福島だったから今年は宮城県か岩手県のどこかで。空いている会場を探して押さえるよ」
 
千里は手帳を見ていたが言った。
「その日、私はWリーグの決勝戦やってるかも知れないけど、ゴールデン・シックスは空いているから、参加させようか。ゴールデンシックスの分の費用は全部私が出す」
 
「ゴールデンシックスなら同世代だから一緒にやってもいいかな」
と私は和泉と視線を交換しながら言った。
 
「参加ユニットが4つなら会場代とかイベンターへの委託費とかも4者で分担できるでしょ?」
と千里は言う。
 
「たぶんXANFUSは会場代とかまで負担できないと思う」
と私。
 
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「だったら、冬、マリちゃん、私と和泉さんの4人で負担するというのは?」
と千里。
「負担できるのはその4人だろうね」
と和泉も言った。
 
「でしたら会場の手配とかだけ私がやります。その分はボランティアで」
と氷川さんが言う。
 
「じゃよろしくお願いします。キャパは1万人くらいが理想ですけど、東北は大きな会場が少ないので5000とかでもやむを得ないです」
 
「了解」
 
「話が決まったみたいだから取り敢えずゴールデンシックスのスケジュールを押さえる」
と言って千里は花野子に連絡していた。
 

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「紙の手帳と電話連絡というのが千里らしい」
とゆまが言う。
 
「電子的に記録したものは一瞬で消えるからね」
と千里。
 
「それでどんどん情報が蒸発しているのがマリちゃんだな」
と私。
 
「だからマリちゃんの携帯のアドレス帳はいつも10人程度しか載っていない」
「なんで?」
「携帯が壊れて消えちゃうから」
「うむむ・・・」
 
政子は自分の携帯を出して見ていたが
「今8人載ってる」
と言っている。
 
「ケイ、風花、氷川さん、美空、うちの母ちゃんと父ちゃん、アクア」
と政子は言った。
 
8人と言っておいて、この時政子が挙げた名前は7人だったのだが、その問題には誰も気付かなかったようである(私や青葉など数人を除いては)。
 
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私は自分のスマホのダイアリーに予定を入れていて気付いた。
 
この3月11日って、若葉の『ムーラン』の開店予定日だ、と。
 
 
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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(16)

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