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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(6)

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「でもケイって、いつもスカートだけど、小さい頃からそうだった?」
「うん。私は物心付いた頃から、スカート穿きたがっていたみたい」
「実際、小さい頃のケイの写真って、みんなスカートとか女物の浴衣とかだもんなあ。でも一般的な男の娘の場合、女の子の服の確保に苦労してない?」
 
「そういう子が多いみたいだよ。だから最初はお姉さんの服とか、お母さんの服を勝手に着たりしている」
「お姉さんがいるってのが理想だよね」
「そうそう。妹の服ではサイズ的に入らない。それでお姉さんの服を捨てようとゴミ袋に入れられているのをこっさりキープしてたと言う子も多い」
 
「でも知り合いの男の娘にはそういうのに当てはまらない子が多いよね」
「そんな気はするね。ねえ、この話題やめようよ。レコード会社の担当者がやめてってサイン送ってるよ」
 
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「うん。やめるけど、某匿名C子の場合は、親戚の人が妹さんにって送ってきていた古着が、実際には妹にはまだ大きすぎたのをちゃっかりもらっていたらしいね」
 
「ああ。言ってたね。それでこないだのオリンピックだけど・・・」
「某男の娘疑惑のある大人気の中学生タレント匿名Aの場合は、知り合いのお姉さんが大量に女の子の服を送りつけてきていたんで、ついふらふらと女の子の服を着ていたと。更に最近はファンの人達がまた大量に女の子の服をプレゼントしてくるから、それを着ているらしいね」
 
会場で忍び笑いが起きている。全然匿名になってない!
 
「その子については男の娘疑惑とか、根も葉もない噂を立てられると困るんだけど。それより、関東近辺のおやつといえばさ・・・」
 
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「でも男の娘って、最初はお姉さんの服を勝手に着てたりしてても、やがて自分で女の子の服を買うようになるよね。充分自由になる女の子の服があれば、最初から女装して買いに行けるけど、まだあまり持ってない子の場合は、最初はやはり男装のまま買いに行くのかなあ」
 
「女の子の服を持っていても、それを来て外出するのが第1の関門」
「なるほどー」
 
「だからたくさん女の子の服を持っていても、最初の内は服を買いに行く時は男装のままだと思うよ」
「そういうものか」
 
「家の外に出ること自体に勇気が要るし、人前に出るのに勇気が要るし、更に知っている人に会うのには物凄く勇気が要る」
「ああ、何となく分かる」
 
「実際に服を買う時も、何度も婦人服売場に近づこうとしては近づけず、うろうろしてしまって。最初の挑戦では結局買えずに帰って来た、なんて人も多い。何も悪いことしている訳でもないのに、自分の心の中の心理的抵抗の壁に打ち勝つのが大変なんだよね」
 
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「そういう自分の心の中の壁を突破するのって難しいよね」
「うん。それは女装だけじゃなくて、何事でも大変なんだよ」
 
「ステージに立ったときのあがりなんかも似てるよね」
「うん。あれも心理的な壁との戦い。私もマリも頻繁に人前で演奏しているから平気だけど、慣れてない人は、足が震えてしまって、まともな演奏ができなくなっちゃう人もいる」
 
「ああいうの、どうやったら克服できるんだろう」
「場数を踏む以外の解決策は無いと思う。1回でもうまくあがらずに演奏できたら、それが自信になって、また次もうまく行く。良いスパイラルを作ることなんだよね」
「その最初の1回がうまく行かない人は?」
「何百回、何千回と練習する。するとこれだけ練習したんだから、うまく行かない訳が無い、という自信が生まれる。あがりの原因の大半は、自分の演奏力に自信が無いことから来るんだよ」
 
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「なんか男の娘の話からけっこう深い話に来た」
「レコード会社の人がホッとしてるけど、次回から男の娘ネタはやめてね」
と私が言うと
「はーい」
とマリは気のない返事をした。
 

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「では次の曲行きます。木ノ下大吉先生から頂いた『青い炎』。木ノ下先生と東城先生って兄弟弟子なんですよね。おふたりとも現在は音楽業界から離れてはおられますが、その内復活もあるんじゃないかと思うんですけどね」
 
などと言っている内に伴奏者が入ってくる。
 
この曲ではピアノを桃川さんと沢田さんで連弾し、キーボードは月丘さん、ヴァイオリンは真知子、フルートを七星さんが吹き、青葉が龍笛、明奈に明笛を吹いてもらった。本当は龍笛と明笛は持ち替えでも行けるのだが、青葉は明笛は経験が無いと言い、明奈は龍笛は自信が無いというので、2人で分けることにした。
 
この曲はリハーサルでは桃川母娘にも連弾してもらったが、それも良い感じで、後でツアーのDVDにはその映像も収録しようと則竹さんが言っていた(音源制作の時は木ノ下大吉先生と明智ヒバリが連弾している)。
 
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『東へ西へ』を演奏する。
 
背景のホリゾント幕には、アルバムのDVDに収録したのとは別編集の忍路漁港の映像が映る。ローズ+リリーのサインが描かれた旗が大漁旗とともに船に掲げられ、漁協のお母さんたちが手を振る中で、私とマリが歌っている映像である。
 
この曲では近藤さんと宮本さんがアコギでツインギターを弾き、野村さんと真知子のツイン・ヴァイオリンが哀愁を帯びた旋律を弾き、更に七美花と干鶴子がツイン・トロンボーンを吹く。香月さんがトランペットを入れる。青葉に弾いてもらうキーボードでは海の音や鳥の鳴き声を出す(月丘さんのキーボードは普通の伴奏をしている)。
 
サウンド的には1970年代歌謡曲の雰囲気である。
 
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ある意味、ローズ+リリーの音楽には無かった世界なので、戸惑うような聴衆もいる感じであった。
 

MC無しで次の曲『門出』に行く。七美花は笙に持ち替え、青葉は龍笛を吹く。干鶴子は青葉と入れ替わりにキーボードの所に行き、様々な効果音を入れる。
 
昨年『振袖』とセットで出した曲であるが、海外ではこのCDを『The City』とセットにして販売し、実際問題として『The City』の中の曲より、この2曲のほうが評価が高かったようである。個別ダウンロード数はこの2曲が拮抗しており、内心、千里に結構な嫉妬心を持ってしまった曲だ。
 
この曲は私の(安定して出る)声域をいちばん下からいちばん上まで使い切っているが、その声域の問題以上に音程取りが難しい曲である。しばしば楽器が音を出し始める前に歌い出さなければならない所があり、しかもそれがそこまで演奏した和音と無関係の音だったりするので、どうしても勘違いしやすい。
 
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和泉は私より広い声域を持っている上に絶対音感を持っているので歌えるはずなのに、かなり練習した末「だめだぁ」と言っていた。和泉が言うには
 
「音感が邪魔して歌えない」
と言うのである。常識的には次の音はこれ!と思うと違っているというのである。
 
松原珠妃も(移調すれば)歌えるはずなのだが「移調してもどうしても途中の音を間違う」と言っていた。七美花もダメだった。彼女も「この曲、音感のいい人には歌えないかも」と言っていた。七美花がギブアップしたのに、実は姉の篠崎マイは歌えた。七美花は絶対音感持ちだが、篠崎マイは相対音感型なので、ひょっとしたら歌えるのかも知れない。
 
青葉は歌えたが、それでもこの歌は辛いと言っていた(元々この曲は青葉が歌う所を想像しながら千里が書いた曲らしい)。ゴールデンシックスの花野子、やスリファーズの春奈、リダンリダンの鹿島信子などはファルセットまで使えば声域的には歌えるはずなのに、ギブアップと言っていた。みんな途中の音が取れないと言う。
 
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ちなみにこの曲の(公開している)カラオケ版では、歌いやすいように、必ず楽器が先に音を出すようにしてある。そのカラオケ版を使えば、和泉や珠妃も歌えるものの、けっこう「びっくりする」と言っていた。
 

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更にMC抜きで『コーンフレークの花』を歌う。
 
青葉・七美花・干鶴子が退場する。
 
ムーンサークルの2人が振袖を着て出てきて踊るので、会場から「おぉ」という声があがるが、彼女たちは途中でその振袖を脱いだりはせずに、最後まで振袖のままで歌った。
 
曲が終わったところで
「未成年の子にストリップはさせられないからね」
と私がいうと会場は爆笑に包まれる。
 
(ムーンサークルは本当は20歳を越えているが、ストリップさせるのは彼女たちのイメージ戦略に反する)
 
「それでは最後の曲になりました」
と私が言うと
「え〜!?」
という声が返ってくる。
 
ムーンサークルのセレナとリリスが、振袖の袂に入れていた、お玉を私とマリに渡す。
 
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「それでは最後の曲です。お玉持っている人は振ってね」
と言って私たちは『ピンザンティン』を歌い始める。
 
客席でも多数のお玉が振られている。ステージ上でも、ムーンサークルの2人が、お玉を振っている。ホリゾント幕の映像では、私とマリにムーンサークルの2人の4人でサラダを作ってドレッシングを掛け、食べている映像が映っている。
 
この楽しい食の讃歌で、幕が降りた。
 

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白猫騒動で5分使い、予定外の曲を演奏したものの、実はその後、MCを予定より短めにして時間調整してきたので、結局後半は『コーンフレークの花』の前に歌う予定だった『影たちの夜』をカットしただけである。いわば『影たちの夜』を外して『白猫のマンボ』を入れたようなものである。
 
お客さんがアンコールの拍手をしている。アンコールは『雪の恋人たち』と『あの夏の日』をやる予定だったのだが・・・・
 
「ねえ、やはり『影たちの夜』をしないのは寂しいよ」
と政子が言い出す。
 
私は七星さんを見る。
 
「そうだね。じゃ今日は『雪の恋人たち』はパスして、アンコールで『影たちの夜』をやろうか」
と七星さん。
 
「よし。じゃ、みなさんそれでお願いします」
 
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「『影たちの夜』なら、私たちも踊ろうか?」
と明奈が鹿鳴と言い合っている。
 
そういう訳で、私たちは政子が牛丼1杯食べ終わるのを待ってから!ステージに出て行く。アンコールの拍手が普通の拍手に変わってやがて静まる。私たちの後ろの方に、ムーンサークルの2人のほか、明奈・七美花・美耶・鹿鳴・恵麻・青葉・ヒロミ・田中さん・久本さん・沢田さん・林田さん、更に真知子や鹿島信子まで出てきてずらっと並んだ。
 
スターキッズが『影たちの夜』を演奏し、私とマリは楽しくこの曲を歌った。
 
この曲の振り付けを覚えているのはムーンサークルの2人の他は、明奈・鹿鳴・青葉など全体の3分の1くらいなのだが、他の子たちも見よう見まねで踊っている。会場でも踊っている観客が多数いる。
 
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興奮の中演奏が終わる。
 
大きな拍手の中、私たちは挨拶した。
 
「アンコールありがとうございます。本当にアンコールして頂くと嬉しいです。今日は時間が押しているので、このままもう1曲歌わせて頂いて、それで完全終了にしたいと思います。帰りはお気を付けてお帰り下さい。それでは本当に最後の曲『あの夏の日』」
 
伴奏者は全員退場して、私とマリだけが残っている。スタッフさんがグランドピアノを中央前方に押してきてくれている。
 
私がグランドピアノの椅子に座り、マリはいつものように私の左側に立つ。ブラームスのワルツから借りた前奏を入れて、私たちはピアノの音に合わせて歌って行った。
 
この曲を歌う度に様々なことが思い起こされる。
 
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本当にこの10年間、色々なことがあった。
 
あれ?もしかして来年はローズ+リリー結成10周年?
 
そんなことも考えながら、私とマリはこの曲を歌っていった。
 
やがて終曲。
 
私は椅子から立ち上がり、満場の拍手の中、マリと手をつないで一緒に深くお辞儀をした。
 
幕が降りて、鹿島信子!による「これにてローズ+リリーの公演を終了します」という締めのアナウンスが入った。
 

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公演終了後、かなりの数の女の子が楽屋の前まで来て、あの白猫をどうするのか尋ねて来た。
 
「もし引き取り手がいなかったら私が飼うから、保健所には渡さないで」
と言っている子が10人以上いた。
 
「保健所には渡しませんから、ご安心ください。スタッフの中の女性がいったん保護することにしました。それで会場周辺に猫の写真のポスターとか掲示して飼い主を探しますが、それで見つからない場合は、みなさんの中で飼える環境のある方にお渡ししたいと思います」
 
と★★レコードの森元課長が言明した。
 
それで飼いたいと言っている女の子たちに、各々の住宅環境を尋ねた結果、最初に飼いたいと言った子は、アパート暮らしということで、それでは賃貸契約上、難しいのではということになり、2番目に飼いたいと言った子が両親の持ち家に住んでいるし、既に黒猫を1匹飼っているということだったので、飼い主が見つからない場合は、その人にお願いすることにした。最初に申し出た女の子も、そちらの方が環境がよさそうだから、よろしくお願いします、と言って納得した。
 
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実際にこの猫に関しては1ヶ月待っても飼い主が見つからなかったので、その女の子の家に引き取られることになった。
 
その間1ヶ月白猫を保護したバイト女性は、既に2匹猫を飼っていたものの3匹のお世話は、なかなか大変だったと言っていた(掛かった経費は全額主催者のサマーガールズ出版が出した)。猫を飼う場合、1匹と2匹はあまり手間が変わらないのだが、2匹と3匹はけっこうな違いになるようである。
 

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■夏の日の想い出・翔ぶ鳥(6)

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