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■夏の日の想い出・影武者(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-09-03

 
2016年7月20日。
 
この日都内の多くの小中学校で終業式が行われ、8月末までの長い夏休みに突入した。
 
その日龍虎(アクア)が通っている中学の校門の所には「出待ち」をする若い女の子たちが大量に待っていた。学校の事務員さんが4人出てきて
 
「当校に無関係の人は集まらないで下さい。帰って下さい」
と呼びかけるが、一向に帰ろうとしない。更には追いかけるつもりなのか数台のバイクまでいる。
 
そこに白いトヨタ・アクアが走ってきて校門内に入ろうとした。が人だかりがして危険なので、事務員さんが「どいてどいて」と言って4人がかりで左右に押し分けて、やっと車は校内に進入することができた。
 
「事務所の車だよね?」
「うん。ナンバーが1833で間違い無い」
などという声がしている。その白いアクアが学校の生徒玄関の所でドアを開け、学生服姿の子が乗ったのが遠くから認められた。
 
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「乗った乗った」
「間違い無くアクア様だよ」
と双眼鏡を手にした子が言っている。
 
やがてその学生服の子を乗せた白いアクアが校門の方に出てきた。事務員さんがまた4人掛かりで女の子たちを押し分けようとするが手強い。車にタッチしようとする子たちまでいるので
 
「危険ですからやめて」
と言って押し返す。しかし女の子たちの集団は多人数居て事務員さん4人ではなかなか大変である。スマホで写真を撮ろうとする子までいるので阻止する。
 
「勝手に写真撮るのは肖像権の侵害です。勝手に撮った人はスマホを没収しますよ」
と事務員さんたちは警告してやめさせる。彼らの努力でなんとか車は校門を離れて走り出す。待機していた数台のバイクがその車の後を追尾しはじめた。校門の所に集結していた女の子たちは
 
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「あぁん、行っちゃった」
などと言って、少しずつ解散していった。事務員さんのひとりが携帯で
 
「こちら何とか解散しました」
と連絡を入れた。
 

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その連絡を受けると同時に学校の生徒玄関が開放され、多数の生徒たちが出てくる。校門前に人が集まっていて危険なので、こちらは生徒たちを待機させておいたのである。
 
生徒たちが多くは4〜5人程度のグループになっておしゃべりしながら出てくる。その中で3番目に出てきた女子5人のグループは校門を出て300mほど歩いたあと、その中の一人が駅に入っていくのを見送った。
 
「じゃ龍ちゃん、映画もライブも頑張ってね」
と彩佳が言う。
 
「うん。みんなもありがとう」
とセーラー服姿でロングヘアのウィッグをつけた龍虎は笑顔で言って、駅の中に駆け込んでいった。駅の中にはやはりセーラー服を来た西湖(今井葉月)がいて切符を渡す。
 
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「お疲れ様です、電車は5分後に出ます」
「ありがとう。今日はたいへんだった」
 
と龍虎は答えて一緒に改札口を通った。
 

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7月8日、アクア主演の映画『時のどこかで』(原作筒井康隆『時をかける少女』)の制作が発表され、同時にテレビで15秒のトレーラーが流されると、元からのアクアファンの間で黄色い悲鳴があがるとともに、それまでアクアにあまり興味を持っていなかった人たちもトレーラーに映った彼の演技に注目した。
 
トレーラーの中でアクアは男子制服姿で
「もし生き延びたいなら、僕についておいで」
と顔を泥だらけにした女の子(新人女優の木田いなほ)に言っているシーンは
 
「アクア様、格好えぇ〜!!!」
というコメントを大量に生み出し、またトレーラーのラストにほんの一瞬だけ映った白いドレスの少女について
 
「今のアクア様じゃなかった?」
という意見。
 
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早速このコマをネットに転載した人も何人か現れて
 
「やはりアクア様だ」
「可愛い!!!」
 
というコメントがまたまた大量にネットにあふれた。
 

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おかげでその日の『ときめき病院物語II』の視聴率は凄いことになったようである。
 
先週は純一(岩本卓也)が友利恵(アクア)を押し倒し、一方佐斗志(アクア:二役)は舞理奈(馬仲敦美)と同じ部屋で一晩すごすことになったのであるが、今週はその先週のラストのシーンがまずプレイバックされる。
 
まず佐斗志と舞理奈のジュニアペアの方は佐斗志が
 
「そっちのベッド使って。僕、こちらのベッドで寝るから」
と言ったのに対して舞理奈が
 
「一緒のベッドじゃダメ?」
と言った所からである。
 
ふたりが見つめ合う。ふたりはすぐそばに立っている。ふたりの顔が近づく。ネットには「きゃー」という悲鳴のような書き込みが多数出る。
 
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ふたりの顔が至近距離まで行った時、佐斗志は指で舞理奈の額をポン!と弾いた。
 
「僕たちには早すぎるよ。そちらで寝なよ。僕ドアの方向いてるから、舞理奈、その間に着替えるといい」
と言って佐斗志は舞理奈から離れると本当にドアの方を向いて座り直した。
 

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舞理奈も、ふっと脱力するようにして微笑み、着替え始める(カメラは彼女の顔だけを映している)。
 
「佐斗志君って意気地無しだね」
などと言いながら舞理奈は微笑んでいる。
 
「私、ちゃんとあれも持って来たのに」
などと大胆発言。
 
「あれって、目覚まし時計?」
 
この発言に舞理奈は吹き出してしまう。テレビの前でも吹き出した人が多かったようである。
 
「女の子とふたりきりになって、手を出さないなんて、紳士だなあ」
と言って舞理奈は伸びをする。
 
もうパジャマに着替えている。
 
テロップで『馬仲敦美ちゃんはカメラを一時的に停めている間に別室でパジャマに着換えて来ました』と説明が流れている。馬仲敦美のファンも結構番組を見ているので、念のために流しているようである。
 
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「じゃ窓の方向いててくれない?僕も着替えるから」
と佐斗志が言うので、舞理奈がそちらを見る。
 
しかし舞理奈は佐斗志の着替え中に振り向いてしまう。
 
「佐斗志、男の子の下着を着けているんだ?」
と舞理奈が言う。
 
(カメラは舞理奈だけを映しており、佐斗志は映していない)
 
「なんで?」
と声だけで佐斗志が答える。
 
「もしかして女の子に興味が無いのは佐斗志が女の子だからじゃないかと疑っちゃった」
 
「ぼく男だけど」
「ほんとに男の子なのかなあ。怪しいなあ」
 
などと言っている内に佐斗志もパジャマに着替えてしまう。パジャマ姿の佐斗志がカメラに写る。
 
「じゃ電気消すよ。おやすみ」
「おやすみ」
 
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と言って2人はベッドに入った。
 

このシーンについてネットでは
「佐斗志のアクアは、馬仲敦美に下着姿を晒したのか?」
「そもそもアクアは本当に男の下着を着けていたのか?」
 
という疑問が多数書き込まれていた。
 

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一方純一と友利恵のシニアペアの方はふたりが抱き合ってベッドに倒れ込むシーンからである。ふたりはベッドの上で2秒ほど抱き合っていたものの、すぐに純一が友利恵から離れる。
 
せつない目で見つめる友利恵。しかし純一は微笑んで
 
「よかったら並んで寝ない?何もしないから」
と言う。
 
すると友利恵は
「してもいいよ」
と答えた。
 
「まだ僕たちには早いよ」
「そうかな」
「おとなになったらさせて」
「おとなって何歳?」
「うーん。。。18歳かな」
「でも女の子は16歳で結婚できるよ。その時はジュンも結婚できる年齢だし」
「じゃ、その時にまた話し合おう」
 
「お兄ちゃんに何か言われたの?」
「ううん。僕はユリが大事だから、大事にとっておきたいんだよ」
 
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それに対して友利恵も頷き、ふたりはひとつのベッドに並んで寝た。
 

「あ、着替えるの忘れた」
 
「着替えるといいよ。僕、目をつぶってるから」
「うん」
 
それで友利恵がカメラの視界の外で着替えてくる。友利恵はとても可愛いネグリジェ姿で純一をトントンとし
 
「着替え終わったよ」
と言う。
 
「可愛いね」
「えへへ。欲情しない?」
「凄いことば知ってるね。欲情はするけど我慢する」
「我慢できないと思ったらいつでも襲っていいからね」
「今夜は大丈夫だよ」
 
それで友利恵がベッドに入り、目をつぶって純一が着替えることになる。しかし例によって友利恵は純一の着替え中に目を開けてしまう。
 
「へー。トランクスなんだ?」
「なんで?佐斗志君はブリーフ?」
 
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「言うなって言われてるから内緒にしとこ」
「佐斗志君、まさか女の子の下着とかつけてないよね?」
「一切ノーコメントで」
 

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ここでネットでは「やはり佐斗志は女の子下着なのか!?」という書き込みが随分目立った。
 
パジャマに着替え終わった純一が灯りを消してから友利恵の横に寝る。そして身体を起こして顔を寄せ、一度キスすると
 
「おやすみ」
 
と言って目を閉じた。友利恵も微笑んで目を閉じた。
 

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そういう訳で、別荘で各々ふたりだけで夜を過ごすことになった2組の恋人たちは、どちらもこの夜は特に「進展」することなく肩すかしで終わったものの、この日の視聴率はこのシーンが終わるまで物凄かった。
 

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なおアクア主演『時のどこかで』の映画のトレーラーではバックにこの映画の主題歌『∞の鼓動』が流れていた。この曲のクレジットは「主題歌:∞の鼓動・山森水絵(新人)」となっていたが、この曲についても「いつ発売されるんですか?」という問い合わせが多数あり、制作側では7月20日に発売される山森水絵のアルバムに収録されるとともに、映画公開と同時に発売予定のサウンドトラックにも別テイクのものが収録される予定ですと回答した。
 

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ΨΨテレビの「スター発掘し隊」だが、5月12日の放送で花山波歌・月嶋優羽・雪丘八島の3人が「落選者の中からピックアップ」され、ドライという仮名で3ヶ月間レッスンを重ね、8月にCDを1枚制作。それを手売りして1ヶ月以内に3万枚以上売れたら3人でデビュー。ただし売れなかったら3人そろって性転換!?という課題が与えられた。
 
この課題は3人をプロデュースする「大先生」から与えられたものということになっていたものの、その「大先生」は12日の放送では姿を見せず、番組アシスタントの金墨円香が伝達した。
 
しかしこの時点で制作側は実は凄まじいドタバタをしており、泥縄の進行になっていたのである。
 
元々この番組は★★レコードの製品開発室の滝口さん、ΨΨテレビの森原泰造プロデューサーが中心になって進めていた。そして森原プロデューサーはこの番組でデビューするユニットのプロデュースをラララグーンのソウ∽(そうじ)に頼む予定であった。またデビューする歌手の事務は卍卍プロが取り扱う方向で滝口さんが同プロの三ノ輪会長から内諾を取っていた。
 
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ところがこのプロジェクトはトラブルに次ぐトラブルが発生する。
 

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