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■夏の日の想い出・影武者(2)

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番組では4月10日に全国26ヶ所でオーディションを行い、全部で40名を合格として4月17日、東京のホールに呼んでパフォーマンスをさせ、12名を二次合格者としてゴールデンウィークに合宿を行った。
 
この審査を行ったのは、森原・滝口の2人である。本当はプロデュース予定のソウ∽にも参加してもらいたかったものの、体調不良で参加困難ということでこの2人だけで決めた。
 
ところが4月下旬、森原プロデューサーがΨΨテレビの社長と対立して退職してしまうという事件が起きる。そのため「スター発掘し隊」は急遽バラエティ番組の経験しかない名古尾さんがプロデューサーとなり、制作作業を進めることになった。
 
名古尾は経験豊かなプロデューサーではあるが、音楽系の番組はやったことが無く、事態に戸惑いながらも各方面と連絡を取りながら体勢を立て直そうとしたのだが、ここでソウ∽さんは元々合格者のお世話の話を断っていたという事態が判明する。その意向は3月末に伝えていたらしいのだが、どうも森原は合格者のデビューは夏頃と見て、それまでにソウ∽を説得するつもりでいたようであった。
 
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名古尾は急遽、ソウ∽本人の療養先まで行き、面会して話してみたのだが、ソウ∽は現在絶不調の状態にあり、とても他の人の世話までできない精神状態であると説明され、これには名古尾も引かざるを得なくなった。
 
そこで名古尾は滝口と話し合い、合格者をプロデュースする人については後日あらためて検討することにし、合格者の選考は滝口を中心に★★レコードのスタッフで決める方向で話しあった。
 
ところがここで更に困った事態が5月6日に発生する。その当の滝口が胃癌で入院してしまったのである。
 

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このプロジェクトは「そして誰もいなくなった」のである。
 
滝口さんは実は★★レコードの北川さんが入院しているののお見舞いに私が病院に行った時に、偶然遭遇して一緒に付いてきて、病院のロビーにいた所をその病院の先生に「君は胃癌だ」と言われて、入院することになってしまった。
 
連絡を受けて滝口さんの上司の村上専務が病院に駆けつけて来た。そして村上専務は急遽、自分のライバルでもある町添制作部長と話し合い、このプロジェクトは★★レコード側では町添部長配下の制作部のスタッフを使って進めることになった。
 
そして村上さんは、たまたまその場にいた私に「合格者を決めて欲しい」と言った。
 
実は合格者発表の様子は明日5月7日に撮影する予定になっており、今夜までオーディション参加者はゴールデンウィークの合宿の後、そのまま都内のホテルに泊まっているということであった。
 
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森原さんの解任、ソウ∽さんの辞退、滝口さんの入院で、企画を進める人がいなくなってしまったものの、それでも放送はしなければならない。しかもそれを明日のお昼過ぎから撮影しなければならないのである。それで私はやむを得ず合格者の選考を引き受けることにした。
 
私は最終合格者候補の3人の歌とパフォーマンスをビデオで見た上で、いったん全員不合格とした上で、この3人でユニットを組ませて数ヶ月レッスンを受けさせデビューを目指すという方向性を示した。村上専務はその方法に興味を示し、名古尾さんとも話した上で、その方針で行くことを決めた。名古尾さんは親しい構成作家さんに徹夜で明日の収録の台本を書いてもらった。
 
実を言うと5月12日の放送で流れた、金墨円香が「大先生の代理」と称してこの方針を花山・月嶋・雪丘の3人に伝えた時、その「大先生」なるものは全くの架空の存在であり、「大先生から3人へのメッセージ」というのも、実は加藤次長が作文したものであった。
 
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結果的に巻き込まれてしまった私は村上専務、加藤次長、名古尾さんと更に話し合いを続けた。その結果、放送局との付き合いというものを考えて、滝口さんの後任は佐田常務が直々に統括することになる(結果的に佐田さんが町添さんの部下を使って作業を進めることになる)。
 
また卍卍プロが「合格者であれば事務取扱してもいいが、合格者無しで何ヶ月もレッスンを受けさせるというのでは、こちらは扱いたくない」と言ってきたのに対して、元々卍卍プロが嫌いな加藤次長が「あそことは関わらない方がいい」と言ったので、事務所は別の所を模索することになった。
 
そしてソウ∽に代わるユニットのプロデューサーとしては、この話し合いをしていた所に、たまたま通りかかったドリームボーイズの蔵田孝治さんが
 
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「毛利五郎にやらせるといい」
 
と言ったので、私は急遽毛利さんの自宅を訪れ、作業の依頼をした。毛利さんはこの時期「失業状態」に近かったらしく、快諾してくれたものの、その直後に雨宮先生から山森水絵に関する作業を依頼され、また東郷先生からもアクアのCDに関する作業を頼まれ、このあと毛利さんは全く自宅に戻れない状態となった。
 

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蔵田さんから毛利さんの過去の実績を説明されて放送局の名古尾プロデューサーは彼に任せることに同意はしたものの、番組内で「大先生」がプロデュースすると発表してしまったことで、毛利さんでは「大先生」とまでは言えないので、そこの整合性をどうするかという問題が提示された。
 
これについて蔵田さんと加藤次長は、ダミーのプロデューサーとして実質もう引退してしまっている作詞家の馬佳祥先生の名前を借りられないかと提案してきた。名古尾さんも馬佳祥先生なら問題無いというので、蔵田さんが町添部長と一緒に馬佳祥先生の所を訪問しこの件の承諾を得た。馬佳祥先生は自分は口出ししないので、その若い作曲家さんに全部任せるが、交渉ごとなどで自分が出ていった方がよさそうな所には遠慮無く担ぎ出してくれとありがたいお言葉であった。
 
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こうしてこのオーディションは事態の急変に慌ただしく対応しながら何とか動き始めたのであった。
 
そうして5月19日、翌週の放送が行われた。
 

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いきなり、名古尾プロデューサーが椅子に縛られているシーンから始まる。そこに男性用のフロックコートを着てシルクハットをかぶり付けひげまでつけて《偉そうな格好》をして出てきたのは、またもや番組アシスタント金墨円香である。
 
「名古尾君、罪状を自ら告白したまえ」
 
「申し訳ありません。私はドライの3人の名前のふりがなを付け間違えて先週の放送を流してしまいました」
 
実はあまりにも内情がドタバタしていたため、そこまできちんと確認するのを怠っていたのである。また3人の名前が全員きわめて難読であったという背景もあった。
 
「まず『はなやま・しれん』とふりがなを振っていた子は本当は『かやま・しれん』でした」
 
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画面下部にテロップで『花山波歌 ×はなやま・しれん ○かやま・しれん』と表示される。
 
「次に『つきしま・ことり』とふりがなを振っていた子は本当は『つじま・ことり』でした」
 
テロップで『月嶋優羽 ×つきしま・ことり ○つじま・ことり』と表示される。
 
「最後に『ゆきおか・やまと』とふりがなを振っていた子は本当は『すすぎ・やまと』でした」
 
テロップで『雪丘八島 ×ゆきおか・やまと ○すすぎ・やまと』と表示される。
 

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「それでは、名古尾プロデューサーにふさわしい罰は何だろう?はい、殿山君」
 
と円香が言うと裁判官の服のような衣装を着た司会者の殿山憂佳が立ち上がって発言する。
 
「名前を間違えるなんてとんでもない人は死刑でよいと思います」
「シケイというと、紙で作った型?」
「いえ、この世から追放してあの世に行ってもらうということで」
 
「昼村君の意見は?」
 
するとやはり裁判官のような服を着ている昼村恋子が立ち上がって発言する。
 
「こういう基本的なことを確認し忘れるというのは言語道断ですね。首を切りましょう」
 
「首を切るって解雇するという意味?」
「いえ、胴体と頭をつないでいる首を切断するということで」
 
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「陪審員の意見が出ました。それでは判決を言い渡します」
 
椅子に縛られた名古尾さんが不安そうな顔をしている。しかし円香は大いにまじめな顔をしている。司会の殿山・昼村のふたりの方がかえって笑っている。
 
円香は懐から巻物のような紙を取り出すと広げて言った。
 
「判決。本来は死刑の所を罪一等を減じて、あそこ切断の刑」
 
「あそこって?」
と殿山が訊く。
 
「男性のあそこ。それを切断して男性を辞めてもらう」
「おぉ!」
 
「ハサミを持って来なさい」
と円香が偉そうに言うと、昼村が巨大な刃渡り20cmくらいのハサミを持ってくる。
 
「じゃ、私が刑の執行官をしてやる」
と言って円香が名古尾プロデューサーの前でハサミを数回チョキチョキさせると名古尾プロデューサーが椅子にしばられたまま逃げ出す。それを殿山・昼村のふたりがつかまえる。
 
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「助けてぇ!男はやめたくない。男じゃなくなったら女房に離婚される」
と名古尾プロデューサーの声。
 
しかしあらためて椅子に座ったままの状態でデンチューの2人に押さえつけられ、その前で円香が
 
「これより刑を執行する」
 
と言って・・・・
 

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髪の毛をつかむと、それをざっくりと切った。
 
昼村が
「****を切るんじゃないの?」
と言う。****の所はピー音で消されていた。
 
「切るのは男性のあそこ、つまり男性の髪の毛だよ」
と円香は平然とした顔で言う。
 
そのあと、画像は早送り状態になり、円香がたくさん名古尾プロデューサーの髪を切っている所が映り、最終的に名古尾さんは丸坊主にされてしまった。(実際には途中で理容師さんが入ってきれいにバリカンで切っている)
 
「刑の執行終了〜」
と言って円香は得意げである。
 
ここまでで番組の冒頭10分も使ってしまった。
 
しかし、3人の名前が姓名ともにきわめて特殊な読み方をすることが視聴者に知れ渡り、3人の名前が印象付けられたエピソードであった。
 
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番組はそのあと、後ろ姿だけが映る「大先生」と円香、デンチューの2人が話し合うシーンとなる。「大先生」は背広姿であるが、声は機械的に変形してある。更に帽子もかぶって髪型が分からないようにしている。この話し合いの中で「大先生」は、3人の歌や踊りをビデオで何度も何度も見た上で、この3人を組ませるのであれば、メインボーカルはヤマトにし、シレンとコトリはコーラス&ダンスという方針を決定する。
 
それでその伝達役として「大先生のメッセンジャー」と称する毛利五郎が画面に初登場する。実はこの登場シーンは結構大変であった。
 

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「大先生」は毛利を呼んで伝達役を命じるのだが、殿山が
 
「この人、このままテレビに映したら苦情が来ます」
などと発言する。
 
(この時点で毛利さんの顔は映っていない)
 
そこで大先生の指示により、毛利の「美化計画」が始動する。
 
まずはお風呂に行かせた上で、エステに行って毛を剃って来なさいと言われる。
 
「なんで、エステとかいくんです?」
と言う毛利に対して大先生は
 
「そのヒゲとか腕毛とか見たら、女の子が怖がって逃げ出すよ」
などと言う。
 
それでエステに行くのだが、ヒゲと腕毛だけかと思ったら、すね毛、胸毛・腹毛まで処置される。しかも剃ると言われていたはずなのに実際は脱毛される。
 
放送局のカメラも当然エステに付いていく。それで映像は「イメージ映像」だけ流すものの、
「やめて。痛い痛い痛い痛い!」
という毛利さんの声はしっかり流れる。
 
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ついでに処置が終わった後の着替えとして殿山が女性用の下着から洋服一式用意しておいたのだが
 
「あのさあ。俺の女装姿を電波に流したら、番組に苦情が来るよ」
という毛利さんの言葉に丸坊主姿の名古尾プロデューサーが
「確かに確かに」
 
と言ってアルマーニの男性用ビジネススーツが用意された。
 
「すげー。このスーツだけで俺の2〜3ヶ月分の収入くらいある」
などと言ってそれを身につけた所で、初めて毛利の顔が映されたが
 
「男前じゃん!」
「十分格好良い」
「女装もいけるかも」
などとネットではコメントが出ていた。
 
ちなみに続けて「改造前」の毛利の写真と並べて映されると
 
「劇的Before/Afterだ!」
という声も出ていた。
 
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