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■女子中学生・冬の旅(23)

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照子、善美、きーちゃん、千里の一行はまずは銀行のATMに寄り、照子さんときーちゃんだけが降りた。照子さんはATMで正確に98万円を下ろし、銀行の封筒に入れてきーちゃんに渡す。きーちゃんはその場で受け取りを書いてハンコを押して照子さんに渡す。そして高額の現金を持ち歩くのは怖いと言って、きーちゃん自身の口座に入金した。
 
2人が車に戻ってから、照子さんの指示で、4人は高そうなお寿司屋さんに入り、夕ご飯にした。でもきーちゃんも千里もここまで喫茶店で結構食べていたので、そんなに入らなかった。善美さんは「こんな所おごりでないと来られない」と言って、たくさん食べていた。照子さんはツケで払っていたので、いくら掛かったかは不明である。しかし高級店にツケが利くところが凄い。
 
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その後、きーちゃんと千里はホテルに送ってもらった。ホテル代も照子さんが出してくれて、その後、別れた。
 

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千里は3週間ぶりにシャワーなるものを浴びて、すっきりした気分だった。私全身に入墨されなくて良かった!などと考えている。その後きーちゃんもシャワーを浴びた。彼女も「すっきりした」と言っていた。お風呂は一応あっても、シャワーの無い生活は結構辛かった。
 
「照子さん自身にはあまりメリット無かったと思うけど、それでこんなにたくさんお金もらっちゃっていいのかな」
と千里は、きーちゃんに尋ねた。
 
「お祖父さんの話聞けただけでも嬉しかったと思うよ。それにあまり生活に困っている感じは無かったし」
「高そうな訪問着着てたよね」
「うん。あれ700-800万円すると思う」
「きゃー」
「霊能者さんとしてわりと繁盛してるんじない?」
「そうかもねー」
 
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「それに霊能者間のネットワークは重要だもん。これで彼女は難しい事件を私たちに協力を求めることができるようになったし。そういう繋がりはお互いにメリット大きい」
 
「そういう意味ではメリットあったのかな」
「そのコネクションを作るのに100万円程度は安いものかもよ」
「確かにそれはお互いにメリットあるかもね」
 

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翌日、2月19日(土)、千里ときーちゃんは次の連絡で旭川に帰還した。
 
人形町8:14-8:52羽田空港10:35(JAL1105)12:10旭川空港
 
旭川空港からは瑞江を呼び出し、きーちゃんの家で彼女を降ろし、千里は旭川駅まで送ってもらってから、下記の連絡で留萌に帰還した。
 
旭川13:00(スーパーホワイトアロー16)13:17深川13:23-14:21
 
(深川駅の乗換はGに起こしてもらった)
 

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「ただいまぁ、疲れたぁ」
と言って、千里VはW町の家に帰ると、畳の上に寝転がった、
 
「Vちゃん生きてる?」
「あまり生きてる自信無ーい」
「電話がつながらないけど、きーちゃんと一緒なら大丈夫だろうと思ってた」
「きーちゃん居なかったら不安だったと思う」
 
それでVがこの3週間のことをかいつまんで話すと
「それでRが雪崩を停めた訳が分かった」
とGは言った。
 
「雪崩を停めた??」
 
それでGは昨日のS中スキー大会の最中に起きた雪崩のことを話す。
 
「危なかったね!」
「公世(きみよ)だけはRに言われなくても助けるつもりだったけど、牧野先生を助けなかったらRは泣くだろうしね。頑張った」
「よくそんな危険なことするなあ」
「A大神様助けて下さい!と祈りながら現場にジャンプしたよ」
「それ本当にA大神様が助けてくださったんだと思う」
「そんな気がする」
 
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「だったら雪崩を停めたのも大神様?」
「それがRだと思う。Rはあの時、左右の小指をくっつけるポーズをしていた」
 
「左右の小指同士をくっつけるのは、###の術。確かにそれを起動すれば動き始めの雪崩なら一時的には停められるかも」
とV。
 
「だからそれをRが使ったんだよ」
「教えてもいないのに?」
「Vちゃんだって、そのくらいできるでしょ」
「できる気がする。でも###の術を使うには、前提として★★の術と&&の術を既に身に付けてないとできないはず」
 
「Vちゃんの身体にはそのどちらも記録されてるんでしょ?」
「うん」
「だから身に付けてるじゃん」
 
「え〜〜〜!?それって身に付けてることになるわけ!?」
「子牙さんも気付かなかった思わぬバイパスだったりして」
「あの人、その手の抜けが多い気がする」
 
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子牙は千里にそれほどのアクティブな霊力があるとは思いもよらず、ただの霊媒と思っていたので、千里自身がその術を使える可能性は全く考えていなかった。
 
「話聞いてると粗忽者っぽいね」
「粗忽者とか古い言葉を」
「古い人だから」
 
「だったら**明王の秘伝も使えたりして。これを使うには**の法、###の技、$$$の術を全て身に付けておく必要があるのよ」
 
「それも身に付けてるんでしょ?」
「私の身体には記録されてる」
「じゃ使えるかどうか試してみる?」
「こんなとんでもない術を使えるような所がある?」
「それがうまい具合にあるんだなあ」
とGは楽しそうに言った。
 

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Vがかなり疲れているようだったので、Gは唐揚げを大量に作って、ふたりで一緒に食べた。その後Vには寝ているように言った。
 
夜中の2時過ぎにGがVを起こす。
 
「Gちゃん、よく起きれるね」
「携帯のアラーム掛けてただけだよ」
 
Gは大人っぽい黒いドレスを着てお化粧までしていた。Vには黒いスウェットの上下を着せた。
 
「男装してもいいけど」
「私の身体に合う男物の服があるとは思えない」
 
2人とも黒いコートを着た。
 
星子に司令室の留守番を頼み、ライフにVを乗せてGが運転してW町の家を出る。2人とも黒い靴を履いた。
 
大人っぽい服装をしてお化粧までしたのは、運転している所を誰かに見られた時に不審がられないようにである!
 
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「絶対その内お巡りさんに捕まるんだから」
「2km以内にはパトカーは居ないよ」
 

それで2人がやってきたのは、丘の上にある大きな邸宅である。
 
「ここは?」
「明日というか今日だけど、Yちゃんがここで家のお祓いをすることになっている」
「それを私たちが先にやっちゃっていいの?」
「**明王の秘伝を、本体だけにぶつける」
「・・・・つまり雑魚はYちゃんに任せるんだ!」
 
「Yだって、宮司さんが見ている前ではその手の術は使わないよ。自分が凄い所見せたら、宮司さん絶対にYを手放したくないと思う」
 
「それは面倒だね」
「だからこの手の術は人前では使わないのが原則」
「Rは人前で使ったじゃん」
「あれはもう他に方法が無かったし、見てたのは、くみちゃんだけだから」
 
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それで2人は鎹邸の敷地内に静かに侵入する。Gは赤外線センサーを可視化するメガネを着けていたが、ここにはその手のセキュリティは無いようだった。
 
2人は邸の裏手にある倉庫の近くまで来た。
 
「物凄い霊圧」
「私がVちゃんを守ってるから起動して」
「分かった」
 
それでGが作ってくれた結界の中でVはあぐらを掻いて座ると、左足の靴下を脱ぐ。左手の親指と小指で左足の小指を挟んだ。
 
浄化!
 
と心の中で唱える。その瞬間Gは結界を解除した。
 

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Vの居る場所を中心に半径10mくらいの範囲に多数の青い炎が出現した。その炎がとんどん強くなる。それとともに、まるで轟音のような激しい悲鳴が多数聞こえた。むろん霊感の強い人にしか、この悲鳴は聞こえない。
 
青い炎はいつしか明るい光に変わった。
 
天への光の道ができる。
 
多数の霊魂がその光の道に吸い上げられ、どんどん天に昇って行く。Vは見ていて、漁師さんたちだと思った。その数は多分数百人に及んだ。
 
そして・・・・
 
静寂が訪れ、光の道も消えた。
 

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「凄かった」
「びっくりした」
「長居は無用。帰ろう」
と言って、Gは忘れものが無いか確認し、一緒に車の所まで戻る。
 
そしてGは車を運転して鎹邸を離れ、W町の自宅に戻った。
 

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「Gちゃん」
「何?」
「お腹空いた」
「空くだろうね!」
「牛肉食べたい」
「待って」
 
冷蔵庫の中を見るが、牛肉は昨日Rに食べさせるのに全部小春の家に転送したばかりである。
 
「買ってくる」
「お店開いてないよ」
「旭川なら空いてる所がある」
 
それでGはVのお世話を星子に任せ、旭川にジャンプした。
 
(鎹邸にジャンプ技を使わなかったのは、行ったことの無い場所だからと、余計な“霊的振動”を起こさないため)
 
そもそもGは車の運転をするのに大人っぽい服装をしていた。女子中生がこんな深夜に出歩いていたら補導されるが、大人っぽい服装のおかげで何とかなる。
 
24時間営業のスーパーに行き、牛肉を2kgほども買った。そして留萌にジャンプして戻る。
 
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「買ってきたよ」
「食べる〜!」
 

VはGが買物に行っている間に食パン1斤ペロリと食べ、魚肉ソーセージを5本食べていたが、Gが買ってきてくれた牛肉をしゃぶしゃぶにして食べ出す。Gと星子は自分たちは食べずに見ていたが、Vは牛肉を2kg ぺろりと食べてしまった。
 
「牛肉が無くなった。また買って来ようか?」
「豚肉でもいいよ」
「それ解凍する」
 
Gは今度はホットブレートを出し豚肉を焼く。Vはもりもり食べた。
 
「疲れたから寝る〜」
と言って、Vは寝室の自分の布団に入り眠ってしまった。
 
千里Vはこの後3日も起きなかった。GはVが生きているかどうか心配になり何度も心臓に触ってみていた。千里Vが目覚めたのは2月23日(水) AM4時頃であった。
 
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「だいぶ寝た。お腹空いた」
「まだ食べるの〜〜?」
とGがさすがに呆れた。
 
(**明王の秘伝を習得した火喜多高胤は実際に使用することができるのだろうか?使ったら最後衰弱死したりして)
 
なお買い出しは2月21日の午前中に星子がライフを運転してジャスコに行き、大量にお肉を買ってきた。小春の家でも、コリンがやはり21日午後にカローラを運転してジャスコまで行き大量のお肉を買ってきた。
 

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2月28日(月).
 
U高校の合格発表があったが、これはほぼ意味か無い合格発表なので(*48)誰の話題にもならなかった。
 
貴司は一応合格していたのでS高校かU高校か“どちらか”には行けることが確定した。
 
(*48) 私立のU高校の入学手続き期限は公立の合格発表の後に設定されているので、公立に合格した人はそちらに入学する。公立の定員がU高校の定員の倍以上ある関係で、風邪を引いたりして公立の入試を失敗した人以外は、U高校の合格者の大半が実際には入学辞退してS高校に行く。またそもそも単に度胸付けで受験する生徒も居る。
 
そして最初からS高校を諦めてU高校に行こうと思っているレベルの生徒は2月の合格発表では合格できない。
 
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結果的にU高校の実質的な合格発表は3月末の補欠合格者発表である。
 

3月1日(火).
 
千里(千里R)が剣道部で練習していたら、貴司がやってくる。
 
「どうかした?」
「これ誕生日プレゼント兼ホワイトデーで」
と言ってお菓子?の箱をくれる。
 
「ありがとう。あ!ごめん、私、貴司にバレンタインあげてない」
 
今やっとバレンタインのことを思い出したのである。
 
「え?くれたじゃん」
「そうだっけ?」
などと言っていたら、隣で玖美子が
 
「自分のしたことをきれいに忘れてるのは千里の平常運転」
などと言う。
 
「あれ〜?私、渡したのかなあ」
「細川君がそう言っているのだから、間違いなく渡してる」
「うーん」
「じゃまた」
「うん。貴司受験頑張ってね」
「ありがとう」
 
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「そこでキス」
と玖美子は言うが、千里は貴司と握手して別れた。
 
もちろん握手で性転換したりはしない!(多分)
 

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3月3日(木)はS高校の入試、4日(金)はK高校の入試だった。
 
日程がずらしてあるので微妙な生徒は両方受けるが、貴司はK高校には間違っても合格することはあり得ないので、S高校だけを受けた。
 
3月3日は千里の誕生日であるが、誕生日パーティーは2月27日に済ませているし、この日は特に何も無い。もっともP神社で勉強会をしていたら、久しぶりにここに顔を出した小春が勉強会している全員(指導係の花絵さんを含む)に洋菓子を配った。
 
「おお。千里の誕生日か」
「めでたい」
「ハッピーバースデー」
などと千里Yは言ってもらった。
 
お菓子は、宮司・林田さんにも恵香が1個ずつ持って行った。
 
また、部活が終わった後で小春の家に帰宅した千里Rは、コリンがショートケーキを買ってきて、誕生日の御飯も作ってくれていたので、小春・小糸と一緒に4人で食べた。
 
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「私の誕生日っていつだろう?」
などと小糸が言っている。
 
「自分の好きな日を誕生日にすればいいよ。それで小春は7月7日だと言ってるし」
と千里R。
 
「じゃ私は6月6日にしようかな」
「いいんじゃない?それで誕生祝いしてあげるよ」
「やった!」
 
一方W町の家では、GとVが星子と一緒に一口カツを作り、またショートケーキを3個買ってきて、G・V・星子の3人で食べた。
 
「ハッピーバースデー to us」
「おめでとう!」
 

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3月14日(月)は卒業式の予行練習、15日(火)に卒業式が行われた。卒業式で国歌のピアノ伴奏は音楽の藤井先生がしたが、校歌の伴奏は合唱サークルのピアニストであるセナが(もちろんセーラー服で)務めた。
 
卒業式後、剣道部では卒業生たちにプレゼントを贈った。武智さんには玖美子が、宮沢さんには千里が記念品を渡した。男子の古河さんには竹田君、境戸さんには公世が渡した。
 
ちなみにバスケ部では、久子さんには数子が、友子さんには1年生の雪子が渡した。バスケ部男子で、田臥さんには田代君、貴司には鞠古君、佐々木さんには戸川君が渡した。
 

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卒業式の翌日16日(水)、S高校・K高校の合格発表が行われた。貴司はS高校に合格しており、めでたくバスケ部のある高校に進学できることになった。
 
千里は合格発表など何も気にしてなかったのだが、玖美子から言われて貴司に電話し
 
「合格おめでとー」
と言った。
 
「ありがとう!」
と言って、電話口で貴司は30分くらい話していたが、千里は適当に相槌を打っておいた!(話は全く聞いてない!)
 
3月18日(金)にU高校の入学手続きが締め切られ、21日(月)に補欠合格の発表が行われる。これで高校に行く気のある子はだいたいどこかに行けることになった。
 

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3月24日(木).
 
S中では終業式が行われて、学校は約半月間の春休みに入った。
 

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女子中学生・冬の旅(23)

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