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■女子中学生・冬の旅(3)

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ということで2005年の年は明けた。
 
1月1日。千里の家では、朝8時に、お屠蘇を飲むが、実際に飲んだのは母と父だけで、千里と玲羅はミツヤサイダーである。そしてお雑煮を食べ、おせちを摘まんだ。
 
武矢が
「初詣に行こう」
と言って、近くのP神社まで出掛ける。
 
それで拝殿前で1人100円のお賽銭(千里が配った)を賽銭箱に入れて、お参りした。帰ろうとしていたら、花絵さんが
「千里、元日から悪いけど、手が空きそうなら手伝って」
と言うので、千里(千里Y)は残ることになる。
 
すると玲羅も
「私も手伝う」
と言って残ったので、結局自宅に帰ったのは津気子と武矢だけである。
 
なお、“早川ラボ”は12月31日から1月3日までお休みにして、1月4日から練習再開ということにしていたので、千里Rはその間、丸3日、眠り続けていたようである(31日は天野道場で素振りなどをしていた)。
 
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沙苗とセナは普通に女の子の格好で初詣に行き、千里と同様、花絵さんに徴用されて、神社のお手伝いをした。
 

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雅海は1月1日、普通に女の子の和服を着せられ、同様に和服を着た姉たちと一緒に家族全員でP神社に初詣に行った。雅海はお盆にも女の子の服を着せられて姉たちと一緒にお墓参りに行っている。
 
今回は神社まで行く途中、同級生に遭遇しなかったので良かったぁと思っていたら、おみくじを引こうとした所で、そのおみくじ担当が沙苗だったので「わっ」と思った。でも沙苗ちゃんならまだいいかなと思った。お札を買おうとしたら、ここの販売担当がセナであったが、まあセナちゃんもいいかなと思った。
 
でも帰りがけに、優美絵に遭遇して
「わぁ可愛い!」
と声を掛けられ、更に駐車場で美都に遭遇して、やっと開き直りの境地?に到達した。
 
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でも1月2日の初売りでは、女の子の服を着てジャスコまで行き、ここでも多数の同級生と遭遇して「可愛い!」と言われ、少し気分が良くなった。
 

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公世は姉から
 
「可愛い服を用意したよ」
と言われて、女物の和服を見せられたものの
 
「ぼくは男の子だからそういうのは着ない」
と拒否したので、結局普通にフリースと厚手のジーンズのパンツという格好で、別の和服を着た姉、純粋に男の服装の弟と一緒に初詣に行った。
 
途中遭遇した沙苗から
 
「きみよちゃん、お正月くらい女の子の服を着ればいいのに」
と言われたけど
 
「ぼくはそういう趣味は無い」
と言っておいた。
 

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公世は12月頭に唐突に睾丸と男性尿道が消失して小便器が使えなくなり困っていたものの、12/11-12 に千里と一緒に旭川に行き、天野貴子に“治療”してもらって、取り敢えず睾丸と男性尿道は復活し、普通の男子と同様に排尿できるようになって、男の子(男の娘?)の身体でお正月を迎えている。
 
冬休みに入った後、12月30日まで早川ラボでみんなと一緒に練習していた(この件後述)が、1月3日までは早川ラボも天野道場もお休みなので、その間は毎朝姉と一緒に国道をジョギングし、自宅の庭で素振りをしたり、腕立て伏せ・腹筋などをして身体を鍛えている。
 

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福川家の部屋割り当て、歴史的経緯。
 
司の家は2LDKSである。最初に生まれた男の子・航(わたる)は小学校にあがる時に4畳半の部屋を与えられた。次の男の子・拓(ひらく)も小学校に上がる時に4畳半の部屋を与えられた。3番目の男の子・隼(はやと)は部屋が満杯なので小学校に上がると着に3畳の倉庫部屋を与えられた。(↓でBはBath。下記のレイアウトの左側にLDKがあり、両親はそこで寝ている)
┏━━┳━━┓
┃ 拓 ┃ 航 ┃
┗━━┻━━┫
┏━┳━┳━┫
┃WC┃B┃隼┃
┗━┻━┻━┛

四男の司が小学校にあがる時は、既に倉庫部屋まで含めて満杯なので取り敢えず両親と一緒に居間に寝ていた。司が小学2年になる時、長男の航が札幌の高校に進学して家を出た。航の部屋が空いたので、そこに隼が移動し、隼が使っていた部屋に司が入った。
┏━━┳━━┓
┃ 拓 ┃ 隼 ┃
┗━━┻━━┫
┏━┳━┳━┫
┃WC┃B┃司┃
┗━┻━┻━┛

司が4年生になった時、拓は旭川の高校に進学し家を出た。拓が使っていた部屋を使う?と司に聞いたが「移動するの面倒くさいからいい」と言ったので、その部屋はそのりまま空き部屋になった。
┏━━┳━━┓
┃  ┃ 隼 ┃
┗━━┻━━┫
┏━┳━┳━┫
┃WC┃B┃司┃
┗━┻━┻━┛

隼は地元・留萌市内の高校に進学したので、部屋の割り当てには変化が無い。
 
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年末、札幌の大学に行っている長男の航(わたる)、旭川の大学に行っている次男の拓(ひらく)も帰ってきた。2人は、以前拓が使っていた部屋に、2つ布団を敷いて寝る。
 
大晦日は、みんなは紅白歌合戦を見ていたが、司は上戸彩・TOKIO・モー娘。・w-inds・aiko まで見たところで、その先はあまり興味を感じなかったので自分の部屋に入り“週刊ベースボール別冊”を読んでいた。
 
読んでいる内に唐突に女の子の服が着たい気分になり、服をいったん脱いでまずは女の子ショーツを穿く。
 
ショーツを穿く時、横になり、睾丸を体内に押し込んでペニスでフタをするようにして穿く。こうするとしばらく玉は降りて来ないのだが、くしゃみなどした拍子に飛び出してくると、ショーツがとてもみっともない状態になる。玉が無くなったら形が崩れないんだろうなあ、などと考えてドキドキする。
 
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その後ブラジャーを着けるが、だいぶ練習したので、後ろ手でホックを留めることができる。でも胸が無いのが寂しい気もする。今年2度女の子になった時の胸の膨らみの記憶が蘇ってドキドキする。
 
スリップを着けるがこのナイロンの感触が凄く心地いい。ほんとこれ気持ちいいよなあと思う。
 
その後は、アンダーシャツ、ロングTシャツ、そしてスウェットの上下を着て、布団に入り『メイプル戦記』を読みながら、いつの間にか眠ってしまった。
 

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2005年1月1日、司は悩むような顔をして居間に出て来た。
 
「あけましておめでとう」
と母が言うと
「うん。おはよう。あ、おめでとう」
と、どうも心ここにあらずの雰囲気である。母が首を傾げる。
 
航(わたる)兄が言った。
 
「昨日も思ったけど、司、少し可愛くなってない?」
 
拓(ひらく)も言う。
「可愛いというか、少し女の子っぽい雰囲気がある」
 
すると母が言った。
「司は女の子になることにしたのよ」
 
「え〜?そうなの?」
と兄たち。
 
三男の隼が言う。
「この子。女子制服持ってるよ」
 
「じゃ女子制服で通学してるの?」
「まだその勇気は無いみたいね」
 
司はもう真っ赤になって下を向いている。
 
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「司、スカートでも穿いてきて、お兄ちゃんたちに見せたら?」
「恥ずかしい」
「今更じゃん。スカート穿いて普通に外出してるのに」
 
そう言われればそうなので、司は自分の部屋に戻ると、ロングスカートに穿き換えて居間に戻った。
 
「おお、可愛い」
「スカート姿に違和感が無い」
「だから司は、あんたたちの妹ということで」
 
「いいんじゃない?それで」
「妹ができるのは良いことだ」
「でも、ぼく、女の子になれるのかなあ」
「既に女の子になってる気がする」
 
父まで
「男ばかり4人だったから、娘ができるのは良いこと」
などと言っている。
 

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それで、お屠蘇を飲み(隼と司はサイダー)、絵雑煮を食べ、おせちを摘まんでから、初詣でに行こうということになる。
 
「司、和服着せてあげるから」
と母は言い、和服かばんを持って司と一緒に部屋に入る。
 
スカート、フリース、シャツを脱ぐ。
 
「スリップ着けてるならそれでいいよ。本当は肌襦袢を着けるんたけどね」
と言い、母はスリップの上に長襦袢を着け、その上に長着を着けてくれる。紐で、おはしょりを作る。帯を締め、後ろで結び目を作ってくれた。
 
鏡に映して見ると凄く可愛い気がした。
 
「可愛い」
と思わず言うと
「うん。可愛い。さすが私の娘だね」
と母は言う。
 
「娘?」
「あんた私の娘でしょ?」
「そっかぁ。ぼく娘なのか」
「息子には見えないしね。ついでに“ぼく”はもう卒業しよう。自分のことは“わたし”と言おう」
「う、うん。頑張る」
 
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それで、みんなで初詣に出掛けた。ほかのみんなは適当な格好である。ぼくだけこんな可愛い格好していいのかなあなどと思う。
 
それでP神社まで初詣に行くと、最初に留実子に遭遇する。ぎゃっと思うが、花和さんならいいかと思った。彼は男の子の格好をしている。
 
「あけおめー。可愛いね」
と向こうから声を掛けてきた。
 
「あけましておめでとう。花和君格好良い」
「福川さんは新学期からはセーラー服で出て来よう」
「え〜?どうしよう」
 
その後、麦美ちゃんと美那ちゃんに会う。でもこの子たちならいいかと思った。2人とも「可愛いね」と言ってくれた。でもはずかしー。
 
お参りしておみくじを引くと、おみくじの担当が沙苗ちゃんだ。でも沙苗ちゃんならいいかと持った。おみくじは大吉だった。
 
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帰ろうとしてたら、野球部3年女子マネ・生駒優に遭遇した。彼女も和服だった。
 
「可愛い」
「そちらも可愛い」
 
彼女は言った。
 
「ね、ね、司ちゃん(*3)、中学卒業したら、札幌のSY高校に行かない?女子野球部があるのよ。私、今年そこを受けるからさ」
 
(*3) 彼女は普段は司のことを「福川さん」と呼ぶ。ちなみに“福川君”と呼ぶ部員は居ない!!
 

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「女子野球部!?」
「司ちゃん、何とかうまく誤魔化して、男という診断書取ったみたいだけど、性別誤魔化すのは、中学生が限度だよ。今でも相当無理があるけどね。高校に入ったら、普通に女子として一緒に野球やろうよ」
 
優は実を言うと、S中野球部でクリーンナップを打てるくらいバッティング・センスを持っている。普段の練習でノックなどもやっているが、軽く外野にボールを飛ばす。紅白戦では選手として参加してホームランなども打ったりするし、守備ではセンターの深い所からダイレクトにキャッチャーに返球できる肩を持っている。
 
前川君とかよりよほどコントロールがいい。彼女は、きっとソフトボールでは不満なので野球部に来た口だろう。硬球を扱う感覚に慣れたら、軟球やソフトボールはおもちゃに思えてしまう。実を言うと、11月から12月まで司は彼女とペアを組んで基礎トレーニングをしていた。この後は、彼女は受験のため練習を離脱する。
 
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「そ、そうだね」
「考えといて」
「う、うん」
 
女子野球か・・・。でも、ぼく、女の子になれるのかなあ。お医者さんの検査では男の子だと言われたし・・・などと司は悩んでいた(←かなり女の子になりたい気分になってきている)。
 
ちなみに、優も言っていたように、多くの野球部員、そして監督なども、司が“男子である”という医師の診断はうまくお医者さんをごまかして得た診断だろうと思っている。
 
司は諸事情により小便器を使うことができないのでいつも個室である。それでチームメイトには、ペニスが無いのだろうと思われているふしがある。
 

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女子中学生・冬の旅(3)

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