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■夏の日の想い出・赤い服(1)

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春の昇格組の中で最後まで芸名が決まっていなかった、長岡飛鳥の芸名は、“早幡そら”(はやはた・そら)と決まり、本人に通知して名刺を渡した。
 
「何かパイロットっぽい名前がお父さんが喜ぶかなと思ってね。それと君が女の子になっちゃっても使える名前がいいかなと思って」
とコスモスは言った。
 
「ありがとうございます。“そら”って名前は男も女もいますもんね。でも花や小鳥が鏤められていて可愛い名刺ですね」
「うん。信濃町ガールズの名刺は可愛いデザインになってる」
 
本当は男の子用のデザインもあるけどね(篠原君が昨年春まで使っていた。立山煌もデビュー前に使っていた)。まあこの子なら女子用デザインでいいだろうとコスモスは、セーラー服姿の彼を見ながら思った。
 
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「君はまだ中学生なんだけど、わりと大人びて見えるからさ、『青空高校の午後』に出てみない?」
「わあ。地上波に出られるんですか?」
「当面はセリフ無し。たまに“全員で”というところで『はーい』とか『賛成!』とか言う程度。ギャラもとっても安い」
「でも出られるんなら、ぜひやらせてください」
「うん。じゃ先方に連絡して、収録日時をあとで連絡するよ。だいたいこの番組の収録は土日祝に行われる」
「ああ、そうでしょぅね」
 
「それで、男子生徒役で出る?それとも女子生徒役で出る?」
「言われたらどちらでもしますけど、選べるなら女子生徒役をさせて下さい」
「うん。じゃそれで連絡するね」
と言いながら、コスモスはわざわざ性別は確認する必要も無かったなと思った。
 
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その日、私は雨の降るショッピングセンターの駐車場で、政子が買物してくるのを待っていた。政子の買物はだいたい時間が掛かることが多い。本人が何を買うか忘れてしまうことも多い! ただ今日は竜木梨沙マネージャーが付き添っているので、“気がついたら北海道に居た”!?なんてことは無いだろう。
 
ぼんやりと外を眺めていたら、ウェルシア(ドラッグストア)から赤いワンピースを着たアクアが高村友香マネージャーと一緒に出てくるのを見た。アクアが一般の店で買い物してるのをファンが見たらサイン求める行列ができて大変だぞと思う。
 
ところが、今度はカインズ(ホームセンター)から緑川志穂マネージャーと一緒にオレンジのチュニックとロングスカートを着たアクアが出てくるのを見る。まずい。複数のアクアを人に見られたらと私は焦った。
 
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ところが今度はジュンク堂(本屋さん)から山城寛菜マネージャーと一緒の黄色いカーデガンと膝丈スカートを着たアクアが出てくる、嘘!?アクアってまた3人に戻ったの?と思う。
 
それを考えていたら今度はしまむら(衣料品店)から山村勾美マネージャーと一緒でグリーンのレディススーツを着たアクアが出てくるのを見る。え〜〜!?アクアって4人になったの?と思う。
 
更に今度はヤマダ電機(家電量販店)から鹿島香取マネージャーと一緒で青いセーラー服のアクアが出て来るのを見る。なんでこんなにアクアがたくさん居るの〜?と思う。
 
そして今度は映画館から南川彩佳と手を繋いだ藍色のメンズスーツを着たアクアが出てくるのを見る。なんでこんな白昼堂々とデートしてるの〜〜?と思う。
 
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そして更にブライダルセンターから松田理史と腕を組んだスミレ色のロリータドレスを着たアクアが出てくるのを見る。アクアの左手薬指には大粒のダイヤの指輪が輝いている。アクアもう結婚式あげるの〜?と思った。
 

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そこで目が覚めた。
 
「夢かぁ!」
と思って、私は脱力した。政子を待っている内に眠ってしまっていたようだ。
 
とにかく忙しいからなあ。身体が2つほしいよ・・・と一瞬思ってから、そんなこと考えていると作者が親切心起こして私を2人にしちゃうぞと思って警戒する(10人にしたりして)。
 
とこで今の夢、結局何人アクアが出て来たんだっけ?と私は指折り数えてみた。
 
しかし政子はなかなか出てこないなあ。どこ行ってるんだ?
 

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その日、常滑舞音はΛΛテレビの歌番組で、近々公開される映画『黄金の流星』のトレーラーでも流れている曲『愛しのクレメンタイン・隕石水没版』を歌った。
 
In a cavern, in a canyon, excavating for a mine,
Dwelt a miner, nineteen eighter, and his pretty toy Golden ball.
 
Oh my darling, oh my darling, oh my darling, Golden ball.
You are sunk and gone forever, dreadful sorry, billion franc.
 
(大意)
洞窟の中に、谷間の奥に、鉱脈を探して
住み込んでる鉱山掘りの1908年者、そして彼の楽しいおもちゃ、金の玉
愛しの、愛しの、愛しの金の玉
君は沈んじゃって永遠に居なくなった。なんて可哀想な超フラン。
 
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ただテレビの歌番組では英語歌詞だけでは寂しいので、舞音はその後、この歌の有名な替え歌である『雪山讃歌』を歌った。「雪よ岩よ我らが宿り」というものである(作詞は西堀栄三郎(1903-1989)ほか多数の山男たち)。この日招き猫バンドは電気楽器で伴奏している。但し大崎忍はアコスティック・ヴァイオリンである。これは映画では公開されてないバージョンである。
 

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歌い終わってから、司会者のブリックリンと少しおしゃべりする。
 
「歌詞の中で何かゴールデンボールって歌ってたけど、金玉じゃないよね?」
 
(↑20時台の番組でこんなこと言っていいのか?)
 
「金玉です。アクアちゃんが映画の中でハッキリ言ってます」
と木下君!が答えた。
 
多分万一この発言が上のほうの人に咎められても舞音が出入り禁止になったりしないように自分が答えたのだろう。
 
「アクアちゃんが金玉って言ってるの?それは映画見なきゃ。やはり金玉落っことして探すけど見付からなくて、ぼくの金玉無くなっちゃったよぉとアクアが泣く話?」
 
「ネタバレになるけど、それ割と合ってますよ」
と木下君。
 
多分このやりとりで映画見ようという人が5万人は増えた。
 
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それで司会者が
「次は赤いトマトの皆さんです」
と言ってファンファーレが鳴ったのだが、
 
出てこない!
 
生番組ならではのハプニングである。
 
「おいどうした?赤いトマトどこ行ったの?」
と司会者が焦っている。ディレクターさんも焦っている。何人かADさんが走っている。電話している人もいる。
 
「その辺に居ないみたいです」
とADさんの声。
 
「どこ行ったんだ〜?」
と司会者。
 
そして司会者は言った。
 
「舞音ちゃん、1〜2分、場を持たせといて」
といって司会者まで探しに行く。
 

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舞音はびっくりしたものの「はい!」と返事して、すぐ対応する。
 
舞音は招き猫のメンバーに『演奏位置について』と言った。バンドメンバーが走って行って位置に付く。PAさんが急ぎそちらの楽器の音が鳴るようにする。
 
「では今『雪山讃歌』歌ったので、これと並ぶ替歌の山の歌『アルプス一万尺』(*1)」
と舞音が言うと招き猫バンドが前奏をする(バンプ2小節)。それに続いて歌う。
 
舞音「アルプス一万尺、小槍の上でアルペン踊りを踊りましょ」
木下「へい!」
谷口・平田「ラーンラランラ・ランランランラン・ラーンラランラ・ランランランラーンラランラ・ランランランラン・ランランランラン・ラン」
 
(篠原君はドラムスなので声を出すゆとりが無い。忍はヴァイオリンなので歌えない)
 
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谷口たちとのコーラスに合わせて舞音が“アルペン踊り”っぽい踊りを踊っている。
 
舞音「隣のじっちゃん・ばっちゃん、芋食って屁こいて、パンツに穴開いて空を飛ぶ(*2)」
木下「へい!(屁!?)」
谷口・平田「(コーラス)」
 
舞音は両手を横に広げて、飛行機のポーズで空を飛ぶように走る。
 
舞音「親父の頭に沢庵(たくあん)載せて、これがホントの親孝行(お香香)」
(舞音は木下君の頭に箸で摘まんで沢庵を載せるような仕草をする)
 
木下「へい!」
谷口・平田「(コーラス)」
 
舞音「親父の頭に雑巾(ぞうきん)載せて、これがホントの親不幸(拭こう)」
(舞音は木下君の頭を雑巾で拭く仕草をする)
 
木下「へい!」
谷口・平田「(コーラス)」
 
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(*1) 『アルプス一万尺』の元歌は、アメリカの独立戦争の時のことを歌った歌『Yankee Doodle』である。元歌の
 
Yankee Doodle keep it up
Yankee Doodle dandy.
Mind the music and the step
And with the girls be handy
 
という部分が「ランラランラ・ランランランラン・・・」になっている。
 
(*2) とってもどうでもいいが「隣のじっちゃん・ばっちゃん」を「田舎の」と歌うバリエーション、また「芋食って」を「地獄で」と歌うバリエーションもある。
 

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ここで赤いトマトたちが司会者と一緒に走り込んでくるのが見える。それで歌う。
 
舞音「赤と緑と黄色・オレンジのトマトをまぁるく並べりゃ、真輪(まわ(あ))っかトマト」
木下「へい!」
谷口・平田「(コーラス)」
 
招き猫は舞音が自分のパートを歌い終わったところで伴奏をやめ伴奏無しで「ランラランラン」を歌いながら引き上げる。赤いトマトが歌う曲『可愛い花束』の前奏カラオケが鳴り出す。そして舞音が赤いトマトのメインボーカル・香奈絵ちゃんにマイクを渡す。
 
「ごめんなさい」
と言って彼女が受け取る。それで赤いトマトの歌が始まった。
 
口パクだけど!
 
(歌い出す前に近眼の香奈絵がマイクに目を近づけるようにしてスイッチを切ったのがしっかり映っていた!)
 
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(以下は本放送に流れてない(*3)、赤いトマト歌唱中(歌唱してるふりしている最中)の会話)
 
「助かったよ。ありがとね」
と司会者のブリックリン。
 
「いえいえ。屁こいてとか歌っていいかなと一瞬思ったけど」
「構へん。俺が金玉言うくらいだから」
「お出入り禁止食らわないかなあ」
 
「大丈夫大丈夫。でも、そいえば“親拭こう”とかやってた。懐かしい」
とブリックリン。
 
「ハプニングに乗じて視聴者を楽しませるのが芸人だって、よく社長から言われてます」
と舞音。
「ああ、あんたん所の社長はそれが上手かった」
と先に歌っていた大岩新吾(元カレーブレッド)。
 
「俺コスモスちゃんのライブ行ったことあるけど、歌は歌わずにひたすら観客を笑わせてた」
とブリックリン。
 
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「JASRACへの支払いが少なくて済みますね」
「ほんまやね!」
 
(*3) 本放送では流れなかったが、後日スペシャル版で流された。
 

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舞音はこの番組の常連で同じ日に2曲歌うことも多いので、ブリックリンは舞音の対応能力を信頼していた。それで任せたのだろう。この日既に舞音は『いきなりキナリ、シルキーなり』と『愛しのクレメンタイン』と2曲歌っていたのと、長さの調整が利く曲として『アルプス一万尺』を歌ったが本家の歌を立山煌が歌っていたので、舞音は替え歌で歌った。
 
でもこの歌も音源化してほしいという声があったので、後日立山煌のCDに収録する方向で考えることになった。
 
この件は後でプロデューサーからコスモスにもお礼の電話があった。赤いトマトの事務所社長からはお詫びと感謝の電話があった。完璧に出番の時刻を勘違いしていたらしい。でもテレビ局の楽屋係の人も厳重注意をくらった(可哀想に)。彼女は4月に入社したばかりの人で、赤いトマトに声を掛けようとしたら居ないので焦って探していたらしい。
 
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視聴者からは
「タトゥーばりのドタキャンかと思った」
という声があった。
 
赤いトマトの公式ツイッター・アカウントからは
「ご迷惑かけてごめんなさい」
とい謝罪のツイートがあった。
 

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夏の日の想い出・赤い服(1)

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