広告:ここはグリーン・ウッド (第6巻) (白泉社文庫)
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■夏の日の想い出・赤い服(17)

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7月24日夜、セレン・クロム・花園裕紀の3人が緊急にキュアルームに呼び出された。花ちゃんが来ている。
 
「実は今日行われたビデオガールコンテストで、優勝した子が男の娘だったのよ。その子を3階に入れたいんだけど、どこに入れるべきか悩んでね。あんたたちの意見を聞きたいのよ」
 
「ああ」
「セレンかクロムのどちらかあるいは両方4階に移動する?」
「どうしても他の選択肢が無ければ移動してもいいですけど、ぼくも多分クロムもまだ男性機能が生きてますよ」
「あるいは裕紀ちゃん、4階に行く?」
「ぼく男の子です」
「うん。あんたはそういう意識だよね」
「あるいは飛鳥ちゃんかひかりちゃんに4階に移動してもらう?」
「ひかりちゃんは夏休み終わったら男子寮に戻ってくるんですか?」
「本人の気持ち次第」
「帰って来る可能性があるなら、ちゃんと空けておくべきだと思います」
とセレンが言う。
 
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このあたりは花園裕紀よりセレンの方がよほど寮長っぽい。
 

「もうひとつの選択肢は3階にいる5人のうち誰か5階に移動するか」
「ああ」
「でもネオンさんと同じフロアになれるほどの子が居ませんよ」
「セレンもクロムも今はネオン以上に年収があるけどね」
「でもぼくたちまだB契約だし」
「裕紀ちゃん5階に行く?」
「ぼくそこまで実績無いですー」
 
「ゆりこ副社長はセレンとクロムをまとめて5階の1室に放り込んだらなんて言ってたけどね」
 
3階の住人を性転換手術しちゃえばいいとも言ってたのは言わない方がいいなと花ちゃんは思った。そんなこと言ったら、ふたりとも費用出してもらえるなら手術受けたいと言いかねない。
 
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セレンとクロムは顔を見合わせた。
 
「それならいいですよ」
「そのまま2人で結婚してもいいよ」
「ぼくたちまだ結婚できる年齢じゃありません」
「確かに」
 

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ということで、セレンとクロムはまとめて503に放り込まれることになった。1人当たりの面積は少し狭くなるが、そのくらいいいですと2人とも言った。
 
引越作業は翌日7月25日に、業者さんも入れておこなった。裕紀、さくら、弘原如月、飛鳥、横川光照、更にはネオンまで手伝ってくれた。
 
「5階はずっとうちだけで寂しかったから住人が増えるのは嬉しい」
などとネオンも奧さんも言っていた。
 
「でもセレンちゃんとクロムちゃんって仲良いみたいだなと思ってたけど恋人だったのね」
とネオンが言う。
 
「違います!」
と2人は速攻で否定した!
 
でも明日には女子寮の全員から「結婚おめでとう」とか言われそう、とクロムは思った。
 
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ともかくもそれでその日(7/25)の夕方には301,302の清掃がおこなわれ、新しい住人を受け入れられる態勢ができた。
 

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7月24日にビデオガールコンテストを終えて、Honda-JetGoldで花巻空港まで送ってもらった湯谷薫は、空港に駐めていた車に両親と共に乗って、下北半島中央部付近にある川内町に帰った。
 
川内町からは、青森空港まで行くのも、花巻空港まで行くのも大して時間が変わらない。受験生の中に盛岡から参加した人がいたので、その子と一緒に花巻空港送迎ということになった。むろん花巻空港と自宅との間のガソリン代概算と高速代はもらっている。
 
すぐ翌日(7/25)、学校に転校を申し出ると、担任の先生は
「壮行会をしよう」
と言って、3年生の全員に連絡。30人の内、部活の大会などで都合がつかなかった2人を除いて28人(本人を含む)が集まり、ほんとに壮行会(時節柄飲食無し)を開いてくれた。
 
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「櫻坂46に入るって?」
「利根川32でしょ?」
「そんな女の子のグループに私が入れるわけないじゃん」
「いや、カオルちゃんはゴールデンウィークに性転換手術を受けたと聞いた」
「まだ受けてないよぉ」
「あ、だったらこれから性転換手術受けて、櫻坂に入るの?」
「手術とか受けないって。私が入るのは信濃町ガールズというマイナーなグループ」
「ああ、アクアちゃんとか常滑舞音ちゃんのバックで踊ってる子たち」
「だったら、やはり性転換手術受けたのね」
「大丈夫だよ。カオルちゃん見て、元男の子だと思う子は居ないから」(←言いふらす気満々)
「あ、それ自体はわりと自信ある」
 

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それでともかくも7/25日中に荷造りをし、特に親しい女子数名、特にチア部の子たちに別れを告げ、7/26夜明け前に出発し、母の運転する車で母・姉と一緒に花巻空港まで行った。空港には8時頃着いた。待っていてくれたHonda-JetGoldに荷物ごと母・姉と一緒に乗り、熊谷の郷愁飛行場まで飛ぶ。
 
そして荷物をSCCの車に乗せ替え、用賀の男子寮まで行った。
 
ただし薫の姉・湯谷紡は、信濃町の事務所に行き、コスモス社長に弟をビデオガールコンテストに参加させた件で謝罪した。
 
「すみません。ひとりだけでオーディションなんて出るの不安だったので、弟ならきっと女の子にしか見えないと思って一緒に参加させちゃいました」
「まあ確かにそういう子は時々居る」
「さすがにリアルで見られたら女でないのバレる気がしたのですが、契約するまで気付かれなかったと聞いてびっくりしました」
「薫さん、女の子にしか見えないから男の子と聞いてこちらこそびっくりした」
「あの子多分こっそり女性ホルモンやってるんだと思います」
「だろうね。中学3年で声変わりしてないというのは、普通それしか考えられない」
 
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アクアや木下宏紀などは、極めて特殊なケースだ。
 

「もしお詫び金とか払った方がいいなら、私何年かかかると思うけど頑張って払いますので」
「それは別にいいよ。気付かなかったこちらにも落ち度があるからね。お詫び金を払うつもりがあるという、その気持ちだけで充分」
とコスモスは笑顔で言う。
 
「ありがとうございます」
 
「ところで、お姉さんもタレントになる気無い?」
「え〜〜〜〜!?」
 

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一方用賀に行った薫は男子寮302号室に入居する。男女通して1番乗りである。
 
「いらっしゃーい」
と言って薫を歓迎し、荷解きなどを手伝ってくれた子の多くが女の子に見えるのでお母さんは戸惑っていた。それでセレンが
 
「ぼくたちみんな男の娘でーす」
と言うと、やっと納得していた。
 
「うちの子が目立たなくて済む」
と言ってお母さんは笑っていた。
 
「ここは寮内で女の子の服着て歩いてても誰も何も言いません。3階の住人はみんなそんな子ばかりだから」
 
「よかったじゃん。あんた気楽に女の子できるね」
「うん。居心地良さそう」
「ちなみに2階にいるのは普通の男の子ね」
「なるほどー」
 
「4階に居るのはもう男の子やめちゃった子」
とセレンが言うと、さくらが
「異議あり」
などと言っていた。
 
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確かに女の子になるつもりならダミー睾丸など入れなかったろう。さくらとしては、男性化を止めたかったか本物の睾丸を取っただけである。自分としては49%くらい女の子のつもりでいる。
 

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薫のお母さんは“女子寮に”1泊して翌日“ひとりで”青森に帰った。
 
ちなみに男子寮302号室に置かれていた信濃町ガールズのユニフォームはもちろんスカートタイプのみである!
 

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今回のオーディションで2位になった松崎典佳は7月24日の午後、Honda-JetRedで熊谷の郷愁飛行場から薩摩川内市の蘭牟田飛行場まで飛んだ。
 
「今年の春に飛行場ができて商工会とかの人が騒いでましたけど、どこかの企業の専用飛行場と聞いてたから、自分がそこを使うとは思いも寄りませんでした」
と典佳は言う。
 
「§§ミュージックがムーランエアーの25%の株主だし、§§ミュージック会長のケイさんがアイミューズの専務でもあるから、自由に使えるんですよ」
とパイロットの高山さんが言っていた。
 
「凄いですね。大きな女子寮、巨大な全天候型撮影スタジオ、自前のハイヤー会社に自家用飛行機とかも持ってて。§§ミュージックって巨大資本なんですね」
「アクアの稼ぎが膨大だからでしょうね」
「なるほどー」
「今回の映画のギャラが40億円らしいし」
「きゃー!」
 
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25日に学校に行って転校を申し入れる。
 
「へー。東京に出てタレントになるんだ?」
「タレント予備軍ですけどね」
 
連絡の付いたクラスの有志とバレー部とで合同の壮行会(飲食無し)を開いてくれた。
 
「事務所はどこ?」
「ジャニーズ?LDH?スターダスト?」
「§§ミュージックというところ」
「そこ女の子専門のプロダクションじゃないの?入れてくれるの?」
「大丈夫。性転換手術受けてから加入するから」
 
むろんみんなジョークで言っている。
 
「女の子になるのなら、ちゃんと“わたし”って言えるようになろう」
「それが最大の難題だなあ」
 

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机とか本棚・布団などは寮に用意されているという話だったので、典佳は数日分の着換えや身の回りのものと、愛用のフルートだけ旅行バッグ2つに積めた。残りの着替えはあとで送ってもらうことにする。
 
それで典佳は7月26日朝、藺牟田飛行場まで母に送ってもらい、Honda-JetRedで熊谷の郷愁飛行場まで飛んだ。
 
「あれ?君1人だけ?」
「はい。特に荷物も無いし」
「荷物もそれだけなんだ?」
「着替えとか本とかCDとかは宅急便で送ってもらいます」
「なるほどね」
 
それで熊谷からはSCCの車で五反野の女子寮に入った。松崎典佳はA203に入った。
 
男子寮に行った薫の少し後、女子寮ではトップの入寮だった。
 

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6位になった奈良県御所(ごせ)市の石塚舞菜は7/24 に_Honda-Jetblueで関空まで送ってもらい、父が運転する車で御所市に帰還した。翌日25日に転校を申し入れ書類を作ってもらう。やはり他の子と同様にクラス委員が呼びかけて、クラスメイトたちは有志で壮行会を開いてくれた。
 
それで26日いっぱいまで掛けて荷造りをし、26日夜、父の運転する車に母・姉と一緒に乗って東京へ向かった。父は休憩しながら夜の東名/新東名を走り、7月27日のお昼過ぎ、東京に到着。五反野の女子寮まで行き入寮した。彼女はA207に入った。女子寮では2番乗りである。
 
両親・姉の手で荷解きや必要なものの購入などをする。両親たちは今夜帰ると言っていたが、花ちゃんは
 
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「長旅だから休憩してから帰ったほうがいい」
と言い、お姉さんは舞菜の部屋に、両親はメゾン・ドゥラ・カデットに泊めた。そして翌日(7/28)3人で奈良に帰って行った。
 

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4位になった茨城県水戸市の杜屋幸代は24日母の運転する車で帰宅した後、25日に学校に行って転校を申し入れたら担任の先生が出張中だから少し待ってと言われた。
 
それで荷造りしながら待っていた。この日、クラス委員が呼びかけて夕方有志が集まり、壮行会をしてくれた(飲食無し:幸代の母が用意したケンタッキーは各自持ち帰り)。
 
27日になって担任の先生が
「ごめんごめん。タレントとか大変だろうけど頑張ってね」
と言って、転出の書類を自宅まで持って来てくれた。それで、その日の内に幸代は母の車で東京に出て、(7/27午後)五反野の女子寮に入寮した。杜屋幸代はA205になった。女子寮3番乗りである。
 

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夏の日の想い出・赤い服(17)

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