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■夏の日の想い出・赤い服(9)

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6月25日(土).
 
昔話シリーズ第5弾、スパイスミッション主演『ブレーメンの音楽隊』が放送された。
 
スパイス・ミッションの4人が、ロバ・犬・猫・鶏の着ぐるみを着て熱演しとても楽しいドラマになっていた。ロバたちの飼い主を演じたのはXETIMAのメンバーたち、泥棒を演じたのはWADOの4人(女泥棒の設定)で、豪華な出演者がまた話題を呼んだ。
 
次回はCCD主演と予告され、女子たちの歓声が上がっていた。
 

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「でもWADOが演じた役って、男でも女でも関係なかった気がする」
「まあそれは言いっこなしで」
 
この役のオファーは年を開けてから行われた。結果的にはWADOの4人が揃って性転換して女になった後、最初の大きな役のオファーとなった。
 

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青葉邸に第2リビングを作る工事は南田弟の都合がつかなかったので広沢にしてもらうことにし、彼と、千里4・真珠・明恵、朋子の5人で話し合ったが、6/19-20は中断することになる。
 
今売り出し中の薬王みなみが写真集撮影のため能登半島に来たのだが、新しい塗装になった "Tiger" を使用した。それで6月19日『霊界探訪』で取材しに行った。
 
ところが取材中に大きな地震がある。空港も飛行機も無事だったので、薬王みなみを載せたHonda-JetNewTigerは滑走路の点検が終わるのを待って熊谷に向けて離陸して行ったのだが、取材班はそのまま震源地近くで大きな被害が出ている模様だったS市に救援に行くことになる。
 
そして深夜、潰れる寸前の人形美術館のビスクドールたちを避難させる作戦に、ヘルプで呼んだ人たちを含め40人くらいですることになった。
 
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深夜の作業でくたくたになったので、話し合いの続きは6月23日に再開される。それで改造方針が定まったのが24日で、工事は6月27-28日の2日間で実行された。元々この家の壁はパーティション方式で作られているので、そのパーティション(厚さは15cmほどある)を留めているボルトを外し、新しい位置に移動してまたボルトで留めるだけである。但し荷物は適当に移動する。
 
「すみません。散らかっていて」
と朋子が恐縮していた。
 
桃香は寝ていたが、寝ている布団ごと引っ張って移動した(それで起きないのは大したものである)。
 
またトイレやバスのユニットは、床や配管とともに移動して配管を調整した。
 
2日で改造は終わり、青葉邸に第2リビングができたのである。
 
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Before(再掲)

 
After

 

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タレントさんは直接サンルームに入ってもらうことも考えたが、
「やはりちゃんと玄関からお招きしよう」
ということになり、玄関からサンルームまで衝立で通路を作ることにした。
 
「この衝立にポスター貼ろうよ」
「誰のポスター貼ります?」
「タモリさんの番組でやってたみたいに、その前に登場した人の写真を貼っていく」
「だったら、前3つということで、富士川32・三つ葉・ボニアートアサドのポスターを貼りますか?」
「いや、ここでまた新たなシリーズを始めるということで、最初は青葉が曲を提供している主なアーティストのポスターを貼っておこう。その後1人ずつ替えていく」
 
「ああ、なるほど」
「最初は、アクアと羽鳥セシルと・・・・」
「薬王みなみ?」
「北里ナナで」
「アクアと北里ナナで別なんだ!」
 
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「濡れ縁から音楽室に入る所も衝立の道が必要ですね」
「ここには、各アーティストの事務所の、先輩歌手のポスターを貼ろう」
「それ人選が凄く難しい気がします。“政治的”に」
と真珠は言う。
 
「この人が選んだのなら文句あるまいという人に選んでもらう」
「ああ」
 
それで千里はケイ(冬子)に電話して趣旨を伝えた上で、UFOの事務所ζζプロの実力者しまうらら、スパイス・ミッションの事務所○○プロの次期社長予定者・保坂早穂あたりに4組“順序付きで”推薦してもらって、ついでにポスターを提供してもらってほしいと伝えた。
 
「そのふたりといつでも直接話せるのは業界でも冬くらいだよね?」
「まあ連絡するよ。確かにその2人が選んだら誰も文句言えない」
「4人の中には本人も入れて」
「それは伝えておいたほうがいいね。どちらも遠慮する人ではないけど」
 
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むしろ自分が中心でなければ不快な顔をする人だ。特に保坂早穂は“取扱注意”である。逆鱗が20-30ヶ所ある!しまうららさんは取り敢えず表面的には優しい。
 
「それとラピスラズリと常滑舞音の時にポスター貼る人をコスモスちゃんに推薦してもらって。ゆりこちゃんが選ぶと絶対変な選び方する」
「ああ」
 
きっと“初代川崎ゆりこ”(*34) の、かっあいい写真など発掘してきてポスター作りそうだ。
 
しまうららも保坂早穂も、自分のポスターが無かったので慌てて作ってプリンターで印刷したらしい!(20年くらい前の写真を使って!!)
 

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(*34) ケイ(冬子)のこと。冬子は§§プロ(当時)から“美少女アイドル”として売り出す話があり、“川崎ゆりこ”の芸名ももらった。紅川社長(当時)は「自分の肉体的な性別は忘れなさい。設定年齢のある歌手がいるように、君は設定性別:女で問題無いから」と言われた。
 
しかしさすがに美少女アイドルというのに本人としては抵抗があり、一方で★★レコードの加藤課長(当時)の方から、政子と組んでデュオとして売る話(当初のユニット名は“イチゴ・シスターズ”!)が進みそうだったので、こちらは辞退した。そして“川崎ゆりこ”の芸名は、次にデビューすることになった蓮田エルミ(現在の川崎ゆりこ)に再利用された!
 

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6月26日(日).
 
第3回ビデオガールコンテストの2次審査がリモートで行われた。
 
2次審査に参加した93名を11-12名ずつ8つのグループに分け、4組の審査員グループがこの日の13:00 と 16:00 からリモートで審査を行った。グループはレベルが平均するように分けている。
 
審査員団
A ケイ・千里・羽島大地・品川ありさ
B コスモス・ジュン広多・峰川イリヤ・高崎ひろか
C ゆりこ・日野ソナタ・小林雪恵・姫路スピカ
D 花ちゃん・花咲ロンド・春風アルト・白鳥リズム
 
羽島はシックスティーンの編集長、ジュン広多は振付師、峰川イリヤは編曲工房主宰者、小林雪恵はあけぼのテレビのアナウンサー室長、春風アルトは同社長。
 
アクアが入ってないのは映画製作中だからである。
 
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各グループでは、基本的に1名のみを合格とする。但し2位がとても惜しい場合、最終的に、ケイ・コスモス・ゆりこ・花ちゃんの4人で質疑応答やパフォーマンスのビデオを再検討し、本選に出れば優勝の可能性があると思われる場合合格とすることにしていた。
 

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それで各グループで1位になった8名中7名が地方ガールズであった!
 
「これって、私たちの好みと地方ガールズの傾向が一致してるんだろうね」
とゆりこ。
「それは地方ガールズのレベルが上がっているという点では良いことでもあり、地方ガールズが枠にはまりつつあるのでは?という点では危険な傾向でもある」
と花ちゃん。
 
それで私たちは話し合って2位の8名の内、一般応募の3名は全員本選進出とすることした。残り5名についてビデオを比較検討し、2人を本選進出とした。また3位だった子は地方ガールズ4名と一般応募4名だが、私たちは一般応募の4名にインビテーションを出すことにした。
 
「あなたはとても優秀でしたが、本選進出ラインのぎりぎり未満でした。もしご希望なされば“どの地域の”地方信濃町ガールズ(信濃町メイト特待生)としてでも無試験で受け入れます。レッスン代・交通費無料で歌唱・ダンス・ピアノなどのレッスンを受けられますので、ぜひご検討ください」
 
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“どの地域の”と断ったのは、岡山からわざわざ関西に参加している子とか、福島からわざわざ関東に参加している子とかがいるからである。むろん、より高いレベルの子たちと一緒にレッスンを受けたいということである。どこに参加するかは基本的に自由なので、稚内から那覇の教室に参加してもよい!そういう希望をした人は過去にもいないが。
 
そして13名(地方ガールズ9名・一般応募4名)で本選は争われることになった。
 

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青葉は世界水泳を終えた後、6月27日に帰国した。
 
・・・はずなのだが、私やコスモスは彼女の居場所を見失った。千里に拉致されたのだろうかと思い、千里に電話してみると、千里も行方を見失っているらしい。
 
「青葉の隠れ方も段々レベルアップしてるな」
「GPS発振器でも付けとく?」
「外されちゃうよ」
「体内に埋め込んじゃうとか」
「無茶な」
「全ての千里にはGPS発振器が埋め込まれているから、どの千里がどこに居るかはすぐ分かる」
「マジ?」
 
きっとお互い鉢合わせしたりしないように、そういうことしてるんだろうなと私は思った。
 
27日の夜遅くになって、千里から連絡があり
「なんとか明日の昼くらいに青葉をキャッチできそう」
ということだった。
 
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「青葉どこに居るの?」
「分からない、でも多分明日の昼には分かる。それをキャッチするからそちらは7月2-3日に、ラビスラズリ・UFOと一緒に能登に飛ぶ準備してて」
「分かった」
 

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青葉はうまく千里もケイも撒いたつもりだったのだが、僅かな漏れがあった。
 
青葉は27日の晩、実は都内のホテルに泊まったのだが彪志に電話した。そして
 
「今すぐ会いたいのはやまやまだけど」
と言って、長時間彼と話した。
 
電話の後、彪志は考えた。しばらくは大きな大会も無いし、自分にも会わずに青葉が行くとすれば、伏木の自宅にいったん帰るつもりなのではと。それで彪志は思った。青葉はきっと明日28日に熊谷から能登に飛ぶだろうから、せめてお見送りしようと。
 
それで彪志は熊谷の郷愁飛行場に向かったのである。そして浦和にいる千里が心配しないように、今夜は帰らないことを千里(千里2A)に電話した。その電話を傍受した“司令室”の千里5は、彪志君は青葉とどこかでデートするのではと考えた。
 
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一方彪志が郷愁飛行場に来たのを偶然千里の眷属・清川が見て千里(千里4)に報告した。それで千里4と千里5の情報交換から、青葉は彪志君と一緒に明日伏木の家に移動するつもりなのでは?と考えた。
 
それで飛行場を監視していたら、11時頃、青葉がレンタカーでやってきて彪志と落ち合った。ところが、彪志は青葉の飛行機には一緒に乗らず、見送りデッキに行った。
 

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「なんで彪志君残るの〜〜〜?」
と千里5。
 
「仕事があるからでは」
と花星。
 
「よし、休みが取れるようにしてあげよう」
と言って千里5が彪志君の会社に工作しようとしたら、彪志君は今週いっぱいお休みをもらったことが判明する。
 
「だったらどうしてデートしない訳?」
「取り敢えず彪志君を伏木に連れて行きましょうよ」
と小道。
 
「じゃさ、ヴィクトリア。彪志君を拉致して伏木まで連れてってよ」
「私がやるの〜?」
「それとも半日くらい司令室見てる?」
「無理〜!」
 

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それで千里6(ヴィクトリア)は、オスのキツネを4人呼んで全員黒ずくめの衣裳に覆面を付けさせる。ひとりにテレビカメラを持たせ、一緒に郷愁飛行場の送迎デッキに行く。千里だけは素顔である。空港スタッフが見ているが笑っている。拉致作戦というのは堂々とやるものである!こそこそやると怪しまれる。
 
それに千里が居てテレビカメラも居ると、またテレビの企画か何かだろうと思ってくれる。
 
彪志君が青葉の乗った飛行機が飛び立っていくのを手を振って見送り、帰ろうとする。千里も覆面をして出て行く。カメラ係がカメラを回す。
 
「我々はネオショッカーだ。お前を拉致してカタツムリ女かハリモグラ女にする」
と千里(ヴィクトリア)は言った。
 
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「千里さん!?何の冗談ですか?」
と彪志。
 
「カタツムリ女とハリモグラ女とどちらがいい?」
「女のフィアンセがいるから女にするのは勘弁してください」
 
「女同士のほうが気持ちいいぞ。ちんちんは無くなるから諦めろ」
「そんなあ」
 
それで彪志の手を後ろで縛り、アイマスクをし、猿ぐつわも噛ませる。
 
スタンバイしてもらっていたHonda-Jetblackに連れて行く。搭乗ゲートを通るが空港スタッフは笑っていた。パイロットのエリッサも笑っていた。
 

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飛行機が離陸してから猿ぐつわは外す。
 
「伏木まで連れて行くから青葉と今週いっぱいデートしなよ。お休みもらってるんでしょ?」
 
「ああ、そういうことですか。分かりました」
「それでカタツムリ女とハリモグラ女とどちらがいい?」
「どちらも勘弁してください」
 
「どっちみち、彪志君は今年中には誰かに性転換されて女になるらしいから」
「なんでそうなるんですか〜?」
「ちんちんがまだある内にたくさん青葉と愛し合っててね。赤ちゃんも作っちゃうといいよ。来年からはレスビアンになるから。無事女になれたら、お化粧品セットと女物の下着に、通勤用のスカートスーツ買ってあげるね」
 
「どこまでマジでどこから冗談なのか分かりません」
「私全部マジなのに」
 
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(6番はわりとマジである。嘘が酷いのは2B,3,4の3人)
 

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夏の日の想い出・赤い服(9)

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