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■夏の日の想い出・赤い服(10)
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それで千里は能登空港に降りると、伊呉三姫(ミッキー)に用意してもらっていたステップワゴンに彪志を乗せる。拉致に付き合ってくれたキツネ4人は空港の駐車場で休んでいてもらう。ミッキーが駐めていたマイクロバスの中で“赤いきつね”とお稲荷さんを食べて休んでた。千里はミッキーの運転で伏木の青葉邸まで行った。
それで玄関前に彪志君を降ろし
「青葉が帰って来るまで青葉の部屋で待機しててね」
と言った。
「青葉まだ帰ってないんですか?」
「『警戒探訪』編集部に拉致されたから」
「ああ、可哀想に」
「たぶん1〜2日で用事は終わると思うから」
「分かりました」
それで千里6は能登空港に戻り、キツネたちと一緒に熊谷に戻った。
一方、彪志より早い便で能登空港に着いた青葉は、千里(千里4)と真珠たちに拉致されて、S市に向かった。そしてレストラン琥珀の再建問題で手助けをした。
そのあと6月29日夕方、8ヶ月ぶりに自宅に戻り、彪志と週末まで水入らずの時間を過ごした。
7月1日(金).
女子寮の移動第5弾が発表された。
石条ぼたん A402→A602
宮地ライカ A407→A505
知多めぐみ A408→A506
多くの女子寮生たちの声
「ぼたんちゃんは、両隣がイリヤちゃんとコリンちゃんで、あけぼのテレビ・グループをまとめたもので、ライカちゃん・めぐみちゃんは隣がリエナちゃん・マイコちゃんで、CAT sisters(*35) をまとめたものだろうね」
この結果、A4階が完全に空いた。
C5 白鳥 薬王 姫路 花咲 ---- 品川 坂田 悠木 常滑
C4 三田 恋珠 花貝 斎藤 原町 石川 安原 桜井 甲斐
C3 七尾 容子 暢香 瑞絵 佐藤 立花 太田 中村 水谷
C2 鈴鹿 夕波 古屋 松島 鹿野 ---- ---- ---- 直江
C1 ---- 今川 大空 ---- 左倉 ---- ---- 上野 ----
A6 大仙 石条 山本 ---- ----(鈴原)長浜 七石
A5 美崎 ---- 豊科 箱崎 宮地 知多 ---- ----
A4 ---- ---- ---- ---- ---- ---- ---- ----
A3 春野 広瀬 酒田 花畑 米田 南里 西浜 ----
A6に入れられた七石プリムの件は後述。
(*35) しばしばサロンで(無料の)おやつを食べながら、花ちゃんまたは稲田姉妹などとおしゃべりしていたグループ。暇そうなので舞音や水谷姉妹と一緒にコスプレする役に徴用され、とても忙しくなった。
周囲が大量に移動した中、同じ場所に留め置かれた美崎ジョナが悩んでいたので花ちゃんは彼女に声を掛けた。
「君も次の曲が売れたら新館に移動になるから頑張れ」
「はい、頑張ります」
とジョナも答えた。
その表情から、この子も少しは精神的に進歩したなと花ちゃんは思った。
美崎の場合、繰り上げ1位というので下手に頑張りすぎて、そのプレッシャーに潰れたのではないかという気もした。最初から2位か3位だったら、もっと伸びていた気がする。素質としてはとても高いのに。
今年は1位が、年齢が対象外だったとか、実は男の子だったとか、実は人間ではなくアンドロイドだった!?とかで、辞退しても繰り上げ優勝はしないように、コスモス社長に提言しよう、と花ちゃんは思った。
一方、ケイとコスモスは、7月2日朝、ラピスラズリの2人、UFOの3人と一緒に能登空港に飛んだ。ここで、ラピスとUFOを運んだHonda-Jet
DeepBlueを操縦したのは、山村マネージャーである。人数の都合でどうしてもパイロットを2人乗せられなかったので、たとえエンジンが脱落して主翼がもげたとしても(どんな事態だ?)安全に着陸させてくれそうな山村にお願いした。
また〒〒テレビのスタッフもこの日午後からの取材に向けて動き出していた、知らないのは青葉だけである!
青葉が休暇の終わる彪志を送って能登空港まで来る。そして彪志がラピスたちの乗ってきた機体の帰りの便に乗って熊谷に向け飛び立って行くのを送迎デッキから見送る。そして降りてきたところで、私たちは青葉の前に現れる。
コスモスが笑顔で
「大宮万葉先生、お帰りなさい。金メダルおめでとうございます」
と言って、青葉にケーキの箱を渡す。
青葉は思わず
「ありがとう」
と言ってケーキの箱を受け取った。
「大宮万葉先生、金メダルおめでとうございます」
とUFOの3人も言う。
青葉は泣いていた!
「私、どこに連れて行かれるの?」
などと言っている。
コスモスが笑顔で
「大宮先生の御自宅にお邪魔していいてすか?」
と言うと青葉は意外だったようで、
「いいけど」
と答えた。
それで初海が運転する青葉のマーチ・ニスモに私とコスモスが同乗し、私は道々、ミュージシャンアルバムの取材を青葉の家ですることになったことを説明した。青葉は最初は「そんな勝手に」と怒ったものの、すぐにそれが自分の負荷を小さくすることだと気付き、(多分)同意してくれた。
それでその日のうちにUFO, 翌日(7/3 Sun) にスパイス・ミッション、ラピスラズリ、常滑舞音、と合計4組の取材をしたのである。
取材の時、通路のポスターはこうなっていた。
表側
●UFO:アクア、北里ナナ、羽鳥セシル、UFO
●SPM:アクア、北里ナナ、UFO、スパイス・ミッション
●Lapis:北里ナナ、UFO、スパイス・ミッション、ラピスラズリ
●舞音:UFO, スパイス・ミッション、ラピスラズリ、常滑舞音
裏側
●UFO:しまうらら、松原珠妃、谷崎姉妹、リダン♂♀
●SPM:保坂早穂、貝瀬日南、南藤由梨奈、森風夕子
●Lapis:アクア、北里ナナ、姫路スピカ、白鳥リズム(*36)
●舞音:北里ナナ、姫路スピカ、白鳥リズム、ラビスラズリ(*37)
(*36) 本番前に見た時は、日野ソナタ、コスモス、ゆりこ、桜野みちるだった。
(*37) 本番前に見た時は、アクア、姫路スピカ、白鳥リズム、ラピスラズリだった。
ポスターの張り替えは、コスモスから直接真珠に指令が出て行われた。司会者が驚かないように、町田朱美にだけ話を通していたので、青葉とケイは知らなかった。(はるこは何も考えていない!)
またコスモスは青葉にアクアが映画製作終了後に作るアルバムの編曲作業を依頼した。青葉は自分の家の隣にいつの間にか熊谷のコテージと同じくらいの広さのスタジオができているのに、びっくりしていた。
助手となる立花紀子と南田容子は、最後にインタビューした常滑舞音およびインタビューワーのラピスラズリを熊谷に帰す飛行機の往便で能登空港にやってきて、伏木の青葉邸隣!のスタジオに入った。
映画『お気に召すまま』のアフレコ作業は予定を1日だけオーバーし、7月1日に終了した。大曽根部長が謝っていたが、みんなこの程度の遅れは想定内だったようである。
「某映画なんて製作が3ヶ月遅れたから」
「それだけ遅れると次の予定が入ってる人が多いのでは」
「そうそう。だから役者さんが揃わなくて更に遅れたんだよ」
「ああ。『****』か」
「間が空くと前どういう展開だったか忘れちゃうし」
「あの映画、興行成績も悪かった」
「***さんはあれで借金20億抱え込んだらしいよ」
「20億借金できるところが凄いけどね」
「僕なら20万円くらいしか貸してもらえない」
「俺なら2千円くらいしか貸してもらえない」
「基本タレントって信用無いし」
「クレカも作れないし」
「アクアちゃんならブラックカードでしょ?」
「え?ぼくクレカとか持ってません」
「・・・・・」
「アクアが買い物するシーンが存在しない気がする」
「確かに」
「ぼくがスーパーやデパートとかで買物しようとしたらサイン求める列ができちゃうから買物なんてできません」
「だよねー」
「買い物しない人はカードも要らないのか!」
「でも通販とかで使わない?」
「VISAデビットで充分です」
「なるほどー」
「お金が充分ある人は後払いにする意味無いもんね」
「即時決済してしまったほうが管理も楽だし」
「ブラックカードなんて会費高いばかりだしね」
7月2日(土).
KDDIで大規模な傷害が発生。§§ミュージックではスマホ社員証を使っていた人たちが会社や社員寮!などのゲートを通れない事態となり、警備員を立ててゲートで手作業で社員証をチェックするなどの対応に追われた。
郷愁村では客室・コテージ・別棟の大浴場!に入れない客が続出。紙のQRコードを印刷して渡すなどの対応に追われた。
§§ミュージックでは検討中(というより近い内に導入するつもり)だった、タレント・信濃町ガールズたちのスマホidカードの導入を見送ることを決めた。
「だいたい、うっかりバッテリー切れにする人いるし」
「エーヨとか、東雲はることかは、その手のトラブルが多い」
「その子たちこそ、よくidカード紛失するから有用だと思ったんだけど」
映画の製作が終わったので、楽屋係をしていた夕波もえこはあけぼのテレビに復帰した。しかし鹿野カリナはこの機会に仮免卒業ということにして、キャスター担当表を改訂した。
_17:00_18:00__19:00_
月夢夜_|コリン・あまめ
火ツイス|プリム・ふうか
水みなみ|ぼたん・あらた
木リエナ|イリヤ・カリナ
金レモン|金平糖・もえこ
やっとアンカーキャスターが5人揃って、19時台を1人1日ずつ担当すれば良いことになった。1年半くらい前に、中村昭恵・悠木恵美・水谷姉妹・常滑舞音・桜井真理子(など。組合せは頻繁に変わっている)の5組でやっていた頃の状態にやっと戻すことができた。
しかも今度は以前のように“デビュー間近の子にキャスターをさせて経験を積ませる”のではなく、あけぼのテレビキャスターとしてA契約をしているので、しばらく安定で運営することができる。
カリナがA契約になったので“出席番号”はこのようになっている。
56.鈴鹿あまめ 57.夕波もえこ 58.薬王みなみ 59.古屋あらた 60.松島ふうか、61.鹿野カリナ、(62予定?).山本コリン
(本当は薬王みなみが56だったのだが、みなみが「“親分”(*38) たちを差し置いて上の番号は取れない」と言って番号を交換してもらい、自分が夕波もえこの次になった)
(*38) 鈴鹿あまめのこと。夕波もえこ・薬王みなみ・古屋あらた・松島ふうか・石条ぼたん、たちからこう呼ばれている。あまめが中学生とは思えない落ち付きと機転、たくみな会話術と豊富な話題で、そつなく番組を進行させることから、あけぼのテレビのスタッフでも、こう呼ぶ人が多い。
あまめは多分、ジャンルこそ違え、アクア以来の逸材。
今回の改訂で、七石プリムは18時台に正式にアサインされた。
「あんたが女子寮に住んでたら17時台を任せるのにねー」
と夕波もえこから言われる。
「女子寮に住むなんて無理ですー」
「でも夏休みの間は女子寮に滞在してもらうからね」
「え〜〜!?」
(↑“滞在”で済むといいね)
花ちゃんは七石プリムに
「君にはA608を用意した」
と告げ、彼のIDカードに女子寮に入れるフラグを立ててあげた。鈴原さくらも女子寮に入れるフラグが立っているが、彼の場合はそもそも性別が女に設定されている。しかし七石プリムの場合は性別は男のまま女子寮フラグが立てられた。
そのプリムは小林雪恵アナウンサー室長から声を掛けられた。
「プリムちゃん、いつもズボンのスーツ着てるけど、足に傷とかあるんだっけ?」
「いえ、特に」
「だったら番組に出る時はスカートのスーツ着ててくれる?女子の場合、ズボンのスーツは略式の服という扱いになるからさ。キャスターはきちんとした身なりしておかないといけないし」
「あ、はい」
(↑なぜ自分は男ですと言わない?)
それでプリムは
「スカートススーツとか恥ずかしいよぉ」
などと呟いていた。
(↑学校にはセーラー服で通学しているくせに。信濃町ガールズとしてバックダンスする時もスカート穿いてるし)
そして松島ふうかが、プリムのスカートスーツ選びに付き合ってあげた!ついでにスーツ代も取り敢えず立て替えてあげた!
なんて親切な先輩!
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