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■夏の日の想い出・赤い服(18)

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3位になった愛知県大府市の吉坂恵夜は、24日に小牧までHonda-Jetblackで送ってもらったあと、25日(月)に学校に転校を申し入れた。するとクラス委員から明日送別会をするよと言われたので、早く東京に行きたいけどまあいいかと思った。それで25日いっぱい掛けて荷造りをし、26日の午後に送別会(飲食無し)をしてもらった。その後、祖父から親戚で壮行会してやると言われ、27日の夕方、祖父の家に行き、親戚のおばちゃん・おじちゃんたちの飲み会!に付き合わされた。
 
ただし、本人は『5人以上での会食が禁止されているから』と言って、宴会の部屋には入らず、離れた部屋で、母・叔母と3人でケーキとお茶を飲んでいた。
 
結局7月28日に“お酒を飲まなかった”母とその叔母が交替で車を運転してくれて東京に出、28日夕方、五反野の女子寮に入寮した。吉坂恵夜はA204に入った。色々余計なことで時間を食ったので自分が入寮最後かな?と思ったが、あんたは4番目でまだあと1人来てないと聞いてホッとした。自分以上にのんびりしてる子もいるんだなと思った。
 
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なおこの宴会参加者から3人もコロナ感染者が出た(父は幸いにも陰性)ので
「あの部屋に入らなくて良かったぁ」
と思った。
 
この件は一応副寮母さんに報告したが、
「あんた自身がその部屋に入ってないなら濃厚接触者には該当しないね」
と言われた。念のため検査したが陰性であった。
 

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5位だった富山県氷見市の吉川萌花は、7月24日、Honda-JetTigerで富山空港まで送ってもらい帰宅した。
 
「何日までに東京に行かないといけないの?」
と留守番をしていた父から訊かれる。
 
「今月中には寮に入ってと言われた」
「ああ、じゃ金曜日(7/29)の晩から俺が東京まで送っていくよ」
「うん」(←本人ものんびり構えている)
 
それでのんびりと荷造りし、7月29日に大学生で金沢に出ているお兄さんだけ置いてそれ以外の家族4人で車に乗り東京に向かう。父が運転して翌朝到着。7月30日10時頃、五反野の寮に入った。吉川萌花はA206に入った。今回最後の入寮者である。
 
一晩中運転していた父が車内で寝ている中、残りの3人で荷物を運び込む。
 
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花ちゃんが、荷物の搬入をしている女の子に目を留める。
 
吉川萌花は156cmほどの背丈があるが、その子は148cmくらいである。
 

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「君、妹さん?まだ小学生かな?」
「ぼく高校生です」
とその子は恥ずかしそうに小さな声で答えた。その答え方を見て花ちゃんは瞬間的に「この子タレントの才能がある」と直観した。
 
「高校生なんだ?ちょっと君の歌を聴かせてよ」
と言って、その子を地下の練習室に連れて行く。萌花本人も付いてくる。
 
最初に音域を確認すると、下はF3から上はC6まで出ている。
 
「君、音域広いね!」
と驚く。特にC6が出るのは凄い。音域は2オクターブ半になるけど、この子練習すればきっと3オクターブ出るようになる、と思った。
 
それで何か好きな歌を歌ってみせてと言うと
「じゃ『ロンドンデリーの歌』」
と言う。こんな難しい曲を指定するというのは、歌によほど自信がある子だ。
 
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「最初の音をください」
と言うので、花ちゃんはG#4の音をあげた。
 

それで伴奏する。
 
この音で始めると調はA-major になり、基本和音は A, D, E7 となって、最高音は"C#6" になる。つまりさっき音域確認で出た最高音より更に半音上である。
 
花ちゃんがピアノで伴奏していると、さすがに最高音の所は苦しそうだったが何とか出た。歌い終わったところで花ちゃんは拍手した。妹の萌花も笑顔で拍手している。花ちゃんは、この子は町田朱美や山本コリンなどのレベルの歌い手だと思った。物凄く上手い。
 
それで花ちゃんは言った。
 
「今最高音でC#6まで出ていた」
「え〜?」
と本人も驚いている。
 
「物事って自分が出来ると思っている範囲の半歩先まではできるものなんだよ」
と花ちゃんは言った。
 
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萌花も頷いている。そして言った。
「実はお兄ちゃん、私より歌が上手いんですよね」
 

花ちゃんは聞き違ったと思った。
「お姉さんも充分歌手になる才能がある」
 
「私、お兄ちゃんならレベル高いから高校生でも採ってもらえる可能性あるし一緒に受けない?と言ったんですけど、女子バスケ部辞められないと言うから」
 
花ちゃんは“お兄ちゃん”と聞いた気がしたが、“女子バスケ部”というのなら女子で間違い無いだろうと思った。
 
「ああ、レギュラー選手なのかな。ポイントガードか何か?」
 
花ちゃんは背の高い人が多いバスケットで、この体格で務まるのはポイントガードだろうと思った。
 
「いえ、ぼくマネージャーなんですけど、人数の少ない部なので、少なくともウィンターカップまでは辞められません」
と言う。
 
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「ああ、人数は少ないけど強いのね」
「インターハイ予選では3位だったんです」
「惜しかったね!」
 
それで花ちゃんは、萌花の“姉”に、近い内に高岡にも§§ミュージックの音楽教室を開設するから、津幡でも高岡でもいいから、レッスンを受けてみないかと勧誘した。それでウィンターカップが終了した後、よかったら東京に出て来ないかと言った。
 
花ちゃんは念のため確認しておこうと思った。
 
「そうだ。君、よかったら生徒手帳見せてよ」
「はい」
 
それで彼女が出した生徒手帳を見ると、ちゃんと女子制服で写った写真がプリントされているので、やはり女子で間違い無いなと思う。花ちゃんは彼女の名前、“吉川日和”というのをメモし
「高岡の教室がオープンしたらお知らせ送るね」
と言った。
 
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日和ちゃんはその日女子寮の萌花の部屋に一緒に泊まり、両親はメゾン・ドゥラ・カデットに泊めた。そして翌日3人で富山に帰って行った。
 

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7月27日(水).
 
白鳥リズムのシングルが発売されたが、この件は少し後で詳述する。
 

7月27日(水).
 
青葉が伏木のスタジオで進めていたアクアのアルバムの編曲作業は、この日完了し、編曲データが東京で制作指揮を執っている花咲ロンドの所に送られてきた。
 
「お疲れ様。ありがとうございます。大宮先生、妊娠なさっているのに、お疲れでしたね。ゆっくり休んでください」
とロンドは言ったのだが、
 
「それよりも南田容子ちゃんと立花紀子ちゃんが、たくさん作業してくれてクタクタなんですよ。この2人2日くらい休ませてやってくれません?」
 
「はい、どっちみち8月上旬まではスケジュールを空けておきましたから」
 
それで2人は7/29-30を休みにして、7/31に熊谷に帰すことにした。
 
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そして青葉は7月28日早朝、東京五反野の女子寮地下B30スタジオに乗り込んできたのである。
 
「大宮先生!」
「知人の車で送ってもらった」
「お身体大丈夫ですか?」
「平気平気。車内ではぐっすり寝てたから。それより歌唱を聴こうか」
「はい」
 
それでアクアが歌った仮ミックス音源を聴く。
 
「ね、舞音ちゃんが歌った『沖に娘だ』ももうCD出来てるよね?聴かせてよ」
「はい。ちょっと待ってください」
 
それでロンドはサロンに行き、営業用に確保していたCDを1枚持って来た。8月3日発売予定のものである。これはCD-Rに焼いた営業用のものである。
 
『沖に娘だ』という曲は、アクアの映画主題歌『お気に召すまま』を舞音がタイトルをもじって同じ曲に別の歌詞を載せた、替え歌である。今回その替え歌をアクアが逆カバーしてアルバムに取り込んでいる。その時、時間節約のため、伴奏は招き猫が演奏したものを流用している。
 
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青葉は言った。
「これ伴奏はエレメントガードの解釈で録り直そうよ」
「時間があれば録り直したいねと言ってました」
「やはりこれ招き猫の世界になってるもん」
 
招き猫は木下君の好み+舞音自身のセンスで、デイスコ色の強い音作りになっている。エレメントガードはハードロック的な色彩が強い。
 
それで午前中にもエレメントガードに再度演奏してもらい、それにあらためてアクアの歌を載せることにした。
 
青葉はアクアを電話で呼んだ。
 
「FちゃんでもMちゃんでもいいから下に降りてきて」
「大宮万葉先生!?もしかして東京に出て来られたんですか?」
「うん」
 
それで降りてきたが、スカートを穿いているので多分Fなのだろう。
 
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「ここまでの君の歌で少し気になった所を言うから」
「はい」
と言ってアクアはメモの用意をしている。
 

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それて青葉は仮音源を流しながら適宜一時停止し
「ここはね・・・」
と言って修正してほしい所を指摘した。
 
「じゃ午後からぼくの歌、全部録り直しましょうよ」
とアクアは言う。
「アクアもだいぶ集中して作業してると思うけど大丈夫?」
「疲れたら適宜Mと交替します」
「うん」
 
それで最後に編曲が仕上がった『光の舞』の歌唱も含めてこの日の午後全て録り直すことになった。
 
それで9時頃出て来たコスモスとも話していたらコスモスが
「チェルシカの天使の歌詞を少し直してもらませんか」
と言う。
 
「何かまずい所ありました?」
「これ少し直すと映画で使える気がします」
「映画ってまさか『お気に召すまま』ですか?」
「そうです」
「もう配信用のデータはできているのでは?」
「今日の中部欧州夏時間朝6時までなら差し替えが間に合います」
「中部欧州夏時間って・・・」
「日本時間13時ですね」
「え〜〜!?」
 
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コスモスの要請はこの曲のサビに出てくる
「クピド・ペポリカ・チェルシカ」
というところを
「ハイメン・ペポリカ・チェルシカ」
と変えて欲しいということであった。
 
それで時間が無いので既存の伴奏音源にこの場でアクアに歌わせた音源を作り、大曽根さんに電話を通して聴かせた。すると大曽根さん、そして監督も差し替えに賛成し、エンドロールの音楽が変更された。ドイツ側は時間に間に合うなら変えてよいと言った。
 
この段階では坂出モナが歌う『お気に召すまま』を再度流して、エンドロールを入れるようになっていた。本当は主役のアクアに歌わせたかったが、アクアの負荷の問題で別の曲の再利用を考えていた。それをアクアの歌に差し替えた。坂出モナ側も「アクアちゃんが歌えるならそれがいいと思う」と言った。
 
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またこの歌に合わせて、急遽映画ラスト、ロザリンド役の俳優の口上にもこの呪文を取り込むことにし、アクアに再度、日本語・英語・ドイツ語・フランス語で吹き込み直させた。セリフの修正は時間が無いのでコスモスが行ない、多数の言語に通じている青葉にも確認してもらった。
 
しかし英語はまだいいとして、ドイツ語・フランス語の文章をすぐ修正できるコスモスさんって凄いな、と青葉は思った。
 
修正したデータを送ったのがもう11時である。これを大和映像のスタッフが急遽、完成していた映画のデータに組み込み、世界配信用のデータが完成したのはもう12時半であった。
 
それで配信用のディスクをプレスする直前に、データ変更が行われたのである。サウンドトラックのプレス締め切りは翌日だったので、そちらにもこの曲が追加されてリマスターされた。
 
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