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■夏の日の想い出・Long Long Ago(26)
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「だったらローズ+リリーのライブにもよく参加してる日高久美子と田中世梨奈を呼びましょうか。ここのカウンセラーしてる上野美津穂の親友でもあります。美津穂もクラリネットうまいですが」
「クラリネットは毎日ではないから参加できるかな。それじゃその日高さんと田中さん呼べます?お仕事は?」
「日高久美子は確か今無職だったはずです。会社が倒産したらしくて」
「それはお気の毒に」
「田中世梨奈は〒〒スイミングクラブのスタッフです」
「だったら都合付きますよね?」
「ええ。大丈夫ですよ。ただ彼女は社会人選手権にスタッフとして付きそうから、その後でもいいですか」
「田中さんはどちら?」
「フルートです」
「だったらフルートは3人制にして、3人の内2人が入れたらいいということにしましょうかね」
「ああ、それはいいですね」
この時、コスモスが考えたのは甲斐姉妹を起用することだったのだが、妹の方はわりと忙しいので姉だけの参加になった。姉はフルートが§§ミュージックの中で最もうまい。たぶん、甲斐姉>舞音>安原>セシル>甲斐妹。
しかしそれで北陸から、日高久美子・田中世梨奈・吉田邦生が呼ばれることになったのである。
青葉は翌日、10月31日、吉田が勤める銀行に電話を掛けた。すると課長さんが出て、吉田は今顧客を訪問しているということだった。青葉は〒〒テレビアナウンサーの川上青葉と名乗ったが
「ああ、金沢ドイルさんですね!資金の御用がありましたらぜひうちの銀行を」
などと言われて、その後の話がスムーズに進む!
「なるほど。東京で2〜3ヶ月お仕事ですか」
「そちらの銀行さんには充分な対価をお支払いしますので」
「分かりました。それではそちらに長期出張ということで」
「すみません。お願いします」
ということで“有望な顧客へのサービス”ということから、吉田が出張する話はまとまってしまったのである(ほぼ人身売買)。青葉は2〜3億くらいでもお金を借りてあげないといけないかなぁ、などと思う。別に今借りる必要はないけど、銀行と実績を作っておくと何かの時に助けてもらえる場合もある。
なお課長さんは本人にはこちらから言いますよ、というのでお任せした。
それで吉田は何も話を聞かないまま!、東京へ長期出張することになったのである!
(*31) コスモスは“実力はあるのに仕事が無い”ColdFly5を丸ごと使うつもりだった(コスモスは、花咲鈴美と木原扇歌が上島雷太の娘とは知らなかった)。ところが栗原リアがあまりに下手なのでクビにして、他の4人だけを使うことにした。その時、夏のネットフェスで桜野レイアのバックでギターを弾いてくれた松元蘭のことを思い出し、照会してみたら、
「2ヶ月もお仕事できるって素敵」
などと言うので参加させた。彼女はケイの関係者らしいので、“身内”に入る。
「私、蘭ちゃんが産まれる場に居合わせたんだよ」
とケイは言ってたから、従妹か何かなのだろうか??
しかしこの子、歌手としても女優としても才能無いし、いっそギタリストに転向したら?とコスモスは思った。
また、結果的に仕事にあぶれた栗原リアについては、ちょうどラピスラズリ主演のドラマ『アルプスの少女』の撮影が予定されていたので、監督の美高さんに打診してみた。すると
「じゃ端役だけど、ゼーゼマン家のメイド(美高さんも名前を忘れていた)の役でもしてもらおうか」
ということだった。
ところが、リアに演技をさせてみると上手い!ので、本格的に台本を調整してもらい、出番がたくさんある役になった。そして彼女の演技で、このドラマが物凄く引き締まったのである(美高さんは内心、東雲はるこをクビにして、この子をクララ役にしたいと思った!)。
そういう訳で、女子寮(1号館)8階の住人は、このようになった。
801 日高久美子 (Sax)
802 吉田邦生 (Tp/Tb/Horn)
803 鈴木真知子 (Vn)
804 松元蘭 (Lead Gt)
805 米本愛心 (KB1)
806 田倉友利恵 (Rhythm Gt)
807 花咲鈴美+木原扇歌 (B/Dr)
808 竹原比奈子・神谷祐子・山道秋乃・水端百代
808には(11/2午前中に天羽母娘が退去した後すぐに掃除をしてから)1Kの部屋にフラワーサンシャインの4人が放り込まれた!でも6畳の部屋に何とか布団を4つ敷いて寝たようである。布団はお互いに重なり合うし、朝起きた時は結構カオスになっていた。
「この中にちんちん付いてる子は居ないよね?」
「居たら解剖して、男の子の仕組みを観察しよう」
などと言っていたが、誰もちんちんは装備していなかったようである。
それで信濃町ガールズのレッスンに出たが
「こんなしっかりしたレッスン受けたの初めて!」と彼女たちは言っていた。
なお、山道秋乃と水端百代はまだ高校生なのだが、通っている高校がさいたま市内なので「いっそこちらの高校に転校しない?」と言ったら「転校します」と言うので、転校させることにした。それで他の信濃町ガールズと一緒に高校に通うことになった。
彼女たちが転入したのは、周辺の高校の中で、寮から最も近い、足立区のT女子高校である。ここには現在、太田芳絵、斎藤恵梨香、坂田由里・今川容子・青木由衣子・左蔵真未といったメンツが通っていて、ワゴン車で送迎していた。山道と水端を入れて通学メンバーは8人になったので、朝はマイクロバスが使用されることになった。
彼女たち2人の存在が思わぬ効果を生み出すことになるのだが、その件は後述する。
801-807が今回のアルバム制作の関係者で、制作中ここに泊まり込むことになった(花咲鈴美と木原扇歌は姉妹)。外部との出入りを減らして、コロナ感染を予防するのと共に、制作が深夜に及んだような場合に帰宅する手間を省くというのもある。フラワーサンシャインの4人も雑用くらいにはたぶん使えるだろう!(実際、楽譜の修正やプリント、また食事を運んだり、お茶を入れたり、掃除をしたりという作業で多いに役立った)
コスモスはその日、∞∞プロの鈴木社長と会っていた。
「若杉千代さんのトリビュートアルバムか!」
と鈴木社長は驚いたように言った。
「来年は生誕80年なんですよ」
「よくそんなのに気付いたね」
「実は、千代さんの息子さんから母のベスト版みたいなものが入手困難になってる、と嘆く声を聞いたもので」
「息子さん!?」
と鈴木さんが驚く。
「息子さんがいたの?」
「その人と偶然知り合ったので。実は、ワンティスの音源はその人の義理のお兄さん、その人の育ての親の実の息子さんの家に残っていたんですよ。本人は関西に住んでいるんですが、お兄さんは関東在住で。千代さんは自分の子供によく会いに来てたので、お兄さんも千代さんには可愛がってもらっていたらしくて。千代さんは、大事なデータなので、火災などに備えて、バックアップを事務所から離れた場所に置いておきたかったみたいですね」
コスモスが平然と言うので、鈴木さんもそれがまさかコスモスの実家だとは思いも寄らないだろう。
「そんな所から見付かったのか! いや、そんなデータが残されていたということは間違いなく千代さんの関係者だろうね」
と鈴木さんも納得している。
「若杉千代さんの音源の版権をどこが持っているか、上島先生なども分からないと言うのですが、鈴木社長なら、調べられないかと思って」
「うん。調べられると思う。音源自体はたぶん、音源図書館にある」
「ああ、ありそう」
「それは松前君に確認してみるよ。でもその古い音源と、最近の歌手によるカバーをセットで出すのね」
「はい。その方が商業的にうまく行きそうな気がしますので。儲けは山分けということで。ワンティスの幻のアルバムも、アクアに歌わせるカバー版とセットという方向で話が進んでいるから」
「いや、それもうまい商売の仕方を考えたものだと思ったよ。ワンティスはやはり過去のバンドだ。当時ならアルバムはミリオン売れただろうけど、今出しても10万行くかどうか微妙だよ。でもアクア君が歌うなら50万枚は確実」
「高岡さんが歌った歌を、その息子が歌う。とっても自然です」
「あの子、息子なんだっけ?娘なんだっけ?僕も分からなくなった」
「本人は息子だと主張していますが」
「ほんとかなぁ?」
「過去に何度もお医者さんの前で裸になってますよ」
「いや、絶対にあれは替え玉だ」
と鈴木さんは言っている。
たぶん国民の8割はそう思っているだろうな。
「でも千代さんのトリビュート版は誰に歌わせるの?」
「私は、AYAちゃんとか、小野寺イルザちゃんとか、谷川海里ちゃんとか考えていたんですけど」
とコスモスは答えたが、鈴木社長は
「年を取り過ぎてるな」
と言った。
AYAは今年30歳、小野寺イルザ・谷川海里は28歳である。
「若杉千代のヒット曲は彼女が17歳から25歳くらいの時期に集中している。だから20-23歳くらいの女性ソロ歌手がいい」
と鈴木さんは言う。
「やはりソロ歌手ですよね?」
「当然。デュオ、トリオ、グループで歌っている子は、ハーモニーや繋がりを重視するから、行儀のいい歌になっている。千代さんは良く言えば個性派、ハッキリ言えば下手だった」
「それ言えるのは社長だけですよ」
「だからあまり上手くない子がいい}
「なるほど」
鈴木は少し考えてから言った。
「コスモスちゃんとこの松梨詩恩とかどう?」
「ああ・・・」
下手な子と言ってから、詩恩を指名するとか、本人には絶対言わないほうがいいなとコスモスは思った。あの三姉妹(もう姉妹でいいだろう)では、歌の上手さでいうと、ビーナ>ひろか>>詩恩である。それに言われて見ると詩恩の歌は千代の歌い方に似てるかも知れない気がした。
「制作に入るスケジュールは時期さえ選べば取れると思いますよ。白河に話してみましょう」
とコスモスは答えた。
ああ、(リハーサル役の)佐藤ゆかが悲鳴をあげるな、とコスモスは内心思った。
2021年11月10日(水).
政子は“ある場所”からわくわくした顔で帰って来た。
「叱られるかなあ。でも私を放置してる冬が悪いのよ」
などと言っている。また
「楽しみだなあ。今度は女の子がいいなあ」
などと呟きながら恵比寿のマンションのエントランスまで来たら、そこに百道大輔が立っていた。
「何の用?」
「話を聞いて欲しい」
と大輔は真剣な目で政子に言った。
11月11日(木).仏滅の三隣亡!
日本中に衝撃が走った。
元★★レコード社長で、2019年6月の株主総会で株主動議により解任され、その後、MSMレコードを設立したものの半年で倒産させてしまった、村上時二郎(71)が、数日前に亡くなっていたらしいのだが(全く報道されていなかった)、その奧さんが、この日の朝、村上の遺言に基づき、アクアと★★レコードを告発する文書を、報道各社に送ったのである。
その内容は下記のようであった。
アクアが高岡猛獅の娘だと言うのは大嘘である。高岡には子供は居なかった。彼女は詐欺師であり、有名アーティストの娘を偽って、売上を上げようとしている。
その根拠に、自分は2001年当時、ワンティスがデビューする時、★★レコードの制作部次長として彼らのセールス面を担当したが、メンバーに恋愛禁止を言い渡すと共に、妊娠中であった長野夕香には中絶を命じた。それで中絶したのだから、2001年に夕香が子供を産んだ筈はないのである。
高岡の娘の育ての親を自称する志水夫妻は、高岡夫妻の葬儀の歳に、2歳くらいの女の子を連れて来て、それが高岡の子供だと称して、金品を要求したので、自分が叱り飛ばして追い返した。今になって、また詐欺を働こうというのは言語道断だ。
またMSMが倒産に至ったのは、★★レコードが業界での優越的な立場を利用して、CD製造会社や流通業者に圧力を掛け、CDを製造させないようにし、またCDを販売ルートに乗せられないようにして、新規参入会社の営業を妨害したためであり、独占禁止法違反と業務妨害で同社を告訴した。
私が★★レコードの役員を解任されたのは、事務方が不正に投票数を誤魔化して集計発表したせいであり、株主による決定権を侵害する違法行為のせいである。それを指示した自称社長の町添氏を告発するとともに、違法行為に関わった社員が誰か捜査してくれるよう、東京地方検察庁に告訴状を送付した。
また私が解任されたのは違法であるから、私は2019年6月以降も★★レコードの真の社長であった。その地位確認と、支払われなかった役員報酬の支払いを求める提訴も行った。
ネット上には
「2歳くらいの女の子だって」
と呟く声が多数!
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