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■夏の日の想い出・Long Long Ago(17)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-03-18
 
10月29日の晩、コスモスからの電話を受けた青葉は凄く嫌な予感がした。
 

10月上旬。第2女子寮の建設が進む中、現在の女子寮の8階が一時的に使用されることになった。現在8階の8部屋に住人は居ないものの、その内の2部屋に舞音のコスプレ衣装が置かれており、残りの部屋には新入居する寮生のための家具等の予備が置かれている。しかし取り敢えず808を空けて掃除し、人が住める状態にして、ここに本宅に住んでいる寮母の天羽亜矢子と娘の松梨詩恩が暫定入居した。
 
移動の目的は本宅の建て替え工事をするためで、天羽一家の荷物は取り敢えず庭に建っているコロナ隔離用アパートの1階に移動しており、天羽親子は身の回りのものだけ持って8階に移動した。
 
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もうひとり本宅に住んでいた花ちゃんは、しばらく1階の守衛室!に同居させてもらうことにした。これは花ちゃんは寮生たちの相談に乗ることが多いので、8階では寮生たちが恐れ多くて!?近づけないからである。荷物はやはり隔離用アパート1階に退避させた。お風呂は花咲ロンドの部屋で入れさせてもらう。
 
なおこの寮には必ず女性の警備員さん(心が女であれば法的な性別は問わない)を配置してもらうことになっている。
 
旧本宅・間取り略図


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本宅の住人が移動した翌日の朝には本宅跡が更地になっていた、というより、深さ6-7mの穴が空いていて、鉄板でしっかり山留めされているのを見て、みんなびっくりした!
 
「一晩で立っていたものが無くなって穴になってる」
などと、ひまわりが言うので
 
「それ、すごーく別の意味に聞こえるのだが」
と花ちゃんが言っていた。
 
播磨工務店の斫り専門部隊・茶組の仕事(しごと)というより仕業(しわざ)だが、あまり人間離れしたことを堂々とやらないで欲しいなあ、と稲田姉妹などは思った。
 
茶組(作るのより壊す方が好きな連中が集まっている。圧倒的に男(オス)が多いし、300歳程度以下の若い龍が多い)がやったのは、建っていた家を“ひょいと”持ち上げ、それを“かかえて”どこか(ってどこ?)に飛んで運んでいき、基礎のコンクリートはぷちぷちみたいにして遊びなから握り潰し、深さ7mの所までの土を“よいしょっと”持ち上げて、これもどこか?に運んでいき、できた穴に、予め(白組が)作っていた鉄板でできた箱状のものを置いてギュッと押し込み、上辺が地面の高さになるようにしたのである。彼らにとっては砂場遊びのようなものである。
 
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こういう連中をきちんとコントロールしている千里は心底恐い、と山村(こうちゃん)などは思っている。
 
この後、播磨工務店の白組(上島邸やカナダの伯爵邸の工事をした部隊)が入り、本宅の新築工事が始まった。
 

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11月4日(木).
 
水泳の津幡組の内、学校を卒業している選手が、11/6-7日に宇都宮市で行われれる第4回日本社会人選手権水泳競技大会(日環アリーナ栃木屋内水泳場)に参加するため、A318で熊谷に飛んできた。ホテル昭和に泊まり、郷愁村の50mプールで練習しながら大会に参加する。熊谷から宇都宮までは東北道で1時間半くらいである。
 
(宇都宮に最も近い空港はたぶん茨城空港(百里基地)だが、そちらに降りても練習場所が無い。それで次に近い空港である熊谷を拠点にすることにした)
 

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津幡組は大会後、11月8日(月)にA318で能登空港に帰還したが、スタッフの1人として来ていた田中世梨奈は7日夕方、宇都宮の会場でみんなと別れて、SCCのドライバーさんが運転する車で東京に出た(夕食代わりのお弁当をもらったので、車内で食べた)。
 
取り敢えず足立区五反野の研修所に行く。
 
実はアクアが歌うワンティスのトリビュートアルバムの音源制作に参加するために来たのである。世梨奈は身分的には〒〒スイミングクラブに所属したまま、長期出張扱いになる(§§ミュージックから〒〒スイミングクラブに報酬を払う。世梨奈は普通に給料と出張手当をもらう形。
 
研修所で今回の制作に関して、全体の統括をする秋風コスモス、そして現場で指揮をする花咲ロンドから説明を受け、できあがっている分のスコアをもらう。なお、事前にワンティスが演奏したCDは送ってもらっており、それを聴いて曲のイメージは掴んでいた。
 
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制作参加は明日の朝からお願いしますと言われて、この日はシャトルバスに乗って、世田谷区用賀の男子寮に移動する。ここは5階以下が§§ミュージックの男子寮で、6階はこのアパートを所有している千里が直接貸していて、§§ミュージックのタレント・今井葉月と、世梨奈や青葉の中学以来の友人である鶴野明日香が住んでいる。明日香は全国企業の工作機器メーカーK社の東京本社に勤務している。
 
「おお、借りっぱなしの真っ赤なアクアがある」
などと思いながら、世梨奈は千里から送ってもらっていたIDカードで中に入る。
 
昨年4月、明日香はK社の“金沢支店”に就職したのだが、入社式は全国の支店の社員を一同に集めて東京で行うということだった。コロナの折、新幹線や飛行機は使いたくないと言っていたら、青葉がアクアを貸してくれて、それを運転して東京に出て来た。ところが明日香は思わぬことから本社勤務になってしまい、結局乗ってきたアクアを借りっぱなしになっているらしい(正確にはもう少しややこしい事情があったらしいが、聞いてもよく分からなかった!)。
 
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それで青葉のアクアがここにずっと駐められているのである。(*15)
 
(*15) 今年春の車検の時だけ千里が一時的に高岡に持っていったが、また持って返ってきてくれた!千里はその間、自分のインプレッサを代車として貸してくれた。
 
インプはパワーが凄くてアクアとはかなり感覚が違ったが、普段会社ではレクサスを運転しているので、戸惑うことは無かった。明日香は仕事の半分が社長の車の運転なので、アクアは東京周辺の道を多く知るための運転練習用に使っているのである。明日香は1年半の経験で、既に都内・横浜・千葉くらいまでの道はタクシー運転手並みに知り尽くしている。
 

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世梨奈は建物の中に入り、エレベータで6階に上がった。241号室(*16)のピンポンを鳴らすと明日香がドアを開けてくれた。
 
「遅くなってごめんねー」
「ううん。そちらも大会の後なのにお疲れ様」
 
(*16) 6階の部屋は明日香が241, 葉月が243である。オーナーの千里は 2+4=6だから問題無いなどと言う。本当は葉月の部屋を“ふしみ(伏見)”という語呂合わせにしたかったから。
 

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そういう訳で、アルバムの制作中、約2ヶ月間、ここ明日香の部屋 (2LDK) に居候することになっている。家賃の半額を負担する約束だったのだが・・・
 
「家賃4万9千円〜!?嘘でしょ。ここ、こんなに広くて駅にも近いのに」
と世梨奈は言った。
 
「前住んでた経堂駅近くの1DKアパートが使えなくなって、代わりにここ使ってと言われたのよ。だから前のアパートと同じ家賃ということで」
 
なおこの戸は、LDKと8畳の部屋、6畳の部屋から成っており、8畳を明日香が使っているので、世梨奈は6畳を使うことにした(実は物置と化していたのを頑張って片付けた)。それで8:6分割して、世梨奈は49000×(6/14) = 21000円払うことで話はまとまった(でも端数は面倒だから2万円でいいと言われた)。
 
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しかし男子寮と聞いていたのに、翌朝五反野に出掛けようと下に降りたら、セーラー服姿の女子学生が何人もいて挨拶を交わしたので
「あれ?男子寮じゃなくて、こちらも女子寮なのかな」
と世梨奈は思った。
 
それでその日、山下ルンバ(花ちゃん)から滞在中の家賃について訊かれると
 
「用賀の“女子寮”6Fの友人の部屋に居候して月に2万円払うことにしました」
と答えた。
 
「じゃ食事代込みで」
と言われて(昼は研修所で食事が出る:夜も遅くなったら出る)、月に8万円と言われて取り敢えず現金でもらったので、明日香と山分けした!(結果的にこの期間、明日香は49000円の家賃を払う一方で世梨奈から6万もらうので毎月11000円のプラス!←本当は世梨奈は明日香に6万ではなく4万払えばいいはずだが、ふたりともよく分からなくなっている)
 
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なお用賀から制作場所の五反野の研修所までは、シャトルバスを運行しているのでそれを使うように言われ、シャトルバスの無い時間帯にはSCCのドライバーを呼んでと言われてコールカードを渡された。
 

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世梨奈たち津幡組が熊谷に出てくる3日前、11月1日(月).
 
吉田邦生(よしだ・ほうせい)はいつものように朝8時半、H銀行金沢支店の渉外係に出勤したのだが、係長に呼ばれた。
 
「出張に行って来て欲しいのだけど」
「はい、どちらまで」
「東京まで」
「新幹線ですか?」
「飛行機を用意した。能登空港からの便を使うからそちらに行ってくれる?」
 
金沢からは小松空港からの便を使うことが多いが、能登空港からの便を使うと条件にもよるが地元から補助金が出ることもあり、そちらを使うことはよくある。なお金沢の場所にもよるが中心付近から小松空港までは1時間、能登空港までは1時間半である。
 
「はい。で、出張先はどこですか?」
「能登空港で向こうの人が待ってるからその人に確認して」
「分かりました。東京なら泊まりになりますかね」
「うん。着替えを持って行ってね。だからいったん自宅に戻ってから、12時に能登空港のロビーに行って」
「分かりました」
 
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それで吉田は要件も聞かされないまま、出勤に使ったバイクNinja 1000 に乗って自宅に戻る。それで念のため3日分の着替えをバッグに詰め、ノートパソコンやスマホの充電アダプター、電源延長ケーブル、なども一緒に詰めて、Ninja 1000で津幡北バイパス・のと里山海道を走って、11時半頃、能登空港に到着した。
 

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行けば分かると言われたけど、相手はこちらを知ってるのかなあと思っていたら、トントンと後ろから肩を叩かれる。
 
「お世話になります。H銀行の吉田と申します」
と振り向き際言ったのだが
「くにちゃん、随分硬い格好してきたね」
と言うのは、高校の1年後輩、日高久美子である。彼女はポロシャツにジーンズのパンツである。結構大きなバストが目立つのが少しまぶしい。
 
「日高さん!?君ももしかして一緒に行くの?」
「うん。そんな堅苦しく苗字で呼ばなくても女の子同士なんだから、くーみんでいいのに。でもくにちゃん、まるで男の人みたいな格好してきてる」
 
「僕は男なんだけど」
「でも性転換してもう戸籍も女に直したんでしょ?『北陸霊界探訪』で言ってたじゃん。女子制服着て銀行で勤務している所も出てたし」
 
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あの番組は自分に関する誤った情報を垂れ流しているなと吉田は思った。取り敢えず性別の件は置いておく。
 
「でも、くーみんは今何の仕事してるんだっけ?」
「仕事にあぶれてる。大学出て入った会社は6月に倒産して」
「ありゃ」
「コンビニでバイトしてたけど、仕事がきついわりに給料安くてさ。身体壊して先月は1ヶ月、ひたすら寝てたんだよ。やっと体調が戻ってきた」
「それは大変だったね」
 
「それで今回の仕事に乗ったのよ。あれ?くにちゃん、楽器持って来てないの?」
「楽器!??」
 
そういえば、久美子は楽器ケースを持っている。大きさと形からしてアルトサックスだろうか?
 
「楽器って何するの?」
「あれ、聞いてないの?アクアちゃんの伴奏の仕事だよ」
「なぜ僕たちが・・・」
「本来のアクアちゃんの仕事に割り込んでアルバム制作の仕事が発生したらしいのよね。だから本来の伴奏者であるエレメントガードがスケジュール的に使えないから、アルバム制作の間、臨時バンドを編成することになったって・・・聞いてないの?」
 
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何それ〜〜!?そんな話何も聞いてないぞ。
 
「まあ楽器は現地で借りればいいよね」
 
と言っていたら、向こうから来たのは、上野美津穂である。
 
「おっす、くにちゃん、くーみん。それじゃ行こうか」
と美津穂は言っている。
 
「みつりん、くにちゃんが楽器持って来てないって」
「ああ、全然問題無い。必要な楽器は買って支給するから」
「おお、さすがアクアちゃんのプロジェクト。予算あるんだね〜」
 
「じゃ行くよ」
と言って、美津穂は2人を空港に駐まっているHonda-JetRedに乗せたのである。
 
「可愛い!」
と久美子が声をあげていた。
 
“飛行機を用意した”って航空券を用意したんじゃなくて、自家用機なのか!
 
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そういえば“津幡組”は青葉のコネで、§§ミュージックの自家用機をかなり使っているみたいだ。§§ミュージックは自家用機を10機くらい持ってるらしいし。やはりアクアの利益が凄まじいんだろうなあ。あの子もよく倒れないよ。
 

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夏の日の想い出・Long Long Ago(17)

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