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■夏の日の想い出・Long Long Ago(11)
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目次 8
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花ちゃんは10月10日(日)に緊急の部屋移動で、聖美を受け入れた後、残りの2人を受け入れるため、引き続き部屋の移動を寮生たちにお願いした。
対象となる寮生たちには10日の内に電話やメールで了承を取った上で、業者を入れて10月11日(月)に一気にやってしまったのである。
移動班
_9:00 中村昭恵 405->508
11:00 鹿野カリナ 202->302 (昨日聖美が一時使用した部屋)
13:00 山本コリン 308->405 (昭恵が出た部屋)
15:00 202に机・本棚・寝具・冷蔵庫を搬入
17:00 鈴鹿あまめ 203->308 (コリンが出た部屋)
清掃班
11:00 405 昭恵が出た部屋(コリンが使用)
13:00 202 カリナが出た部屋
15:00 308 コリンが出た部屋(あまめが使用)
19:00 203 あまめが出た部屋
これで2階の202,203を空けることができた。203の清掃修了後、机・本棚・寝具・冷蔵庫を搬入するのは、篠原君と谷口君、本田・山本マネージャーにお願いした。
また、この日、寮入口の郵便受けにも3人の郵便受けを増設してもらったが、この作業は、日中に本田・山本マネージャーにお願いした。
まずはその時点で郵便受けの中に入っているものを全部稲田姉妹に頼んで各自の部屋に放り込んでもらい空にした上で、本田・山本の2人で郵便受けに入っている名札を移動した。郵便受けは部屋番号と無関係で、単純五十音順である。
寮生にも、部屋番号は移動するので様々な所に住所を届ける時に部屋番号まで書かないよう指導している。
郵便受けの鍵は電子キーなので管理室側から一斉に書き換えることができる。電子キーにしないと紛失する子が割と多いので(盗難もあると思う:東雲はるこの鍵はこれまで5回も変更している)、その度に鍵の交換をするのは大変である。名札の移動作業が終わった後、各々の寮生のスペアキーを使って、ちゃんとその名札の所の郵便受けが開くか確認した。
腕力は使わないものの結構神経を使う作業だが、プライバシーとセキュリティの問題があるので、外部の人間の使用や寮生の徴用はできず、マネージャー2人でやってもらった。
この移動の結果、各フロアの使用室数は、2F=6 3F=8 4F=8 となった。5,6階も既に満室である。7階も1つしか空いていない。夢夜に一時的に部屋を空けてもらっていることも考えると完璧に満員御礼である。
新入りの古屋あらた以外で2階に残ったのは夏のビデオガールコンテストで上位に入った子たちのみである。夕波もえこなど仕事の実績から言うと4階でもいいくらいなのだが、彼女たちを2階に留めたのは、ビデオガールコンテストの優勝者である美咲ジョナの感情に配慮したものである。自分が優勝者なのに、自分のデビュー前に下位の子が優遇されるなんてと思うと面白くない。既に現在でも面白くないと思うが、彼女と特別賞の立山きらめきはデビュー予定の1月までは表だった仕事はさせずにしっかり教育するという契約なのである。
10月16日(土).
この日は、熊谷の八犬伝村で対牛楼の仇討ちの場面、春日部の屋内スタジオでは、庚申山のシーンを撮影する。この2つの場面は出演者が重ならない。
対牛楼:毛野(水森ビーナ)小文吾(西宮ネオン)
庚申山:大角(常滑舞音)現八(白鳥リズム)偽一角(品川ありさ)船虫(坂田由里)
実はこの2つのエピソードで、籠山逸東太(花貝パール)だけが両方に関わっているのだが、対牛楼のエピソードでは話の中に出てくるだけなので出演しなくてもよいのである。
そして新加入したばかりの、馬渡聖美は熊谷の八犬伝村に行き、馬加大記の娘・鈴子の役をしてと言われた。
「戦いの巻き添えで死ぬだけの役なんだけどね。セリフも死ぬ時に『きゃー』と悲鳴をあげるだけ」
「死ぬ役OKです。やります!やります!」
と元気である。
場面としては対牛楼の上で誤って斬られた母親(演:直江ヒカル)が階段の上から落下してきて、下に居た鈴子がその身体に衝突して双方死亡するという展開である。実際に転落するのも下で潰されるのも人形だが、聖美は
「すごーい!私の人形だ!」
と言って喜んでいた。
(鈴子役は白雪姉妹の誰かを使うつもりだったが、聖美が加入したので彼女にさせてみることにし、急遽聖美の写真をもとに人形を制作した)
決闘場面に先行する宴会の場面では、父親の馬加大記(演:花咲ロンド)から紹介され、笑顔で小文吾(ネオン)に会釈するだけである。でもこの場面も凄くきれいな袿(うちき)を小袖の上に羽織った姿でお化粧もしてもらい
「私、きれーい」
と喜んでいた。
演技もしっかりこなして、撮影の田崎さんから褒められていた。
「鈴子役の役者さんの芸名を教えて下さい」
と衣装係の人から尋ねられたコスモスは
「“古屋あらた”です」
と答えた。
(衣装係は誰がどういう服を着たかをきちんと記録しておかないと、後で映像を繋ぎあわせた時に服装に矛盾が生じる恐れがあるので詳細に記録する)
「私の芸名がついたんですか?」
「うん。一週間掛けて考えた」
とコスモスは言った。
「すごーい。ありがとうございます」
と聖美(あらた)は感激して言っていたが、今瞬間的に思いついたのでは?とロンドは思った。
しかしそれで馬渡聖美の芸名は“古屋あらた”となったのである。
温故知新??
古屋あらたは、翌日日曜日(10/17)には、大田区の、あけぼのテレビに行き、最近このテレビのメインナビゲーターになっている鈴鹿あまめから紹介されて、まずは午前中にトークショー(生!)の聞き手をした。これはメインのインタビューアーが鈴鹿あまめで、あらたはそのサブとして一緒にお話を聞く。この日のゲストは三つ葉の3人であった。女性同士なので生放送ではあるがあまり緊張せずに楽しくトークできた。
午後一番からは、クイズ番組(収録)のアシスタントをした(司会:めろでぇずのジャズ)。回答者はお笑い系の人が多く、いきなり無茶振りされたりするのを無難に応じて
「あんた、なかなかやるね」
と出演者の米田ダリヤから言ってもらっていた。
でもさすがにこの番組は疲れました!と本人も言っていた。
でもこの日の夕方には、生放送・歌番組の司会!をさせられた。
(先週加入したばかりの中学1年生に単独で司会をさせるとは、さすがネットテレビ局である:もっとも昔の“夕やけニャンニャン”とかは加入したばかりの子に翌週からMCをさせたりしていた。あれは高校生が多かったが)
この日の歌番組の出演者は若手中心で、このようなメンツである。
ビンゴアキ
CCD
坂本メイ子
フラワーサンシャイン
パンプキンコーチ
赤いトマト
ColdFly5
スリルボカン
ギャラだけで凄そうである。トップのビンゴアキとラストのスリルボカンが目玉である。赤いトマトも注目株だ。
あらたは、
「私ひとりで司会するんですか〜?」
とさすがに不安がっていたが、
「君ならできる。平常心で」
とあまめに言われたので、失敗したらした時、と開き直って司会をした。
それにあらたにとって幸いだったのは、この日の出演者は彼女たちの世代に人気のユニットばかりで、曲目も知っている曲ばかりであり、話題が見付けやすかったことである。
また途中にフラワーサンシャインが入っているが、これは友好プロダクションである♪♪ハウスのアーティストで、ほぼ身内。リーダーの桜井真理子には寮やレッスンで親切にしてもらっていたので、一息つける相手であった。ColdFly5も、米本愛心(よねもと・あこ)が信濃町ガールズ出身なので新人の司会者に優しくしてくれて助かった。
一応各々のアーティストとのトークのネタは予め候補が例示されていたが、それを使わずにおしゃべりができた。
今年デビューして売出中のCCDからは
「僕たちの名前って何の略か知ってる?」
などと訊かれる。
「チャイコフスキー、ショパン、ドヴォルザークでしたっけ?」(*9)
「あんた凄いの思いつくね!」
「もうそれを正式名称にしようか?」
などとやりとりした。
(*9)チャイコフスキーは本当は T (Tchaikovsky)。Cで始まる作曲家には例えば『トランペット・ヴォランタリー』の作曲者、ジェレマイア・クラーク (Jeremiah Clarke)、日本の唱歌『星の世界』の元歌『エリー』の作曲者、コンバース (Charles Crozat Converse) などがいる。でも超有名なのはショパンくらいかも?
「で、本当は何か知ってる?」
「出身校の名前ですよね?」
「そうそう」
「で、どこ?」
「千葉市の千葉女子高校です!」
「そうそう」
とギターの松井君が言ってから、ベース四本君が
「んな訳ねーだろ!?俺たちが女子高に入れるわけねぇじゃん」
と言う。
「女装したら行けるかもですよ。松井さん女装してみません?凄い美女になりそう」
とあらたは平然として返す。
「だいたいDじゃない」
とキーボードの明山君。
Dyosikou?
「で本当は?」
とドラムスの初沢君。
「千葉市千垣大門高校でしたね。その科学部の部員で始めたんですよね」
「ちゃんと知ってるじゃん!」
ということで、笑いを取りながら、ちゃんとまとめたので、鈴鹿あまめが感心して頷いていた。
しかし最後のスリルボカンには際どいネタ(調整室に居た則竹部長が何度も瞬間的に反応してピーで消した!)で圧倒されそうになったものの、何とか負けずに頑張った!
「あんた1ヶ月に何回くらいオ***するの?」
「オムレツ得意だから5〜6回作りますよ」
「今何色のパ***穿いてる?」
「パスケースはライトグリーンです」
あからさまな下ネタに、美事にボケてみせた、あらたの機転も凄いが、生放送なのに、これをしっかりピーで消した則竹もさすがである。
もっともスリルボカンには後で月原美架マネージャーが
「女子中学生をあまりからかわないで下さい」
と注意したが
「嘘!?女子中生なの?落ち着いてるから、てっきり女子高生と思った。ごめーん」
と彼らも謝っていた。
女子高生でもセクハラだ!
ともかくも、あらたは1時間の番組を無難にこなして
「もう一人前だね」
と鈴鹿あまめから褒められた。
あまめは万一の場合はヘルプに出て行けるようスタンバイしていたが、あらたがしっかりしているので結構安心して見ていた。
一方、初司会を何とかこなした、あらたは思った。
あまめさんだってまだ中2で自分と1つしか違わないのに、あの貫禄と冷静さは凄いなあと。
しかしあらたは今回の司会で自信を持ち、これ以降、年内は、鈴鹿あまめ・夕波もえこ・古屋あらたの3人があけぼのテレビのメインMCとして確立することになる。
なお、現在鈴鹿あまめと夕波もえこは、B契約ではあるが、ギャラの取り分はA契約と同じという暫定運用(A契約との違いはマネージャーが居ないこと)をしているが、古屋あらたも同じ方式を適用することにした。それであらたは初回ギャラの振込額に仰天することになる。
(例によって桁を数え間違う!)
10月20日(水).
ローズ+リリーの4枚目のベストアルバム『Rose+Lily ランチセット2021』が発売された。このアルバムの制作には私もマリも関わっていない。まとめたのは和泉と小風である!(美空は最近ゴールデンシックスに入りびたり)。音源も既存のものを使用している(一部リミックス)。
2017年にベストアルバム『Rose+Lily ランチセット2017』を出しているので、その後の4年間にリリースした曲の中から24曲を選び、2枚組のCDとしてリリースした(DVD付きは4枚組)。和泉と小風が選んだのは下記である。
"On the Rock"
『青い豚の伝説』同名シングル
『トースターとラジカセ』郷愁
『斜め45度に打て』郷愁
『セーラー服の日々』郷愁
『お嫁さんにしてね』郷愁
『フック船長』郷愁
『ふるさと』郷愁
『恋愛自動販売機』天使の歌声
『H教授』戯謔
『トロピカル・ホリデー』十二月
『砂の城』十二月
『Burning Snow』君に届け
"Natural Wind"
『銀色の地平』青い豚の伝説
『縁台と打ち水』Four Seasons
『をぐなとをみな』郷愁
『天使の歌声』同名シングル
『Cat People』戯謔
『異端修道士の洞窟』戯謔
『Atoll-愛の調べ』同名シングル
『ヴィオロンの涙』十二月
『紅葉の道』十二月
『雪が白鳥に変わる』十二月
『君に届け』同名シングル
『ノーサイド』ホームワーク
物凄い難産で、千里・青葉・和泉・丸山アイなどにたくさん助けてもらった『郷愁』の曲が7曲も入っているのが何とも感慨深い。郷愁の制作のために若葉が用意してくれた郷愁村が今では大きく発展して大きなリゾートになり、映画制作のオープンセットの地にもなっているのも感慨深げである。あの苦労は無駄では無かったんだなと私は思った。
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