[携帯Top] [文字サイズ]
■夏の日の想い出・Long Long Ago(8)
[*
前p 0
目次 8
時間索引 #
次p]
あけぼのテレビで、春に桜のレポート番組をやったので、秋には紅葉のレポート番組をすることになった。
もっとも10月は『八犬伝』の撮影をしているので、レポーターには『八犬伝』に出演頻度の少ない子が選ばれる。春の桜レポートをしたのは、南田容子だったが、今回の秋のレポートは三田雪代になった。
彼女は八犬伝では金碗八郎(丶大法師の父)役で、出番は10月3日で終わってしまったので、その後、彼女と組んで撮影する山口香里奈カメラマンと一緒に北海道にHonda-Jetで飛び、層雲峡を皮切りに1ヶ月半かけて全国を駆け回ることになる。もう1組のレポーターとなる柳川夫妻は、青森スタートになる予定である。
スタジオで各地のグルメを味わう係は、春は常滑舞音と水谷姉妹だったが、今回は舞音はとても時間が取れないので、メインキャスターが夕波もえこに交替になった。最初、鈴鹿あまめを予定していたが、彼女の負荷が凄まじくなってきていたので、夕波もえこを起用した(このあたりの事情は後述)。
(水谷姉妹ではメインキャスターを張るのは無理)
八犬伝では、夕波もえこは赤岩牙二郎で、出番は10/16-18の3日間だけである。水谷姉妹は十条兄弟の役で、メインの出番は実は夏休みの間に撮影済みである!水の中のアクションだったので、夏の間にしか撮影不能だったのである。その後は19日に出て行くだけの予定である。
番組は層雲峡が色づくのを待ってから第1回が放送された。初日のグルメは層雲峡の名物食堂・登山軒の“正油ラーメン”だった。
「北海道というとみそラーメンと思ってる人多いですけど、旭川は醤油ラーメン、札幌がみそラーメンで、函館は塩ラーメンなんですよね。この後、札幌みそ、函館塩もご紹介する予定です」
と三田雪代は元気にレポートした。
東京のスタジオでは、夕波もえこと水谷姉妹が、ラーメンを美味しそうに食べてから、
「おいしいね〜」
と満足げに言っていた。
視聴者の声
「初回からラーメンとは」
「今回は全国ラーメン紀行になったりして」
「当然十文字ラーメン(横手市)とか、喜多方ラーメン、も登場するだろうな」
「キリストラーメンとかも出て来たりして」
「横手は焼きそばもいいけどなあ」
「それなら浪江焼きそばもぜひ」
と期待は高かった!
なお夕波もえこ不在の日は後述の、古屋あらたがメインキュスターを務めた。また水谷姉妹はわりと忙しいので、彼女たちが不在の時は、長浜夢夜・鈴原さくらの男の娘?コンビが務めた。
もっとも鈴原さくらは
「ボクは普通の男の子です」
と言っていたものの
「スカート穿いてきて男の子を主張しても説得力が無い」
と夕波もえこから言われていた。
なお鈴原さくらには、女子寮の部屋は必ず施錠するよう言っている。でないと女子寮生たちにセクハラされるのは見え見えである!太陽光パネルの設置に来た千里が彼の部屋から隠しカメラを回収していたが、焼け石に水だと思う。
女子寮生たちの間では
「春南ちゃん(さくらの本名)にちんちんがあるかどうか未だ未確認」
という、暫定情報?が駆け巡っていたようである。
ちなみに9月に女子寮に来ていた長浜夢夜については入寮初日に
「徳世ちゃんには既にちんちんが無いこと確認」
「確かに割れ目ちゃんを見た」
という情報が複数の発信源から流れていた!
この紅葉レポート番組のテーマ曲は常滑舞音が歌う『くろ猫のサンバ』で、番組スポンサーである、黒猫運輸さんのCM曲にもなっている。
(今回舞音はさすがに録画で登場)
この曲はノノ・パパイヤさんのCM曲『人魚のスカート』などとカップリングして10/13に発売された。舞音の8枚目のシングルで11/01にはミリオンに到達し、舞音7枚目のミリオンとなった。
※舞音のこれまでのミリオン(ミリオン到達順)
2021.03.03(水) 2nd『とことこ・なめなめ・招き猫』
2021.05.12(水) 4th『風のいざない/マイルドな夜明け』
2021.04.21(水) 3rd『舞音の招きマネキン』
2021.05.26(水) 5th『ガラスのエンブレム』
2021.06.23(水) 6th『マネキューレの騎行』
2021,09.08(水) 7th『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート』
2021.10.13(水) 8th『人魚のスカート/くろ猫のサンバ』
古屋あらたが急遽信濃町ガールズに加入することになったのは、こういう経緯だった。
§§ミュージックでは、2020年春に、コロナで番組の収録が中止になったり、また感染対策が不十分と思われた番組からはタレントを引き上げた。そのため所属タレントの仕事が激減した。稼ぎ頭のアクアでさえ仕事が半分くらいになった。
(§§ミュージックがタレントを引き上げた番組の半数くらいがその後感染者を出して大変なことになり、撮影方法が大きく変更された。結果的に向こう側の謝罪もあり、こちらのタレントが復帰した番組も多い)
それで、仕事が激減した中、タレントたちの演技感覚やバラエティ感覚が錆び付かないようにすることと、タレント候補生である信濃町ガールズ・信濃町ミューズの子たちを“場慣れ”させることを主たる目的としてネットテレビ局“あけぼのテレビ”を立ち上げ。赤字覚悟で運用しはじめた。
ところが赤字覚悟で始めたこのあけぼのテレビが意外に好評で、最初の数ヶ月こそ莫大な赤字を出してあっという間に資本金を食い潰した(*5)ものの、2020夏頃からはトントンとなり、2021年に入る頃からは、完全な黒字に転じて、むしろ出資者であった§§ミュージック・大和映像など数者に莫大な利益をもたらすことになる。
例によって若葉が
「なんでこんなに配当があるのよ!?お金が減らないじゃない!」
と文句を言っていた!
(*5)運営資金が一時的に枯渇した時、若葉からの資金提供の申し出があったが、主導権を奪われるのが明白なので、それを丁重にお断りして、コスモスとアクアが5億円ずつ拠出している。そのため、アクアはあけぼのテレビの大株主となり、結果的にアクア主演映画の興行利益を出資者としても受け取れることになる。
あけぼのテレビの視聴率が高いことから、出演者たちにも多くの引き合いが来るようになった。
その結果、信濃町ガールズで人気が出て仕事が増えたことによりB契約では申し訳無いことから、契約をA契約に切り替えることになった子が、2021年は続出した。あっという間にアクアに次ぐスターに成長した常滑舞音をはじめ、甲斐姉妹・水谷姉妹、中村昭恵、水森ビーナ、と相次ぐ。この結果、タレント予備軍を中心に運用していた、あけぼのテレビの運用に支障をきたす事態になってしまった。
※2021年にA契約が発効したアーティスト(13名)
生年度 発効月 芸名
2005 2021.01 七尾ロマン
2006 2021.01 恋珠ルビー
2001 2021.03 桜井真理子
2002 2021.03 安原祥子
2005 2021.03 常滑真音
2007 2021.04 甲斐絵代子(Ye-Yo)
2004 2021.05 中村昭恵
2005 2021.05 水森ビーナ
2006 2021.07 花貝パール
2005 2021.08 甲斐波津子
2006 2021.08 水谷康恵
2007 2021,08 水谷雪花
2005 2021,10 坂田由里
それ以前にA契約しているアーティスト:秋風コスモス・川崎ゆりこ・品川ありさ・高崎ひろか・アクア・西宮ネオン・今井葉月・花咲ロンド・姫路スピカ・白鳥リズム・石川ポルカ・桜野レイア・山下ルンバ・原町カペラ・ラピスラズリ・リセエンヌドオ・大崎志乃舞 以上21名。
(桜木ワルツは引退した)
つまり今年はこれまで契約していたアーティスト数の半分に当たる数以上の人数と新たに契約している。
それで2021年の秋頃のあけぼのテレビは、能力の高い鈴鹿あまめ、山本コリン、鹿野カリナあたりが中心となり、特に鈴鹿あまめは、ヘビーローテーションになってしまった。アーティスト代表の桜野レイアから「このままでは、あまめが潰れてしまう」として経営側に緊急改善の要望があった。そこで急遽今年入ったばかりでまだ基礎教育中であった夕波もえこも投入して、あまめの負荷を減らした。しかしそれでもまだまだ足りない。そこで地方ガールズから数人昇格させることを、私とコスモスは決めたのである。
デルタ株がやっとピークを過ぎてきたかなという時期だったので、志願者全員を東京に集めることは避け、志願する人にビデオを提出してもらってビデオ審査の上で最有力候補となった6人だけを直接審査することにした。
地震の後遺症も落ち着きつつあった10/9(土)、各々の地元にHonda-Jetを飛ばして熊谷に集める。ホテル昭和に1泊させた上で日曜日は午前中、熊谷の“八犬伝村”で行われた、芳流閣の決闘の場面の撮影を見学させる。
みんなダイナミックな撮影に感激していた。芳流閣の屋根からスタントの2人が抱き合ったまま転落する所は、みんな人形だと思っていたのに、着水してしばらく意識を失ったまま流される所まで演技してから「OKです」という監督の声で、起き上がり、撮影陣に手を振るのを見て
「人間だったんですか!」
とみんな驚いていた。
「まあこの高さから飛び込んでも平気な人間は少ない」
とアクアのマネージャー・山村が笑って話しているのを見て
「あのぉ、私たち、こういう演技を要求されませんよね?」
と不安そうにオーディション参加者の小野寺さんが訊くが
「A契約してる子にはさせないよ」
などと言うので、悩んでいた!
屋根(格闘用)(*6)で白鳥リズムと格闘シーンを演じたアクアが
「また、山村さん、若い子たちをからかってるし。あの2人はハイダイビングの選手で、50mの高さからでも平気で飛び込みますよ。ドラマの人魚姫(6/19放送)で、人魚姫が崖から投身自殺する場面を吹き替えで演じたのも今飛び込んだ内の1人なんです」
と参加者たちに説明すると全員ホッとしていた。
(*6)芳流閣のセットはふたつあり、1つは6階建ての高さで、見上げるシーンや転落シーンを撮影した。もうひとつは高さ数十cmで、ここで信乃と現八の格闘を撮影した。オーディション参加者はその格闘シーンから見ている。
「ちなみにあの芳流閣の高さは何mですか?」
と参加者の立川さんが尋ねる。
「15mです。オリンピックのハイダイビングが20m(*7)だからそれよりは低いですね」
とアクアと一緒に低い方の屋根で格闘シーンを演技した白鳥リズムが言う。
(*7)2019年光州での世界選手権では男子27m 女子20m で行われた。オリンピックではまだ実施されていない!
「人魚姫の時は35mの崖だったけど、マジであの子は50mくらい平気だから、人魚姫の時も楽勝だったよ」
と山村は言っていた。
芳流閣での撮影シーンを見て、アクアとリズムに全員エア握手してもらい、お昼を食べてから審査が行われた。審査の時間帯を午後に設定したのは、タレントの仕事は午後が圧倒的に多いので午後の調子を見たいからである。
審査では最初いきなり川崎ゆりこが司会してクイズ大会をした。ここで参加者には正しくなくてよいから「面白い回答」をするように要求した。これは結構みんな審査されながら楽しんでいたようだ。その後、ひとりずつ、歌、ダンス、朗読、演技、トークの審査をした。これがあけぼのテレビの“即戦力要員”の選考なので、こういう審査になった。
(過去にも地方ガールズからの昇格試験では、朗読や演技の審査をしたことがある。トークの審査はたぶん初めて)
演技はその場で「お団子を沢山食べて喉が詰まったシーン」とか「彼氏から愛の告白をされて嬉し泣きするシーン」などとシチュエーションを指定されてそれをパントマイムで演技するよう要求した。
トークはその場で「時計とステーキ」、「お皿と救急車」など2つの話題を指定して、その2つを使ったトークを即興で3分間することを要求した。落語に三題噺というお遊びがあるが、これは二題噺である。
この結果、次の3名を即採用。残り3名も、地方ガールズの特別育成生として各地元で本部生に準じたレッスンを受けてもらうことにした。春にもう一度様子を見て、その結果次第では採用する。即採用された3人は下記である。
馬渡聖美(石川・中1)VG2021-14位
立川心桜(宮城・中3)VG2021-8位
榊原瑞菜(愛媛・中2)VG2021-12位
全員今年のビデオガールコンテストで決勝に進出していた。
立川心桜ちゃんは10位以内だったので、その時にも信濃町ガールズ本部生にならないかと勧誘したのだが、それを断わり、他の事務所のオーディションを受けてみると言っていた。しかし3つもオーディションを受けたものの、全て不合格だったらしい(§§ミュージックのオーディションは実力優先だが、そういう基準の事務所は少ないので厳しいと思う)。それで「先日はお断りしたのに申し訳ないんですが」などと言って応募してきた。彼女の実力は夏のオーディションでも高く買っていたので、彼女は期待大だった。
馬渡(うまわたり)さんは夏のオーディションの時「まだ連絡が無いんですけど」と連絡してきた人である。上位入賞ではなかったので声を掛けなかったことを説明して納得してもらったが、どこが悪かったのかを教えて欲しいと言った。それで千里が電話を代わって色々問題点を指摘していた。今回のオーディションでは、その時に言われたことをまだ完全ではないものの、かなり改善していた。それでその努力を買って合格させた。今回のオーディションでも6人の中で最もモチベーションが高かった。
榊原さんは今年1月のローズ+リリー・ネットライブで『リモート合唱の歌』を歌ってくれたメンバーの1人である(この時の歌唱者の中に、鈴鹿あまめ・花貝パールもいる)。あの歌唱者は、四国支部ではオセロ大会!で決めたらしい。彼女は、オセロはお姉さんとよくやってるからわりと得意という話であった。そのお姉さんも信濃町ガールズ四国のメンバーで、姉妹で一緒にレッスンを受けているのだが、お姉さんは準決勝で負けたらしい。そのお姉さんに勝った子に勝って優勝し、歌唱者の権利を獲得したという話だった。
[*
前p 0
目次 8
時間索引 #
次p]
夏の日の想い出・Long Long Ago(8)