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■夏の日の想い出・ホームワーク(22)

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12月29日から、毎年恒例の§§ミュージックのタレント総出演による、『今年もお世話になりました』のCMが地上波で放送される。今年の初めに出演したのは下記であった。
 
アクア、品川ありさ、高崎ひろか、西宮ネオン、姫路スピカ、花咲ロンド、石川ポルカ、白鳥リズム、原町カペラ、桜木ワルツ、山下ルンバ、桜野レイア、東雲はるこ、町田朱美、今井葉月、川崎ゆりこ(Pf)、秋風コスモス(Cond)
 
今年の年末の挨拶に参加したのは↑に加えて、大崎志乃舞とリセエンヌ・ドオである。総勢22名である。22という数字にちなみ、全員タロットカードを手にしていた(ゆりこの発案)。使用したデッキは“バーバラウォーカーのタロット”で、各々が持ったカードは下記である。
 
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愚者:白鳥リズム
魔術師:西宮ネオン
女司祭長:姫路スピカ
女帝:高崎ひろか
皇帝:品川ありさ
法皇:大崎志乃舞
恋人:桜木ワルツ
戦車:南田容子
正義:高島瑞絵
隠者:山口暢香
運命の輪:アクア
力:佐藤ゆか
吊られた男:桜野レイア
死:秋風コスモス
節制:花咲ロンド
悪魔:川崎ゆりこ
塔:山下ルンバ
星:原町カペラ
月:東雲はるこ
太陽:町田朱美
審判:石川ポルカ
世界:今井葉月
 
コスモスは「タレントの生殺与奪を握る」、ゆりこは「仕事を押しつける悪魔のような女」、ルンバは「ふざけたことすると雷のように怒る」などと自称している。レイアは「ボク、引退したら赤ちゃん産むんだ」(よくある死亡フラグ)と言っていた。Hanged Manは逆さになっていることから胎児を表すと言われている。この4枚を4人が取った後は、適当に取らせたのが実態である。
 
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しかし桜木ワルツが「恋人」のカードを持っていたことから、多くの視聴者が「やはり結婚するんだ!」と思ったようである(実はスピカが押しつけた)。葉月も結婚を表す世界のカードを持っている(こちらは偶然)。
 
なお、アクアが振袖(豪華な加賀友禅)を着ていることについては
「アクアはいつものように振袖だね」
「まあ紋付き袴とかの訳がないよね」
という程度の会話でスルーされた。
 
葉月が振袖を着ていることについては話題にもならなかった。
 
ラピスラズリの2人は京友禅を着ていた。
 

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12月29日から紅白のリハーサルが始まるので、リズム、ありさ、ひろかはこれに参加させるが、アクアは例年通り、とてもリハーサルまで出ていられないので、代役として佐藤ゆかや三田雪代に入ってもらう(葉月も無理)。ラピスラズリも29日は無理だったので、その日は七尾ロマンと恋珠ルビー(今年のビデオガールコンテストの共同優勝者)にやらせた。七尾ロマンがピアノがとても上手いので、彼女に町田朱美役をさせ、恋珠ルビーが東雲はるこ役をする。
 
「ロマンちゃんの方が歌は上手いのに、逆じゃダメなんですか?ルビーちゃんもピアノは弾けるんでしょ?」
と桜野レイアがコスモスに尋ねたが
 
「だからこそ、ルビーにメインボーカルを取らせるんだよ」
とコスモスは言った。
 
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そうしないと、ルビーがロマンに対してコンプレックスを持ってしまう。
 
「ああ、そういうことか」
とレイアも意味が分かった。
 
彼女たちには「ラピスラズリさんの代役のロマン&ルビーでーす」と名乗らせた。
 
「逆に並べたルビー&ロマンの方が語呂がいい気がする」
「それ商標にひっかかるんですよー」
 
私たちも彼女たちの命名をした時には気付かなかったのだが、ルビーロマンという、ぶどうの品種が存在するのである(1房数万円する。私も知人から10粒ほどだけお裾分けに頂き、家族でシェアして食べたことがあるが、とても美味しかった)。
 
2人の命名の語源だが、七尾ルビーは七尾市近郊の中能登町の出身(七尾市内の病院で生まれているから出生地は七尾市)であり、中暦(**)の七夕、8月7日の生まれだからである。恋珠ルビーの苗字は、彼女の出身地・宮古島の神話で、コイタマという女神様がいるので、その当て字である。ルビーは彼女の誕生石である(誕生日は7月1日)。
 
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(**)新暦の1ヶ月遅れを中暦と言う。ひな祭り・七夕・お盆は、中暦で行われることも多い。特にお盆は8月15日こそお盆であるという認識が強い。
 
(お盆は本来、昔、今の1月と7月が年初で“年”が現在の半分の長さだった時代のお正月行事であると言われる。日本の伝統行事には、半年ずらした所に似たような性質の行事があることが多いのもその名残りである)
 

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ところで白鳥リズムなのだが、
「初出場なんです。よろしくお願いします」
と色々な歌手さんに挨拶をしていたが
 
「あんた、去年も一昨年も居た気がする」
「いや、3〜4年前からずっと居る」
とベテラン歌手さんたちから言われる。
 
「すみませーん。アクアのリハーサル役だったんです。男の子歌手の代役だから、男装しないといけないかなと思ったんですけど、そのままでいいと言われましたけど」
 
「アクアちゃんは女の子でしょ?こないだ歌姫ランキングにも入ってたし」
「アクアちゃんは今年から紅組に来るんだっけ?」
「いえ、白組ですよ」
「あの子もいい加減、男の子の振りするのやめて、ちゃんと女の子として出場すればいいのに」
「あんな写真集出しといて『ボク男の子です』とかよく主張するもんだ」
「ちんちんは既に無いよね?あったら水着のお股の所が膨らむはず」
「すみません。個人情報なので・・・」
 
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さて、1週間前に突然出場が決まった高崎ひろかであるが、彼女は31日の午後以降はカウントタウン・ライブのために空けていたものの、29日も30日も更に31日の午前中も塞がっていた。
 
しかし紅白のリハーサルに出席しなければならない。
 
急に紅白出場が決まったので、ということで先方に謝って別の子に換えてもらうことは可能だが、問題はひろかの代わりに仕事を務められるほどの人はみんな、同様に塞がっているという問題であった。
 
「私やゆりこでやるしかないね」
とコスモスは言った。
「えーっと、会社の様々なお仕事の方は?」
 
「園花(日野ソナタ)さん、よろしくお願いしまーす」
「え〜〜〜!?」
「会長も担ぎ出しましょう」
「当然だね」
 
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ということで、私も事務所に呼び出され、日野ソナタさんと2人で、社長・副社長の代理をすることになった。その間の“政子のお世話”(主として食事を作る−たくさん作る!)には、風花夫妻に赤ちゃん付きで来てもらってお願いした。
 
こちらも赤ちゃん(大輝)がいるので、実は出産経験のある人に居てもらった方が助かる。
 
それで、私は29日から31日午前中まで§§ミュージックの社長テスクに座って大量に入ってくる社員からの連絡を確認し、また様々な手配をしたり相談に乗ったりした。
 
コスモスは毎日これをよくこなしてるよと私は思った。会社の規模は、会計レベルで紅川さんから引き継いだ時の百倍になっているし、社員の数でも10倍くらいになっている。コスモスは“雪月花”や“回文組”(**)などの中核社員にうまく権限を渡して、そのレベルで細かい判断はさせているようである。私とソナタさんも、その線に沿って作業を進めたが、私たち2人ではとても手が足りないので、29日の夕方、既に引退している桜野みちるを呼び出して、一部の仕事を代行してもらった。
 
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(**)雪月花は、入社年度はバラバラだが、この業界に古くから居る女性社員で、玉雪梓紗・月原美架・小野市花(いづれも旧姓)の3人。威厳があるので、しばしばデスク(マネージング部長)と間違われたりする。
 
3人とも“修羅場をくぐってきた”人たちである。わりと頼りない雰囲気のあるデスク・沢村朋代を支えている。コスモスはこの3人や若いが頭の回転が速くスケジュール管理の元締めをさせている美咲瞳、それに海千山千と自称するアクアのマネージャー・山村勾美(女かどうかは怪しいが)などは「§§ミュージックの財産」と言っている。
 
なお、基本的に彼女たちに年齢は訊いてはいけない!小野市花など若く見えるのをいいことに「私、はたちでーす」などと言っているが、少なくとも10年近く「はたちでーす」と言っているし、私の知る範囲で3回産休を取っている。でもキンプリとかUFOとか聴いていて、若い人が良く聴く番組も聴いているので話題が若く、20歳と信じてしまう人もある。私もそれで欺された口である。
 
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玉雪さんは、山村さんが花村かほりのマネージャーをしていた頃を知っていて「懐かしいね」などと言って、昔話を色々楽しそうにしていた。どうも山村さんの弱みまで握っているようである。
 
「まあ弱み握ってるのは、お互い様だけどね」
「まあやばいことは話さぬが花だよね」
 
「ところであんたもう去勢したんただっけ?」
と訊かれて、山村はムセている。
「彼が頭の上がらない人物によると過去に3回は去勢されているらしいですよ、おしおきで」
と私が言うと、玉雪さんは
「その程度じゃダメだね。10回くらい去勢しないと」
と言っていた。
 
「睾丸何個付いてるんですか?」
と美咲サブデスクが呆れていた。
 

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(**)山本明(2015入社)・本田覚(2017入社)・田崎仁(2018入社)・崎山等(2019入社)の男性4人は、名前が山本・本田・田崎・崎山と、循環しりとりになっている。それで本来は「しりとり組」とでも呼ぶべきだと思うのだが、なぜか“回文組”と呼ばれている。
 
「山本・本田・田本・木山、とかなら回文なんだけど」
「誰かか最初に間違って、それが広まった」
「花ちゃんあたりが怪しい」
 
などと本人たちは言っていた。
 
“若手ホープ”とはコスモスが言ったことばだが、男手の少ない事務所なので実態は力仕事の係である。実は正社員の男性はこの4人だけである!
 

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12月29日(火).
 
§§ミュージックのタレント総出演の長時間ドラマ『とりかへばや物語』が地上波で放送された。
 
1月2日以降あけぼのテレビでもタイムシフト視聴できるが、リアルタイムのサイマル放送はしない。あけぼのテレビだと思ってそちらに接続してくる人もあるが今日はあけぼのテレビはお休みなのである。接続しようとした人は“Bチャンネル”に飛ばされ、そちらの自動放送が映ることになる。
 
Bチャンネルは例によって信濃町ガールズたちのパフォーマンスが放送されているが「とりかへばや物語は地上波です」というテロップを常時流している。
 
アクアが主人公の兄妹を一人二役で演じているので、政子は目も離さずに見ていた。CMが無かったら漏らしちゃう、などと言っていた。このあたりは地上波の便利なところであるが、ネット局でやる場合でもCMは必要だよな、と私は思った。
 
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アクアは男君の声は声色の男声で当てていて、女君の声は地声の女声で当てているので、今出ているのが兄君か妹君かは、それで分かるようになっている。そうしないと、見ている側はたぶん訳が分からなくなる。他に実は見分けやすいように、男君は右頬にホクロ、女君は左頬にホクロを付けている。これで耳の不自由な人でも、注意して見ているとどちらなのかが分かるようになっている。
 

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白鳥リズムは熱演である。宰相中将(後半は権中納言と呼ばれる)というのは汚れ役ではあるが、リズムは熱演でこの主人公たちのライバルキャラを演じていた。宰相中将が中納言(男装している女君)は女であることに気付き、そのままレイプしてしまうシーンは物凄い視聴率になったようである。
 
この物語はやはり宰相中将役が鍵だよな、と私は思った。
 
汚れ役なので、実はローザ+リリンのケイナにお願いしようかという意見もあったのだが、コスモスが「リズムにやらせたい」と言い、リズム本人も話を聞いて
「女の子をやりまくる男とか、楽しそう」
と言って、この難役を引き受けてくれた。
 
そして結果的には主役のアクア以上に目立っている感じがある。
 
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この配役は成功だったなと私も思った。
 
“男らしい”と褒められてそれを喜ぶ、リズムだからできる役である。
 
(友情出演している“同系”の七浜宇菜(左大臣家の家司役)と話が合うようで、楽しそうに話していた:ふたりとも普通の女子とはあまり話が合わない)
 

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「ところで宰相中将(リズム)と女君(アクア)のセックスって物理的に可能なんだっけ?」
などとネットでは議論されていた。
 
「リズムはちんちん切ったと称してるけど、実はまだ付いてる可能性はある」
「立っておしっこできるらしいから付いてると思う」
「アクアは間違い無くヴァギナがあると思う」
「だったらセックスは可能である確率がけっこうあるかも」
 
誰もアクアにペニスが存在する可能性は考慮していない!
 
女君が、尿筒(しとづつ)を尿道口にピッタリ当てて立ったままおしっこをしてしまうシーンは、アクアが実際にやってみせたので
 
「ちんちん無いのに、よく漏らさずにちゃんと当ててできるねー」
と感心する声が現場では多数あがっていた。
 
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このシーンは美高監督が「本当におしっこしてみよう」とアクアを乗せ、アクア本人も恥ずかしがりながらもやってみせた(演じたのはアクアFだが、彼女はトラベルメイトが使えるので、尿筒(しとづつ)もその応用で、指の感触で尿道口の位置を確認し、そこにしっかり当て、うまくできたようである)。
 
しかし女子の排尿を本当に映してしまうというのは凄い番組だ
 
建前上は、男装の女性キャラを演じる男性俳優の排尿だから、倫理的にはあまり問題は無い。それでテレビ局の倫理委員会も問題を感じなかったようだ。
 

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夏の日の想い出・ホームワーク(22)

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