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■夏の日の想い出・ホームワーク(3)

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「そのあたり入れてたら12個くらい曲はできるよね?」
「それ既存の未発表曲で使えるのがある気がする。昔ライブのオープニングでやった『年号の歌』とかも出してないね」
 
「ああ、いい箱作ろう鎌倉幕府、イチゴパンツ大好き織田信長生まれる、鳴くなウグイス平安京」
 
「イチゴパンツ大好き織田信長はその年に死んだんだよ。本能寺の変」
「あれ〜そうだっけ?じゃ生まれたのは?」
「人間(じんかん)50年を全(まっと)うできずに49歳で亡くなったから、1582-48=1534年生まれですね」
とお父さん。
 
一瞬で82-48=34 を暗算したのは、さっすが政子のお父さんと思った。政子の天才的な計算能力は、お父さんの遺伝なのかも知れない。むろん、人間五十年とは信長が桶狭間(いい頃を1560狙った桶狭間)の出陣前に舞ったという「敦盛」の歌である。
 
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《人間(じんかん)五十年、下天(**)の内を比ぶれば夢幻の如くなり》
 
(**)元々の敦盛では“化天”と書く。しかし信長公記では「下天」と書いている。下天(第六天)の1昼夜は人間界の50年、化天(第五天)の1昼夜は人間世界の800年なので、ここは下天で良い。そもそも信長は第六天魔王を自称している。
 

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「どうして48引くの?」
「数え年だから」
と私とお父さんは同時に言う。
 
「それと平安京は“啼くよウグイス”で794年だよ。“啼くな”では年が違ってしまう」
「あれ〜〜!?」
「語呂合わせは便利だけど、その語呂合わせ自体を間違って覚えると結局間違うね」
 
「平城京は何だったっけ?」
「何と立派な平城京、710年」
「南都・平安京710年」
と私とお父さんは言った。
「あ、お父さんの流儀のほうがしっかり結びつく気がする」
「いや、何と立派な、も聞いたことある」
 
「まあこれも使えるね」
「うん」
 

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「だけど、テーマ決めずに、いい曲を10曲くらい集めるのもいいかもね」
「うん。そういう手法でアルバムを作るアーティストの方が多いと思う」
 
「じゃアルバム2つ作ろうよ」
「え〜〜〜!?」
 
私はその後、七星さん、産休明けで仕事に復帰して間もない八雲(旧姓氷川)課長と話し合い、このマリの方針が承認されることになる。それで結局今回は2つの傾向の違うアルバムが製作されることになったのである。
 
『ホームワーク(仮題)』
様々な教科の宿題をテーマにしたもの。12曲くらい
 
『ラブコール(仮題)』
特にテーマを決めずに良い曲を集めたもの。8-10曲程度
 
『アクロス』は当面停止である(企画消滅するかも知れない)。八雲課長は、前のアルバムとあまり時間を空けたくないので、どちらか先に作れそうな方に当面集中して欲しいと要請。それで『ホームワーク』を先に作り『ラブコール』はその後、制作に入ることにした。
 
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基本的にはライブのオープニングアクトで使った曲中心で行くので、オーブニング・アクトで歌った曲をわりと覚えてくれている七星さんと話し合い、次のようなラインナップを考えた。
 
『ホームワーク』
現国 偏な歌
古典 百人一首の歌
英語 食べ物ABCの歌
数学 三角関数の歌
歴史 年号記憶の歌
地理 土の歌
物理 運動量保存の法則
化学 女の子の作り方
生物 DNAさんからお手紙着いた
地学 太陽系の歌
音楽 リモート合唱の練習
美術 お絵描きの歌
体育 ノーサイド
 
「既に13曲ある」
「各々の歌はその時のライブ録画を見たら譜面に起こせると思うんですが、その出来を見て12曲選び出しましょうか」
「じゃ、その作業は風花にやってもらおう。暇だ暇だと言っているから」
「産休中でもこのくらいは負荷にならないでしょうね」
 
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ということで『ホームワーク』の楽曲ラインナップが固まるまで、私たちは『ラブコール』の選曲作業を進めることにしたのである。
 
「歯磨き味のイチゴを入れて」
「はいはい」
 
「『Burning Snow』の別テイクを入れたい」
「制作時に言ってたやつだよね。いいと思うよ」
 

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ところで桜木ワルツであるが、彼女は§§ミュージック総選挙(?)の投票券を封入した『§§祭り2020』が発売される予定の9月9日を前にした9月上旬、コスモスの所に来て、年内でタレントとしては引退し、その後は今井葉月の専任マネージャーになりたいと言った。
 
「要するに葉月と結婚したいということ?」
「結婚ではないんです。ただ彼の性欲解消役はさせてもらいたいと思っています」
「あの子、性欲無いのでは?」
「それを覚えさせます」
「まあいいよ。これまでも実際問題として“桜木ワルツ”としての活動より、葉月のマネージャーとしての活動の方が、ボリューム的に大きかったもんね。ほんとうに申し訳なかったのだけど」
「いえ、それは全然問題ありません。あの子、私のことお姉さんにように慕ってくれましたし」
「それが姉妹としての感情を越えてしまったのね」
「はい。姉弟という線を越えてしまって。私の片想いですけど」
 
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コスモスが“姉妹”と認識し、ワルツが“姉弟”と認識している微妙な差にワルツは気付いていない。
 
「籍は入れるの?」
「それについては、あの子自身はフリーにしておいてあげたいんです。彼は自分は恋愛が分からないと言いました」
「アクアと同じこと言ってる」
「あの子、睾丸が機能喪失してるみたいだから性的に未発達なんだと思います。でも私と一緒に暮らすのはいいと言ってくれたので、あの子のマネージャーということにして」
「それで事実上同棲するわけか」
 
「彼の人気に傷が付いたら申し訳無いんですけど」
「“彼女”はアイドルという扱いじゃないから、結婚しても特に人気には影響無いと思うよ」
「女の子葉月(はづき)には手をつけたりしません。男の子葉月(ようげつ)と一緒に寝るもりです。彼は立たないからセックスできないけどいいかと言ったので、私はそれでも構わないと言いました。立たなくても、舐めてあげることはできるし、私の中に指とか入れてくれてもいいし」
 
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「まああの子の精子は冷凍保存したものがあるから、それで赤ちゃん産む手はあるね」
「産みたいです。認知はしてくれなくてもいいから」
 
「あ、そうそう。和紗ちゃん、葉月と今すぐにも同居したいかも知れないけど、彼女の高校卒業式までは待ってあげて」
「はい。私もそれまでは我慢するつもりです」
 
コスモスは葉月がおそらく11月頃には統合されることを聞いていたのだが、その件は今はワルツに言わない方がいいかなと思った。
 
葉月(はづき)Fと、葉月(ようげつ)Mのどちらが残るかは、醍醐先生にも分からないと言っていた。もしFの方が残った場合、ワルツは悲しい思いをしなければならないかも知れない。
 

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11月16日(月)、浜梨恵真(羽鳥セシル)は、真新しい(女子)制服を着て、C学園中学高校4年1組に編入した。慌ただしい転校で、前の学校で送別会もしてもらっていない。
 
実は11月8日(日)に“セッション”をしに行ったら「ちょっとドラマに出てもらうことになった」と言われて放送局に行き、撮影が遅くまであり、もう遅いので今夜はホテルに泊まってと言われた。
 
それで早朝帰宅しなければと思ったら
「済まない。スケジュールが押していて、別のドラマにも出て」
と言われる。
「学校があるんですけど」
「申し訳無いけど休んで。手が足りないんだ」
「え〜〜〜!?」
 
ということで、その後全く学校や自宅どころかH市自体に戻れないまま、連日ホテルからテレビ局や撮影スタジオ?などに出向き、朝から晩までドラマ、バラエティ、クイズ番組、CM撮影!などに出ることになってしまったのである。
 
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さすがに母からAさんに抗議があり、話し合いが持たれた結果、恵真は東京北区のC学園に転校し、同じ北区で徒歩+電車+徒歩で20分ほどで学校に到達できるマンションに住むことになった。このマンションは家賃は無料で良いらしい。2LDKSという、ひとりで暮らすには広すぎるマンションである。Sということになっている部屋も充分な広さがあるが、窓が無いので居室ではなくサービスルーム扱いなのだという。
 
ただこのサービスルームの奥に背の高い本棚があり、その本棚の上に神棚があってかなり大きな桐の箱が置かれている。恵真はそれを見た時“暖かい感じ”がした。悪いものでは無いなと恵真は思う。
 
案内してくれた§§ミュージックの吉田和紗さんというマネージャーさんがわざわざ中のものを取りだして見せてくれたが、銀白色の金属製の鏡である。裏面の装飾も美しい。この鏡をここに置いておき、方角をずらさないようにと言われた。それがここのマンションを無料で使える条件らしい。
 
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「万一何かにぶつかって落としたりした場合は?」
「基本的には鏡面を西に向ければいいです。不確かだったら、私を呼んでください」
「分かりました。お供えとかはしなくていいんですか?」
「特に必要無いけど、気が向くなら、稲荷寿司を供えてあげて。でも供えるなら週に1回は供えて欲しい。途切れると催促されちゃうから」
 
恵真は“催促”って何だろう?と思った。それよりも“稲荷寿司”というのが気になる。
 
「稲荷寿司ですか!?これって稲荷神社か何かの関連ですか?」
「そうそう。その分霊らしいよ。あと、この部屋ではセックスはしないでほしいのだけど。他の部屋でならOK」
「セックスとか、する相手のアテがありません」
 
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そもそもボクって、男の子とセックスするのかな?女の子とセックスするのかな?と恵真は疑問を感じた。
 
「まあ、高校生ではそうだろうけどね。ここはセックスさえしなければ、物干しとか物置などに使うのはOKです。歌の練習に使ってもいいですよ」
 
「迷惑になりません?」
「ここは1階の入居者はここ1軒だけだし、2階には誰も住んでないから歌を歌ったり楽器を演奏したりしても苦情は来ないよ」
 
恵真は疑問を感じた。
 
「どうしてそんなに住人が居ないんです?」
「とても人が住めないから」
「この部屋は大丈夫なんですか?」
「ここは厳重にシールドされた安全区画だから。原発のシールド並みに丈夫らしいよ。あと、窓も開けないでね」
 
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「つまり原発並みに危険なんですか?外側は?」
「廊下では3分以上立ち止まらないようにということ」
「あはは」
 

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しかし16日に学校に出て行って最も驚いたのが、ここが女子高だったことである!
 
朝、母と一緒に学校に出て行く。
 
「あら、ここミッションスクール?」
「あ、それは聞いた。でも別にクリスチャンになる必要は無いらしいよ」
「まあそうだろうね」
「ミサとかあるけど、それも出る出ないは自由。信者以外はミサに出ても聖体拝受とかはしないらしい」
「ああ、なるほど。聖体拝受は信仰行為だろうからね」
 
母と一緒に職員室に挨拶に行き、担任になった山科先生と一緒に教室に行った。
 
「H市のU高校から転校してきた浜梨恵真です。よろしくお願いします」
とクラスメイトの前で挨拶する。先生から、芸能人なので、欠席欠課が多くなりそうだけど、皆さん連絡事項とか教えてあげてねと言ってもらった。
 
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それでやはり芸能人だという秋田利美(白鳥リズム)、島原世令菜(中村昭恵)、近松恭佳(ビンゴアキ)、栗原リア、田中蘭(松元蘭)、といった子たちが寄ってきて「どんな活動してるの?」と訊かれるので、8月から10月に掛けて写真集を撮ったこと、年明けにデビューということで、レコーディングをしたこと、『ヒカルの碁』でプロ試験の受験者役をしたことなどを話した。
 
「写真集出して、CD出してって、凄いじゃん。恵真ちゃん可愛いから、きっと売れるよ」
と秋田利美という子(髪も短いし男っぽい雰囲気なので、最初男の子かと思ったがスカートを穿いてるからきっと女の子なのだろうと判断した)から言われた。
 
「どこのプロダクシュン?」
「♪♪ハウスというところなんですけど」
「うちの姉妹プロダクションじゃん!」
と秋田利美・島原世令菜から言われる。
 
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「そうだったんですか!先輩よろしくお願いします」
「うん。頑張ってね」
 
「でも♪♪ハウスの子なら今撮影中の『とりかへばや物語』には出ないの?」
「特に話は聞いてしませんが」
「だったら推薦してあげるよ。何か演技力ありそうな雰囲気だし」
「わあ、ありがとうございます」
 
それで利美(白鳥リズム)の推薦で、恵真(羽鳥セシル)は帝の侍女役でこのドラマに出演することになったのである。
 

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それで特にその秋田さんと何となくフィーリングが合う感じがして、仲良くしてもらう。
 
初日の休み時間、彼女から一緒にトイレに行こうよと誘われる。
 
この“連れだってトイレに行く”という女の子の習慣は最初は戸惑ったものの、9-10月のU高校での“女子高生生活”でだいぶ慣れた。
 
秋田さん・島原さんと一緒にトイレに行く。
 
「あれ?ここトイレなの?」
「そうだよ」
「でも男女表示が無いんだね」
「そりゃここは女子高だから、男子生徒は居ないし」
「だからトイレも女子トイレしか存在しない」
「え〜〜〜!?ここ女子高なの?」
と恵真は思わず声を挙げてしまった。
 
「何を今更?」
「知らなかったの?」
「全然知らなかった」
と言ってから、恵真は急に不安になった。
 
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「私、この学校に入って良かったのかなあ」
「共学校の方が良かった?」
「そういう訳じゃないんだけど」
「あ、恵真ちゃんもわりと中性的っぽい雰囲気あるよね」
「でも利美(りみ)がこの学校に居られるんだから大丈夫だよ」
「そうそう。ボクはここに入る時、男子は困るんですけどと言われた」
と言って、利美ちゃんは笑っている。
「でも女子制服を着て通学するのなら、入ってもいいと言われたから」
 
恵真は利美ちゃんが居るのなら自分もここに居ていい気がした。彼女も男の娘なのだろうか??
 
「まあ芸術コースには男子も入れるんだけどね」
「もっとも私たちの学年の芸術コースは全員女子だったね」
「上の学年には男子生徒もいるけどね」
「その人たちはトイレはどうするんですか?」
「職員室のそばに共用の多目的トイレがあるから、そこでしてるみたいだよ」
「へー」
 
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夏の日の想い出・ホームワーク(3)

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