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■夏の日の想い出・ホームワーク(14)
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ローズ+リリーのアルバム『ホームワーク』の制作は進んでいた。
“家庭科”『お裁縫の歌』を制作する。演奏は Gt.近藤 B.鷹野 Dr.酒向 KB.詩津紅 Xyl.月丘 という単純な構成でそこに私とマリの歌を載せる。
月丘さんのシロホン(木琴)を打つポクポクポクという音が、運指を表す。
PVではこのリズムに合わせて糸と針で縫う様子が映っているが、ここに手だけ出演しているのは、お裁縫が大得意な大崎志乃舞である。
お裁縫しましょ、楽しくしましょ。
どうってことない布が、
銀のはさみで切って、金の針・瑠璃の糸で縫うと、
ほら、プラチナ級に素敵なお洋服に変身よ。
といった感じの可愛い歌詞である。サビでは
まずは最初に玉結び。
なみ縫い、ぐし縫い、まつり縫い、
半返し縫い、本返し縫い、かがり縫い、
最後は返して玉留めよ。
と、縫い方の名前を並べている。PVでは各々の縫い方を実際にしている所を映しているが、これも大崎志乃舞の模範運針である。歌詞が「金の針」などと歌っているので、実際に金メッキされた針・紫色の糸で縫っている。スターリングシルバーのハサミ(雨宮先生の私物)も登場している。
(サビでない)本歌部分では、先生(高崎ひろか)に指導されている何人かの生徒のお裁縫の様子を映している。
生徒は、山鹿クロム(須舞恵夢)、三陸セレン(菱田ユカリ)、豊科リエナ(植野純央)、箱崎マイコ(横山朋菜)という今年のビデオガールコンテスト上位入賞者である。
一応男女2人ずつである。
但し女の子4人に見える!!
クロムが縫っていた服は出来上がると、豪華なお姫様ドレスである!本人が試着し、お化粧もしてもらい、鏡に映してうっとりとしている。早速形成されつつあるファンの女子から「エムちゃんのお姫様姿可愛い!」という声があがっていた。
セレンが縫っていた服は出来上がると、素敵な友禅?の振袖である。そんなものを縫っているようには見えなかったのだが!?彼は日本髪に結ってもらい(長髪なので実は自毛で日本髪が結える)、振袖を着付けしてもらい、和風のお化粧もして、やはり鏡を見て本人が陶酔しているようである。こちらも形成されつつあるファンの女の子たちから「ユカリちゃんきれーい!」という声が掛かっていた。
リエナが縫っていた服(?)は出来上がると、なぜかモーターヘッドっぽい巨大ロボである。なぜ裁縫でロボットが出来る?というツッコミ多数。リエナはそのロボットのコックピットに乗り、ファティマのコスプレをした甲斐絵代子(緒方美鶴)と一緒に、敵ロボット?を倒してガッツポーズである。これも形成されつつある男子ファンたちから「リエナちゃん、すげー」という声が掛かっていた。
そして4番の歌で登場したマイコの作品は、出来上がってみると、巨大宇宙戦艦である。船首から波動砲?みたいなものを撃って敵艦を撃破。艦長席に座るマイコが頷いている姿で終わっている(戦艦の乗員は信濃町ガールズの子たち)。これも男子ファンたちから「マイコちゃん、かっこいー」という声が掛かっていた。
このビデオを監修したのは銀のハサミも持ち込んでくれた雨宮先生である。
「女子と男子の出来た作品が逆のような気もするんですが」
「自由な時代よ」
ホームルーム『学芸会の打ち合わせ』では、楽しく学芸会の劇の配役を決めていく過程が描かれている。劇の題目は『白雪姫』である。
PVに出演しているのは中学3年生の信濃町ガールズたちである。
「王子様は誰にする?きみ?ぼく?それとも彼?」
「たっくんもいいな、あきらくんもいいな、ひろくんは?」
「白雪姫は誰にする?あなた?私?それとも彼女?」
「さっちゃんもいいな、よっちゃんもいいな、まゆちゃんは?」
最初に王子様役に七尾ロマン(雪渡知香)が選ばれる。続いて猟師役に今川容子(上野有里絵)、王様役が坂田由里(川口朋世)、鏡役が左蔵真未(広原恵美)、小人役が青木由衣子(松田志帆)ほか6人、白雪姫の棺を放り出す侍従が甲斐波津子(緒方飛蝶)、とここまで全ての男役が女子てある!
そして白雪姫役に選ばれたのは、直江ヒカル(上田信貴)、母親役は特別出演の羽柴みのり(木下宏紀−彼だけ3つ上の高3)となった。つまり女役が2人とも男子である。
長いコーダでは七星さんのサックスが格好良いが、その長い演奏が流れている間に決まった配役で衣装をつけて演技している場面が映る。
このPVが公開されると
「ロマンちゃんの王子様りりしい」
とか
「のぶちゃんの白雪姫、さすが可愛い」
などといった声があがっていた。
このPVを監修したのはマリなのだが、私は
「根本的に間違っている気がする」
と言った。
「女役の2人は実際には既に性転換済みという噂のある子だよ。最近やっと芸名をもらったけど、コスモスちゃんは彼女たちに女の子でも通る名前を付けてあげている。いづれ『女の子になりました』という発表をするんだと思う。寮も4月からは2人とも女子寮に移動すると聞いたし。だから、これは女子中学の文化祭なんだよ」
などとマリは言っていた。
なお演奏の方は、スターキッズの基本構成に私とマリの歌を乗せている。特に追加楽器は入れていない。
これで12個楽曲が揃い、『ホームワーク』は12月20日からマスタリングに入った。
“国語”『偏な歌』
“英語”『食べ物ABCの歌』
“歴史”『年号記憶の歌』
“古文”『百人一首の歌』
“地学”『太陽系の歌』
“物理”『元素の歌』
“音楽”『リモート合唱の歌』
“化学”『女の子の作り方』
“体育”『ノーサイド』
“地理”『土の歌』
“家庭科”『お裁縫の歌』
“ホームルーム”『学芸会の打ち合わせ』
実を言うと、もう一曲制作したのだが、私は「難解すぎる」と言い、いったん没にしようとした。しかし、政子はぜひやりたいと言い、結局それはボーナストラックとして収録することにした。初版には入れるが、将来的には外す可能性もある。それは“算数”『三角関数の歌』である。
私は「数学では?」と言ったのだが、マリは「こんな“簡単な”内容は算数でしょ」と言っていた。私は半分も内容を理解できない。
この歌では、三角関数の定義や法則を楽しく?歌っている。この曲はマリにメインボーカルを取らせた。
(↓以下しばらくスクロールしてしまうの推奨)
底辺x(エックス)、高さy(ワイ)、斜辺がr(アール)なら、
sin(サイン)はx/r(エックスわるアール)、cos(コサイン)y/r(ワイわるアール)、
tan(タンジェント)はsin÷cos(サインわることコサイン)でy/x(ワイわるエックス)なのよ。
cot(コタンジェント)はtan(タンジェント)の逆数で、
sec(セカント)はcos(コサイン)の逆数、
cosec(コセカント)はsin(サイン)の逆数ね。
(サビ)
sin÷cos=tan(サイン割ることコサインはタンジェント)
ラジアンに直す時は180で割ってπ(パイ)を掛けてね。
90度がπ/2(2分のパイ)、45度はπ/4(4分のパイ)、360度は2π(2パイ)よ。
30度と60度の直角三角形は三辺1:√3:2(1たいルート3たい2)だから
sin 30゜(サイン30度)=cos 60゜(コサイン60度)は0.5で、
sin 60゜(サイン60度)=cos 30゜(コサイン30度)は√3/2(2分のルート3)。
45度と45度の直角二等辺三角形は三辺1:1:√2(1たい1たいルート2)だから
sin 45゜(サイン45度)=cos 45゜(コサイン45度)は√2/2(2分のルート2)なのよ。
sin
2x + cos
2x =1(サインじじょうエックス・プラス・コサインじじょエックス・イコール・1)はピタゴラスの定理ね。
(サビ繰り返し)
「なんか振り仮名が付いてるとよけい読みにくい」
などという声もあったので、読み仮名を外してみる。
加法定理は、
sin(X+y) = sin x cos y + cos x sin y
cos(X+y) = cos x cos y - sin x sin y
で、倍角定理は、
sin(2x) = 2sin x cos x
cos(2x) = cos
2x - sin
2x
正弦定理は、三角形ABCの対辺をabcとして
a / sin A = b / sin B = c /sin C = 2R
最後は外接円の直径ね。
「なんか遙かな記憶だ」
と鷹野さん。
「これ本当に楽しい?」
などという声もあるが、マリは
「楽しいじゃん」
と言って笑顔である。
「それで次に余弦定理はね」
「いや、もうこのくらいでやめとこう」
「そう?そこまでやればピタゴラスの定理が簡単になるのに」
とマリは不満そうであった。
この曲では、酒向さんが電子ドラムでピコピコといった音を出す中、近藤さんのギター、鷹野さんのベースのみで私とマリが歌っている。
今回のアルバムではこういうシンプルな伴奏で歌った曲が多い。
PVはマリ監修のアニメで図形を描きながら構成した。念のため数学科出身の桃香に監修してもらったのだが
「うん。問題無い。でもここまでやるなら余弦定理もすればいいのに」
などと言う。
どうも数学屋さんとしてはそこまでやらないと落ち着かないようである。仕方ないのでそこまでやることにしたらマリが喜んでいた!
第一余弦定理は
a = b cos C + c cos B
b = c cos A + a cos C
c = a cos B + b cos A
第二余弦定理は
a
2= b
2+ c
2- 2bc cos A
b
2= c
2+ a
2- 2ca cos B
c
2= a
2+ b
2- 2ab cos C
この歌は特に3番以降は受験生以外にはさっぱり分からんだろうなと私は思った。八雲さんは「ちょっと待ってください」と言って、本屋さんに飛び込んで高校数学の参考書を買ってきてうんうん2時間くらい悩んだ末に
「うん。公式間違ってないみたいですね」
と確認してくれた!
私は12/20からマスタリングを始めたので、発売は2月くらいかなあと思った。ところが八雲課長は
「今すぐダウンロード版を発売しましょう」
と言った。
「え〜〜〜〜!?」
「だってこれ受験生の役に立ちますよ。コロナで物凄く制限された状態で苦しんで受験勉強してきて、しかもこれまでのセンター試験が改訂されて、大学入学共通テストになって最初の年。物凄い不安の中で受験する受験生たちを応援しましょう」
それでこのアルバムは前宣伝などほとんど無しに、12月23日(水・祝日ではない!)に★★チャンネル、iTune, Amazon, レコチョク、その他のダウンロードストアで発売されたのである。
(ローズ+リリーの音源というのは、こういう短時間で発売されるものが異様に多い気がする)
前宣伝も無しに発売されたことから、一応週間ランキング1位は取ったものの、一週間での販売数20万DL(音のみ・動画付きを合わせて)という低い数字で始まった。私は、いよいよアルバムの連続ミリオンが途切れるかなと思った。
↓ここまでのアルバム連続ミリオン(11枚)
2013.04.24『Rose+Lily the time reborn, 100時間』120万枚
2013.06.05『RPL投票計画』150万枚
2013.07.03『Flower Garden』国内210万枚 海外版80万枚
2014.12.10『雪月花』国内220万枚 国外120万枚
2015.12.02『The City』国内130万枚 国外(振袖とセット)65万枚
2016.12.07『やまと』国内190万枚 国外130万枚
2017.11.15『Rose+Lily ランチセット2017』国内150万枚(海外版は2018.12発売で110万枚)
2018.03.14『郷愁』国内108万枚 海外40万枚
2018.09.08『ブライダル・ウィンド』国内180万枚 海外90万枚
2019.04.30『戯謔』国内130万枚 海外50万枚
2020.01.29『十二月』国内180枚 海外140万枚
なお『ホームワーク』のCD/CD+DVD版は、プレスしてから販売するので、たぶん1月下旬になるということであった。
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