広告:彼が彼女になったわけ-角川文庫-デイヴィッド-トーマス
[携帯Top] [文字サイズ]

■春金(6)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

恵真は自宅に戻り、自分の部屋に入ると、まずアクアの写真集を開けてみた。
 
最初、振袖を着たアクアの写真がある。
 
「可愛い〜!」
と声をあげる。
 
これが男の子だなんて信じられない!
 
素敵なお屋敷が写っていて、そこのお庭や邸内で撮影しているようである。
 
振袖写真が少しあった後は、水着写真である。
 
「ほんとにほんとに男の子なんだっけ?」
と再度疑問を感じるが、自分だって男の子なのに、先日女子水着で写真を撮っているから、不可能ではないよなと思いながら見て行く。
 
しかし可愛い!
 
この子が人気な訳が分かる。
 
もしかして自分もこの子と似た路線で売り出されるのかなあ、と一瞬思った。
 
そして見ていくと、ワンピース水着だけでなく、ビキニの写真まである!
 
↓ ↑ Bottom Top

「よくこんな格好するなあ」
と思わず声に出して言った。
 
もしかして自分もビキニ着せられたりして!?
 
恥ずかしいよぉ!
 

↓ ↑ Bottom Top

お腹に大きな傷跡がある。
 
何かの手術を受けたのかな?と思い、恵真はスマホでネット検索してみた。
 
するとアクアは小さい頃に大きな病気をして2年ほど入院し、最終的に原因となる腫瘍を摘出していたことを知る。普通の人より成長が遅いのもその病気のせいだという。
 
そして、その腫瘍を摘出する時に、治療のため、同時に睾丸も取ったのでは?という噂があることも知った。
 
うーん。睾丸を取ったというのは、あり得る気がするなあ。でなきゃ、19歳で声変わりしないなんて、あり得ないよ、と思う。
 
そして恵真は、自分も睾丸を取るように言われるかもと思い、ドキドキした。
 
睾丸は・・・取ってもいい気がした。そもそも自分でちんちんさえ切り落とそうとしたことがある。
 
↓ ↑ Bottom Top


たっぷりと水着写真を堪能してから最後の方のページを見て吹き出す。
 
バスト偽装の仕方がわざわざ写真入りで解説されていた。
 
うんうん、こうやって貼り付けるんだよね、と恵真は思った。
 
そしてふと「これ取り外したい時はどうすればいいんだろう?」と思ったが、恵真は当面取り外す用事もないので、気にしないことにした。
 
そういえばお股のメンテもサボッてるけど、中身が飛び出してきたりはしないみたいだから、いいことにしておこう、などとも思った。
 

↓ ↑ Bottom Top

あらためて写真集を眺めていたら、突然姉が帰宅する。
 
「わっ」
「何驚いてんのさ?というか何見てるの?」
「アクアちゃんの写真集。新宿に寄ったから買ってきたけど、可愛いね」
 
「ああ、あんたも買ったのか」
「ボクも?」
「私も買ったのに」
「そうだったの?」
「お母ちゃんも買ったらしい」
「じゃうちに3冊?」
「まあいいんじゃない?この子可愛いし」
「可愛いね!でもよくこのご時勢にカナダまで渡航できたね。出入国が大変だったろうに」
 
「アメリカのカナダじゃないよ、福岡県のカナダだよ」
「へ?」
 
「ほらここに“撮影地:福岡県金田(かなだ)町”と書かれているじゃん」
 
「日本なの〜〜〜!?」
 
↓ ↑ Bottom Top

「日本には、カナダもあるし、ハワイもシカゴもあるし、金浦も百済もあるし、USAもあればソビエトもあるし」
 
「てっきりアメリカの上にあるカナダかと思った!」
 

↓ ↑ Bottom Top

「そういう人が出ないように、こんなに大きく書いてあるのに」
「全然気付かなかった」
 
「偽カナダで偽女の子の写真を撮ったという盛大なジョーク」
「アクアちゃんって男の子なんだよね?」
 
「世間ではアクアは男の子という建前で実は女の子なのではとか、最初は男の子だったけど、性転換して女の子になったのではという説も根強い」
 
「それ信じたくなる」
 

↓ ↑ Bottom Top

9月1日(火). 恵真が夕ご飯を作っていると母が会社から帰宅した。
 
「お帰り。お疲れ様〜」
 
「なんかいい匂いがしてる」
「八宝菜作ってる〜」
「よくそういう面倒なメニュー作るね」
「作り方、お母ちゃんから習ったのに」
「そうだね〜、若い頃はそういう複雑な料理も作ってたけど、最近どうも面倒になっちゃって」
「だって毎日お仕事に行っているんだもん。ボクたちが小さい頃とか大変だったと思う」
 
などと恵真が言うと、母は何か言いたそうである。
 
「どうしたの?」
「あんたさあ、女の子になったんだから“ボク”はやめなよ。“私”と言いなよ」
「一希ちゃんからも言われた。努力する」
 

↓ ↑ Bottom Top

「そうだ。あんたの新しい保険証もらってきたから」
「保険証?」
「これ」
 
と言って手渡されたのは“浜梨恵真”と書かれた健康保険証である。
 
氏名 浜梨恵真 ハマリ・エマ
生年月日 平成17年2月25日 性別女
 
と書かれている。
 
「性別が女になってる」
「あんた女でしょ?」
「名前が恵馬じゃなくて恵真になってる」
「その方が女の子っぽいからね。古いのは返して。会社に返さないといけないから」
「うん」
 
それで恵馬は2階の自室に行き、鞄の中から“浜梨恵馬・男”と書かれた健康保険証を取り出し、今もらった“浜梨恵真・女”の保険証を入れる。古い方を持っておりて母に返した。
 
「でもどうやって変更したの?」
「間違いだと言った」
「それで変更できたの?」
「うん」
 
↓ ↑ Bottom Top

そんな簡単に変更できるもんなんだ!?
 
「これであんたが確かに女だという公的な書類ができたよ」
 
つまり。。。ボク本当に女になっちゃったんだ?
 

↓ ↑ Bottom Top

姉が塾から帰宅した後、晩御飯になったが、姉が言った。
 
「なんか顔色よくない気がする」
「昨日あたりから、お腹の付近が調子良くないんだよね」
「生理なんじゃないの?」
と姉は言った。
 
「まさか」
「だって女の子には生理があるんだよ」
「そうかも知れないけど」
 
ボクの場合は女の子に偽装しているだけだし、などと考える。
 
「寝る時、ナプキン付けて寝た方がいいよ」
と姉は言った。
 
でも恵真は、けっこう不純な動機でナプキンを付けて寝た!
 

↓ ↑ Bottom Top

その日、久しぶりに休みが取れた落合茜(町田朱美)が
「今夜、友だちのところに泊まってきていいですか?」
 
と寮母の天羽亜矢子(高崎ひろかの母)に言っていたら、副寮母の花ちゃんから「これ持って行きなさい」と言われて、避妊具の箱を3箱!渡された。
 
「いくら何でもこんなには使いません!」
「いや分からない。30分に1回やれば5時間で1箱、10時間で2箱消費するから、3箱目は予備」
 
「それ無茶です。そんなにやったら、彼のちんちん壊れちゃいます」
「壊れたら、潔く手術で除去して彼も女の子に」
「私はそれでもいいんですけどねー。でもそれ言うと本人、凄く嫌そうな顔するんですよ」
 
と茜は言うと、一応花ちゃんがくれた避妊具を3個ともバッグに入れて、倉橋光枝マネージャーの運転する BMW 225xe iPower に乗って、埼玉県某市に住むボーイフレンド・平野啓太の所に行った。
 
↓ ↑ Bottom Top

ラピスラズリの移動は普通ホンダ・インサイトを使用しているのだが、この車はファンの間でナンバープレートまで知れている。それで目立たないように事務所で何台も所有しているBMWのPHVを使ったのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

啓太のお祖母ちゃんに歓迎される。
 
「ごめんなさい。なかなか来れなかった」
「大丈夫ですよ。茜ちゃん、無茶苦茶忙しそうだもん」
 
それでお祖母ちゃんは、紅茶とクッキーを出してくれた後、外出してくれた!
 
啓太はもじもじしている。茜は彼にキスした。
 
「セックスする?避妊具も用意してきたよ」
と言って、茜が花ちゃんからもらった避妊具の箱を3つとも出すと
 
「こんなに要らないよ!」
と啓太は言った。
 
「それに俺、コスモス社長と約束したからさ。高校卒業するまではセックスしない」
「こっそりやればバレないのに」
「そういうことはしないよ。でもセックスしなくても、俺、茜が好きだから」
 
“好きだから”と言われて、茜は嬉しくなった。それで
「じゃ、代わりに舐めてあげるね」
と言って、啓太のズボンを脱がせようとする。
 
↓ ↑ Bottom Top

「待って。洗ってくる」
と言って啓太はお風呂場に飛び込んだ。
 

30分ほどの後、茜は啓太に言った。
 
「だいぶ大きくなるようになったね」
「うん。女性ホルモンの投与はやめたから、少しだけ機能が戻ってきたみたい」
「射精する?」
「まだ無理みたい」
「ホルモンやめても全く機能が回復しないなら、いっそそのまま女性ホルモンを積極的に摂って、女の子になっちゃう手もあったのに」
 
「女にとかなりたくねーよ」
「セーラー服似合うのに」
「あれは癖になりそうで怖い」
 
啓太には何度もセーラー服を試着させている。石川県の中学で着ていたセーラー服は彼に進呈したが、彼はそれを自室に宝物のように飾っている。
 
「でも私のパンティとプラはまた置いてくね」
「うん。お守りに持ってる」
 
↓ ↑ Bottom Top

茜は啓太に「私と一緒に病気と闘う気持ちになれるように」と言って、自分の下着を啓太の所に置いて行っている。啓太はそれを机の引き出しに大事にしまっている。
 
「ブラ着けてみてもいいからね」
「俺に入るわけない」
「啓太はもうブラしないの?」
「本当は着けたほうがいいのかも知れないけど、こないだ会った時より後はもう着けてないよ」
 
啓太は治療の副作用でけっこう胸が膨らんでいたので、一時はブラジャーが必要な状態だった。
 
「運動とかしてて痛くない?」
「我慢する」
「我慢せずにブラすればいいのに」
「いや変な気分になるし」
「女の子になりたくなるとか?」
「だから、そういうこと言うなよ」
 
むろんわざと言って、唆しているのである。茜の気持ちとしては初期の頃に彼に言ったように、たとえ啓太のちんちんが無くなったとしても、彼が女装にハマってしまったとしても、彼と結婚したいという気持ちは変わらない。花ちゃんからレスビアンの教本ももらったし!
 
↓ ↑ Bottom Top

この日は彼に女の子がするように、ちんちんを指で押さえて回転運動を掛けてあげた。彼は気持ち良さそうにしていた。
 
「もう男の子式のオナニーは諦めて、これからは女の子式にする?」
「いや、まだ諦めない」
 
「これ覚えたら、ちんちん切られちゃっても大丈夫だよ」
「もう切られる可能性は無くなったと思うけどなあ」
 

↓ ↑ Bottom Top

その夜、恵真は夜中に一度トイレに起きた。最近わりとこのパターンが多い。なんか“女の子になった”後、トイレが近くなったような気がしている。あるいはあの付近に色々圧力を加えて股間形成しているので尿道や膀胱が圧迫されているのだろうか。
 
それで部屋に戻って横になるが寝付けない。
 
恵真は“女”と記載された保険証をもらって、急速に自分の“立ち位置”に不安を感じていた。
 
学校にも女子制服で通学し始めた。みんなそれを受け入れてくれている。保険証も女に変わった。母からは気持ちの整理ができたら、裁判所に行って、戸籍上の性別も変更しようよと言われた。ポクこのまま、どんどん女の子への道を進んでいっていいのかなぁ?やはりその内、性転換手術受けちゃうんだろうか?というか学校のみんなはボクが既に性転換手術しちゃったと思ってるみたい。
 
↓ ↑ Bottom Top

唐突にアクアの写真集の写真が脳裏に浮かぶ。
 
アクアちゃん、女体偽装していると思わせておいて実は既に女の子になっちゃってたりして!?
 

↓ ↑ Bottom Top

などと考えていたら、唐突に“したく”なった。こういう気分になるのは恵真の場合とっても珍しい。
 
しちゃおうかな?
 
左手の指をあの付近にやる。
 
これどうすればいいんだっけ?? この状態でするのは初めてだ。
 
取り敢えず偽装した割れ目の中に指が入れられるようなので入れる。あれ?ちんちんどこだっけ?
 
指で探していたら、それらしき部分に指が当たる。凄く感じる。
 
なんか凄く小さくなってない?でも、これまでもわりと小さくなっていて、おしっこするのに困ることもあった。そういう時は、ちんちんを摘まんだりもできないので、その付近からじわっとにじみ出てくる感じでおしっこしていた。当然、した後は女の子のようにその付近一帯をペーパーで拭く必要があった。
 
↓ ↑ Bottom Top

今もそんな状態かな?
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
春金(6)

広告:セット水着-【ドット柄トップス&スカート付き-ホルタービキニ-4点セット水着-mzg1】