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■春金(2)

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ところで、火牛アリーナの外周沿い(主として北側)にプランターに植えて並べている彼岸花群であるが、9月に入った頃、最初に青い彼岸花が咲き始め、アクアゾーンの“流れるプール”を水中遊歩する人たちやジョギングコースを走る人たちの目を楽しませた。ひまわりもまだ咲いているので、黄色と青の対照が美しかった。
 
この時期は、まだ『鬼滅の刃』を知る人は、そう多くも無かったのだが、知っている人たちは割と騒ぎ、写真をインスタグラムなどにあげる人たちもあった。
 
火牛アリーナの開発はアクアゾーン竣工後、4月は実質建設作業が停まっていたのだが(それでもムーラン建設の人たちの手で南側エリアの基礎工事が、“密”にならないよう少人数で進められていた)、5月下旬、緊急事態宣言が解除されてから建設が開始された。
 
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そして9月2日(水)“たつ”にまずはテニスコートが竣工となって、ムーラン建設からフェニックス・トレーニング(フェニックストラインの100%子会社)に引き渡された。午後には、町長さんや中体連・高体連などの関係者、地元出身の著名テニスプレイヤーさんも一緒にテープカットが行われた。
 

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津幡町との約束で、町内の小中高生に安価に利用してもらう。その代わり公共の公園として認定され税金は免除だし、昼間の管理人は町役場からの派遣になっている。町の資本は入っていないものの、実質、町との共同運営である。夜間の管理人は火牛スポーツセンターからの派遣で、結果的に施設を所有するフェにックス・トレーニングにはスタッフが存在しない。ここの館長は青葉!である(千里が押しつけた)。
 
なお、テニスボール、ラケット、ラケットのネット、ソックス、シューズ、タオル、アンダーシャツ、などの消耗品や用具、またスポーツドリンクなどはアクアゾーン2階のフェニックス・スポーツ津幡店で購入することができる。仙台店と同様に直輸入のケルメ製品や、インド製衣料品などが主体なので、安価なのが好評であった。なお、地元出身のテニスプレイヤーさんが運営しているテニスグッズのお店からプライベートブランドのテニスラケットなども仕入れて販売している。
 
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ここの店長は女形ズのOGで結婚に伴い引退していた人である。子供が小学生になり、手が離れたということでやってもらえた。スタッフにもOGや現役の人がいる。青葉やジャネのコネで水泳関係者、奥村春貴のコネでE高校(甲子園の常連校)の野球部OBなども入っている。
 
(久しぶりに春貴と会ったら女の子になっていたので、びっくりしていた)
 
テニスコートの屋根は天然の明かりを取り入れるためガラス繊維でできている。ライプなどをする訳ではないので、騒音問題を考える必要が無かったためである。これで照明や暖房の費用節約にもなる。ただし夜間は放射冷却が起きるので、日没以降は地下コートを優先使用する。(テニスコートは24時間利用できる)
 
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コートは1階8コート、地下8コートの16個のハードコートを持つ。冬季や梅雨時も安心して使用できる、貴重な屋内型ハードコートである。感染対策のため、各々のコートはアクリル板で完全に区切られており、空気が混じり合わないようになっている。換気は通常の建設基準の倍の速度である。また例によって上から空気が入ってきて、下から吸気される仕組みになっているので、実質的な換気速度は建設基準の4倍程度になる。
 
上から下への空気の流れはこの後冬に向けて暖房効果もあがることになる。
 
但し、上から下への空気の流れというのは、火牛アリーナや織姫・牽牛でも指摘されていたが“ボールが飛びにくい”という副作用があるので、プレイに注意が必要である。もっとも、クレイコートやオムニコートに慣れた人にとっては、ハードコートはそもそもボールが弾みやすいので、結果的に普段の感覚に近くなったかも知れない。
 
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しかしハードコートは地方には少ないので、地元のテニスプレイヤーたちにとって貴重な練習場所にもなったようであった。
 
ここはむろん金沢市など、町外の人も利用できるが、料金は町内の人より少し高くなる。なお、完全予約制であり、入場には、検温と問診票記入が必要である。また見学の人はマスク着用の義務があり、基本的に飲食禁止(選手は水分補給可)。アクアゾーンと同様に、観覧席はコートとはアクリル板で仕切られていて空気の行き来は無い。
 

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(2020年)8月24日(月).
 
この日は全国の多くの学校で授業が開始された。
 
和歌山県某市に住む、木花朔夜(小5)はその日、可愛いスカートを穿いて登校してきた。
 
「おはよう」
「おはよう。さくちゃん、今日はスカートなの?」
「えへへ。お母ちゃんから『スカートなの〜?』って嫌そうな顔されたけど」
「可愛いと思うけどなあ」
 
「あ、私の他にもスカート穿いてる子いた」
と声を挙げたのはクラス委員のミエちゃんである。
 
「お揃い、お揃い」
「スカートは私だけかと思ったから、心強いよ、さくちゃん」
と彼女はホッとしたようだった。
 
最近は、スカートを穿く女の子はとっても少ない。
 

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徳島の中学から東京都世田谷区の中学に転校してきた門脇瀬那は真新しい女子制服を着て登校した。そして担任の先生からクラスのみんなに紹介してもらい、東京の女子中学生としての生活をスタートさせた。
 
瀬那は姉(元兄)の真悠(大崎志乃舞)や同級生たちにうまく唆されて、今年の春、中学に女子制服を着て登校した。先生は書類が男になっていたものの、本人を見ると女子にしか見えないので、書類の誤りだろうと思い、学籍簿上の性別を女に変更してしまった。
 
もし瀬那が1年程度以上現地で女子中学生として通学していたら、その内、小学校の時は男子児童として通学していたことがバレていたかも知れない。しかしバレる前に東京に転校した。
 
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東京の中学では、書類が女子になっているし、本人も見た目女の子にしか見えないので、何の疑問も無く、女子生徒として受け入れた。
 
それで瀬那の性別が問題になる可能性はとっても小さくなったのである。
 
なお、瀬那は1年前から女性ホルモンを摂取していたので、声変わりもしていないし、体毛も薄い。まだ胸は膨らんでいないものの、この春から飲む薬を本格的なものに変更したので、今後発達していく可能性がある。姉から粘着性のシリコンパッドを渡され、ブラジャーの中に入れているので、AAカップ程度の胸があるように見え、中学1年にしては小さすぎるバストも取り敢えずバレる心配は無い。粘着性なので“落下事故”の危険も少ない。ただ万が一の落下に備えて丈の長いキャミソールを着けてその裙をスカートの内側に入れている。
 
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「水泳の授業とかでヌードになる必要がある時は言って。もっと精巧なブレストフォームというのを貼り付けてあげるから」
と姉は言っていた。
 
お股のほうも常時タックして女性のような股間に成型しているので、身体測定や体育の着替えでアレが付いていることがバレる可能性は低い。
 

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山梨県韮崎市L中学。
 
8月24日は月曜日で2学期最初の日でもあるので、本来は全校集会があるのだが、コロナ対策のため、今年は基本的に行わないことになっている。それで8時半からクラス単位の朝会が行われる。
 
8:25。原先生はこの学校の女子制服であるセーラー服を着た少女を連れて教室に入ってきた。
 
「転校生?」
という声があがるが、“正体”に気付いた子がいた。
 
「もしかして緒方さん?」
 
先生が言った。
 
「皆さんにお知らせがあります。緒方さんは、夏休み中に東京の大学病院で精密検査を受けた所、精神的に女性であるという診断を受けましたので、今学期からは女子生徒として在学することになりました。突然でびっくりするでしょうが、皆さん、特に女子の皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
 
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「え〜〜!?」
「うっそー!?」
と驚きの声があがる。
 
「そういうことで、今学期からは女子になりました緒方です。みなさん改めてよろしくお願いします」
と彼女は挨拶し、自分の席についた。
 
しかしみんなから質問攻めに合う。
 

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「女子制服作ったの?」
「お姉ちゃんからもらった」
「なるほどー」
 
「名前はどうするの?」
「美鶴(みつる)のまま」
「ああ、美鶴は男でも女でも通るよね」
 
「声が女の子の声だね」
「練習した」
「喉仏が無いね」
「手術して取っちゃった」
「へー。凄い」
 
「ちんちんも手術して取っちゃったの?」
「内緒。でも女子トイレ使わせて」
「まあその格好なら使っても苦情は出ないと思う」
 
「美鶴ちゃんならいいと思うよ」
「細木君なら、たとえ性転換しても女子トイレ拒否だけど」
「性転換とかしねーよ!」
 
「おっぱいも作ったの?」
「内緒」
「ちょっと触らせて」
と言ってひとりの女子が美鶴の胸に触る、
 
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「ちゃんとおっぱいある。ブラジャーもつけてるね」
「じゃ、おっぱい大きくしたんだ?」
 
「下も女の子の下着つけてるの?」
「女の子パンティつけてるよ。体育の時は女子更衣室で着替えさせて」
 
女子たちが顔を見合わせる。
 
「それは審査させて欲しい」
とひとりの女子が言った。
 

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「それは審査させて欲しい」
と恵真は言われた。
 

8月24日(月).
 
恵真は女子制服を着て、夏休み前と同じU高校に登校してきた。
 
教室に入り、少しドキドキしながら
「おはよう」
と言うと、
「おはよう」
という声が返ってくる。
 
みんな恵真の女子制服姿を見たものの・・・
 
何も言わなかった。
 
どうも一希たちがしてくれていた“根回し”のおかげのようである。
 
最初に恵真のそばに寄ってきたのは、隣の組から出張してきている美凉である。
 
「えまちゃん、ごめんねー。囲碁の大会」
「ううん。久しぶりに打てて、結構楽しかったよ。そうだ。これ3位の記念のボールペン。美凉ちゃんに渡しておくね」
「それは実際に参加した、えまちゃんがもらうべき」
「そう?じゃもらっておくよ」
「うん」
「もう身体は大丈夫?」
「うん。もう平気」
「良かった良かった」
 
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一希・汐里も入って4人で話していたのだが、そろそろ朝礼の時間だよ、と言われて、美凉は自分のクラスに戻った。
 
やがて担任の森先生が入ってきた。クラスごとの朝礼が始まる。恵真たちの高校も、コロナ対策で全体集会は休止している。
 
「みんなおはよう」
「おはようございます」
「今年は夏休みが短かったけど、まあ仕方ないから頑張ろう。今年は暑いので8月中は体育の授業は休止で、9月になってから気温の状況を見て再開される」
 
と先生が言うと、恵真はちょっとホッとした。体育の着替えで女子更衣室で着替えるの、みんなが認めてくれるかなあと少し自信が無かったのである。
 
「それでは出席を取る」
と言われて、生徒の名前が読み上げられ、各自返事していく。居ない子がいたが、他の子が代返!してあげた。
 
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やがて「浜梨(はまり)」と呼ばれたので、恵真は「はい」と返事した。
 
しかし先生は何も言わなかった。そのまま次の子の名前を呼ぶ。
 
恵真は“根回し”は先生にまで及んでいるのだろうか?と思った。
 
なおこの学校は男女混合名簿なので、元々男女は入れ乱れて呼ばれる。恵真は女声で返事をした。
 
出欠確認の後、先生は主として感染対策についていくつかの注意をした上で教室から退出した。
 

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