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■△・落雷(16)

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4月20日(木)深夜、正確には4/21(Fri) 0:20。アクア(龍虎)は、羽田空港から、事務所社長のコスモスとマネージャーの鱒渕さん、写真家の桜井理佳さんと助手の四家(しやけ)さん、それにアクアのディレクターであるKARIONの和泉、そして撮影の際に必要になると思われた今井葉月(天月西湖)まで同行して、バンコク行きの飛行機に乗った。
 
HND 0:20 - 4:50 BKK 7:00 - 8:25 HKT
 
バンコクのスワンナプーム国際空港で国内便に乗り継いでプーケットまで行く。
 
ここで水着写真の撮影をして、写真集を出すことになったのである。写真集のタイトルは(仮題)「佐斗志&友利恵・水着写真集」である。最終的には何か格好いいタイトルが付くらしい。
 
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アクアはゴールデンウィークは全国ツアーがあるのでその前に写真撮影をしようということになった。それでこの日撮影に行けば、金曜日と月曜日の2日学校を休むだけで、4日間の撮影ができることになる。
 
写真集の発売は6月くらいの予定である。
 

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撮影は21-22日(金土)の2日間で男の子の“佐斗志”の水着写真を撮り、23-24日(日月)の2日間で女の子の“友利恵”の水着写真を撮る。
 
この順序になったのは、先に女の子写真を撮ると、水着の跡が残ってしまうからである。そのため龍虎はこの一週間、ブラジャーの着用も禁止されていたらしい。
 
「完全にはブラ跡が消えてないなあ」
と龍虎の肩部分の肌を見て桜井さんが言う。
 
「すみません。写真上で修正してもらえませんか?」
「ポリシーには反するけど、仕方ないからそうするよ」
「申し訳ありません」
 
それで、龍虎は男子水着(トランクス型や膝近くまである競泳用水着)を何種類も付け、様々な場所や仮想シチュエーションで撮影された。半分以上はラッシュガードもつけているが、胸を露出した写真も多い。これはアクアの女体化疑惑?を否定するのに必要である。
 
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そして龍虎が男の子役をする場合、葉月が女の子役をして友利恵の代役をすることになる。
 
「え〜〜!?女の子水着をつけるんですかぁ?」
と葉月は抵抗していたが、そのために呼ばれて来ているのだから仕方ない。恥ずかしそうにしながらも、女の子水着(ワンピース水着にしてもらった)をつけて、龍虎の相手役を務めていた。
 
もっとも、最後の方では
 
「ここでは葉月ちゃん、ビキニつけて」
などと桜井さんから言われ
 
「ひー」
などと悲鳴をあげて女の子用のビキニの水着をつけて撮影に臨んでいた。おっぱいは無いものの、おっぱい部分までは映らないので問題無い。
 
西湖の顔は写らないものの、手を繋いでいるところを後ろから撮影したショットは、最終的に写真集にも入れられた。
 
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なお西湖は足の毛はレーザー脱毛している。
(龍虎は元々足には毛が生えていない)
 
「葉月ちゃんのお股に膨らみがあるのは写真上で修正するか」
「すみません、お願いします」
「ちなみに葉月ちゃん、それ手術して取ってくれたりはしないよね。この島にはその手術してくれる有名病院があるけど」
「勘弁してください」
 

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2日目の最後には、龍虎に胸が無いまま女の子水着を着せての撮影もした。
 
「胸が無くても女の子水着に違和感が無いね」
と和泉が感心していた。
 
龍虎はワンピース水着、ビキニ、タンキニなどを着けて撮影されているのだが、その姿がごく自然で可愛いのである。
 
「アクアちゃん、お股に膨らみが無いのは、もう取っちゃったんだっけ?」
「取ってません。ボクのは小さいので目立たないだけです」
「別に私たちに隠さなくてもいいよ」
 

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3日目からは今度は龍虎が友利恵役となり、女の子水着を着ける。バストはブレストフォームで偽装する。
 
「普通の美少女の水着写真にしか見えん」
と桜井さんが言う。
 
「この子、ボディラインが女の子なんですよね。だから男子水着の方が少し違和感ありましたね」
と和泉も言っている。
 
「それやはり女性ホルモンの影響?」
「別に女性ホルモンは摂ってません」
「まあ個人的なことは追及しないけどね」
 
今日は男子水着姿になったのでホッとしているふうの西湖が言った。
 
「でもアクアさん、昨日も一昨日も朝から晩までずっと撮影されているのに全然疲れが見えませんね」
 
「うん。実は私もそれ少し心配したけど、疲れは出てないみたいね。疲れが出るとそれが顔に出るから。でもあの子、とにかくひたすら寝ますからと言っていたし」
とコスモスも答えた。
 
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何ものにも邪魔されずに熟睡したいというので、今回アクアは個室であり、マネージャーも別室にしている。そして疲れを取るためにといって随分たくさん食べたようで、食糧を3人分も差し入れてもらっていた。コスモスは後からアクアが3人分食べたと聞き、お腹が出たりしないだろうかと心配したのだが杞憂だった。今日のアクアはいつも通り、スリムな体型でウエストは年頃の女の子のようにくびれている。
 

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3日目は主としてワンピース水着やタンキニで撮影し、4日目はビキニの水着をつけた写真をたくさん撮影する。
 
「それほんとにブレストフォームなの?まるで本物だね」
と桜井さんは感心している。
 
「ボクの胸が無いのは一昨日見られてますでしょ?」
「もしかして昨日手術しておっぱい大きくしたとか」
「そんな無茶な」
 
4日目の最後には敢えて男の子水着をつけて「手ブラ」している所まで撮影する。
 
実は写真集は前半を佐斗志の写真、後半を友利恵の写真をメインにして、その間をつなぐのに、佐斗志の女子水着写真・友利恵の男子水着写真を間に挿入する構成というアイデアなのである。これは今回は同行していないアクアのプロデューサーである大宮万葉(青葉)の発案であった。
 
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「だけどブレストフォームって、乳首までリアルだね」
と桜井さんは、撮影上の経緯でアクアの偽装バストを生で見てしまったので思わず言った。
 
「これ乳癌の手術でおっぱいを取った女性のフェイクバストと同じ仕様らしいんですよ。だから、女湯に入っても違和感ないように凄くリアルに作られているらしいです」
 
「確かにあんたこれなら女湯に入れるよ!」
と桜井さんは言ったが、まさか本当に彼が女湯にしばしば入っているとは思いもよらない。コスモスはポーカーフェイスだが、KARIONの和泉がこらえきれずに失笑していた。
 

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撮影は月曜日の夕方終了した。すぐに帰国する。
 
HKT 18:15 - 19:35 BKK 22:45 - 6:55 HND
 
龍虎は入国してコスモスたちと別れると、モノレール・山の手線・高崎線を乗り継いで8:30頃赤羽駅に到着。そのまま学校に出た。
 
「龍ちゃんお疲れ様〜。これノート取っておいたよ」
と彩佳がノートのコピーを渡してくれる。
 
「ありがとう。助かるよ」
と言って龍虎は笑顔で受け取った。
 
「だけど木曜は学校終わってから羽田に行って夜中の便でプーケットに行って、4日間撮影して、昨日も夕方まで撮影してから夜の便で日本に戻ってきて、そのまま学校でしょ。よく体力持つね!」
 
と洋子が感心するように言っている。
 
「うん。でもボクわりと身体は丈夫だから」
と龍虎は答える。
 
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「へー。プーケットに行って写真集の撮影かあ。可愛く撮れた?」
などと昭徳が訊いていたら
 
「え?龍ちゃん、プーケットに行ってとうとう性転換手術してきたの?」
と話半分聞いた成美が尋ねて来た。
 
「ナルちゃんはプーケットで性転換手術したんだっけ?」
と洋子が半ば呆れたような顔で訊く。
 
「まさかあ。私は男の子だから性転換手術なんてしないよ」
と成美は言っていた。
 

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その頃、赤羽駅近くのマンションの1室でふたりの人物がどっとソファに腰を降ろしていた。
 
「疲れたねぇ!」
「凄いハードスケジュールだった」
「あんなの1人じゃ絶対無理」
「最後は疲れたような顔になっちゃうよね」
 
「疲れたからお肉でも食べようよ」
「賛成!こういう時は豚肉だよね」
 
と言って、ふたりは楽しそうに冷凍室から豚肉を出すと分担して調理を始めた。
 

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さて千里1は18日から24日までの期間、毎日午前中に桃香に面会に行き、午後はあちこち電話を掛けてその日空いている体育館で自主的な練習をしていた。
 
21日に桃香に会った時
「なんか体調が戻ってきたら、暇になっちゃって。よかったらパソコン持って来てくれない?」
と言った。千里1は
「OK。でも長時間するとお腹の子に悪いよ」
と言う。
「うーん。じゃ1日8時間くらいで我慢するから」
と桃香。
「長すぎる。4時間にしよう」
と千里は言う。
「分かった。4時間で」
と桃香は言ったものの、全く守る気は無い。千里が帰ってからまたスイッチをつければいいと思っている。
 

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この日の夕方、経堂のアパートに戻った千里1は、少し考えて《せいちゃん》に呼びかけた。
 
『忙しい所、申し訳無いんだけど、パソコンの使用時間を制限することってできる?』
『できるけど』
『桃香のパソコンを1日4時間しか使えないように設定して欲しいんだよ』
『できたら、二子玉川まで持って来てくれない?疲れていて、そちらまで行く気力が無い』
『OK。持っていくね』
 
それで千里1はミラを運転して、二子玉川まで行く。Jソフトの入っているビルの地下レストランに入り、自分のiPhoneから《せいちゃん》のスマホにメールした。すると彼が降りてきて千里のそばを通過する。その時、千里のテーブルの上にあるパソコンを持っていった。
 
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《せいちゃん》はその後30分くらい、パソコンをいじっていた。わあ、結構大変そうと思って見ている。
 
『できたよ』
という《せいちゃん》の声があり、彼は席を立つとパソコンを持って千里の所まで来て、パソコンを置いてレストランを出て行った。千里は彼がパソコンを置く時に、交換でサンドイッチとコーヒーの入った袋を渡した。お互いに
 
『さんきゅー』
『ありがとね』
 
と言葉を交わした。
 
しかし・・・・せいちゃんの女装、ホントに様になっているなあ!と千里1は思った。
 

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ビルを出た千里1は駐車場の方に行きかけたのだが、そこで年配の女性に呼びとめられる。
 
「村山さん?」
「はい?」
と言って振り返ったものの、千里1としては知らない人である。しかし向こうは千里のことを知っているようである。
 
『これ、誰〜!?』
と言ったら、《くうちゃん》が
 
『貴人が行っている茶道教室でよく一緒になる生徒さんで川島康子さん』
と教えてくれた。
 
へー!きーちゃんって、そんな所に行っているんだ?忙しいのによくやるね〜、などと思いつつも、その康子さんと会話を交わす。
 
「ソフト会社に勤めているといっていたけど、もしかしてここの会社?」
「はい。3階に入っているJソフトというところなんですよ」
「あ、そういえばそんな感じの名刺を頂いたわねえ。でもいつも和装だけど、洋装の千里ちゃんもいい感じね」
 
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と言われて、千里は焦る。今日着ている服はユニクロだ!
 
「これユニクロなんですけどー」
と千里1も照れながら答える。
「あら、でも安い服でもセンス良くまとめるのが千里ちゃんだもん」
と言って彼女は笑顔であった。
 
結局あたりさわりのない話を5分ほどして別れたものの、千里1はどっと疲れた!
 
なお千里1は《せいちゃん》に設定してもらったパソコンを翌日桃香の所に置いて来た。
 

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ところで今年の“千里”の代表活動の予定はこのようになっている。
(一部は既に終了)
 
4.06-17 第1次強化合宿 NTC (17日を休む)
4.20-29 第2次強化合宿 NTC (25日から参加)
4.30-5.13 アメリカ遠征 ダラス、サンアントニオ、シアトル
5.18-23 第3次強化合宿 NTC
5.24-06.13 ヨーロッパ遠征 スペイン(5/24-29) マケドニア(5/29-6/5) セルビア(6/5-12)
6.18-7.10 第4次強化合宿 NTC
7.08-09 国際強化試合 刈谷市 (vsオランダ代表)
7.14-18 第5次強化合宿 NTC
7.19-22 インドで事前合宿
7.23-29 FIBA女子アジアカップ2017 インド・バンガロール
 
4.06-17の第1次合宿は任意参加だったのでJソフトの方は休まなかったのだが、4.25以降は7.29まで、他のことは全く出来なくなる。
 
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それで千里はJソフトを4月25日から7月31日まで休職することにしていた。但しその内有休で処理できる分は有休に振り替えてもらっている。
 
その間、むろん《せいちゃん》もJソフトには行く必要が無い。それでこの機会に《せいちゃん》は《きーちゃん》の勧めで自動車の運転を覚えることにした。
 
Jソフトでは千里は運転ができると認識されているので、実際システムの納品に行く時や、トラブルがあった時に顧客の所に駆けつけるのに結構車を使っていて、その場面ではいつも《きーちゃん》が運転していたのである。
 

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「でも、今まで運転の練習をする機会無かったの?」
「俺、移動が必要なら飛んで行くし」
「なるほど〜」
 
そういう意味では自分で飛び回れる《こうちゃん》が1970年代に運転を覚えたのは、むしろレアなのかも知れない。彼は運送業に従事していた人の眷属になっていたので、代理運転をする必要があり、覚えたのである。それで彼は大型トラックやトレーラーでもきれいに操れる。
 
千里の眷属の中で運転ができるのは《きーちゃん》《こうちゃん》《いんちゃん》の3人だが、《いんちゃん》は『買物と子供の送り迎えで町内だけ運転している主婦並みの腕』と自ら言っている。それで千里の代わりに運転したこともこれまで数回しか無い。
 
「でもどうやって練習する?勾陳に教えてもらう?」
「あいつに習ったら、絶対変な教え方する」
「だよね〜。だったら自動車学校に行く?」
「それがいい気がする」
 
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そこで問題になったのが「誰として行くか」である。
 
「ひとつの手は千里として行き、ペーパードライバーになっていたので講習を受けたいと言って練習させてもらう方法。もうひとつの手は免許を持っていない誰かとして運転免許を取るためのコースに入学する方法」
 
「千里として講習受けに行った場合、女子だよな?」
「まあ千里は女だからね」
「だったら女装して通わないといけないわけ?」
「当然そういうことになる」
 
「嫌だ。もう女装生活したくない」
「でも、女装してない時でも、うっかり女子トイレに入りそうにならない?」
 
「実はそれこないだやって、中にいたおばちゃんがギョッとした目でこちらを見て『間違いました!』と言って飛び出した」
 
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「それ下手すると通報されるよ」
「早くこういう女装生活はやめて男に戻りたい」
 
「いっそ、普段も女装で生活したら?」
「いやだ」
「そして性転換手術を受けて立派な女の子に」
「絶対嫌だ」
 
「せいちゃん、メスになったらオスの龍にもてるかもよ」
「うーん・・・・」
 
《こうちゃん》などは女装が好きで、若かったら女になっても良かったなどとよく言っているが、《せいちゃん》はあまりそちらの気(け)は無いようである。しかし唆されるとまんざらでもない感じではある。
 

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そういう訳で、《せいちゃん》はこういう工作事が得意な出羽の八乙女のひとり、佳穂さんに頼んで、適当な住民票を用意してもらい、その住民票で免許取得に行くことにした。
 
それで住民票を渡されたのだが・・・・
 
「なんで女の子の住民票なんですか〜〜!?」
と《せいちゃん》は抗議する。
 
「え、だって、あんた女の子として自動車学校に行きたかったんでしょ?」
と佳穂さんは誤解していたのか、わざとなのか、そんなことを言った。
 
「別に性別なんてどうでもいいじゃん。若い女の子の方が親切に教えてもらえるよ。何なら、私があんた完全な女の子に変えてあげようか?別に性転換手術とかしなくても、女の子に変えてあげられるよ」
 
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「拒否します」
 
それで仕方なく、《せいちゃん》は宮田雅希という21歳の女子大生として、結局女装して自動車学校に通うことになったのである。
 
なお、宮田雅希という女性は実在していて、八乙女のひとり浜路さんの関係者らしい。彼女は《せいちゃん》と同時期に別の自動車学校に通うということだった。だから《せいちゃん》はこちらの自動車学校を卒業するだけでよく、免許センターに行って免許を取得するのは本人がするのに任せればよいと言われた。彼女の好意で免許証のクローンを渡すけど、絶対切符切られないでね、と佳穂さんは言っていた。なお、仮免の所は、うまく佳穂さんが誤魔化してくれるらしい。
 
しかし・・・そういう訳で、結局《せいちゃん》は自動車学校卒業後に車を運転する場合は、女の子に擬態しておく必要があることになった!
 
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△・落雷(16)

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