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■娘たち、男と女の間には(16)

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6月から龍虎の学校では水泳の授業が始まった。ここは女子校というのもあり、覗きなどの被害を避けるため、特別教室棟の地下1階に25m, 8コースの室内温水プールが作られている。
 
龍虎は実はこれまで泳いだことがなかったのだが、元々女子校には水泳が苦手な子が多い。初歩から丁寧に教えるよという話だったので、龍虎は頑張って泳ぎを覚えようと思った。
 
授業には男子用水着で出るつもりだったのだが(担当はN)、彩佳に男子用水着を取り上げられてしまい、女子水着を渡されたので(ほぼセクハラ+パワハラ)やむを得ず(?)女子水着で授業に出た。
 
「やはり龍ちゃん、おっぱいあるのね」
「やはり龍ちゃん、おちんちん無いのね」
 
と言われるのはいつものことである!
 
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なお、アクアは全ての記憶が連動するので1人が水泳の練習をすれば他の子も同程度に泳げるようになる。しかし3人とも練習すれば3倍上達するよ、と言って、他の2人も、深川アリーナの地下のプール(千里からパスをもらったが、24時間使えるのがよい)や一般の市民プールなどで練習をしていた。
 
ちなみにMも男子水着を着るつもりでいたのに、なぜか水着バッグには女子水着が入っており、それで泳ぐことになってしまった(お約束)。
 
しかし3人で練習したおかげで、1学期の内にかなり泳げるようになった。
 

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2017年6月上旬、アクアの9枚目のシングルの制作が行われた。
 
『憧れのビキニ』は岡崎天音(マリ)作詞・大宮万葉(青葉)作曲とクレジットしたが、実際には青葉が作詞作曲した曲で、水泳部に所属する彼女が、ビキニで練習しに来て、泳いでいる内に胸布が外れちゃったチームメイト(桜池布恋)を見て書いたものである。
 
『サンダーボルト−青天の霹靂』は葵照子(蓮菜)作詞・醍醐春海(千里)作曲とクレジットされているが、実際には千里2が作詞作曲した曲で、4月に千里が落雷に遭っ(て分裂し)た時のことを書いたものである。
 
今回はアクアのプロジェクトのディレクターであるKARIONの和泉の指揮で作業は進められた。和泉のコネで弦楽器奏者を5人(ヴァイオリン3・ヴィオラ・チェロ)入れており、プロデューサーの青葉も6月10-11日に新幹線で富山から出てきて参加。彼女のピッコロを『憧れのビキニ』にフィーチャーした。このピッコロは5月下旬に千里(実際は千里2)が青葉の所に送って来たもので、青葉は水泳大会の合間にこれをたくさん練習していた。
 
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和泉は『サンダーボルト』に指定されている龍笛パートも青葉に吹いてくれないかと言った上で、
 
「『サンダーボルト』に落雷の効果音が欲しいけど、シンセサイザで落雷っぽい音が出せるよね?」
と和泉は言ったのだが、青葉は答えた。
 
「千里姉が13日に帰国しますから、それでスタジオに呼んでこのパートを吹いてもらってください。千里姉が龍笛を吹いたら、必ず落雷が起きて、その音が音源に混じりますから、どんなに音を遮蔽しているスタジオでも」
 
「千里ちゃんが吹いたら雷が落ちるの〜〜!?」
 
それで和泉が千里に電話したら、6月13日にヨーロッパ遠征から帰国してから吹いていいよということだった。それで13日夜に吹いてもらったら、本当に落雷が起きて録音にその音が混じったので和泉が感心するというより呆れていた。
 
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「まあそれでローズ+リリーの音源製作にも私が龍笛を吹いて雷の音が混じっているものはいくつもある」
 
「うむむ」
 
ちなみに、この龍笛を吹いた千里は、実際にヨーロッパ遠征に行っていた千里(千里1)ではなく、和泉から電話を受けた千里(千里3)である。
 
また、アクアの方も、『憧れのビキニ』を歌ったのはアクアMで、『サンダーボルト』を歌ったのはアクアFである。これは『憧れのビキニ』はビキニの女の子を見た男の子の歌詞で、『サンダーボルト』は格好いい男の子を見て青天の霹靂のような衝撃を受けた女の子の歌詞だったからである。
 
例によってこの曲が発売された後、ファンたちは「『サンダーボルト』のアクア様って女の子っぽくて凄くいい!」と騒いでいた。おかげで発売後の個別ダウンロードはカップリング曲である『サンダーボルト』の方が圧倒的に多く、アクアは女の子にしてしまった方が人気が上がるのでは?とコスモスが悩むほどだった。
 
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もっともキャロル前田のGID告白後の人気の落ち具合を見ると、やはり性別移行は厳しいんだろうなと悩む。
 
(この時点ではコスモスはまだアクアの分裂に気付いていない。知るのは9月9日)
 

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2017年7月1日(土)、アクアが4月にプーケットで撮ってきた写真で構成した写真集『Double Green Sea』が発売された。
 
写真集の前半は“佐斗志”の写真集、後半は“友利恵”の写真集で、どちらも大半が水着写真だが、佐斗志の写真がラッシュガードを着けているものが多く、胸を曝している写真は少数であるのに対して、友利恵の写真集は水着そのままの写真が多く、ビキニの写真まで含まれている。
 
初日に予約分まで入れて20万冊売れたが、多くの人の意見は
 
「この写真集は後半の“友利恵”の部分だけでいい」
というものだった!
 
「やはりアクアは女の子なのでは?このボディラインはどう見ても女にしか見えん」
「ひょっとして、後半の写真の首から下は別の女の子なのでは?」
「いつもアクアのボディダブルを務めている今井葉月ちゃんということは?」
 
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しかしそういう疑いを持たれないように、わざと1枚葉月の身体が映った写真を残している。それで葉月の身体にすげ替えているという説は否定される。
 
(葉月は全てのファンから女子だと思われている)
 
また更に、前半の男子水着のアクアの写真と、後半の女子水着のアクアの写真をスキャナで取り込み、拡大縮小/Photoshopのレンズ補正して重ねてみた人があり、両者が完全に重なるとして補正した写真も添えて報告していた。
 
それで前半と後半は同じ人物の写真であることが確認された。
 
「ということは、やはりアクアは女子なのでは?」
「アクア様は女の子に決まってるよ。何を今更」
 
この写真集は物凄く売れたので、話題になっているようだというので買ってみた人の中にはアクアのことを知らない人も結構いた。そういう人は、男女双子のアイドルの写真集なのだろうと思ったようである。
 
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2017年7月5日(水)、アクアの9枚目のシングル『憧れのビキニ/サンダーボルト−青天の霹靂』が発売され、同日、青山ヒルズ1階の会議室で記者会見が行われた。
 
会見に出席したのは、アクア、コスモス、三田原、和泉、青葉である。
 
今回のシングルのPVはアクアにビキニを着せる訳にもいかないということで、アニメで制作した。
 
もっとも本人は着たそうな顔をしていたし、そもそも4日前に発売した写真集ではビキニ姿をたくさん曝している!
 
和泉は千里にも出席を要請したのだが、合宿中なので出席できないとお返事があった。
 

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自分が分裂していることに全く気付いていない千里1は日本代表の合宿を続けていた。
 
4.25-29 女子日本代表候補 第2次強化合宿 NTC
4.30-5.13 日本代表アメリカ遠征 ダラス、サンアントニオ、シアトル
5.18-23 女子日本代表候補 第3次強化合宿 NTC
5.24-6.13 女子日本代表候補 ヨーロッパ遠征 スペイン、マケドニア、セルビア
6.18-7.10(日-月) 女子日本代表候補 第4次強化合宿 NTC 15名
 

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そして運命の2017年7月4日、千里1は桃香から「早月の体調が悪い」と言われて様子を見るために無断で一時外出した後、合宿所に戻ろうとして(乗り継ぎを間違って)東京駅に来るのだが、霊能者同士の激しい戦闘が行われていることに気付く。すぐ待避しようとしたのだが、ちょうどそこに、アクアの記者会見に出席するため、北陸新幹線で青葉が到着した。
 
千里は青葉を守ろうとして、結局、羽衣とクロガーの戦闘に巻き込まれて死亡してしまう。青葉は千里が自分を守ろうとして死んだことを知らない。しかし“何度も死亡したことのある”千里だからこそ蘇生できたのであって、青葉だったら完全に死亡していた所だった。
 
千里が死んだ時、ちょうど今まさに生命の火が消えようとしていた小春が、残っていた自分の生命エネルギーを全部千里に渡して代わりに自分が死亡。その後、青葉・千里2・千里3の連携プレイで千里は何とか蘇生した。
 
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しかし蘇生はしたものの千里1は(死んでいた時間が長かったこともあり)その霊的能力を全て失い、かなりの記憶を失い、バスケットや音楽の能力も大幅に低下していて、直後の練習試合を見た監督から代表落ちを宣告された。
 

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千里2は《きーちゃん》と話し合って、千里3を緊急帰国させることにした。
 
千里3は連絡を受けた《えっちゃん》から、カフェで朝ごはんを食べていた所を「日本バスケット協会から、すぐ来てという連絡が入ったから」と言われ、(マジで)訳が分からない内に飛行機に乗せられてしまった。アパルトマンの洗濯物・洗い物や作曲作業中のパソコンも放置したままである。
 
MRS 7/12(Wed) 7:10 (AF7673 A321) 8:40 CDG (1'30)
CDG 7/12(Wed)13:35 (AF276 777-300ER) 7/13 8:20 NRT (11'45)
 
バスケット協会は千里(千里1)が代表落ちした翌日の7月5日、アジアカップに出場する12名の女子日本代表を発表していたのだが、その後1人怪我人が出てしまった。それで代わりに誰を召集するかという話をしていた所に、千里(千里3)がキョロキョロと人を探すような様子でやってきた。
 
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この時、代表の練習は明日からだったのだが、早く合宿所に入っていた玲央美が自主練習をしていた。千里を見て「これマルセイユにいるほうの千里じゃん」と気付き、鋭いパスを送る。
 
千里は即反応してボールをキャッチすると、玲央美に向かって行く。
 
華麗なフェイントで玲央美を抜くとスリーポイント・ラインの所からシュート。ボールはダイレクトにゴールする。
 
「おぉ!!」
とマーシャル監督が声を挙げた。
 

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「千里、復活したね」
と玲央美は首脳陣に聞かせるために言う。
 
「玲央美はスペインから呼び戻されたの?」
と千里3は訊いた。これは《きーちゃん》に聞かせるために言っている。
 
「スペイン?何それ?」
「玲央美はスペインリーグに行ってたんでしょ?」
「そんな所行ってない」
 
実際玲央美が参加しているのはフランスのLFBの育成チームなのでスペインには行っていない。玲央美は左倉アキを身代りにフランスに置いて、こちらに来ている。
 
「やはりまだ脳内は混乱しているようだが、バスケットは復活しましたよ」
と風田コーチが監督に言った。
 
それで千里(千里3)は代表落ち宣告の僅か10日後、日本代表に復帰したのである。
 
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そのことがバスケ協会のサイトで公表されていちばんびっくりしたのは《姫様》から
「千里は全ての能力を喪失した。この喪失は不可逆だ」
と言われてショックを受けていた、青葉だった!
 
(姫様は代表復帰のお知らせに気付いた青葉が千里と電話(実は千里2につながった)した時に“全然別人の”千里がいることに気付き仰天し、そのあと分裂に気付いた−でも青葉には言わなかった!言わない方が面白そうと思ったからである!)
 

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千里3がNTCに行き、代表復帰を要請された頃、千里1は《きーちゃん》の誘導で、レッドインパルスの川崎の体育館に行き、どうしても体調が戻らないので2軍に落としてほしいと申し入れた。
 
首脳陣は本当に調子が悪そうなのを見て
「2軍への移行は5月締め切りだから、今更移行できないけど、2軍扱いにしよう」
と言って返した。
 
それで千里(千里1)は、翌日から川崎の1軍の体育館ではなく、横浜の2軍の体育館に行くことになった。
 
ところがその後、今度はNTCから《きーちゃん》の誘導で千里3が川崎の体育館にやってくる。表情と雰囲気がさっき見た千里と全く違うので、黒江コーチが鋭いパスを送る。千里はそのボールを美しくシュートした。
 
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「あのぉ、どうかしたんですか?」
と千里3。
 
「この子、午前中に来た子とは別人だと思いません?」
と黒江コーチ。
 
「うん。だからこういうことにしない?」
と松山ヘッドコーチが言う。
 
「2軍に落とした村山君は村山十里、ここにいる村山君は村山千里くらいで」
 
「ああ、そんな感じでいいと思いますよ」
と黒江咲子。
 
レッドインパルスの首脳陣は、千里が(恐らく春に遭った落雷の影響で)一時的に二重人格状態になっているのではと思ったのである。
 
それで、レッドインパルスには1軍に 33.村山千里、2軍に 66.村山十里、という登録がなされることになった。実務的には1軍の登録は春に登録したままで、2軍に新たに村山十里を登録した。
 
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そして千里3は日本女子代表の1人としてアジアカップが行われるインド・ベンガルールに渡航した。
 
NRT 7/19(Wed) 11:15 (AI307 787-8) 17:00 DEL
DEL 20:30 (AI504 A321-Sharklets) 23:15 BLR
 

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《きーちゃん》は千里3がインドに行っている間に、3番が帰国後用賀や経堂にあまり来ないようにするため、川崎市内・津田山駅の近くに新たに駐車場付きマンションを契約し、そこに住んでもらうようにした。
 
マルセイユのアパルトマンにあった制作環境は《きーちゃん》本人が行って全て津田山に持って来た。ついでに洗濯もして、洋服なども全てこちらに移した。他の眷属に頼む訳にはいかないし、《えっちゃん》は千里3に付いているので1人でこの作業をしたが、短期間に何度も日本とフランスを往復するので、なかなかハードだった。
 
なお車は千里3にアテンザを使わせ、千里2は新たに購入したトヨタ・オーリスを使用する。そのほか《きーちゃん》専用にホンダ・シャトルを買ってもらった。
 
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