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■娘たち、男と女の間には(11)

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コスモスはΛΛテレビの鳥山編成局長に電話を入れた。
 
「夜分たいへん申し訳ありません。急な話で申し訳無いのですが、今日の朝の情報番組にアクアを出演させて、今ネットで騒ぎになっている制服問題について釈明させていただけませんでしょうか?」
 
「ネットで騒ぎに?ちょっと待って」
 
どうも鳥山さんはこの件をまだ知らなかったようである。しかしネットで検索してすぐ状況を掴んだようである。
 
「ぜひアクア君にインタビューしたい。でもしていいの?」
「はい。全く問題ありません」
 
それで朝のテレビへのアクアの出演が決まったのである。
 
「なんか大騒動になっているみたい」
「まあアクアは何をしても注目される」
「でもボクがスカート穿いて歩いていても誰も騒がないのに」
「その件は、私も不思議でならない。これはきっとズボンを穿いていたのが悪い」
「え〜〜!?」
 
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「ああ、アクアさんが下もスカートの完全女子制服を着ていたらそもそも誰も盗撮しようとも思わなかったかもですね」
と真悠まで言っていた。
 

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そういう訳で、朝5時にアクアはコスモスと一緒にテレビ局に入り、テレビ局のスタッフに事情を説明した。テレビ局ではすぐに必要な資料や写真などを揃えた上でアクア自身から学校側にも連絡を取って放送したい内容を説明して了承を得る(実際にはアクア自身がうまく説明できないのでコスモスが代理で説明した)。
 
それで4月2日(日)、6時のニュースの途中、7時の生番組冒頭でも予告し、ツイッターにも予告を流した上で7時半から10分間、コーナーを設けて“C学園・改造男子制服”を着たアクアに、女性アナウンサーが質問し、この学校の女子制服の写真と、アクアが実際に着ている“制服”の写真を並べたりして説明した。
 
・以下具体的な学校名を出すのはプライバシー上控えさせて欲しい。
 
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・この学校は女子校であったが、今年から高等部の芸術科に限って最大5名まで男子生徒を受け入れることになった。一般入試ではなく自己推薦入試限定。
 
・まだ初年度でもあり男子の制服は定めておらず、学生らしい服装であればよいことにしている。
 
・それでアクアは女子制服のブレザーを買って、これを友人に頼んでボタンの左右付け替えの改造をした。今アクアが着ているのがこの制服である。下はスカートではなく一般的な男子用学生ズボン(市販品ではサイズが合わないのでオーダー品)を穿いている。
 
・昨日はこの改造が間に合わなかったため、暫定的に左前のブレザーを着ていた。
 
・アクアが性転換した事実は無いし、性転換する予定もない。女子高生になる意志もない。アクアは普通の男の子である。
 
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この緊急インタビューの視聴率は凄まじかった。
 
この日は様々な仕事の予定もあるのでということで10分間のインタビューのみだったのだが、もっと色々質問したいという照会が、他の報道機関からも殺到したため、結局翌日、4月3日(月)の夕方から、わざわざホテルの会議室を借りて記者会見まで開いて、アクアの高校通学問題について質疑応答をした。
 
ここに至る段階、および記者会見の席でも、事務所側は報道各社に対して、高校生でもあるので、具体的な学校名は出さないで欲しいと要請。これは各社とも守ってくれた。
 
この4月3日の記者会見で騒動は鎮静化したものの、対応に苦労した案件だった。しかしコスモスの素早い対応が事件を簡単に済ませた感がある。
 
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4月14日(金)、花園亜津子がWNBAに参戦するため成田からアメリカへ旅立っていった。同日、“須佐ミナミ”もNCAAに参戦するといって花園亜津子より1つ早い便でアメリカに向かった。
 
この時、空港で千里や冬子がお茶を飲んでいた時、上島雷太が多忙で実際には江戸娘のオーナーの仕事を全然できずにいて申し訳無いので、誰か代わってくれないかと言っていると雨宮先生から話があり、政子(マリ)が引き受けることにした。
 
ただし上島が負担していた、深川アリーナの建設費分担金(JER4の株)については、マリには買い取りきれないので、千里が引け受けることにした。建設費負担金は全部で58億円で、千里と冬子が15億円、上島が12億円、雨宮が10億円、KL銀行が6億円負担していた。この上島分12億円を千里が買い取ったので、千里の出資比率は27億円、46.5%になった。
 
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しかしこの時千里は、12億円なんて上島さんには“はした金”だと思っていたので、買い取りを打診されたことに疑問を感じた。それで千里は上島さんの経済状況を調べさせることにした。
 
これがMuse Projectや松本花子プロジェクトにつながっていくことになる。
 

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4月11日、ある週刊誌が「キャロル前田は既に去勢済み」という報道をした。
 
それによると、情報源は明かせないが信頼できる筋からの情報(**)で、彼は小学生の時に男性化防止のために外国で去勢手術を受け、それがバレないように代わりにシリコンボールを入れているというのである。
 
(**)この雑誌が「信頼できる筋」と言っても、この雑誌自体が不確実な報道が多く信頼できない、と多くの人から言われた。
 
しかし確かにもう中学2年生になるというのに、まだ声変わりが来ていないのは(高校生になったのに声変わりしていないアクアを除けば)極めて珍しい。
 
週刊誌の報道をもとに一部のテレビ局がワイドショーでも取り上げ、ネットでも結構な騒ぎになる。その中で手術はアゼルバイジャンで受けたらしい、などというまことしやかな情報まで流れることになる。
 
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「でも10月にお医者さんが、キャロルにはちゃんと男性器があると言ってたじゃん」
「それは外見を見ただけだからでしょ。シリコンボールで誤魔化していたら、見たり触ったりしただけでは分からないよ」
 
騒動がどんどん大きくなっていくので、結局、キャロル前田は事務所の社長と一緒に4月16日、記者会見をすることになる。
 
「キャロルさんは既に去勢していて、睾丸の代わりにシリコンボールを入れているという報道がなされているのですが」
と記者が質問する。それに対して彼は答えた。
 
「半年前の記者会見の時は嘘をついて御免なさい。私は性転換手術は受けてないですけど、去勢しているのは事実です」
 
「去勢の理由は何でしょうか?病気治療のためとかですか?」
 
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「男っぽい身体になりたくなかったからです。声変わりして男のような声になるのも嫌だったので、声変わりが来る前、小学5年生の時に去勢しました。手術は外国ですが、どこの国かとかは勘弁して下さい」
 
とキャロルは答えた。恐らく正規の医療では無かったのだろう。
 
「半年前の記者会見の時に私に男性器があると証言してくださったお医者さんをどうか責めないでください。代わりに睾丸と感触がそっくりの人造睾丸を入れているので、触っただけでは本物との違いは分からないと思います」
 
「それは区別するには例えば組織採取とかしないと無理ですよね?」
「そうです。睾丸に直接針を刺して組織採取して調べたりしない限りは分かりません。この人工睾丸は感触も本物そっくりですし、精索ともつないであって、普通の美容外科とかで入れてくれるシリコン製人工睾丸よりずっと精密なんです」
 
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「キャロルさん、男っぽい身体になりたくないということは、もしかして女性らしい身体になりたいのですか?」
 
「そうなりたいです」
 
「女の子になりたいのでしょうか?」
「女の子になりたいです。ですから将来的には性転換手術も受けて女性になりたいと思っています」
 
このキャロルの発言に事務所の社長は厳しい顔をしていたが、ネットでも多くのファン、特に女性ファンから悲鳴があがった。
 

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龍虎はキャロルの記者会見があっていた時間帯はドラマの撮影をしていたので会見を見なかった。しかし21時前に事務所から緊急連絡が入り、撮影から抜けさせてもらうことになった。
 
「今は時間的余裕があるから大丈夫だよ」
と監督は送り出してくれた。ボディダブル役の葉月も一緒に退席する。
 
それで事務所に行くと、キャロルの記者会見のビデオを見せられた。
 
「へー。キャロルちゃんは去勢していたんですか?。彼凄く女の子っぽかったですもんね」
 
「世間ではやはりアクアも去勢しているのは間違い無いという話になっているのだけど」
「去勢してませんよー」
 
「さっそく、去年『アクアの性別を解明する!』を放送したテレビ局から、アクアの性別検査を絶対に誤魔化しができないように生放送でさせてもらえないかという依頼が来ているんだけど。睾丸に針を刺しての組織検査付きで」
 
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「痛そうだけどそのくらいいいですよ。こういう疑惑は早い時期に払拭した方がいいです」
「龍ちゃん、ほんとにそういう検査を受けても大丈夫?」
とコスモスは心配そうに言う。
 
「問題ありません」
と龍虎は断言した。
 
きっと《こうちゃんさん》が何とかしてくれるだろうと思っているのだが、こういう時彼がわざと何もせずにこちらを窮地に追い込むのが大好きであることを龍虎は理解していない。
 
「だったら、明日のお昼くらいに、学校を休んで病院で検査受けてもらってもいい?
「むしろ歓迎です。この状況では、ボクとても学校に出て行けません」
「そうだろうね!」
 

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それで龍虎は「今夜の24時以降は食事を取らないように」と言われて、赤羽のマンションに帰還した。帰る時は鱒渕に車でマンションまで送ってもらった。赤羽駅まで行く西湖と一緒だが、西湖は
 
「とうとう女の子の身体になっていることを発表するんですか?」
と尋ねた。
 
「ボクは男の子だよぉ。明日の検査でちゃんとそれを確認してもらうから」
と龍虎は答える。
 
「そうなんですか?ボクてっきり、アクアさんは既に性転換手術を終えているものと思い込んでいました」
と西湖は言っていた。
 
まあ、そう思っている人は多いかもね〜、と龍虎は思った。
 
(むしろ西湖のほうこそ、昨年秋頃性転換手術を受けて本当の女の子になったのではと、§§ミュージックの寮では噂になっていることを西湖本人は知らない)
 
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龍虎が帰宅してみると、母が来ていたようで、回鍋肉が作ってあった。それで龍虎は「24時以降は食事をしないで」と言われたから、今の時間帯なら、まだいいよね?と思い、料理をチンして食べようとした。
 
その時、突然物凄い音と光があった。
 
「わっ!」
と思わず声をあげて後ろにのけぞり、両手を後ろに突く。そして龍虎は目の前に居る2人の人物を見て
 
「君たち誰?」
 
と言ったが、目の前に居た2人も
 
「君たち誰?」
と言った。
 

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「ボクは長野龍虎なんだけど」
「僕は長野龍虎なんだけど」
「私は長野龍虎なんだけど」
 
と3人の“龍虎”は言った。
 
「もしかしてボク3人になっちゃった?」
と言ってお互いの顔を見る。
 
「やった!私が3人居るのならさ、3人で交替で仕事に行かない?」
「いいね!それ」
「そしたら3日に1度仕事をして後2日寝ていられる」
「仕事→休み→学校、のサイクルかな」
「最近ちょっと仕事がきつすぎたよ」
「3人くらい居ないともたないと思ってた」
 
と3人は盛り上がる。
 
それで3人は話し合って、1人が学校に行き、1人が仕事に行き、1人が休むというのを3人で回していこうという話になる。また3人は自分たちのうち、1人は男の子、1人は女の子、1人は男の娘であることに気付いた。
 
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それで明日の“性別検査”には男の子(龍虎M)が行くこと、今度のプーケットでの写真集撮影では、佐斗志は龍虎Mが、友利恵は龍虎Fが基本的に撮影に応じ、Nは男女どちらも撮られる交代要員になることなどを決めた。
 
ところがここで困った問題が生じる。それは3人でプーケットに行きたいのにパスポートは1つしか無い、正確には各々1つずつ持っているがクローンの状態なので、記録が連動するし、だいたい法務省のデータベースの処理上、出国したのに入国しないまま更に出国はできない。そもそも同じ番号のパスポートで航空券が3枚買えないという問題である。そこでこれは千里さんに相談しようということになった。
 
また3人の龍虎は自分が3人居ることに気付かれないように、必ず人前には1人ずつ現れるようにしようと話し合う。お互い脳間通信で話し合えること、どうも4〜5分より前の記憶はお互い共有しているようであることを認識して“離れていてもいつも一緒”という意識を持つようにした。おかげで龍虎が3人になったことに、いつも近くに居る《こうちゃんさん》でさえ、3ヶ月くらい気付かなかったのであった。(彼がわりと、にぶいのもある)
 
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そういう訳で翌17日、龍虎Mは朝9時までぐっすり寝て体調を整えた上で鱒渕・コスモスと新宿区内の駅で10時半に落ち合い、一緒に病院に行く。ロビーでテレビ局のスタッフと落ち合う。これが11時前である。
 
テレビ局側は社長さんまで来ているのでびっくりする。社長さんがコスモスに「本当に検査を生放送していいか」と尋ねたが、コスモスは笑顔で
 
「全然問題無いです。アクアはずっと性転換疑惑・実は女の子疑惑、がずっとあったので、この際、厳密な検査を受けさせて本当に男の子であることを確認してもらった方がスッキリします」
と言った。
 
それで生放送は実行されることになった。
 
昨年はアクアのことを全然知らない医師が検査したが、今年は事前に診察する医師にアクアのこと、彼の既往症のこともきちんと伝えてある。それ故に逆に誤魔化しは困難なはずである。
 
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娘たち、男と女の間には(11)

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