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2017年4月に話を戻す。
プーケットに写真集撮影に行ったアクアたちだが、23-24日に“友利恵”の写真撮影が終了し、夜の便で日本に戻った。実際には飛行機に乗ったのはNでFは《わっちゃん》に転送してもらっている。そしてNも帰国したらマンションに帰り、25日の学校はずっとマンションで寝ていた龍虎Mが出て行き、仕事は先に転送してもらっていたFが行っている。
(基本的に学校に行くのと仕事に行くのは別の子)
一方、鱒渕のふりをして帰国した《わっちゃん》は
「疲れたので自宅に戻って寝ています。夕方の打合せには出てきます」
と言って、鱒渕の自宅に戻り、台所の窓のロックを外した上で、室内で倒れているふりをする。それを打合せに出て来ないので不審に思った田所デスクが見に行って発見。管理会社に連絡して鍵を開けてもらう。ここで本当に意識を失ったままの鱒渕と位置交換。鱒渕本人が病院に運び込まれることになった。
鱒渕は昏睡状態であったものの、お見舞いに行った龍虎が彼女にキス・・・ではなくて、彼女の手を握ると意識回復した(そのように《くうちゃん》が設定しておいたのである)。
目覚めると本人はいたって元気な様子で、すぐにも仕事に復帰すると言ったものの、コスモスが「完全に回復するまでは入院していなさい」と言って、当面病院で療養することになった。
アクアのゴールデンウィークのツアーが目前である。しかし鱒渕がダウンしたので、コスモスは病床の鱒渕に尋ねて、何をしなければならないかを書き取った。コスモスはその作業量の膨大さに絶句する。
「あんた、これを1人でやってたの?」
「すみません。要領が悪いものでひとつひとつに時間が掛かって」
「いや、要領とかいう問題では無い」
4月26日(水)の夜、テレビ番組の収録を終えたアクア(F)を∞∞プロの菱沼伊代(32)が迎えた。
「私が鱒渕ちゃんに代わって、あんたのゴールデンウィーク・ツアーを統括することになったから」
「わあ、よろしくお願いします」
「それで今晩一晩、ちょっとデートしない?朝まで」
「はい?」
「セックスくらいさせてあげてもいいよ」
「ごめんなさい!僕、性欲が無いんです!」
アクア(F)は、自分ではやばそうだと思い「トイレに行ってきます」と言って個室の中でMと交替した。まだ制服の予備を作っていないので中身だけ交換!したのだが、Mはスカートを穿いているのを認識して・・・喜んだ!
「ふーん。女子トイレを使うんだ?」
「ごめんなさい。あんたは男子トイレ使ったら混乱の元だから女子トイレ使いなさいと言われているんです」
「確かにあんたが男子トイレに入って行ったら、ギョッとされる気がするよ」
「そうなんです」
「そもそもスカートだし」
「今の撮影の前に入ったドラマでは女役だったので、流れでこうなっちゃいました。これ実は撮影用衣装をそのまま借りてきたんですよ。着換える時間が無かったので」
「スカート、個人的にも好きなの?」
「わりと好きですよ。でもボクがスカート穿いて出歩いている所を盗撮されたことないです」
「それはうちの鈴木(社長)も不思議だと言っていた」
菱沼の運転するカムリ(私物らしい)で中央道を走り、適当なICで降りる。適当に通りがかったホテルにチェックインする。菱沼は
《菱沼伊代・菱沼龍子》
と記帳し、ツインの部屋に入った。
「じゃ、楽しいこと始めようよ」
と言って、伊代はいきなり龍虎(M)のお股をスカートの上から触った。Mは健全な男の子なので即反応する。
「ほんとに付いてたんだ!」
「こないだテレビで徹底的に性別検査されましたよ」
「あれ絶対何かトリック使ってると思ったのに。そっくりの替え玉の男の子をあらかじめ病院に入れておいたとか」
伊代は
「もう高校生だし、このくらいはいいよね?」
と言って、ホテルの冷蔵庫に入っていた勝沼ワインをグラス2個に注ぎ勧める。龍虎はおそるおそる飲んでみたが、飲んだ瞬間クラッと来た。でも美味しい!と思った。
伊代は龍虎を裸にしたりはしなかったものの、しばしば龍虎の胸とかお股とかを触りながら龍虎と様々な会話をする。
「大きくなってるね。ほんとにセックスとか体験してみない?これうまくやれば先っぽくらいは入れられるよ」
「ごめんなさい。性欲が無いので。これも物理的に反応しているだけなんです」
「だったらトイレに行って出してくる?」
「これ大きくなっている間は、おしっこ出ないんです」
話が全然通じていないものの、伊代は「まあいいや」と思った。
持ち込んだドリップ式のコーヒーを入れたり、軽いおやつなども食べながら夜通し話したが、明け方近くに伊代は言った。
「私完全に誤解していたよ。あんたは普通の男の子だ」
「そうなんです。でもみんなボクは女の子になりたいんだろうと思っているんです」
「うん。私もそう思っていたよ」
伊代は(4月27日)明け方、∞∞プロから女性マネージャーを2人呼び出し、1人には自分と龍虎を東京まで送ってもらい、もう1人には自分の車の回送を頼んだ。ワインは午前3時くらいまでにボトルを空かしてしまったので既に酔いは覚めているのだが、疲れているので安全を期して運転は避けたのである。
伊代は龍虎を赤羽のマンションまで送って行った後、自宅に送ってもらい3時間ほど仮眠してから§§ミュージックに出て行って、ツアーに向けての打合せをした。
一方龍虎(M)は「さすがに疲れた。学校はNに頼もう」と思い帰宅した。ところが帰宅するといきなりFに言われた。
「あんたお酒飲んだでしょ?」
「勧められてワインを少し」
「僕たちまで酔っちゃったじゃん」
「1人がお酒飲むと全員酔うのか!?」
「きっとFが妊娠したら全員おっぱい大きくなって、お乳も出るようになるね」
などとNが楽しそうに言っていた。
この日はFが学校に行き、夕方からのツアーの打合せはNが出た。
結局アクアのツアーは下記の体制で進めることになった。
菱沼伊代(Golden Six マネージャー)
楠本京華(丸山アイのマネージャー)
南国花野子・矢嶋梨乃(Golden Six)
吉田和紗(後の桜木ワルツ)・羽藤玲香(後の桜木レイア)・
ハナ(後の山下ルンバ)・佐藤ゆか・南田容子・吉沢蕾美
米本愛心(3月末で辞めたのに呼び出されて手伝わされ伴奏までした!)
実際問題として10人、最低でも5人くらいでやらないと手に負えない分量の仕事をこれまで鱒渕は1人でやっていたのである。年末のツアーの時は、サポートミュージシャンの事前顔合わせが無く、福岡でぶっつけ本番になってしまった問題でコスモスは鱒渕を叱ったのだが、こんなに作業量があったら、それくらい漏れても仕方ないとコスモスは思ったし、実際お見舞いに行った時に鱒渕に謝った。
この他に今井葉月と門脇真悠も「ひょっとしたら男手かも」と言われて、雑用でたくさん使われた。
ドームツアーの終了後は、取り敢えずアクアのファンクラブ会報の創刊号編集を主導した牛田典子(春風アルトの元マネージャー)に一時的に復帰してもらいチーフ・マネージャーとして統括してもらうことにした。川崎ゆりこも一時的に“マスター・マネージャー”という名目で可能な範囲の支援をする。
その他、桜木ワルツとハナ(山下ルンバ)については正規のサブマネージャーになってもらい、他に★★情報サービスから2ヶ月間限定(学校の夏休みが始まるまで)で、津島恭一さんを送迎のために借りた。
C学園に
「あのぉ、男性でもいいですか?」
と尋ねると、彼が既婚者であることもあり、
「身分の確かな方なら、構いませんよ」
と言って写真付き入構証(ICカード)を発行してもらったので、アクアをC学園に迎えに行く作業にも投入した。
また、ビザの失効で1月にハワイに帰国していた元エレメントガードのレイ(日本名:鷹木礼子)が無事就労ビザが降りて5月中旬に再来日したので、早速スケジュール管理係としてマネージング・チームに入ってもらった。
なお、彼女は「性転換手術受けてきます」などと言ってハワイに戻ったのだが、再来日した彼女を見る限りは性別が変わった感じは無かった!
「元々は男の子だったのが女の子に性別変更したんだっけ?それとも元々女の子だったんだっけ?」
「個人情報で」
「もう日本の永住権取るか、あるいはいっそ帰化しなよ」
「検討する」
そういう訳で5月から7月までのアクアのマネージングは下記の6人で行った。
牛田典子・川崎ゆりこ・桜木ワルツ・ハナ(山下ルンバ)・鷹木礼子・津島恭一
この他に佐藤ゆか・南田容子なども適宜手伝う。
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娘たち、男と女の間には(14)