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■娘たち、男と女の間には(2)

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12月上旬、葉月はアクアと一緒にドラマの撮影をしていて、23時になってから
 
「じゃ高校生以下はここで終わり」
と言われて、スタジオを退出した。この時間ならギリギリ桶川に帰る終電に間に合うので駅まで走って行こうかと思ったのだが、研修生の吉田和紗が迎えに来ていて
 
「お疲れ様です。おふたりとも今から申し訳ないのですが、“スタジオ”に来て下さい」
と言った。“スタジオ”というのは、大田区蒲田にある§§ミュージックのサテライト・オフィスである。
 
それで和紗が運転するフォルクスワーゲン・ポロ(事務所の車)の後部座席にアクアと葉月が並んで乗って、蒲田のオフィスに行った。
 
和紗が2人をオフィス内の小部屋に案内すると、40代くらいの女性が2人いる。
 
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「ではよろしくお願いします」
と和紗は言って出て行く。部屋に居た女性は
 
「ではお振袖の着付けしましょうね。どちらがリュウコさん?」
と尋ねるのでアクアが手をあげる。
 
「じゃあなたはこちらね」
と言われて、かなり豪華な振袖を和服バッグの中から取りだして衣紋掛けに掛けた。
 
「なんかすごーい」
「加賀友禅の工房作品ですから。まあ、いいお値段がしそうですね」
などと言い、龍虎に服を脱ぐようにいい、下着だけになった所からその上に肌襦袢、長襦袢、と着せて振袖の着付けをしてくれた。
 
一方、葉月の方も、アクアのには見劣りするものの、それでも100万円くらいしそうな友禅風の振袖を目の前に掛けられ、こちらも服を脱いでから、肌襦袢・長襦袢と着せられ、振袖の着付けをしてもらった。この時点で葉月はまた何かのドラマの撮影なのだろうかと漠然と考えていた。
 
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ちなみに、今日は龍虎も葉月もドラマの撮影の都合で、女子下着を着けていたし、バストも偽装していたので、着付師さんたちは2人が男の子であるとは、夢にも思わなかった!
 

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着付けが終わったら第1スタジオに入って下さいと言われたので一緒にそちらに行くと、桜野みちる、秋田利美、姫路スピカ、花咲ロンド、といった面々がそろっていて全員振袖を着ている。
 
「何の撮影ですか?」
とアクアが訊くが
「私も聞いてない」
と桜野みちる。
 
「白い振袖の人と、ピンクの振袖の人が居ますね」
と花咲ロンドが言う。
 
秋田利美と花咲ロンドがピンクの振袖で、他の4人は白い振袖である。
 
少し遅れて高崎ひろか・品川ありさが入ってくる。ふたりとも白い振袖を着ている。
 
それから少しして、秋風コスモスと川崎ゆりこがやはり白い振袖を着て入って来た。
 
「みんな揃っているかな?」
「みんなって誰々が集まるんですか?」
 
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「えっと・・・」
と言って、ゆりこが指を折りながらそこに居るメンツを見ている。
 
「あ、ネオンが居ない」
 
それでゆりこがネオンに直接電話したら、彼は第3スタジオに居るということだったので第1スタジオに来るよう言う。彼が来た所でコスモスは言った。
 
「さあ、今年も1年間お世話になりました、来年もよろしくお願いします、のビデオを撮るよ」
 
「ああ、それだったのか!」
 

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それで白い振袖を着た6人と羽織袴のネオンがこのように並ぶ。
 
(ピアノ)葉月・ひろか・アクア・みちる・ありさ・ネオン・スピカ
 
それで昨年同様、コスモスの指揮、ゆりこのピアノで、全員で
 
「今年もお世話になりました。皆様、ありがとうございました」
と言った。
 
その後全員1秒ずつ撮すからと言われ、全員手を振ったり、投げキスをしたり、変な顔!?をしたり、と思い思いのアピールをした。
 
アクアは笑顔で両手で手を振り、葉月も片手で手を振った。各々の所にテロップで名前が入るからということだった。
 
なお撮影に使用したピアノは2016年の年始で使ったのと同じ Yamaha C7X でコスモスの指揮棒も同じ黒だった。
 

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ここで撮影スタッフの男性とネオンが第1スタジオを出る。
 
着付師さんたちが入って来て、今白い振袖で映った6人のお着換えをする。
 
「ああ、今度はピンクの振袖にするんですね?」
「そうそう。それで最初からピンクの振袖着ていた2人も入る」
「なるほどー」
 
20分ほどで着付けは終わる。ピアノが交換される。今度は Kawai SK7 を使用した。コスモスの指揮棒も赤になっている。ネオンが戻って来る。このように並ぶ
 
後列:  ロンド・葉月・スピカ・リズム
前列:ひろか・アクア・みちる・ありさ・ネオン
 
ロンドは、ひろか・アクアの間、葉月はアクア・みちるの間、のように並んでいる。
 
「とうとう2列になったか!」
「その内10列くらいになったりして」
「そこまで行くとお互いの名前を覚えきれなくなる」
 
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全員にメッセージボードを持たせ、各自好きなメッセージを書き込むことになった。
 
ここで秋田利美の芸名が白鳥リズムに決まったことが発表される。
 
「格好いい!」
「男の子でも行ける名前だ!」
「ぜひネオン君に次ぐ2人目の男性タレントになろう」
「そうだなあ。小学校卒業と同時に性転換して学生服で中学に通おうかな」
 
「リズムちゃん、振袖やめて、ネオン君と同様に羽織袴にする?」
「お着替え面倒だからいいです」
 
そんな話をした時、唐突にアクアは言った。
 
「あ、ネオン君が羽織袴なのに、ボクは振袖だ」
 
「何を今更?」
「振袖着て喜んでいたくせに」
「そのセリフ去年も聞いた」
「だいたいアクアが羽織袴なんて着てたら、ファンから非難囂々」
 
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という訳で、アクアは振袖でよいということになり撮影は続行される。全員で
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
 
と言い、その後全員メッセージボードに書いたメッセージとともに手を振ったりしながら撮影は完了した。
 
ちなみに葉月が振袖を着ていることについては、本人も含めて誰も問題にしなかった!
 

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12月上旬からキャロル前田・七浜宇菜W主演の『変身!ポンポコ玉』の撮影が始まった。
 
原作はサトウハチロウ『あべこべ玉』で1932年(昭和7年)の作品である。昭和23年にも同名の短編集に『ポンポコ玉』として収録されている。この短編集が国立国会図書館に収蔵されているようである。
 
1973年にTBSが原作の設定を少し変更して「へんしん!ポンポコ玉」の名前でドラマ化した(主演:安東結子・小林文彦)が、今回は半世紀ぶりのリメイクである。今回のドラマでは主人公の2人は原作通り、兄妹の設定にした。但し原作は中2と小6の設定だが、今回のドラマでは中2と中1の兄妹にする。それでキャロル前田のセーラー服姿や、七浜宇菜の学生服姿が見られる。
 
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このドラマは3月に実際に放送が始まると初回から宇菜の立ち小便シーンが出て、ファンの男の子たちから悲鳴が出ていた。キャロルの新体操シーンについてはファンの女の子たちから歓声があがっていた!
 
でもこの2人は“最初から姉弟ではないのか?”と随分言われた。キャロル前田は男の子でポンポコ玉により女の子に変身するのだが、最初から男装女子にしか見えない。七浜宇菜はその妹の設定でポンポコ玉により男の子に変身するのだが、最初から充分女装男子にも見える。
 
アクア主演『時のどこかで』も視聴率が凄まじいが、3月になるとこちらもかなりの視聴率を取り、本来あまりテレビを見る人の多くない時間帯である17時代がこの2つの番組の曜日だけは準ゴールデンの扱いになって、CM料金まで高騰したようである(広告料金は基本的には視聴率との掛け算で支払われる)。
 
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大騒動となった福岡ライブの後、アクアたちは福岡で泊まった翌日、12月25日は関西ドームでコンサートがあるので午前中に新幹線で移動した。追加ミュージシャンは、A班・B班を組織していたのだが、大阪はB班の担当である。そしてB班のキーボード奏者さんが、残りの公演のA班のライブにも付き合ってくれることになった。彼女の負荷を減らすために実際にはいくつかの曲では愛心がキーボードを弾き、少し休ませることにした。結果的に愛心もこの後全部の日程に付いて回ることになった。
 
「ゴールデンウィークのツアーの時はもう辞めているから、これが最後のお付き合いかなあ」
などと愛心は言っていたが
 
「3月の東北復興支援ライブにも出てよ」
とゆりこ副社長から言われて
 
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「あ、出ます出ます!」
と答えていた。
 
「但しあれはギャラ無し、アゴ・アシ・マクラ自腹だから、よろしくね」
「そうだった!」
 
「大丈夫だよ。みんなの分の交通費・宿泊費・食費は全部ボクが出すから」
とアクアは言った。
 

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25日の関西ドーム、27日の愛知ドーム、29日の埼玉ドームと公演をして、ツアーはいったん谷間に入る。紅白は例によって29日からリハーサルが始まっているが、白鳥リズム・姫路スピカ・今井葉月の3人が代理でリハーサルに出てくれていた。一方ツアーのリハーサルは花咲ロンドがアクアの代わりに歌ってくれた。
 
12月30日の夕方は新国立劇場でRC大賞の授賞式が行われる。幾つかの番組の撮影をこなしてから会場に入ったら、三つ葉の3人もいたので
 
「おめでとう。そちらは新人賞かな?」
と声を掛けたら
 
「私たちは賞とは関係ないんだけど、後学のために見学に来たのよ」
と優羽が言っていた。
 
そんなのあり?と思いながら控室から会場に移動する。
 
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西宮ネオンと隣のテーブルなので握手する。
 
(アクアは例によって今まで女性用控室に居た)
 
アクアのテーブルにはコスモス社長・三田原部長・青葉さん(『エメラルドの太陽』の作曲者)が座り、西宮ネオンのテーブルには川崎ゆりこ副社長・TKRの宮川課長・作曲者?の東郷誠一さんが座り、千里さんはYS大賞の時には欠席していたが今日はちゃんと小野寺イルザの所に鈴木社長と一緒に座っている。
 
青葉さんはローズ+リリーの公演に同行しているので28日に沖縄公演をして29日にマリさん・ケイさんと一緒に東京に戻ってきたらしい。千里さんは、オールジャパンに出場するので毎日午後チーム練習があり、また23-28日はウィンターカップがあり母校が出場していたので、毎日夕方からはそちらの練習の相手をしていたらしい。24日だけピンポイントで福岡に来てくれたらしく、全くお疲れ様である。青葉さんと千里さんは明日は仙台のローズ+リリーのカウントダウンに出演するらしい。
 
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最初金賞を受賞した全員の歌唱があり、ここでアクアは『エメラルドの太陽』をマイナス1音源で歌う。その後、新人賞の紹介があるが、ここで三つ葉はやはり新人賞を受賞していた。寝耳に水?だったらしい3人は「うそ〜〜〜!?」と驚いていた。どうもドッキリ企画だったようだ。名古尾さんらしい演出だなあと思った。彼女たちはおかげで涙を流しながら歌っていた。
 
今年のRC大賞および最優秀新人賞はどちらも全然知らない人の全然知らない曲だった。ネオン君に「知ってる?」と小声で訊いたが、彼も首をひねっていた。
 

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RC大賞が終わった後は、紅白のリハーサル会場に行く。代理の人にたくさんリハーサルに出ていてもらっても、本人も1度は入っておかないと勝手が分からない。しかしこの日最後になったリハーサルでも、本人が来ていない歌手さんがまだ結構いたので、アクアは少しホッとした。
 
紅白に呼ばれるほどの歌手なら、年末のスケジュールが空いている訳が無い!
 

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31日は午前中、FM局で生番組に出た後、お昼から東京パティオで行われる連続24時間カウントダウン/ニューイヤー・ライブの最初の方で歌う。その後、テレビ局の生番組に出てから、紅白の会場に入り、最後のリハーサルに参加した。
 
直前まで代理でリハーサルに出ていたのは今井葉月である。本来は白鳥リズムの役だったのだが、リズムが春にはソロデビューするので、その後は当面葉月がリハーサル役をするという話だった。確かに葉月は背丈も近いし、雰囲気が自分と近いようである。そういう意味では最高のリハーサル役かも知れないが、彼の体力が持つだろうか?と心配になった。
 

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