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■娘たち、男と女の間には(3)

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紅白は昨年同様7時から始まり、アクアは白組のトップバッターで歌うと、挨拶だけしてすぐに会場を出た。
 
会場から出た所で、駐車場に駐めている紅川会長のベンツの中で着換えさせてもらい、女子高生っぽい服!に着換える。そして★★情報サービスの染宮さんのバイクのタンデムシートに座り、彼のバイクで羽田まで連れて行ってもらう。
 
空港に先に来ていたハナちゃんとそのお母さん(わざわざ佐賀から出てきた)と合流する。ハナちゃんは龍虎と似た感じの女子高生っぽい服を着ている。既にチェックイン手続きはしてくれていたので、すぐセキュリティを通り、新千歳行きに搭乗した。娘を2人連れたお母さんという感じにしか見えないので、龍虎は騒がれたりすることもなく、無事北海道まで行くことができた。
 
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HND 12/31 21:00 (HD39 737) 22:35 CTS
 
そして空港から3人で一緒にタクシーに乗り、ANAクラウンプラザホテル千歳に入る。ここで龍虎は田代の両親が待つスイートへ、ハナちゃん母娘はデラックスツインに入り、旅の疲れを休めた。
 
女子高生っぽい服のまま部屋に入って行くと、田代父が
 
「おお、可愛い!」
と嬉しそうに声をあげて、田代母から睨まれていた!
 

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実を言うと、最初、12月31日は都内のホテルに泊まり、1月1日午後の便で札幌に行くつもりだったのだが、11月の中旬頃、その計画をアクアから聞いたコスモス社長が、その日程では万一飛行機が天候不良などで飛ばなかったら大変なことになる、と言い、1年前の2月にケイさんたちが奈良の山奥に閉じ込められた事件も思い起こしたので、今年のアクアは12月31日の内に北海道に入ることにしたのである。そのため田代夫妻には早い便で千歳に行ってもらっていた。
 
実際アクアが福岡で拳銃男と爆弾犯に遭った12月24日、北海道ではEXILEのメンバーが飛行機が飛ばなかったため新幹線で函館まで行き、その後車で移動していて事故に遭いメンバーが負傷。(3代目J Soul Brothersの)公演が中止になる騒ぎが起きていた。あの日は東でも西でも大騒動だったのである。
 
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しかしそのニュースを見て、こちらでは「やはり冬の北海道に行く時は日程に余裕を持って移動しないとまずいね」という話をしたのであった。
 
それで今年のアクアはおかげで1月1日は丸一日オフにしてもらい、のんびりと北海道のホテルでお正月を過ごすことができた(2日は午前中に札幌の局から生番組に参加した)。
 

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福岡ドームでのアクアライブに出演した後、千里は12月25日から27日までは午前中作曲作業、昼からレッドインパルスの練習に参加。そして夕方からは旭川N高校の合宿に参加して、福井英美とたくさん練習をこなした。
 
N高校は27日の準決勝で愛知J学園に僅差で敗れてしまった。しかし28日の3位決定戦では岐阜F女子高に延長戦にもつれる接戦の末勝利。銅メダルを獲得した。優勝は札幌P高校で、6年ぶりのウィンターカップ制覇であった。
 
なお左倉ハル(この年は高校1年)が所属する富山B高校は12月26日に準々決勝で札幌P高校に敗れ、BEST8で終わった。
 
ウィンターカップ終了後、旭川N高校のメンツは、オールジャパンを観戦する7名を除いて帰ることになる。オールジャパン観戦組は常総ラボに泊まり込むことにし、オールジャパンに出場しない川南と夏恋が彼女らのサポートをしてくれることになった。東京との往復(レンタカーで借りた9人乗りハイエース)の運転もその2人が交替でしてくれる。常総ラボのいい所は防音なので24時間練習ができることである。
 
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26日の敗戦後、ハルは勝利したにもかかわらず大して喜んでもおらず、勝って当然という雰囲気のP高校ベンチを見て、“自分に対する”怒りを覚えていた。
 
夏に愛知J学園と当たった時もそうだった。自分たちのチームはP高校やJ学園にとっては“相手”ではないのだ。これは消化試合にすぎない。実際、この試合でP高校側は主力の出ている時間があまり長くなかった。
 
強くなりたい。
 
もっと強くなりたい。
 
それで考え事をしながらロビーを歩いていたら、誰かとぶつかってしまう。
 
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
 
とお互い言い合うが、ハルはそこに凄い長身で体格のいい女性(たぶん)を見た。
 
「あっ」
「何か?」
「日本代表の佐藤玲央美選手?」
「うん」
「すごーい!握手してもらっていいですか?」
「いいよ」
 
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それでハルは玲央美に握手をしてもらった。
 
「今負かされたチームの出身者と握手しているの見られたらチームメイトから叱られそうだけど、でも佐藤選手、尊敬しています」
などとハルが言うと
 
「君のこと知ってるよ」
と玲央美は言った。
 
「そうですか?」
「君、村山千里の弟子でしょ?」
「分かるんですか?」
 
「試合中に感じていた。動きに千里っぽい所があるんだな」
「へー!」
 
「だけど、負かされたチームの選手だとか、ライバル校の選手だとか、そんなことにこだわっていたら、君は成長できないよ」
と玲央美は言った。
 
ハルはハッとした。
 
「バスケットはね、自分との戦いなんだよ。昨日の自分より強い自分、今日の自分より強い自分に進化していく。それは世界中の全てのバスケット選手がひとりひとり自分と戦って進化していく孤独な過程。それがバスケットだよ」
 
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ハルは虚を突かれた思いだった。
 
「千里が見込んだ選手だもん。君は素質あると思う。君だって日本代表になりたいでしょ?」
「なりたいです」
「東京オリンピック目指して頑張りなよ」
「東京オリンピックですか!?」
 
「君、高校2年くらいだっけ?」
「高校1年です」
 
「だったら東京オリンピックの時は20歳じゃん。日本代表を狙える年齢だよ」
「考えたことなかった」
 
「君はもう富山に帰るの?」
「そうなると思いますが・・・」
「もし許可取れたら、私たちと一緒に練習しない?」
「札幌P高校さんとですか?」
 
「私、千里、高梁王子、鞠原江美子、渡辺純子、湧見絵津子」
「凄いメンツですね!」
「12月28日の夜から30日の夕方くらいまで、48時間ぶっ通し」
「それいつ寝るんですか?」
「不眠不休」
「ひぇー!」
「しない?」
「参加させて下さい!」
「よしよし」
 
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「でもそれまでは?」
「私と練習しない?泊まる所は確保してあげるよ」
「はい!」
 
それでハルはキャプテン、監督、そして母に連絡して、“千里さんほか数名の選手と練習の約束をしたので”として、居残りの許可を取った。
 
「なるほどー。千里はそちらのチームに信用があるんだ?」
「実はうちの学校の体育館で怪異があったのを、千里さんとお姉さんの青葉さんが解決して下さったんです」
 
「君、それ間違ってる。青葉の方が妹」
「あれ?そうでしたっけ?」
 
くすくすと誰かが笑った気がした。玲央美はすぐ気付いて、その“三毛猫”を抱き上げた。
 
「君、人語を解するようだね」
と玲央美はアキに言った。
 
アキは楽しそうに「ニャー」と鳴いた。
 
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玲央美がアキを抱き上げたことで、ハルは玲央美が“見える人”であることを認識した。
 

ハルも参加した出羽の月山裏秘密コートでの特訓では、
「人数が奇数だな」
 
などと言っていたら、アキが人間態で出てきて4人vs4人の練習になった。出羽の特殊な空間の中ではハルとアキの双方が余裕で活動することができるようであった。
 
「アキちゃんもなかなかやるね」
と江美子が言うので、ハルもアキに負けじと頑張っていた。
 
8人は玲央美が言っていたように28日夕方から30日午後まで丸2日ひたすら練習して最後は全員「疲れたぁ」と言ってコートの上で寝転がっていた。湧見絵津子など本当に眠ってしまったので、眠ったまま自宅に転送された。
 
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青葉と千里は12月30日はRC大賞の授賞式の後、大宮の彪志のアパートまで戻り、千里は更に桃香のアパートにも寄った。翌日は早朝青葉・千里の2人で一緒にフェイの様子を見に行った後で、午前中の新幹線で仙台まで行き、M市で行われるローズ+リリーのカウントダウン・ライブの会場まで行った。
 
まだ観客を入れる前なのに、一部の出店は既に大賑わいである。和実たちの《クレール》も出店しているのだが、狭い出店のスペースに凄い人数のメイドさんたちが入って、どんどんオムライスとコーヒーを作っている。他のお店は既に作ってきているものを暖めて提供するだけなので(保健所の通達によりイベントの出店では包丁使用は禁止)2-3人かせいぜい5-6人なのに、ここだけ20人近いスタッフが狭いスペースにうごめいているのである。しかも女子たちはみんな可愛いメイド服を着ている。
 
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こういう所でまさかリアルタイムで作っているとは思わなかったので驚いたが、どうもこれだけ居ても人手不足の状態のようだ。
 
「手伝おうか?」
「頼む」
 
それで青葉と千里も演奏が始まるまで、メイド服を着て!お店を手伝うことになった。ふたりともオムライスの玉子を鉄のフライパンで焼けるので、物凄い戦力になったようである。
 
それでひたすら玉子を焼いていたら、今日の前座に出る女子高生トリオ、ボニアート・アサドの3人が来る。オムライスと特にこの時間帯故に作ってあげた甘いカフェオレ(コーヒー半分ミルク半分)を渡す。彼女たちはカフェオレを飲みながらクレールの宣伝用パンフレットを見ていたが、「ライブ出演するアーティスト募集中」と書かれているのを見て「私たちも出たい」と言い出す。その場でマネージャーさんがOKするので、ボニアート・アサドはクレールに出演するアーティスト第1号となり、これが結果的にはクレールの救世主となるのである。
 
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彼女たちはレコード会社との話し合いの結果、春のデビュー前には毎週、デビューした後も月に1回クレールに来訪することになった。それで3月のグランドオープンより前に、クレールは毎週土曜日だけ営業することになって、その度に大量のファンが押し寄せ、クレール内に《ボニアート・アサド・ファンクラブ仙台事務局》まで設置されることになる(マキコが事務局長に任命された)。
 

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結局千里と青葉は前座が始まるまで2時間フル稼働で働き、おかげで長い列のお客さんを凄い速度でさばくことができた。あの列は速いみたいだというので、他のお店の列に並んでいたお客さんまでこちらに移動してきて、どんどんお客さんが増え、それをどんどんさばいた。千里たちまで入れて21人ものスタッフが入って、計画的な流れ作業で提供していく。和実は「計算上6秒でコーヒー1杯入れられる」などと言っていた。それも本格的なドリップコーヒーで、器具も大量に持って来ている。
 
千里たちは演奏の準備があるので前座が始まった所で離脱させてもらったが、その時千里は「これ必要になるかも」と言って、懐中電灯を数本、手伝いにきている若葉に渡しておいた。
 
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