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■娘たちの二十面相(1)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-10-25
 
その日、龍虎の学校では昨日テレビの映画番組で放送された『フェイス/オフ』のことが話題になっていた。
 
「あの映画が作られた頃(**)は、顔の移植なんてSFだったかも知れないけど、現代の技術ならできないのかな?」
という意見がある。
 
(**)Face/Offは1997年6月公開の映画。日本での公開は翌年になった。ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジという超大物俳優2人が顔を交換するというプロットが大いに話題になった。『転校生』のサスペンス版?
 

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「顔の移植手術は実際に行われているよ。全世界で今まで20件くらいあったはず」
と日高洋子が言う。
 
「マジであるんだ!?」
「でもドナーの顔と同じにはならない」
「なんで?」
「骨格や輪郭が違うから」
「おぉ!」
「確かに日馬富士に指原莉乃の顔を移植しても、指原莉乃には見えないかも」
「それは骨格以前の問題という気がする」
 
「実際にはドナーの顔とレシピエントの本来の顔がミックスしたような顔になる。だから『フェイス/オフ』みたいにはいかない」
と洋子。
 
「なるほど、ドナーの表面とレシピエントの骨格がミックスするのかな」
「そうだと思う。やはり美人とか、骨格からして美しいんだよね」
 
「ああ、私は骨格で美女になれない」
という声もあがっていた。
 
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「でも顔がそっくりでも性格が違えば、絶対バレると思わない?」
と彩佳がいう。
 
「うん、そちらがもっと大きいと思う。顔だけ似せたって、性格や雰囲気は真似できるものではないよ」
と洋子が言い、龍虎も大いに納得した。
 

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龍虎はゴールデンウィーク直前に追加の制服を注文して、3人が各々自分専用のを使えるようにしたのだが、連休が明けた後、今度は夏服も頼んだ。
 
元々のC学園高校の(女子)制服は、冬服はグレイのブレザーと同色の膝丈スカート、および胸元のリボンである。龍虎が“勝手に”設定した“男子制服”は女子制服のブレザーの左右ボタン交換版にボトムは黒い学生ズボン、胸元はネクタイだった。
 
女子の夏服はブルーのブラウス、白とグレイのチェックの膝丈スカート、それにネクタイだが、実は龍虎が冬服に合わせていたネクタイは本来夏服用のものであった。これに寒暖に応じて白いベストを着る。
 
龍虎が頼んだ“夏服”は、女子のブラウスと同色のワイシャツだが、実際には女子のブラウスの左右ボタン交換版である。男子用のワイシャツだとバストが収まらないのである。ボトムは女子のスカートと同系グレイの学生ズボンを念のため再度採寸して作ってもらった。
 
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実際に注文したのは、女子仕様のと男子仕様のを2セットずつ。つまり4着である。ベストも4着頼んだが、ネクタイは2本にした。これは冬服として使用していたものが流用できるからである。
 
頼む時は、女子仕様の2着と、男子仕様の2着は、別の指定店に頼んだ。指定店は4ヶ所あるので、分けて頼めば目立たない。洗い替えに2着頼む人は普通にいる。女子仕様のを頼んだお店では何の問題もなくオーダーできたが、男子仕様のを頼んだお店では
 
「男装の趣味とかあるの?」
などと訊かれてしまった!
 

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夏服は6月1日(木)から着用したが、この日学校に出て行ったのはNである。でもうまくFに唆されて、スカートを穿いて行った。
 
「夏服はスカートにするの?」
とクラスメイトから尋ねられたが
「日によってスカート穿いたりパンツ穿いたりするよー」
と答えておいた。
 
龍虎がわりとこういう発言をするので、クラスメイトの中には龍虎は gender fluid (性別が流動的な傾向)かと思っている人もあるような気がした。
 
実際には暫定的に three spirit 状態である!(多分フェイなどは gender fluid に近い)
 
「パンツは冬服と同じもの?」
「新たに作ったぁ」
と言って写真をスマホで見せる。
 
「グレイ一色なんだ」
「チェックにしなかったの?」
「スカート制服の写真を取り込んで、Photoshopでパンツの上に模様だけ転写してみたら、何か変だった」
 
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「確かにチェックのスカートは可愛いけど、チェックのパンツは微妙かも」
 

2017年6月28日(水)は京平の2歳の誕生日だった。
 
この時点ではまだ“7月4日”の前なので、3人の千里はここに居た。
 
1番:東京北区のNTCで日本代表の合宿中
2番:アメリカでWBCBLに参戦中
3番:フランスでLFBのマルセイユの練習に参加中
 
まず夜中の2時頃、東京から転送されて1番がやってくる。
 
「誕生日おめでとう、京平」
 
それで1番からお誕生日のお祝いにレゴのデュプロをもらった。
「ママ(阿倍子)に訊かれたら、パパ(貴司)が置いて行ったよと言っておいて」
「そうする」
 
他にキティちゃんのワンピースをあげたら、さっそく着換えて
「これ可愛いね」
と嬉しそうにしていた。
 
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しばらくおしゃべりしていたが
「ねぇ、おっぱいとかダメ?」
などと言う。
 
「じゃ誕生日だから特別ね」
と千里は言った。それで京平は横になった1番のおっぱいに吸い付き、しばらく飲んでいたが、眠くなったようでそのまま眠ってしまった。
 
1番は京平が充分深く眠ったのを確認してから東京に戻してもらった。戻る前に持参していたカップ麺とレトルトカレーを数個、棚の収納ボックスに追加しておいた。
 

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朝5時頃、2番が“深川アリーナ”から転送されてやってくる。千里はアメリカ東部夏時間(EDT=UTC-4)で午前9-12時に練習をしているが、これは日本時間では22-25時に相当する。これだけでは練習時間が足りないので千里は1番が海外遠征中の期間を除いては、昼食後、日本の深川アリーナで3時間(AM 2-5h)ほど、ひとりで練習していて、これが終わった所で大阪に転送してもらったのである。
 
「京平、誕生日おめでとう」
 
京平は2番からはプラレールのセットをもらった。
「ママに訊かれたら、パパが置いて行ったよと言っておいて」
「そうする」
 
それで京平は自分で頑張ってプラレールを組み立て線路を輪の形にした。それでトーマスの機関車を走らせると、自分で線路を作ったゆえに凄く嬉しかったようで、とてもはしゃいでいた。
 
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2番がアルミの型で舟形にしたチキンライス(旗付き)を大小1個ずつ作って持って来ていたのでそれで一緒に朝御飯にした。
 
「きょうのはたは、どこのくに?」
「これは左から緑白赤だからイタリアだね」
「フランスはあおだっけ?」
「そうそう。フランスは青白赤。ちなみに緑白橙ならアイルランド」
「むずかしいね」
「たくさんあるからね」
「でもこういうはた、さかさまにしたらじゅんじょがかわっちゃうね」
「たまにスポーツ大会でうっかり逆さまに掲げてしまう失敗がある」
「ほんとに?」
「ギニアが赤黄緑、マリが緑黄赤だから、逆にするとやばいね」
「まちがったらおこるよね?」
「おこるだろうね。流す国歌を間違ったというのも過去にあったよ」
「それもおこるよね?」
「国際大会で表彰台に登るなんて、一生に一度かも知れないのに、それを間違えられたら怒るよね」
 
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京平は
「ねぇ、おっぱいとかダメ?」
などと言うので、2番は
「じゃ誕生日だから特別ね」
と言って、おっぱいを出して横になる。それで、京平はそのおっぱいに吸い付き、幸せそうに飲んでいる。
 
「でも京平もそろそろおっぱいから卒業したいね」
「そろそろね」
 
「ちんちんからも卒業する?」
「ちんちんからそつぎょうって?」
「お医者さんに行って、ちんちん取って女の子の形にしてもらう?お風呂に入る時に、ママやお母ちゃんのお股見てるから分かるでしょ?」
「けがはえてるからよくわからない」
 
「女の子になるなら、名前もあらためて可愛いらしい女の子っぽい名前をつけてあげるよ」
「ちんちんないのはこまるなあ」
「女の子になったら、可愛い服とかたくさん着られるのに」
 
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今日の京平は可愛いキティちゃんのワンピースを着ているのである。しかもパンツはプリキュアの可愛い女児用ショーツである。ゆとりのあるサイズの物を穿いているので、ちんちんが飛び出したりはしない。
 
「かわいいふくはきたいけど、ちんちんはとりたくない。ぼくおとこのこだもん」
「まあそれもいいかもね」
 
そんな会話をしながら、京平にスカート穿かせて髪も長くしてるのって、そもそも誰の趣味で始めたんだっけ?などと考えていた。阿倍子も千里も買ってあげるので現在、京平のタンスの中で女児用の服が2割ほどを占めている。女児用水着まである。阿倍子に頼まれて数回京平をプールに連れて行った時、ワンピース型がいいと本人が言うので、アンダーショーツでおちんちんを目立たないようにして女児用水着を着けさせた。
 
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京平もこういうのが好きなようだが、女の子になりたい訳ではないようだし、女の子の服を着るのは「そういう気分の時」だけで、普段は男児用の服を着ていることが多い。でも、京平はスカートなど穿くのに味をしめているので、このままだと龍虎みたいな感じに育ったりして!?
 
京平はしばらくおっぱいを飲んでいたら眠くなったようでそのまま眠ってしまった。
 
微笑んでマイメロの可愛いパジャマに着換えさせてから、ベッドに寝せ、食器を持って葛西に戻った。
 

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10時頃、阿倍子が起きてくるが、京平が仮面ライダーのシャツとショートパンツを着て、プラレールで機関車を走らせながら、レゴを作っているのを見る。
 
「そんなのあったっけ?」
「こないだパパがおいてったよ」
「あ、そうだったっけ」
 
阿倍子は起きはしたもののまだエンジンが掛かっていないようでボーっとしていた。スマホでゲームをしているが、対戦中にうとうととして操作が停まり負けてしまうというのを繰り返している。
 
11時頃
「お腹空いた」
と言って、棚に載っている収納ボックスの中からマルちゃん・ワンタンしょうゆ味を取り出すと、ケトルでお湯を沸かして作る。3分の1くらい取り分けて京平に渡す。
 
「おいしそう!いただきまーす」
と言って、京平が食べていると、阿倍子も笑顔である。
 
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最近、ママはカップ麺とかレトルトカレーが多いなあ、などと思いながら京平もこれは好きなので美味しく食べた。
 
しかし阿倍子は京平の誕生日ということに気付かなかったようだ。もっとも阿倍子は貴司の誕生日も自分の誕生日も!だいたい忘れている。そもそも日付の記憶があやふやである。一度阿倍子が書類に自分の生年月日を昭和53年12月18日と記入しているのを見て京平が「ママ、たんじょうび、ちがう」と指摘してあげたこともある!(本当は11月28日)
 
13時すぎに阿倍子は「少し昼寝する」と言って、また寝室に行ってしまった。阿倍子はだいたい朝は10時頃起きるものの、14-16時頃昼寝をする。それでその時間に京平は千里3と会うことにしている。
 
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14時頃、京平が転送されて市川ラボに行く。フランスから転送されてきていた千里3がいる。
 
「京平、いい子してたか?」
「ボクはいい子だよ」
「誕生日おめでとう。ケーキ買ってきたぞ」
「わぁい」
 
それでマルセイユの洋菓子屋さんで買ってきたケーキを出し、蝋燭を2本立てて火をつけ、京平に吹き消させた。それで切り分けて食べるがさすがに2歳児の胃袋では6分割した内の1個しか食べきれない。
 
「残りはここに置いておけばパパが食べるよ」
「さいきん、パパぜんぜん、おうちに来ない」
「忙しいんでしょ」
 
「絵本読んで」
というので、アナと雪の女王のパジャマを着せて、ベッドに並んで寝転がり、毛布だけ掛けて、フランスで買ってきた絵本を千里が日本語に訳しながら読んであげる。
 
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「それフランス語でも聞きたい」
「よしよし」
と言って千里は
「Il etait une fois, une petite fille de village, la plus jolie qu'on eut su voir; Sa mere en etait folle, et sa mere-grand plus folle encore. Cette bonne femme lui fit faire un petit chaperon rouge, qui lui seyait si bien que partout on l'appelait le petit Chaperon rouge」
 
とフランス語でも読み、1文ごとに続けて日本語に訳して聞かせた。
 
「C'est un chaperon?」
と京平が絵本の絵を指して尋ねる。
「Oui oui. Donc, elle s'appelle "Le Petit chaperon rouge"」
 
「女の子なのにLeなの?」
「Chaperon(ずきん)は男性名詞だからね」
「じゃ、ぼくがchemise bleueをきてて、chemise bleues の子とか
いわれたら、chemise (シャツ)は女性めいしだから、ぼく男の子なのに La chemise bleue とかよばれたりする?」
「するかもね。青いスカート穿いてたら La jupe bleue かもね」
「jupeはあまり穿かないよ」
「でも好きでしょ?」
「うん。jupe(スカート)のほうがpantalon(ズボン)より、トイレがしやすいんだよね」
「それはjupeの便利なところだよね」
 
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結局絵本を聞きながら京平は眠ってしまったので、眠ったままの状態で大阪のマンションのベビーベッドの中に転送した。
 

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阿倍子は京平が帰るのより少し早く起きていたのだが、京平が居ないことに気付かなかったし、戻ってきたのにも気付かなかった。
 
彼女はだいたい低血圧なので、寝ている時間が長いが起きている間もだいたいぼーっとしている。晴安とデートしていて、おしゃべりしている内に眠ってしまい、仕方なく晴安がマンションまで車で送ってきて、そのまま抱き抱えて寝室のベッドに寝せてあげたこともある。
 
(阿倍子が持っている鍵で部屋を開けた。京平もドアを開けたり、毛布・布団をめくったりなど、協力してくれた)
 

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