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■娘たちの収縮(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-05-19
 
2012年3月19日(月).
 
千里は大分県別府市で全日本クラブバスケットボール選手権に参加して優勝した。帰宅はその日の深夜になったので、千葉駅で空港連絡バスを降りた後は、全員タクシーで帰した。全員飲んでいるので車の運転は禁止した。駅前に停まっているタクシーに乗せ、タクシーチケットを運転手さんに渡している。この確認作業は“睨みの利く”千里・麻依子・国香・浩子の4人でやっている。
 
麻依子は彼氏が迎えに来ていたので、そちらで帰す。国香・浩子もタクシーで帰してから千里自身は西千葉駅に近い桃香のアパートまで歩いて行った。
 
この日は友紀と真帆が来ていてウィスキーで酒盛り!していたので、千里も付き合うことになった。
 
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「これ美味しいね」
と千里は言ってからボトルのラベルを見て
「ああ、カティサークか」
と言った。
 
「美緒はバランタインの方が好きと言ってたけど、私はこちらが好きだ」
と真帆。
 
「私はジョニー・ウォーカーもいいと思うんだけどね。カティサークも好き」
と友紀。
 
「桃香に訊いてみたら、桃香はフォアローゼスだと言っていた」
「スコッチじゃないじゃん!」
「でも桃香にはバーボンが似合ってる気はする」
 
「桃香は角瓶と言うかと思った」
「桃香は基本的に安いものが好きだけど、お酒はほどほどのお値段のを飲む」
「あ、それは感じてた。さすがにモルトウィスキー(*1)には手を出さないみたいだけど」
「モルトウィスキーは学生には手が出ない」
 
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(*1)スコッチウィスキーでモルトウィスキーというのは単一の蒸留所で作られたものを言う。マッカランとかグレンロセスとかがモルトウィスキーである。これは結構なお値段がする。カティーサーク、バランタイン、ジョニーウォーカー、J&Bなどはブレンディド・ウィスキーと言って様々な蒸留所のお酒を混ぜて飲みやすい味にまとめている。これはとっても庶民的なお値段で、学生のお小遣いでもわりと気軽に買える。角瓶やトリスはサントリーのウィスキーの中で最もお手頃な価格帯の製品である。サントリーのブレンディド・ウィスキーのランクはたぶん、響30/21/17/12/Japanese Harmony/ローヤル/スペシャルリザーブ/オールド/角瓶/ホワイト/トリス・エクストラ/レッド/トリスクラシック、という感じ?
 
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「うーん。私はウィスキーはよく分からないや。でもこれは美味しいと思った。しかし夕方、大分でも結構飲んだから、迎え酒になるなあ」
と千里。
 
「大分に行ってたんだ?」
「うん。バスケットの大会でね。そうだこれ開けちゃえ」
 
と言って、別府で買ったお菓子「ざびえる」の箱を開ける。桃香にあげるつもりだった分だが、まあよいだろう。
 
「あ、これ美味しい−」
「いいね、これ」
 
「試合は勝った?」
「うん。優勝したよ」
「おめでとう!」
 
「メダルか何かもらった?」
「うん。これ」
と言って金メダルと記念品のウィンドブレーカーに柘植ブラシを見せると
「すごーい!」
と言って触っていた。
 
「あれ?女子の部優勝と書かれている」
と真帆が言う。
「千里が男子の部に出る訳ない」
と友紀。
「結局、千里は女子選手なんだっけ?」
「何を今更?」
 
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「千里って、実際問題としていつ性転換手術受けたの?」
「今年の7月に受けるつもりなんだけど」
「手術は終わっているよね?」
「手術が終わってないのに、女子選手になれる訳ない」
 
「そうなんだよね〜。過去に3回くらい病院で性別検査受けさせられて、あなたは確かに女だと言われたし」
「では今年の7月に性転換するという話はおかしい」
「それで私も困っているんだけどね〜」
 

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「そういえば最近、桃香はこのアパートにほとんど戻ってないみたいね。お陰で貞操の危機を感じることなく、ここに泊まれる」
 
みんな襲われているのか!?
 
「襲われそうになったらお腹を蹴り上げるのが良い」
「あれだと1時間くらい立ち直れないみたいだし」
「美緒は1度やっちゃったらしいよ」
「さすが美緒!」
「朱音にはちんちん切り落とされたらしい」
「ああ、桃香は去勢した方がいい」
「私は2回桃香を去勢した」
「何度去勢されても生えてくるというのは、たくましいちんちんだ」
 

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「実際問題として、桃香は最近、季里子ちゃんちに入り浸りになっているみたいだね」
「あの子たち結婚したんだよ」
「うっそー!?」
 
「桃香が季里子ちゃんにエンゲージリング贈って、マリッジリングも交換した。マリッジリングは見せてもらったよ」
「すごー!」
「今週季里子ちゃんのお母さんにカムアウトすると言ってたけど、うまく行っているといいけど」
「うまく行ってなかったら、きっとここでやけ酒飲んでる気がする」
「お店で飲むと高いから、絶対自宅で飲むよね」
「ここに居ないということは、きっとうまく行ったのでは」
 
「破談してショックで自殺してたりして」
「桃香は自殺ということばからは最も遠くにいる存在だ」
「うん。桃香なら、ふられたら数時間後には別の恋人を見つけている」
 
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なんか無茶苦茶言われてるなあと思う。みんな桃香をよく《理解》してるよ!
 

その日の午前中、ローキューツの島田司紗は、高校時代の友人、坂口葦帆・浜出雅美の2人と会っていた。
 
坂口葦帆は北海道の短大を卒業して4月から旭川市内の企業に就職するが入社前の時間を使って東京に旅行で出てきた。卒業旅行のようなものである。浜出雅美は結婚して九州の博多近くの今宿という所に住んでいるのだが(現在の苗字は「入浜」。浜出から入浜になって「出たのが入ったのか?」と言われた)、高速バスで出てきて今朝9時半に新宿に到着した所である。彼女は東京0泊で今夜21時発の高速バスで福岡に戻る予定である!
 
午後からは越路永子・夏嶺夜梨子の2人も出てくる予定で“銀河5人組”が2年ぶりに揃うことになる。
 
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彼女たちは高校に入った時、女子バスケ部の入部試験を受けて落とされたのだが「掃除係でも洗濯係でもいいから入れて欲しい」と南野コーチに訴え、その熱心さが認められて入部を許可された。
 
彼女たちは“補欠5人組”と自称していたのだが、2年生になる時「先輩になるのにその名前は可哀相」と言って1年上の佐々木川南が《銀河5人組》と命名してくれた。何だか格好いいが、実は銀河=星屑である!
 
高校卒業後、永子と夜梨子はKL銀行に入社して、永子は事実上の1軍のジョイフルゴールド(関東実業団1部)に、夜梨子は事実上の2軍であるジョイフルダイヤモンド(関東実業団3部)に所属している。司紗は習志野の叔母の家に転がり込んで司法書士事務所のバイトをしながらローキューツに参加している。“アリバイ作り”で一応司法書士試験も受けてはいるが、あまり合格する気は無い(行政書士と宅建の資格は取った)。
 
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雅美は結婚したので地元のママさんバスケのチームに入っているらしい。ママさんバスケ(家庭婦人連盟)の参加条件は結婚している(あるいは結婚経験がある)女性であって子供がいる必要は無い。雅美は現在チームのエース格である。昨年は福岡都市圏の大会で準優勝したらしい。
 
葦帆は短大時代もバスケ部に入っていたが、強豪だったので試合には出場機会は少なかった。就職した企業にはバスケ部とかは無いので、どこかクラブチームに入れないか探しているという。
 
「旭川ホルスタインズは?」
「あそこ今ほぼ活動休止中らしい」
「札幌ならクロックタワーとか味噌ウィーメンとかスノーフェアリーズとかあるけどね」
「札幌までの交通費が」
 
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「いっそ千葉に出てきたら、ローキューツに入って欲しいけど」
「東京方面に出て行く理由を作れない」
「東京に転勤する人と偽装結婚するとか?」
「それは後からかなり揉めそうな気がする」
 
「じゃせっかく旭川で就職したけど、やはり辞めて札幌で仕事探しなよ。札幌くらいなら親も認めてくれるでしょ?」
 
「ほんとそれ考えようかなあ」
と葦帆は悩んでいた。
 

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最初はファミレスでおやつを食べながら話していたのだが、何か身体動かしたいね〜という話になり、適当にいくつかの体育館に電話していたら空いている所があったので、そこを予約して一緒に行く。
 
体育館で受け付けをする。Bコートを使って下さいと言われてフロアに入ったのだが、Aコートでもバスケの練習をしている人が3人いた。
 
「あれ?蘭に雪子ちゃんまで居る」
と司紗が声をあげる。
 
「久しぶり〜!」
と杉山蘭も笑顔でこちらを見た。
 
森田雪子・杉山蘭は、司紗と旭川N高校で同学年であった。もっとも雪子はスターター、蘭はベンチ入りボーダー組、司紗たちは銀河組である!
 
「この付近に住んでるんだっけ?」
と蘭。
「ううん。私は千葉、葦帆は旭川、雅美は博多」
と司紗が答えると、司紗たちの知らない女性が
「凄い距離だ!」
と言った。
 
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お互いに自己紹介する。
 
「え〜!?大学のバスケ部やめたの?」
と司紗が驚いて言う。
 
「申し訳ない。ふたりは私に付き合ってくれた」
と言っているのは雪子と蘭の先輩で沢口葉子さんということであった。
 
「新しい監督さんの考え方に納得ができなかったんですよ」
と蘭が説明している。
 
「どこかチームに入ってる?」
「いや、何か適当なチームは無いかなあと言っていた所」
 
「だったらうちに入りませんか?」
と司紗は誘った。
 
「今日はツン(司紗)は勧誘しまくっているな」
と雅美が言っていた。
 

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和実は2月23-24日に富山まで行って来た後は、
「ちょっと手伝って」
と姉に言われて石巻に行き、ひたすら美容室の開店準備を手伝うことになった。
 
「は〜る〜か〜ちゃん?こちら出て来ないの〜?」
というエヴォン社長からのラブコールに
「すみませーん。来月中旬までお休みください」
と答えて、内装の調整や備品の購入などで忙しく駆け回っていた。
 
オープン直前には淳も有休を取ってこちらに来てくれた。
 
その忙しい中、3月10日には青葉が大船渡で家族の一周忌をすると言っていたので、時間を見繕って大船渡までプリウスに乗って淳と一緒に往復してきた。そして何とか3月11日14:46、美容室《新トワイライト》はオープンした。
 
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その後は1週間ほどめまぐるしい忙しさで、和実はお客さんのシャンプーに、和服の着付けにと駆り出された。
 
無給なのに!!!
 
やっと落ち着いたのが飛び石連休の終わった3月21日(水)である。
 
「私休む!」
と宣言すると、富山へと出かけて行った。
 
仙台6:25-7:35大宮8:14-9:04越後湯沢9:14-11:35高岡
 
それで13時ジャストくらいに病院に入った。
 
ちょっと“準備を整える”。
 
前回は疲れていたからうっかり“整えず”に受診しちゃったもんなあと反省する。今日は・・・これでいいことにするかな?しかしこの状態、多分、性別の“設定”手術が終わるまで続くんだろうなあ、などと思う。やはり我ながら無茶をやりすぎたかと少し反省しているが、これは青葉にはあまり相談したくない。
 
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採血・採尿をし、MRIを取る。それで医師の診察を受ける。松井医師は面白く無さそうな顔をしていた。ほんとこの先生面白い!
 
「残念だ。卵巣子宮は写っていない。ホルモンは完全に女性ホルモン優位だけど染色体はXYだし」
 
「何度やっても同じだと思いますけど」
「いや絶対にあんたの卵巣・子宮はいつか出現する」
 
と言ってから松井はふと思いついたように言う。
 
「2〜3日入院していかない?長時間観察してみたい」
 
それは絶対やばいなあと思う。そんなことされたら、写っちゃうじゃん。やはりこの先生、いい勘している。
 
「それ私が病院内で寝ていたら、松井先生、勝手に私に麻酔打って手術室に運びこんで女の子に改造しちゃうでしょ?」
と和実が言うと
 
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「そうか、その手があったか!」
などと言っている。
 
どうも本当に危ない先生のようである。
 
「じゃまた来月に」
と先生。
「ええ。来るのは構いませんけどね」
と和実。
 
領収書等を見せて石巻からの交通費をもらい、その日は青葉の家に泊めてもらって、翌日“東京に”!戻った。
 
石巻に戻ったら身が持たないもん!!
 

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