広告:ここはグリーン・ウッド (第1巻) (白泉社文庫)
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■娘たちの収縮(14)

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千里の日程が詰まっているので、千里がイルザに代わって富士スピードウェイを走るシーンは、翌5月17日に撮影された。
 
当日はイルザも来て、メインストレートを60km/h!!で走らせることになった。このためにイルザは運転免許自体の取り立てなのに、B級ライセンスの講習会に行って、国内B級ライセンスを取得、更に富士スピードウェイの講習会にも参加させてFSWライセンスも取らせている。これは2時間ほどの講習で取れるもので、千里も3月30日に再度FSWに行って講習を受け取得している。
 
さて、今日使用する車はフェラーリ F12 berlinetta である。
 
イルザが「格好いい!」と言ってはしゃいでいる。
 
「これ、もう日本に来ていたの!?」
と雨宮先生はびっくりしている。
 
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今年3月に公開されたばかりの新型車で、フェラーリの最高峰モデルである。
 
「年末くらいから発売する予定です。ディーラーに出すのも7月からなのですが、今回の撮影のために特別にお貸しすることにしました」
とフェラーリ・ジャパンの社員証を付けた人が言っている。
 
最初にフェラーリのドライバーが軽くショートサーキット(約900m)を一周してきた。
 
次に番組のスタントチームのドライバー豊岡さんが乗ろうとしたのだが、ここで雨宮先生が「醍醐、やってみ」と言った。
 
それで千里は「はい」と答えて車に乗り込む。
 
エンジンを掛ける。凄いパワーだ。凄いけど一般道では宝の持ち腐れだよなあ、と思う。千里は“軽〜く”33秒で回ってきた。
 
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ストップウォッチでラップタイムを計っていたディレクターとそのストップウォッチを見ていた脚本の桐生さんが目を丸くしている。
 
「醍醐先生、マジですね!」
とイルザ担当の★★レコード北川さんが言っている。
 
「このサーキットはよく来ておられるんですか?」
とディレクターが尋ねた。
 
「ショートサーキットは2度目ですね。レーシングコースの方は何度か走ったんですけど」
と千里は言う。
 
「醍醐先生、マジでレーサーの素質がありません?」
 
「私はバスケット選手なんで、レーサーにはなりませんよ〜」
と千里は言っておいた。
 
「醍醐先生は昨年のアジア選手権でスリーポイント女王を取っておられるんですよ」
と北川さんが、みんなに千里の《スポーツ選手》としての実績を紹介する。
 
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「昔F1に出た女性ドライバー、ディビナ・ガリカは元々スキーの選手としてオリンピックに出ているんですよ。そういうスポーツ選手として世界的なレベルにある女性なら、あるいはF1を目指せるのかも知れませんね」
 
と桐生さんが言っている。
 
そして唐突に言った。
「橋元さん、イルザちゃんが演じる小島秋枝ですけど、サッカーかバレーでもしていたという設定にできない?」
 
「それならマラソン選手がいい。イルザちゃん、元陸上部だよね?」
「はい。中学の時1500mで一度全国大会まで行きました。予選落ちでしたけど」
「いや、予選落ちでも全国大会まで行ったのは凄い」
 
「じゃ元長距離選手という設定を入れよう」
「もしかして私、走るシーンとか出てきます?」
「当然」
「練習しなきゃ!」
 
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イルザにも運転させるが、豊岡さんが助手席に同乗し、おそるおそる時速40km!ほどで一周してきた。しかしそれでもイルザは
 
「面白かった!」
 
と言っていた。結局このショートサーキットで1時間ほど練習した後、レーシングコースが空いたという連絡が入るのでそちらに移動する。
 
千里とイルザは同じデザインのレーシングスーツを着ている。千里のスーツがオーダー物で、千里がイルザに合わせることができないので、イルザ用に、千里のと同じデザインの既製品を用意した。
 
イルザは黒髪ロングヘアだしスリムな体型なので、実は千里と雰囲気は似ている。イルザは先ほども話が出たように、元陸上選手のスポーツ少女である。中学時代主として長距離(800m,1500m,クロスカントリー)を走っていて、駅伝(10km)で区間記録を出したこともあるという。彼女は身長も164cmあり、体重は52kgほどまで落としているものの、レーシングスーツを着ていると体型はあまり分からない。
 
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レーシングコースを借りられるのが1時間なので、手早く撮影を済ませる。
 
最初に千里が乗って遠景撮影用に3周走った。これを多数のカメラで撮影する。
 
実はさっきショートサーキットを走ったのは《こうちゃん》だったのだが、今回は千里自身が運転する。最初の1周は2:10(平均速度126km/h)、次は2:01, 3周目は1:55(平均速度143km/h)であった。
 
「ちょっと遅すぎましたかね?」
と千里は訊いたが
 
「私はこれ以上スピードを上げられたらチェッカーフラグを振ってくれと言おうかと思ってました」
とフェラーリの人は言っている。万が一にも壊されると営業戦略として困るというところだろう。
 
その後、走行中の近景を撮る。もう一台持って来ているフェラーリ Ferrari FF を豊岡さんが運転し、後部座席にカメラマンが乗る。そして豊岡さんのFFの後を千里のF12berlinettaが走る形で、撮影を行った。速度はラップタイム2:30ほどのペースである。これを念のため2周分撮影した。
 
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最後にイルザがひとりで運転して直線を60km/hで走る所を撮影する。これも豊岡さんの車で先導し、その車内から運転しているイルザを撮影した。
 
ここまで撮影した所で50分近く使ったので、素早く撤収した。
 

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「後はスタジオでの撮影で何とかなると思います。お疲れ様でした」
 
ということで解散した。
 
千里が雨宮先生の612スカリエッティを運転し、先生をお台場のFHテレビで降ろす(「ハートライダー」はΛΛテレビ)。その後車を雨宮先生の御自宅に回送し、そこに駐めていた自分のインプレッサで葛西に帰還した。そして明日から始まる代表合宿の準備をしていたらドアベルが鳴る。何か郵便受けに入らない大型郵便物でも届いたかと思い、ドアスコープを見たら、桃香なので、千里は驚いてドアを開けた。
 
「桃香どうしたの?」
と言いながら、ドアを開けて中に入れる。千里はドアを“ロックしなかった”。
 
「千里が恋しくてやってきた」
「どうしてここを知ったの?」
「愛する千里のことなら何でも“知っているよ”」
「だって“真里子”ちゃんは?」
「真里子は真里子、千里は千里だ。千里、Hしよう」
と言って、桃香はいきなり千里を押し倒す。
 
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が、次の瞬間、千里を押し倒した“桃香”が空中に“持ち上げられた”。
 
《りくちゃん》に“桃香”を持ち上げろと千里が指示したのである。
 
「何これ〜!?」
と“桃香”は言っている。
 
「私こそ訊きたいね。あんた誰さ?」
「誰って、私は桃香に決まってるじゃん」
「あまりにも稚拙な変装で私を笑わせないで欲しいね。だいたい言葉遣いからして桃香の話し方じゃないし、“真里子”ちゃんなんて聞いたこともないし」
「うっ・・・」
 
「研究不足が過ぎるね。くすぐりの刑にしてやろうか?」
「それだけはやめて〜〜!!」
「じゃ、さっさと退散しなよ。玄関のドアはロックしてないから」
「分かった。退散する。千里、あんた凄すぎるよ」
 
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それで《りくちゃん》が彼女を放すと、桃香に変装した何者かは急いでドアを開けて逃げて行った。
 
「締め上げなくて良かったの?」
と《りくちゃん》が訊く。
 
「拷問で口を割るような奴ではないのは一発で分かったよ」
「しかし何しに来たんだろう?」
「多分私の私の精子でも取りに来たんじゃないかね」
「そんなもの何するの?」
「私の子供が作りたかったとか」
「だって千里精子持ってないのに」
「ね?」
 
千里は《こうちゃん》が居心地悪そうな顔を一瞬したのを見逃さなかった。普段ならこの手の『荒事』は《こうちゃん》にやらせるのに、今回《りくちゃん》に命じたのは、千里の勘である。
 
千里は半紙と硯・筆を取り出すと梵字でこのように書いた。
 
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《ノウボウアキャシャキャラバヤオンアリキャマリボリソワカ》
 
そして念を込めてドアの傍に貼った。
 
「これであいつはここには勝手に進入できない」
と千里は言う。
 
「なぜその真言?」
と《びゃくちゃん》が訊くと
「何となくね」
と千里は言った。
 
《こうちゃん》は今度は感心したように頷いていた。
 

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貴司はその日、いつものようにチーム練習を終えると、千里(せんり)のマンションに帰った。
 
「セックスしたいよぉ。誰でもいいからしてくれないかな」
などと不遜なことを言っている。
 
その時、ピンポーンという音が鳴る。誰かがマンションのエントランスの所に来ているようだ。何だろうと思ってモニターにスイッチを入れると千里なのでびっくりする。
 
「千里!?どうしたの?」
「鍵を忘れてきちゃって。入れてくれる?」
「うん!」
 
それで貴司は“千里”を中に入れ、エレベータで33階まで上がってきた頃合いを見てドアを開ける。廊下を千里が歩いて来てニコリと笑って首を傾げるように会釈する。
 
「入っていい?」
「もちろん。入って入って」
と言って貴司は“千里”を中に入れる。
 
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「でもどうしたの?明日から合宿かと思ったのに」
「貴司の顔が見たくなったの。顔見て安心したから、もう帰るね」
「待って。セックスしていく時間ある?」
「そうだなあ。そのくらいいいよ」
 
それで貴司は“千里”にシャワーを勧め、“千里”がシャワールームを出ると自分が今度は入って汗を流す。大雑把に身体を拭くと、ベッドルームに直行した。
 
「好きよ、貴司」
「僕も好きだよ、千里」
 
それで貴司は“千里”と快楽の時間を過ごした。
 

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貴司は練習の疲れもあり、そのまま眠ってしまった。
 
“千里”は身体を起こし、やれやれと思う。
 
貴司のアレから避妊具を外し、中にかなり濃い液が溜まっているのを見て満足げに頷く。
 
「取り敢えず貴司さんの精子を使えば、京平君の兄弟は作れる訳だから、それでいいことにしよう。卵子は冷凍保存しているこないだのが、まだ行けるよね?産むのは誰に頼もう?」
 
それで“千里”はベッドルームを出て、サービスでボルシチを作ってあげてからマンションを出て、新大阪駅の高速バス乗り場に向かった!
 
千里にしても早紀にしても、眷属の力で瞬間移動することはできるものの、その力は無闇には使わず、どうしてもそれ以外の方法が無い時だけにしている。
 
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千里は5月18日(金)から日本代表候補の第四次合宿に入った。23日までNTCで練習をするが、その間に壮行試合をする。相手はスロバキア代表である。
 
5/19(土) 17:00 栃木県立県南体育館(小山市)
5/21(月) 19:00 代々木第2体育館
5/22(火) 19:00 代々木第2体育館
 
客が入りそうな日曜を外すというのは不思議な日程である。
 
小山だが、新幹線の駅で言うと、大宮の次が小山で、その次が宇都宮である。20kmほど西に佐野市がある。つまり新幹線は小山市、高速道路は佐野市を通っているのである。千里たちは実際新幹線で小山駅まで行き、そこからチャーターしたバスで会場に入った。
 
さて日本代表候補が20名居た内から今回召集されたのは16名である。落とされたのは下記4名である。
 
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佐伯伶美・千石一美・月野英美・中丸華香
 
千里は妙に若い人ばかり落とされたなあと思った。佐伯・千石・月野は1986年組で年齢的にも最も運動能力が高い25-26歳の世代。中丸華香は千里たちと同学年である。
 
ただこの選手絞り込みを一体誰がやっているのか良く分からない。今回はやっとヘッドコーチのジーモン・ハイネンが来るらしいが、どうも19日の大会当日に日本に到着するらしい。本当にヘッドコーチの考えで絞り込んだのか、その場合どこでプレイを見たのか。練習のビデオとかを撮ってもらっておいてそれを見て決めたのだろうか?
 
どうもそのあたりがよく分からないと千里は思った。
 

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