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■夏の日の想い出・第三章(16)

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「でも私たちが結婚するのに、なんで政子が男役で、私が女役になるのかな」
とある時、私は青葉に訊いてみたことがある。
 
青葉は少し考えていたが、こう言った。
「Rose+Lily って R と L でしょ。Right+Left に通じるんだよね。冬子さんはRose だから Right。右。水。女性属性。政子さんは Lily だから Left。左。火。男性属性。ローズ+リリーって、歌う時、ケイの方が右に立ってるよね」
「あ、それは最初から何となくそうだった」
「つまり、最初からそういう男女属性だったんだよ」
 

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江ノ島に行った翌週の土曜日、政子の両親がタイから一時帰国してきた。私は政子と一緒に成田に迎えに行った。私の車で政子の自宅まで行く。
 
「お疲れ様でした。今お茶を入れますね」
と言って玉露を入れる。
 
「美味しい!」とお母さんが声をあげた。
「九州に住んでいるファンの方から頂いたんですよ。八女の玉露です」
と私は説明する。
「何か、おやつとか殆ど買わなくて済むんだよね。たくさん送られてくるから」
と政子は言っている。
 
「あ、何か開けますね」と言って、私は今朝届いたばかりの山口の『豆子郎』の包みを開けて出した。
 
「なんか、冬ちゃんばかり動いてるけど、政子あんたは何もしないの?」とお母さん。「ん? 私食べる人、冬作る人」と政子は言って座っている。
「結局、御飯は毎日、唐本さんが作ってくださってるんですか?」とお父さん。
「ええ、そうですね。私、料理好きだからちょうどいいんです」
と私は笑って言った。
 
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呆れたという顔をしてお父さんが、お菓子をひとつ摘まむ。
 
「これ・・・ウイロウですよね。こんなウイロウ初めて食べた」
とお父さん。
 
「これ、賞味期限が1日しか無いけど、凄く美味しいんですよね。しかも冷やしたらいけないからクール宅急便が使えない。ファンの方が超特急便で送ってくださったんです。送料の方が高かったと思います」
「熱心なファンの方たちがいるのね」とお母さん。
「ほんと、ありがたいですよ」
 
「先月、実はネット中継で夏フェスを見てたんですよ。政子が出てたんでびっくりしました」とお父さん。
「えへへ」と政子。
「それでネット見てたら、年末にライブやるとか書かれているし」
 
「今年は4月のライブと合わせて3回だけだよ」と政子。
 
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「でも、あんた随分歌が上手くなったよね。高校時代はけっこう音痴だったのに」
などとお母さんが言う。
「うん。自分でも少しうまくなったかなという気はする」と政子。
「政子さんは、かなり歌が上達しました。先月のフェスで歌った『雨の夜』
なんて、かなりの歌唱力を持つ人にしか歌えない曲です」と私。
 
「政子、お前、大学出たらどうするの? どこかに就職するの?」とお父さん。
 
「私、OL無理〜。ぼーっとしてるから仕事務まらない」
「確かにね。あんた、運転も無理よね」
「絶対無理。運転しながらほかのこと考え始めるから、どこかにぶつけてからあれ?と思ったりするよ」
「私が政子さんのドライバーになってあげますよ」と私。
「うん。日々ドライバーになってもらってる」と政子。
 
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「私ね、冬が作ったごはんを食べてあげる係と、冬が作る歌に歌詞を書く係でいいかなあ、と思ってるんだけどね」と政子。
「なんじゃ、そりゃ?」
 
「御飯はまあいいとして、政子さんは詩を書いているだけで億単位の稼ぎをしちゃいますから、歌詞を書く係でいいと思いますよ」と私は言う。
 
「億単位か・・・・」
「『神様お願い』などは、ここだけの話ですが300万売れてます」
「300万円も?」とお父さんが言うが
「いえ。300万枚です。売上額は9億円です」
「9億!?」
お父さんは絶句している。
 
「この曲の収益は全て東日本大震災の被災地に寄付する契約になっています。ですから、売上がいくらあったかも公表しない約束なので、この数字は他言無用でお願いします」
「わ、わかった。じゃ、その9億を寄付ですか?」
「はい。製造費や流通で掛かった経費を差し引いて4億円くらいだそうですけどね。でも、そういう契約にしたことをさすがに少し後悔しましたよ」
と私は笑顔で言う。
 
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「『神様お願い』はね、沖縄の難病の子を応援するのに作ったの」
と政子が言う。
 
「その子との交流は私たちがまだ高校生の時からなんですよ」と私が言うと「ああ、思い出した! あんたたち受検前なのに沖縄まで行ったわね」とお母さん。
 
「ええ、その子です。その子がもう1年半前になりますが、一時危篤状態になりまして。連絡を受けて急いで沖縄に飛んだんですが、羽田空港で飛行機を待ちながらその子の回復を祈っていた時にできたのが、あの曲なんです」
「へー」
 
「あの子、私たちの物凄いファンで。もうほんとに危ないって時に私たちのCDを枕元で掛けてって友達に頼んで、それを掛けてたら、意識失っているのに、その音楽に合わせて身体が動いていたらしくて」
「わあ・・・・」
 
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「回復してから本人が言ってたんですが、なんかどこかへ行ってしまいたい気分だったのに、私たちの歌が聞こえてきたから、そちらに戻ったって言うんですよ。向こうに行きたいけど、でも私たちの歌の聞こえる方にも戻りたいって、どちらに行こうか迷っているうちに、目が覚めたら生きてたって」
「凄い」
 
「意識の無い状態でICUに入っている間も、ずっと私たちの歌を聴かせてたんですよね。停めると血圧が降下するから、またCD掛けて。すると血圧が上昇して、という繰り返しをしている内に一晩持ちこたえたんです」
「うーん・・・」
 
「正直、私たちの作った歌にそこまでの力があったとは思いもよりませんでした」
と私は言ったが
「私、天才だから、そのくらいの力のある歌作れるかもね」
などと政子は言っている。
 
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「あと『聖少女』には不思議な力があるんだよ」と政子。
「あの曲にはヒーリングの波動が入っているんですよ。だから、あの歌を聴くと心が癒されるし、体調も良くなります」
「ほほお」
 
「しかし、政子の作り出す歌が、それだけ人のために役立ってるんですね」
「日本にとって財産だと思います」と私。
 
「それだけ役に立つものを作っているんなら、それでもいいかも知れないな」
とお父さんも言う。
 
「本人も言ってるけど、この子には絶対OL無理ですよ。この子にコピーとかさせたら、きっと裏側をたくさんコピーしてきそう」とお母さんが言うと「あ、それ何度かやった」と政子。
「政子さんには誰もコピーは頼みません」と私。
 
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「パソコンも3台くらい壊したかなあ・・・・」と政子。
「私が知っているだけでも5台は壊してる」と私。
「むむむ」
「私、電化製品を壊すのも天才なんだよね」
「困った天才だな」とお父さんは呆れたという感じで笑っている。
 
お昼は天麩羅蕎麦を作って出した。
 
「お蕎麦は信州安曇野のファンの方から頂いたんですよ。天麩羅はうちで揚げたものですが」
「美味しい!」
「信州の蕎麦はいいですね」
「いや、冬ちゃんの作り方がまたセンスいいのよ。天麩羅もすごくきれいにできてるし」とお母さん。
 
「唐本さんはそういえば性別はもう変更なさったんでしたっけ?」とお父さん。
「はい。昨年10月に20歳の誕生日が来たのと同時に申請を出して、すぐに認められました。今は完全に戸籍上も女性です」
「じゃ、政子とは結婚できないんですね・・・・」とお父さん。
 
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「戸籍上はできないけど、私の意識としては、冬は私の奥さん」と政子。「冬ちゃんの方が奥さんなの?」とお母さん。
「うん。もし冬が妊娠したら父親は私」
「私も、政子さんの奥さんでいいと思ってますよ」と私は笑顔で言う。
 

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「でも色々話聞いていたけど、それだけ政子の歌に力があるんだったら、冬ちゃんと一緒に歌を作るのもいいし、CD作るのもいいし、ステージで歌ってもいいんじゃない?」とお母さんは言い出した。
 
「お父さん、お母さん。私、大学卒業したら、歌手として完全復帰したい」
と政子は言った。
 
「在学中はどうするの?」とお母さん。
「今年3回歌うし、来年は6回くらい歌いたいなあ」と政子。
「うん。いいんじゃない?そのくらいなら」
 
「まあ、勉強に差し支えの無い範囲ならな」とお父さん。
「それは大丈夫だよ」と政子。
「私、天才だし」とまた言う。
 
「政子さんは音楽活動しながら勉強をおろそかにしたこと1度も無いですよ。高2の時も、お父さんたちに黙ってたのはいけなかったけど成績はぐっと上がってますから」と私は言った。
「確かにそうなのよねー。高2の初めの頃って、赤点ギリギリだったのに、取り敢えず△△△を受けますと言っても笑われない程度の成績にはなってたよね」
とお母さん。
 
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私たちは翌日、美智子と会談して、政子の契約条件の見直しをしようということになった。
 
その日の晩御飯には、私はゴーヤチャンプルを作った。中華鍋に山のような量作って食卓に持ってきたのでお父さんがびっくりしていたが、それをどんどん政子が食べるので目を丸くしている。
 
「政子・・・・お前、こんなに食べてたっけ・・・・」とお父さん。
お母さんは笑って「この子はこんなものですよ」と言う。
「鶏の唐揚げとかはいつも2kg揚げてますよ」と私。
 
「でも凄く美味しい。ほんとに冬ちゃん、料理が上手」とお母さん。
「だって、私のお嫁さんだもん」と政子は言いながら、楽しそうに食べている。
 
「しかし、政子、こんなに食べるなら食費が凄そうだな」
「あんたたち、食費の分担はどうしてるの?」
「食費も含めて生活費は全部折半だよ。洋服代とかは各自負担」
「食費が半々って絶対おかしい。作ってくれるのは冬ちゃんだし、食べるのはあんた冬ちゃんの5-6倍食べてるでしょ」
「うん、そんなものかな」
「冬ちゃんは食費出すこと無いわよ。この子に全部出させた方がいい」
「そうかなあ」
「私は半々でいいですよ」と私は笑って言った。
 
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翌日、私たちは私のマンションの方に行って、そこに美智子も来て、契約条項について話し合った。
 
その結果、ステージ活動やテレビへの出演については、学業に支障のない範囲であればOKということになった。出演頻度については良識に任せるということにして、回数などは定めなかった。新しい契約書は即日有効ということにした。
 
これで12月にローズ+リリーのコンサートをすることについて、契約上も問題が無いことになった。また来年度のライブ回数については政子が6回くらいしたいと言っているので、だいたいその線で検討しようということになった。
 
「しかし、もう始めてから4年になるんですね・・・」とお母さん。
「はい。来年はローズ+リリーのデビュー5周年です」と美智子。
「あんたたちが創作活動始めたのって、いつなんだっけ?」
「高校1年の8月ですよ。ですから、今年が活動開始5周年でした。夏フェスへの出演は、上手い具合にそれの記念みたいなものになりましたね」と私。
 
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「高校1年の夏にキャンプ行ってて、私、冬に女装させちゃったのよね、その時、私たちの最初の曲が出来たのよ」と政子。
「私、女の子の服を着た時だけ、作曲ができる体質だったんです」
「それに気付いたのは高2の春頃だったよね」
「そうそう。だから高校の時の作品の数を数えると、私の女装回数が分かる」
「いや、作品数より女装回数の方がずっと多いはず」と政子。
 
お母さんが笑っている。
 
「冬〜、今日のお昼御飯は?」
「握り寿司作るよ」
「やった!」
 
お昼前に私の姉と母がやってきた。母に買物を頼んでいたので、お刺身用のお魚をたくさん買ってきてもらっていた。うちの母も政子のご両親に会うのは久しぶりだったので「御無沙汰しておりました」とお互い挨拶していた。
 
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先に厚焼き玉子を作った。また軍艦用に海苔を切っておく。
 
寿司酢を作り、炊飯器で炊いていた御飯に混ぜ、寿司桶に入れる。姉が団扇で扇いで冷やしてくれている間に、私はお魚を寿司ネタのサイズに切った。筋子をほぐしてイクラの状態にする。生わさびを摺り下ろす。アイランドキッチンなので、こういう作業をしながら会話に参加できるので便利だ。
 
私は食卓に移動し、御飯を握っては、どんどんわさびを付け寿司ネタを乗せて皿に載せていった。イクラ、シーチキンなどは軍艦にしていく。
 
「どんどん食べて下さいね。遠慮してると政子が全部食べちゃいますから」
と言って、私自身も作りながら時々自分の口に入れていく。
 
「なんかお寿司屋さんで食べる寿司みたい」と政子のお母さんが感動している。
「ほんとに冬ちゃんって、料理が得意なのね。お寿司握れる女の子なんて、めったに居ないわ」
「私の奥さんだもん」とまた政子は言っている。
 
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「いや、冬ちゃんのお母さんの前でこんなこと言っていいのか分かりませんが、冬ちゃんって、会った頃から既に女の子らしかったですけど、この4年間で、どんどん女らしくなっていきましたね」と美智子。
 
「最初に会った時、冬は男の子の格好してたのに、みっちゃんったら、女の子だと思ってたよね」と政子。
「そうそう。政子ちゃんとふたりで事務所に来た時、女の子2人だと思い込んじゃったんです、私」
 
「冬、あんた、いつ頃から女の子の格好するようになったんだっけ?」と母。「頻繁にするようになったのは、ローズ+リリー始めてからだけどなあ」と私。「少なくとも中3の頃には、この子、女の子の下着つけてたよ」と姉。
「えー?そうだったの?」と母はその頃のことまでは知らないようだ。
 
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「だいたい高校の入試を中学の女子制服で受けに行ったと言うしね」と政子。「あ・・・それは本人から聞いたことあった」と母は昔を思い出すように言う。
 
「だけど、昔のこと、なかなか自白しないのよ、冬って」と政子。
私は笑いながら、お寿司を握り続けていた。
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■夏の日の想い出・第三章(16)

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