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■夏の日の想い出・第三章(13)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-05-08  
ステージ横にいた町添さんが6人全員と握手をした。
 
「マリちゃん、頑張ったね。また頼むよ」と町添さん。
「はい、気が向いたら」などと政子は笑顔で言っている。
「でも、ケイ、お腹空いたよ。打ち上げはたくさん食べられる所行こう」
などと言い出す。
 
「マリちゃん、1時間前にあれだけ食べて、もうお腹すくの?」とヤス。
「だって、いっぱい歌ったよ」
「じゃ、打ち上げは焼肉にでもする?」
「うんうん」
 
町添さんが笑っていた。
 

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夏フェスが終わって一週間後の8月18日、ローズクォーツの8枚目のシングルが発売され、ローズクォーツの面々とその準メンバー扱いの、太田さん・政子の6人で、また全国をめぐるキャンペーンをした。今回の全国の旅のスケジュールに関しては私が少し要望を出して、仙台・京都・広島・福岡の後に1日休養が入るようにしてもらった。氷川さんは少し悩んだようであったが、うまく日程を組んでくれた。
 
実は3月に九州に政子とふたりで車を使って往復した時、宮島に今年中にお参りする約束をしたので、それを実現しようということなのであった。その話を7月に青葉のお見舞いに行った時していたら、
「宮島だけじゃなくて三大弁天様と弁天様の元締めの所にも行くといい」
と青葉が言った。
 
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「弁天様って、えっと・・・・」と私がよく分からないので言うと
「宮島というか厳島(いつくしま)神社に祭られているのは、宗像(むなかた)の三女神といって、それが仏教の弁天様と同一視されている」と青葉。
「ああ。それは聞いたことあるような」
 
「三大弁天というのは、宮城県の金華山の黄金山(こがねやま)神社、琵琶湖の中に浮かんでいる竹生島(ちくぶじま)の都久夫須麻(つくぶすまじんじゃ)神社、そして広島の宮島にある厳島神社。3つとも船で渡らないといけないんだよね」
「へー」
「それと弁天様というか、宗像三女神の元締めは福岡県の宗像大社だから、そこにも行った方がいい。政子さんとの結婚の報告なんでしょ?」
と青葉は言った。
 
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「ちょっと!なんで知ってるのさ?」と私は驚いて言った。
「部屋に入ってきた時、『マーサと結婚したことは黙ってよう』という心の声が聞こえたよ」
 
「もう。。。。青葉には絶対嘘つけないんだな」と私は呆れて言った。
「クライアントの秘密は守秘義務があるから大丈夫だよ。その腕に付けてるブレスレットが、結婚指輪代わりなのね?」
「そこまで分かるなんて。そう。これおそろいのを買ったんだよ」
 
「いいんじゃない? 政子さんとの愛と、正望さんとの愛は別チャンネルみたいだし、冬子さんって」
「うん。なぜかそのふたつの愛が矛盾しないんだよね。政子も正望には嫉妬しないと言うし、正望も政子には嫉妬しないって言うし」
「面白い関係だね」
 
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「そうそう。その宗像大社も船で行くの?」と私は尋ねる。
 
「宗像大社は、3つに別れているの。本土にひとつと、船で行ける筑紫大島にひとつ、そして神社関係者や学術調査の人しか行かない沖ノ島にひとつ。どっちみち沖ノ島は女人禁制だから、私も冬子さんも行けないよ」
 
「じゃ、本土の神社と大島の神社に行けばいい?」
「本土の神社だけでもいいけど、大島まで行けば完璧。更には大島には沖ノ島の遙拝所があるから、そこまで行けばもっと完璧」
「分かった。ありがとう」
 

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今回発売になるシングルは上島先生が書いた『あなたとお散歩』とマリ&ケイの『ビトゥイーン・ラブ』の両A面である。『ビトゥイーン・ラブ』は12月にキャンペーンで訪れた函館で書いた曲だが、今回これを使うというので上島先生にお見せしたら、3日後に先生からメールがあり『あなたとお散歩』が添付されていた。
 
『ビトゥイーン・ラブ』は終わった恋と次に来るであろう恋の狭間にあるということで、まだ終わった恋の心の痛みを引きずりながらも、次の恋に夢を膨らませる女の子の心情を歌ったもの。次の恋への憧れの部分を政子が、終わった恋の傷の部分を私が歌い、ふたつのメロディーが絡み合ってやがてひとつの心情に昇華していく。『雨の夜』と似た構成である。
 
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『あなたとお散歩』はぼんやりと聞くと彼氏と楽しくお散歩したり、おしゃべりしたりしている幸せな女の子の話のようにも聞こえるのだが、よくよく聞くと、実はそういう恋に憧れているというシングルの女の子の物語である。多義文をうまく使った一種のギミックになっていて、2度聞くと美味しい曲。
 
これまではたいてい連絡したら翌日くらいにポンと新曲を送ってくれていた先生が今回3日掛かったので、私は先生はちょっと不調なのかと思ったのだが、直後にAYAとラジオ局で遭遇した時、AYAが笑いながら言っていた。
 
「先生はそろそろローズクォーツの次のシングル制作だろうからって、ひとつ曲を用意していたのよ。ところがケイちゃんの曲を見て、ぎょっとした様子でその日は私に渡す曲を書いてくださるということで御自宅に行っていたのに、『ごめん。そちらちょっと待って』と言われて。必死でケイちゃんに負けない曲を考えたみたい」
「わっ」
 
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「結局、ローズクォーツに行く予定だった曲を私がもらっちゃったよ」
とAYAは笑っていた。
 
「これだって凄くいい曲なんだけどなあ。ローズクォーツやローズ+リリーには、敢えて扱いの難しい曲を渡すのが先生のポリシーみたいね」
 
この曲は7月にローズクォーツの4人に太田さん・政子も加えて6人で音源の制作を行い、2012年8月18日の発売となった。
 

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18日(土)の発売日には東京周辺でキャンペーンを行い、翌19日(日)には北海道に飛んで札幌と旭川でキャンペーンをした。そして20日には盛岡と仙台でイベントをして21日はお休みとなる。
 
ここで私と政子は仙台からレンタカーを使って牡鹿半島の鮎川まで行き、そこから船で金華山に渡った。金華山は東日本大震災で、船着き場の土産物店が鉄骨だけになってしまうなど、甚大な被害が出た。参道も通行困難になり、神社の建物などにもけっこうな被害が出たのだが、神社のスタッフや氏子さんたち、そしてボランティアさんたちの努力もあり約1年で何とかふつうに参拝できるようになったものである。
 
私と政子は船着き場から参道の坂を歩いて登る。震災の爪痕は大量に残っている。あらためて自然の脅威が身に染みるが、そこから立ち上がっていく人の努力も大したものだと思った。
 
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「大変だからって諦めちゃだめなのね」と唐突に政子は言った。
「そうだよ。あきらめたらそこで試合終了ですよ」
「私、もっと頑張ろうかな」
「うん。頑張るのはいいけど、無理しないでね」
 
「ねえ、冬」
「うん?」
「私、4月にライブしたし、今月フェスで歌ったし。12月くらいに、またライブで歌いたい」
 
「いいよ。企画考える」
「あまり大きなキャパの所は自信無いから、沖縄と同じくらいの広さがいいな。夏フェスのは、やっぱり少し辛かった」
「いいよ。そのくらいの会場でプランを練るよ」
 
政子が自分でこんなことを言い出したということは、ローズ+リリーの本格復活も近いなと私は思った。
 
拝殿でお賽銭を入れ、鈴を鳴らし二拝二拍手一拝でお参りする。何か心が清々しくなるような気がした。私と政子が付けているお揃いのブレスレットが拍手に合わせて共鳴したような気がした。
 
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(注.神社で手を打つのは正しくは「拍手」であり「柏手」は俗称)
 

仙台の後は22日に金沢でキャンペーンをした。12月のキャンペーンで来た時と同じホテルに泊まる。もちろん私と政子はダブルの部屋を取ってもらった。
 
「あんたたち、最近ちょっと大胆になってない?」と美智子からは言われたが氷川さんは「いいんじゃないですか?プライベートが充実した方が作品もいいのが出来ますよ」と言っていた。
 
「じゃ、宿題。12月に出す予定のローズ+リリーのシングル用の曲を今夜考えて」
と美智子は言ったが、私たちは
「それは決まってます。『夜間飛行』を使います」
と言い、プリントした譜面を美智子に渡してから手を振って、部屋に消えた。
 
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金沢という地は色々想い出の深い町だ。高校生の時、ここで私たちは自分たちに関する様々なルールを決めた。「マリ&ケイ」という共同執筆名を定めたのもここだ。
 
私たちはその夜、とても深く愛し合ったが、ふたりの愛が金沢という町が持つ独特の空気の中に溶け込んでいくような感覚があった。
 
私は少し疲れが溜まっていたのか、セックスの後けっこうな時間熟睡していたようであった。目が覚めたら午前4時で、政子は何か詩を書いていた。起きだしてお湯を沸かし、コーヒーを入れて政子の枕元に置く。
 
「ありがとう」
 
詩は珍しく書くのに時間が掛かっているようだ。悩んだり、時には一度書いた詩を横線で消して、書き直したりしている。ふだんの政子は迷わず一気に詩を書き上げるので、何か新しいことにチャレンジしているのかなと思って見ていた。
 
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「ね、お腹空いた。コンビニでおやつ買ってきて」
などと言うので、私はホテルを抜け出し、近くのサンクスまで行っておやつを買って来た。
 
「お肉食べるかなと思ってチキンも買ってきたよ」
「サンクス。。って、コンビニもサンクスだったのか」
「うん。北陸はサークルK・サンクス多いね」
 
政子はチキンを3個、ハンバーガーを2個、更にソーセージも4本くらい食べた。政子はほんとによく食べるのに体重は私より軽く42kgしか無い。食べたものがどこに収まっているのか全く謎である。
 
政子の詩はかなり難航したようで、結局私が目を覚ましてから1時間以上たった5時半近くに完成した。タイトルは『宇宙恋愛伝説』と書かれている。
 
「長編恋愛小説があって、その中のエピソードをいくつか抜き出したみたい」
「そうなのよ。頭の中でずっと長編の恋愛小説が再生されていたの。どこを詩として切り出すかけっこう悩んだ」
 
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「元の恋愛小説、再録できる?」
「無理。通り過ぎていったものは、私の頭の中からきれいに消えてしまう」
「ストリーミング配信なのか・・・」
 
私はその詩に朝御飯の時間まで掛けて曲を付けた。
 

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朝御飯が終わると私たちは金沢駅からサンダーバードで京都に出て、まずは京都でキャンペーンした後、夕方大阪に移動し、大阪でもキャンペーンをした。そして翌24日はお休みになる。その24日。私たちは電車で近江今津駅まで行き、そこから船で竹生島に渡った。
 
「昔、伊吹山の男神と浅井岳の女神とが背比べしたんだって。その時最後に女神がちょっと背伸びしたら、男神がずるいって言って、女神の頭を切り落としてしまった。その頭が落ちてできたのが、この竹生島なんだって」
私は青葉から聞いた伝説を受け売りで話す。
 
「神様の身体の一部を切っちゃうという伝説もよくあるね」
「天岩戸(あまのいわと)事件を起こした素戔嗚(すさのお)神が高天原(たかまがはら)から追放される時、食べ物を乞うたら、大気津(おおげつ)姫が身体のあちこちから食べ物を出すんで、変な事するなと怒って素戔嗚神は大気津姫を殺してバラバラに切っちゃう。するとそのバラバラにされた身体の各部位から、稲とか麦とか、小豆・大豆とかが出来たという話」
「ほおほお」
 
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「ギリシャ神話でもクロノスが昼寝していたウラノスのおちんちんを切っちゃったら、そのおちんちんが海に落ちた泡から美の女神・アフロディーテが生まれる」
 
「冬のおちんちんを切った時は、何の女神が生まれたんだろうか?」
「さあ。。。何か生まれたらいいけど。手術の時は凄まじく痛かったから、とても曲とか作れる状態じゃなかったよ。何か身体全体の内部バランスが取れない感じでさ。負けるな、頑張れ私! って自分を励ましてた」
 
「確かにあの時辛そうだったね。次におちんちんを切る時はもう少し頑張ってみようか」
「もう切っちゃったから次は無いよ!」
 

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竹生島に降りた観光客はみんな宝厳寺の方に行っていたが、私たちは神社の方に行きたいので、分かれ道から都久夫須麻神社の方へ行った。私は黄金山神社が黄色なら、ここは青だと思った。御守りなどの授与所があったので少し見たあと、海の方に目をやったら、突然目の前に竜が昇ってきたような感覚があった。
 
「わっ」と小さく呟いたら、政子も「来たね」と言う。
 
私は突然メロディーが湧いてきた。あまり人もいないのでその授与所の木造の建物の端の方で、政子から五線紙を出してもらい、大急ぎで浮かんできたメロディーを書き留めた。
 
神職さんが不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
「あ、すみません。私たち作曲家なんですが、今そこに竜が舞い上がってきたような気がして、それに刺激されて曲ができちゃったんで、ここで書き留めていいですか?」と政子が言う。
 
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「ああ、確かにさっき来ましたね。こういう天気の日はよくそこを通っていくんですよ」などと神職さんが言っている。
「作曲はどうぞ。いいのができたら聴かせてください」
などと言っていた。
 
私たちは神職さんの御名前を聞き、帰京後この曲『ウォーター・ドラゴン』のMIDI音源に合わせて、UTP付属のスタジオで私たちふたりが歌ったものをCD-Rに焼いてお送りした。また後に、CDとして一般発売した時も1枚贈呈した。
 
神社はその授与所から階段をのぼり拝殿で一緒にお参りしたが、金華山の時と同様、拍手を打つ時に、ふたりのブレスが共鳴するような感覚があった。
 
「共鳴する時の響き方が金華山とは違うね」
「うん。あちらは上に響いていった感じ。ここは下に響いていく感じ」
「高い場所にあるからかな」
「黄金山神社だって、けっこう高い場所にあったよ」
「あ、確かにそうだ」
 
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「そういえば、さっきこの神社に入ってきた時、五大弁天ってのが書いてあったね」
「マーサも気付いた?」
「うん。私たちが気付いたというのは、五大弁天も回れってこと?」
 
「かもね。今回回っているところに、江ノ島と天河を入れて五大弁天になる訳か」
「江ノ島はいつでも行けるけど、天河は日程取らないと行けないね」
「うん。東京に戻ってから行き方とか調べてみる」
 

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■夏の日の想い出・第三章(13)

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