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■春葉(1)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-06-01
 
「練習終わり〜!、今日の床掃除の当番は利美ちゃんと泰美ちゃん」
という部長の声が掛かり、みんな練習を終えてボールを片付ける。1年生の梨央と由里乃が用具庫から、長い鉄のハンドルを持って来て、くるくる回しゴールを畳む。
 
泰美は利美と一緒にモップを持って来て、両側の端から床掃除を始めた。
 
「こらこら歩くな。走れ!」
と言われて
「はい」
と返事をし、走って掃除をするのだが、これがなかなかハードで息が上がるのである。バスケのコートを走り回るのは10分間1クォーターいっぱい走り回っても平気なのに、このモップを持って走って掃除するのは、かなり辛い。
 
ふたりで分担して端から掃除していき、やがてセンターラインの所まで来る。ふたりは同じ側にいるのだが、利美のモップは既にセンターラインに接しているのに、泰美のモップはセンターラインから1mほどの所にある。どうももう1回分残っているようだ。
 
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「ごめーん、あと1回行ってくる」
と言って、向こう側までモップを押して走って行く。帰りはコートの外側を押して用具倉庫の方にいくが、ここは走らなくても叱られない。
 
今日の練習はきつかったなあ。焼き肉屋さんにでも寄って帰ろう、などと泰美は思っていた。
 

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青葉は夢を見ていた。どこか知らない町にいる。空に大きくカーブを描く電線が上下二段に伸びている。その端は三本の鉄骨を三角錐状に立てたもので支えられていた。空は朝か夕方か判然としないが、朝焼けあるいは夕焼けの赤と、青空が混じった紫色の空だった。
 
青葉は空がきれい、と思いながらその2段になっている円弧状の電線を見ていた。
 

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瞬法は車を降りると、“それ”を見上げて、しばらく考えていた。
 
腕を組む。
 
「帰ろ」
と言って、彼は車に戻り、Uターンして自分の寺に戻った。
 

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西湖(今井葉月)は学校を2日間休んで人間ドックを受けることになった。龍虎(アクア)は腫瘍の経過観察もあるので、年に2回は入院しての検査を受けているのだが、西湖はこれまであまり大きな検査を受けたことが無かった。しかしこの夏に“ある理由で”身長が2-3cm縮んだのだが、その身長のことがバレてしまったので、桜木ワルツが心配し、健康診断を受けてきなさいと言って、西湖は人間ドックを受けることになったのである。
 
しかしそんなの受けたら、ボク、女の子の身体になっているのがバレちゃうと思い、どうしよう?と不安な気持ちのまま病院に出てきたのである。
 
平日になったのは、土日はとても休めないからである。それでもアクアの仕事が毎日あるのでリハーサル要員が必要である。この2日間は普段から結構代役として担ぎ出されている姫路スピカがリハーサルに出てくれることになった。彼女はわりとアクアと雰囲気が似ているのである(正確には“アクアF”と似ている)。
 
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西湖は前日の夜9時以降は食べ物を取らないようにし、当日は朝御飯も食べずに、朝7時に用賀のアパートを出て、電車でその病院に行った。予約票を受付で渡すと病室に案内され、病衣に着換える。渡されたのは薄いピンクのパジャマ状の服である。上着とズボンに別れている。
 
着換えた所で、渡された検診誘導用のタブレットで「着換え終わり」の所をタップすると“1階7番計測室へ”という表示が出るので、降りて行く。取り敢えず順番を待つが、待っている人の中に薄青の病衣を着ている人とピンクの病衣を着ている人がいるのに気付く。何の違いだろう?などと思いながら待っていた。
 
やがて名前を呼ばれて中に入るが、ここでまず身長・体重・ウェストに血圧を測られる。糖負荷検査をしますと言われ、まず最初に採血・採尿後、ブドウ糖液を飲む。視力検査・眼圧検査をし、散瞳剤を点眼してから1回目の採血・採尿。聴力検査・歯科検診を経て、眼底検査をした後、縮瞳薬を点眼してもらう。そして2回目の採血・採尿をする。ここでだいたいお昼の時間帯になるが、まだ食事はできない!
 
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胃の透視検査のため、バリウムを飲む。なんかやな感じだなあと思う。
 
検査台の上に乗るが「右に3回転して」「俯せになって」「左を向いて」など様々な指示が出るので、西湖は、これ大変だ!と思った。
 
終了後下剤をもらって飲む。わりと便秘気味なんですがと言うと倍くれた!
 

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骨密度検査に行くが、念入りにされている感じがした。身長が縮んだかもというのが多分病院側に伝えられていて、骨密度に問題が無いかチェックしてくれているのだろう。
 
胸部レントゲン検査に行く。タブレットの指示で2番レントゲン室の所で待ち、名前をアナウンスされたので中に入ったら、男性の検査技師がギョッとしたような顔をした。
 
「この部屋に入るように言われました?」
「はい」
「きっと何かの間違いだな。そのタブレット、ちょっと貸して下さい」
「はい」
 
それで西湖が渡すと、何か操作をしていた。
 
「済みません。4番レントゲン室の前で待っていて下さい」
「分かりました」
 
それでタブレットを受け取って2番検査室を出て、あらためて4番検査室の前で待つ。10分ほどで名前を呼ばれたので中に入る。こちらには女性の検査技師が居て、指示に従って服を脱ぐ。
 
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「そのブラジャーはワイヤーは入っていますか?」
「入っています」
「だったらそれも外して下さい」
「はい」
 
それで撮影してもらった。
 
「お疲れ様でした。その後またタブレットの指示に従って移動して下さい」
「はい、ありがとうございました」
 
西湖は移動しながら最初に入った部屋で「間違い」と言われたのは何が間違っていたのだろう?などと考えていた。
 

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タブレットに出ている数字を見て進むと次は心電図検査であった。しばらく待ってから中に入ると、女性の技士さんがいて、上半身裸になってくださいというので裸になって検査台に寝る。胸に電極をつけられる。これ春にも学校でやったなあと思う。あの時は万事休すと思ったら“誰か”が助けてくれたのだが、今回は何も焦る必要無いし、などと考えている。
 
しばらくじっとしていたら「もういいですよ」と言われるので「ありがとうございました」と言って、服を着て検査室を出た。
 
今日の検査はここまでで、病室に戻っていいという指示がタブレットに出ていたので、戻って・・・
 
ひたすら寝た!
 

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目が覚めたら、窓の外は薄明かりである。しばらくボーっとしていたら看護助手さんが来て
「あ、起きた?」
と言った。
「あ、はい」
 
体温・脈拍・血圧を測られる。
 
「よく寝てたね。夕飯の時は起こそうとしたけど、どうにも起きなかったし」
などと言われる。
 
へ?
 
「あのぉ、まさか今ひょっとして朝ですか?」
「そうだよ。よほど疲れたのね」
 
うっそー!?結局昨日は丸1日絶食!?
 
しかしこの日は朝からちゃんと朝御飯を食べることができた。固形物を身体に入れたのは(バリウムを除けば)一昨日の夕方食べた軽食以来、36時間ぶりであった。西湖は「御飯美味しい!」と思った。
 

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午前中は超音波(エコー)で身体全体を検査された。肺呼吸検査をした後、今日もまた心電図の検査を受けた。不整脈などがある場合、2日目の方が明確に出ることが多いらしい。
 
その後34番に行って下さいと言われていくと、婦人科である。えーっと、ボクなぜ婦人科に来ることになったんだろう?などと考えている内に名前を呼ばれる。
 
「あら、あなた何歳?」
と女の先生から訊かれる。
 
「16歳です」
「だったら、マンモグラフィーは不要ね」
「マン?」
「マンモグラフィーは40歳すぎてからでないと使えないのよ。あなたは代わりにエコー検査を受けて」
「あ、はい」
 
「取り敢えず触診するから、上半身の服を脱いで」
「はい」
 
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それで女医さんは西湖のおっぱいをまずは眺めた上で、かなり強く揉む。痛たたたたたと思うが我慢する。
 
「問題無さそうですね。じゃ服を着て、タブレットに次の番号が出たらそちらに行って」
「はい。ありがとうございました」
 
それで廊下に出た。38番に行くようタブレットに指示が出るので、そちらに移動する。
 

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名前を呼ばれて中に入る。カーテンで仕切られた検査台が4つ並んでいる。その中のひとつに案内される。上半身脱いでくださいと言われるので脱ぎ検査台に寝る。お腹にタオルを掛けてもらった。
 
女性看護師さんから、おっぱい付近にゼリーのようなものを塗られた。なんかエステとか受けてるみたいと思う。そのあと、女性の検査技師さんが何か小型の機械のようなものを当ててモニターに映る組織?の様子を見ているようだった。
 
検査は15分ほどで終わり、女性看護師さんが胸に塗った物質をきれいに拭き取ってくれた。
 

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そこを出た後、またタブレットの指示に従って43番の部屋に行く。ここも婦人科の診察室のようである。
 
「あなた何歳?」
とここでも女性の医師に訊かれた。
 
「16歳です」
「性交の経験は?って性交って意味分かる?」
「分かりますが、経験は無いです」
 
「了解。じゃ処女を傷つけないように検査するから安心してね」
「はい、よろしくお願いします」
 
とは西湖は答えたものの“処女を傷つけないように検査”って何をするんだぁ?と思う。
 
「これ知ってる?」
と言って何か台のようなものを見せられる。
 
「いいえ」
「内診台と言うのよ。ちょっと恥ずかしいかも知れないけど、我慢してね」
「はい」
 
それで指示通りズボンとパンティを脱いで台に乗る。
 
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下半身が持ち上げられる!? お股が広げられる。
 
ちょ、これ何!??
 
きゃー
 
と思っていると、どうもお股の所を何やら調べられているようだ。うっそー。これじゃボクが女の子の身体なのが分かっちゃうじゃん!などと西湖は思っているが、今更である。
 
「中にクスコを入れるけど、処女は傷つけないからね」
「はい」
 
クスコって確か南米の古代遺跡??でも中って何だっけ?と思っている内に“あそこ”に何か入ってくる。
 
ひぃー!??
 
それでどうも“内部”を調べられているようである。
 
やだぁ、こんな所まで調べられるの?
 
ボクが男の子だったら、おちんちんをにぎったり検査器具に入れられたりして調べられていたのかなあ?などと考えたりしている。
 
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けっこうドキドキしている。
 
やがて検査は終わり、クスコは抜かれ、姿勢も元の状態に戻った。
 
「異常は無いですね。検査は終わりましたよ」
「ありがとうございます」
と言って、パンティとズボンを穿いて部屋を出たが、西湖は
 
『どうしよう?ボクが女の子なのがバレちゃったらワルツさんや社長から何か言われそう』
などと考えていた。
 

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その後、また採血・採尿されてから、部屋に戻って昼食である。
 
この病院のご飯美味しいなあ、などと思いながら食べていた。
 
午後は、栄養士さんから食事についての指導を受ける。栄養バランスよく必要かつ過剰でないカロリーの食事をすることが大事であると言われ、様々な食品のカロリー数を書いた本をもらった。
 
このあたりの話は学校の家庭科でも習っているはずなのだが、授業の欠席が多い西湖はあまり知らない話だったので、色々質問したりしてしっかり聴いた。本に載っていないお魚のカロリー数を尋ね、栄養士さんは資料で確認して教えてくれたので、西湖はそれを本に記入しておいた。
 
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