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■東風(19)
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もう1つのカップリング曲は、『舞音の招きマネキン』のCMが好評だったファッションブランド“ノノ・パパイヤ”の新しいCM曲『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート』である。
冒頭舞音が『赤巻きスカート、青巻きスカート、黄巻きスカート』と言いながら、赤い巻きスカート、青い巻きスカート、黄色い巻きスカートを穿いた所が映る。
舞音が道行く人を呼び止めてこの早口言葉?を言わせ、うまく言えなかったらひっかかった色の巻きスカートを穿かせてしまう。
これは新発売のウェストが調整しやすい“フィットウェスト巻きスカート”を前面に立てたCMなのである。曲は未来居住作詞・松本花子作曲の軽快なナンバーである。
最初に出て来た、ビンゴ・アキちゃんは赤でひっかかって、赤い巻きスカートを穿かされる。次のセージ@スパイスミッションはうまく言えたかと思ったら最後を「スカード」と言ってしまい、黄色の巻きスカートを穿かされる。次の鈴木ひかり(WindFly20)は青でひっかかり、青い巻きスカートを穿かされる。
その後、1秒単位で多数のわりと有名なタレントさんが三色どれかの巻きスカートを穿かされる。最後に男子中学生タレントの織田淳二君まで青い巻きスカートを穿かされて「やだー!」と声を挙げる(でも可愛い)、
最後は100人くらいの男女(2割くらい男性がいる)が、右側に赤巻きスカート、左側に青巻きスカート、中央に黄巻きスカートを穿いた状態で並んでいる図で終わっている。舞音は真ん中で赤青黄トリコロールの巻きスカートを穿いて手を振っていた。
このCFは、前回の『招きマネキン』同様、豪華な出演者が話題になった。前回もそうだが、(舞音以外の)出演者のギャラだけでどう考えても2000万円くらい行っている。舞音自身も前回の20倍のギャラを頂いた。
最後に巻きスカートを穿いて並んでいる人たちは、女子は都内のモデルクラブなどに所属する女子高生・女子大生を集めているのだが、男子に関しては、雨宮先生がスカートを穿いて違和感の無い男子を集めてくれた。もっとも巻きスカートは男性でも比較的穿きやすいスカートなので、ハードルは低かったようである。
20人の男子の中には、舞音のバックバンドの篠原倉光・谷口翼の2人、および信濃町ガールズ本部メンバーの広中礼音・末次一葉・弘原如月、及びガールズ関東の男子メンバー3名が含まれている。雨宮先生はそれ以外に12名集めてくれた。実は羽鳥セシルの弟(浜梨香沙:はまりかずな)まで含まれている(スカート穿いてというのに抵抗したが、穿かせてみると似合うので「さすが恵真ちゃんの弟」と言われていた:雨宮先生の美少年センサーは確かである)。ちなみに木下宏紀やセレン・クロムなどはスカートは穿けるが男性に見えない!
なお、この新型の巻きスカートは、実際の店頭や通販では、使いやすいベージュやインディゴがよく売れたようだが、赤・青・黄の三原色やグリーン、ブラック、ホワイト、ピンク、アクア、アースカラー、また舞音がCMで穿いていたトリコロールも割と売れた。
メーカーでは“多分男も買う”と予想して男性が穿けるサイズも制作し、男性が穿く場合のサイズの目安表までわざわざ店頭や通販サイトに掲示していたら、本当にそのサイズがかなり売れた(大半が通販で出たがカップルが店頭でペアで買っていくケースも見られた)。
なおこのCMがオンエアになってから、この歌が小学生の間で受けて、子供用は無いんですか?という照会が多かったので“ノノ・パパイヤ”では急遽、ジュニアサイズ・ガールズサイズの“フィットウェスト巻きスカート”も制作して11月から発売した。
アクアFはアクアMに言った。
「代々木の10階の部屋さ、ボクに売ってくんない?」
「売るも何もボクたち、口座も何も全部共有だし」
「じゃ、ちょうだい」
「いいけど。何に使うの?」
「仕事帰りに緑川さんとかに送ってもらったらここで降ろされるじゃん。その時、八王子に移動するのも面倒だし、ボクはそのまま10階に入って寝てもいいかなと思って」
「だったら、少し寝具残しとけばよかったな」
先日、10階に置いていた荷物は全部八王子に持っていってしまったのである。
「いいよ。適当に通販で買うから」
「分かった。じゃ自由に使って。でも彩佳たちに10階使ってるのバレないようにしろよ」
「もちろん。彩佳にバレたら、ボクの安住の場所ではなくなるし」
「彩佳にボクたち2人いることを話した方がいいのかなあ」
「彩佳は気付いているというのに1票」
「嘘!?」
「気付かない訳が無い。単に気付かないふりしてるだけだよ」
「そうかなあ」
彩佳は実は気付いているのではというのは、年末頃から思っていた。代々木のマンションに帰った時、Mはいきなりキスされるらしいけど、自分には彩佳はキスしないのである。
それに先日の誕生日翌日、彩佳はわざわざ自分に「誕生日おめでとう」と言った。本来は昨日ちゃんと“M”にはおめでとうを言ったはずなのに。だからイヤリングは本当に自分へのプレゼントだったんだ。Mはボールペンもらってたし。
「だから、ボクたちは、彩佳が気付いていることに気付かないふりをしてた方がいい」
とFはMに言う。
「ごめん。今の意味が分からなかった」
「ボクも途中で分からなくなった」
口座に関しては、現在アクアは###銀行にメイン口座を持っていて、2人ともその銀行の“クローンカード”を所持しているのだが、この機会に各々の個人口座も作ることにした。
使い手のいい銀行として、△△銀行の別の支店(全てネット支店)に長野龍虎名義の口座を作り、A支店はM、B支店はF、S支店はNの専用にすることにし、###銀行は全員共通とすることにした。そして###銀行の現在の残高の4分の1ずつを各口座に移動した。具体的には、いったん4分の3をNの口座に移動した上で、その3分の1ずつをFとMの口座に移動する(振込手数料節約のため)。以降、毎月の(資産運用班からの)振込額についても同様の操作をする。
大きな買物はFとMが話し合って決めることにする。
8月28日(土).
アクアと坂出モナが主演する2時間ドラマ『浦島太郎』が放送された。
冒頭坂出モナが歌う主題歌『ホーライの国』のバックに、乙姫に扮したアクアと浦島太郎の扮装の坂出モナが出るので、今日の番組サイトを開いて配役を確認した人が多数あった。そしてテレビ局のサイトの表示が間違っているのではと思った人も多数である。
アクアが乙姫でモナが太郎というのも、充分あり得る配役である。
しかし物語が始まると、太郎の格好をしているのはアクアである。
解説者(元原マミ)が
「昔々、丹後国の水江という所に浦島という漁師がいました。船で沖合まで出て魚を釣ったり、遠くの島の浜辺で海草や貝を獲ったりしていました」
と語る。
太郎が道を歩いていると女の子たちが多数それを見て話している。大胆にも太郎に手を振る娘もいるが、太郎はマメに手を振り返していた(*9).
(女の子たちを演じているのは○○ミュージックスクールの生徒たち)
太郎というのは、今回のドラマの種本となった御伽草子では特に明記されていないが、元々の丹後国風土記では、容姿端麗で風流なこと比べようもないと書かれており、元々の原作の路線で行こうとすると、実はアクアは太郎に大適任だった。
太郎が“準構造船”(*10)に乗って漁に出るシーン。船を停めて釣りをするシーン、魚を釣っては船中の水槽に入れるシーン、また海岸で貝を拾うシーン、海草を苅るシーン、そして帰港して漁獲物を親方に納めるシーンなどが描かれる。
この部分は、安全のため、シンデレラのオープンセットの池を使用して撮影している。
猟師仲間として出演しているのは実は少年探偵団のメンバーである!親方は中村警部を演じている広川大助。太郎の両親は、明智夫妻を演じる本騨真樹と山村星歌で、語り手の元原マミも花崎マユミ役だし、「まるごと少年探偵団じゃん!」という声が多数だった。
(*9)以前配信した男の娘浦島太郎の物語『浦嶋子』は、丹波国風土記の物語をベースにしたものだが、今回の浦島太郎は江戸時代の御伽草子版をベースにしている。そのため、すばる7人娘やヒヤデス8人娘は出て来ない。
(*10)準構造船というのは、弥生時代に多く使われた船で、丸太を彫って作った“丸木舟”に側板を取り付けて船内を広く、喫水を深くして、沖合まで安全に出られるとともに多人数が乗れるようにした船である。後には丸太部分が竜骨として残り、板材を組んで大きな形を作る“構造船”へと発展する。
一方で複数の丸木舟を組み合わせた双胴船のようなもの、更には多数の丸太をまとめたイカダ船なども作られたと考えられるが、イカダは丸太を結んでいる綱が切れるとただの丸太と区別がつかないので、残念ながら確実にイカダ船と考えられるものは古い地層からは出土していない。
太郎は1人で漁に出ているので、そんなに大きな船を使っていたとは思えない。丸木舟だったかも知れないが、かなり遠くまで漁に出ていることを考えると、もう少し大きい船という気がする。それに太郎が使っていたのが丸木舟なら、乙姫が“小さな船に乗っているのを見た”という話と合わないので、このドラマでは太郎の船は準構造船ということにした。
準構造船は放送局の大道具係さんの力作で、制作費は100万円ほどである。たぶんまともな船舶製作所に頼むと10倍近く掛かる。とりあえず撮影の間沈まなければいいというレベルで作ったからこの費用で済んでいる。
なお、丸木舟や準構造船の推進力はパドルだったと思われる。現代ではカヌーで使用されている、両端に水を掻く平たい部分のある棒である。ドラマでもアクアはパドルで水を掻いて船を進めている。
ある日、浦島がいつものように漁に出ていたら、村からかなり離れた海上で一匹の亀を釣り上げた。
「お前、何か可愛いな」
とアクア演じる太郎は言う。
「顔かたちが凄くやさしい。お前、メスか?」
などと言って、亀を持ち上げる。
亀の雌雄は尾の長さで区別できる。オスの尾は長く、メスは短い。また総排泄孔の位置が、オスだと甲羅の縁の外側にあるが、メスは内側にある。しかし太郎はいきなり乙姫のお股を見たことになる!乙姫としては「こんな恥ずかしい所を見られてしまったからには、この人のお嫁さんになるしかない」という気分である。
「お前、メスみたいだな。美人だし、人間だったら、いい娘かも知れんなあ」
などと太郎は言っている。
(「亀になりたーい」という女子たちの声多数)
「お前を食うのは可哀想な気がしてきた。鶴は千年、亀は万年というし。本当は万年生きられるのが俺に食べられちゃうのは可哀想だから、逃がしてやるよ」
と言うと、浦島太郎は亀を逃がしてやった。
数日後、また太郎が漁をしていたら、少し向こうの方に小舟が居てそこにどうも女性がひとりで乗っているようである。太郎は驚いて漕ぎ寄ってみる。
乗っていたのは美しい女性(坂出モナ)であった。
「こんな海の上であなたは何をしているのですか?」
「海を渡って自分の国に帰る途中だったのですが、嵐に遭って船が沈み、私は親切な人がこの船に乗せて押し出してくれたのです。激しい嵐で生きた心地がしませんでしたが、何とか無事に生き延びられたようです」
「それは心細かったでしょう」
「こんな小さな船はいつ沈むか不安で。あなたの船にご一緒させてもらえませんか」
「ああ、いいよいいよ。こちらにおいで」
と言って、太郎は彼女の手を取ってこちらに乗り移らせる。すると、女性が乗り移った途端、船は沈んでしまう。
(モナは自分の体重で“船底の蓋”を押さえていた。だからモナが船から退去すると船は沈むように作られていた)
「きゃー」
と言って、女性が太郎にしがみつく。
(「こら、離れろ!」という声、ネットでは多数)
「危ない所だった。乗り移るのが少しでも遅かったら、あなたも沈んでいた」
「あのぉ、私を国まで送っていってくださったりはできないですよね?」
「あなたの国はどこですか?」
「小さな島なんです。たぶん10日くらいで着くと思うんですが。御礼は充分しますので」
「そうだなあ」
と言って太郎は考えるが、女性はかなり良い服を着ている。結構良い所の娘だろう。だったら送っていってもいいかと考えた。一度自分の村に戻って母に娘を送ってくると言おうかとも思ったが、村に戻るのにも丸1日かかるから、娘が不安がると思った。それで母には告げずにそのまま行くことにする。
「方角分かる?」
「西へ西へと行けばいいと思うんですが」
ここから西なら、出雲か隠岐、あるいは筑紫の国かその先の壱岐あるいは済州島あたりかも知れないと太郎は考えたが、一度そういう遠い所までの航海もしてみたい気がした。それで太郎は
「じゃ送っていくよ」
と言ったのであった。
解説者の元原マミが登場し語る。
「こうして太郎は10日がかりで彼女を故郷の島まで送っていったのです。そして送っていく間に、ふたりはすっかり“仲良く”なってしまいました」
“仲良く”ということばは、小学生には、お友達になったのだろうと思わせるが、高校生以上の視聴者には「ああ、セックスしたのね」と思わせることばである。もっともネットでは
「アクアは女の子と2人きりでもセックスはしないだろうな」
「まあ女の子と結合できる部品を持ってないし」
という声が多数であった!
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