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■東風(13)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-08-13
 
8月3日まで“舞音withスイスイ”のアルバム『こどものうた』を制作していた水谷姉妹だが、舞音たちと一緒に泊まり込んでいたコテージ“桜”を退去するのだが、まだ東京五輪をやっている最中なので、東京に戻らない方がいいと言われた。
 
それで2人は仙台に移動することになったのである。
 
熊谷に来たコスモスは最初に「君たちのマネージャーが決まったから」と言って紹介してくれた。
 
「こちら、横浜網美さん」
「水谷康恵です。よろしくお願いします」
「水谷雪花です。よろしくお願いします」
「横浜網美です。よろしくお願いします」
と挨拶を交わす。
 
横浜網美は以前&&エージェンシーに居て、昨年解散した Hanacle のマネージャーをしていた。Hanacleの解散・引退とともに事務所を退職していたのだが、
「そろそろ芸能界に戻りたくなってない?」
とケイが声を掛けて採用したのである。
 
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横浜は水谷姉妹に取り敢えず、昨日まで制作をしていた中の何か歌ってみてと言い、ふたりは水谷姉がギターを弾いて『大きな古時計』を歌った。すると、その歌を聴いて横浜は
 
「あんたたち上手いね!」
と言った。
 
歌がド下手なHanacleのお世話を6年間もしてたら、水谷姉妹のレベルはかなり上手く聞こえるだろう。水谷姉妹は自分たちの歌を褒められたのでかなり気を良くしたようであった。それで両者の関係は気持ち良くスタートすることになった。
 
「それにこんな格好良い『マイ・グランドファザーズ・クロック』初めて聞いた」
「アメリカではこんな感じで歌うのが普通らしいですよ」
「へー。カントリー風だね」
「アルバムではバンジョーも入ったんです」
「それは発売が楽しみだ」
 
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「それで仙台で何するんですか?」
「君たちのCDを作る」
「すごーい!」
 
それで水谷姉妹、コスモス、横浜マネージャー、音源制作の補助に呼ばれた夕波もえこ(*6)の5人で郷愁飛行場に移動する。
 
(*6)“夕波もえこ”は池田芽衣にコスモスが付けた芸名である。夕波は彼女の出身地・与那国島にちなんで付けた。与那国の語源は島で多く見られる“ゆうな”なので(ゆうなのくに→ゆなんくに:但し与那国方言では“どなん”になる)、そこから取ったものである。“もえこ”は彼女がいつもエネルギッシュで燃えてる感じなのでという、ゆりこの提案から採用された。
 

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コスモス以外の4人が Honda-JetYellowに搭乗する。
 
「この色の機体は初めて見た気がします」
と水谷妹が言う。
 
「この機体は、君たち、甲斐姉妹、白鳥リズムの優先使用権を付けるから」
と見送りについてきてくれたコスモスが言う。
 
「すごーい!」
「新たに2機買ったから、その1機」
「なんかVIPみたい」
「VIPになるよう頑張ってね」
「はい」
「もえちゃんも専用機が持てるように頑張ろう」
「はい!」
 
それで、水谷姉妹たち4人は仙台空港に移動したのである。
 

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仙台空港からSCC仙台営業所のクルーの車に乗り、空港からすぐの所にある、クレール若林本店に行く。
 
宇宙服のような服を着た店長・月山和実さんに案内されてお店の2階にあるスタジオに入る。
 
「じゃここを自由に使って下さい」
「ありがとうございます」
「お腹が空いたら適当なものを自由に注文して下さい。全部§§ミュージックに付けますから。ただしアルコールは持ち込みも含めてご遠慮下さい。それと、ここでも仮眠できる設備がありますが、ゆっくり寝たい時は、女子寮3号館のこの部屋を使って下さい」
 
と言って、鍵を4つ渡されるが、
 
「私と妹は同室でいいですから
と水谷康恵が言うと
「じゃ3個で」
と言って、鍵を3つ渡してくれた。
 
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「女子寮が3つもあるんですか」
 
「そちらと同様の事情ですよ。通勤でバスや電車を使うとそこで感染する可能性があるから、いっそ泊まり込んでもらおうということなんです。たからここから大学とかに行くのも、自家用車・バイクなどを使ってもらうことにしてるんです。免許持ってない子は送迎もしますよ」
 
「なるほど、感染対策もあったんですね」
「一応見た目女子に見える人なら入寮可能です。ちんちん付いてる人は審査の上で入寮可否を判断してます」
「審査ですか」
「下着姿になっても女の子にしか見えないことと、女の子のヌード写真を見せて、平気な顔してる子なら入寮可能」
「面白い試験をしている」
 
「ここにはちんちん付いてる人は、いないかな?」
と水谷姉が見回して言う。
 
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「じゃ問題ないですね。いや、うちはメイド服を着られる人なら本人の性別は問わないと募集広告出したら、男の娘がたくさん応募してきて、今何人男の娘かいるのか、もはや分からなくなった」
 
「すごーい」
「メイド服なんですか?」
「うちは元々メイド喫茶なんですけどね。最近はほとんど忘れられてますね」
と月山さんは笑っていた。
 

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ここで制作する曲は『ひつじさんのおつかい』という通販サイトのCM曲であると説明される。まずは、荷物をここに置いて、南三陸町まで行き、そこにある羊牧場を見学させてもらう。羊さんたちを見て
 
「わぁ、美味しそう」
などと水谷姉妹も、もえこも言うので
 
「あんたたち好きになった」
と網美は言っていた。
 
ここで3人は羊の着ぐるみを着せられ、多数の羊の前に居る所を同行のカメラマン山口香里奈に撮影される。ここでダンスしている所も撮影される!
 
「暑いです」
「真夏だもんねー。いくら宮城でも」
 
お土産に羊肉を1kgほど買って帰った。帰りの車内で3人はアイスを食べたりコーラを飲んだりしていた。
 
(羊肉はクレールの厨房で焼いてもらい、ジンギスカンにして晩御飯に食べた)
 
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8月5日から音源制作を始める。
 
夕波もえこ(池田芽衣)がエレクトーンで伴奏して、水谷姉妹が歌うが、伴奏は後で生バンドの演奏に置換する予定と言われた。
 
水谷姉妹が(横浜網美の感覚では)上手いので、音源制作はスムーズに進み、3時間で「これで完成」と言われた。
 
「することが無くなってしまった。何か適当な曲をもう1曲送ってもらおう」
と横浜は言い、事務所に電話する。花ちゃんが出たが
「じゃこれを歌って」
と言って、もう1曲送ってくれた。
 
『記憶のチョコシュー』という森永のお菓子“ダれたチョコシュー”のCM曲である。ダリの名作『記憶の固執 (La persistencia de la memoria)』に描かれた曲がった時計のように、曲がった形のチョコシューで、この発売記念の曲である。実はアクアにオファーがあったものの、アクアはグリコのCMをしていて、常滑舞音はブルボンのCMをしていてどちらもできず、誰か空いてる方、できたら新人の方、と言われていたらしい。
 
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「これうまく行ったら。1〜2年続けて依頼があるかも」
「頑張ります」
 
それでこの日は夕方まで掛けて、楽曲を完成させた。翌日8月6日には、仙台の森永支店の人が来て、CM映像の撮影をした。これにも、もえこは顔を出すことになり
 
「それであんたも注目されるかもよ」
というと、もえこは張り切っていた。
 

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しかしまだ東京五輪はやっている。それで
「あんたたちで伴奏も入れて」
と言われてしまう。
 
ドラムスが打てる、長浜夢夜を東京から呼び寄せ(SCCのドライバーさんの車で走ってきた)、8月7日、
 
Gt.水谷雪花、B.水谷康恵、Dr,長浜夢夜、KB.夕波もえこ
 
という楽器割り当てで伴奏を作成する。
 
4人とも“演奏”自体はすぐできたのだが、歌と合わない!
 
「結構歌に合うように伴奏を入れるって難しいんですね」
 
そんなことを言っていたら、長浜夢夜が言った。
 
「いっそこの伴奏に合わせて歌を録り直したらダメですか?」
 
全員顔を見合わせる。
 
「それ行こう!」
と横浜が言い、結局この日は伴奏を確定させ、翌日8月8日に再度
この伴奏を聴きながら歌を歌って、音源を完成させた。
 
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ついでに長浜夢夜と夕波もえこがコーラスを乗せた。
 

ところで夢夜が来た7日の日、夕波もえこが言った。
 
「夢夜ちゃんって、お部屋は寮の何階だったっけ?」
「ボクは男子寮の4階」
「嘘!?なんで男子寮に居るの?」
「ボク男の子だし」
「うっそー!?」
 
「まあ女の子にしか見えないよね」
と水谷姉が言う。
 
「信じらんなーい。でもたぶんちんちんはもう無いんだよね?」
「あるけど」
 
「ちんちんは小6の夏休みに福岡のN病院で取ったと聞いたけど(姫路スピカの情報)」
と水谷妹。
 
「どこから小6の夏休みとかN病院とかいう話が」
 
と夢夜のほうが呆れていた(でもさすがにN病院の名前は知っているようだ)。
 
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ちなみに夢夜に関しては、月山和実は見ただけで
「あんたは女子寮に入れても全く問題無い」
と言って、すぐに鍵を渡してくれた。
 

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4人は8月8日もクレールの女子寮に泊まり、9日はすぐそばの“織姫”で行われた白鳥リズムのライブのお手伝いをした(夢夜がゲストの花貝パールの歌に伴奏を入れた)。
 
そして、ライブ終了後、白鳥リズム・水谷姉妹・山本コリン・花貝パール、長浜夢夜・夕波もえこの7人でHonda-JetYellowに乗って熊谷に帰還した(スタッフが乗っていないがコリンが臨時マネージャーに任命された。コリンは性格的にしっかりしているので、こういう時信頼できる)。
 
Honda-JetYellowはリズムと甲斐姉妹・水谷姉妹の優先機になったと聞いてリズムは「Yellowをあと2機買ってもらえるくらい頑張ろう」と水谷姉妹に言っていた。
 

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コスモス、ゆりこ、ケイ、花ちゃんの4人は話し合って、七尾ロマンのマネージャー星野遙香と、甲斐絵代子のマネージャー・秋田有花を交換!することを決めた。
 
星野遙香(旧姓望月)は、以前∴∴ミュージックに居て、KARIONや篠崎マイを担当した。秋田有花は以前、○○プロに居て、篠田その歌・森風夕子を担当した。ケイにとってはどちらも旧知の人なので、これはケイが2人に通告した。
 
それで各々新しい担当と顔合わせをしたのだが、七尾ロマンの生歌を聴いて、秋田有花は彼女を大好きになったようである。
 
「あんた、この歌でなぜこれまで売れなかったのか理解できん。私があんたに合う歌を調達してきてあげるから」
と言って、ロマンに歌わせる歌の作曲家から、秋田の人脈で再度探すことになった。
 
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一方、星野遙香は甲斐絵代子の歌を聴いて
「あんた、可愛くて魅力的なのが長所だけど、歌がいまいちなのが欠点ね」
とハッキリ言う。
 
「すみませーん」
「適当な小型キーボード渡すから、それ持ち歩いて。私が出す課題で毎日発声練習して。あんた仕事はたくさんあるみたいだからマネージャー・付き人の車で移動すること多いでしょ?その時、窓開けて発声練習しなよ」
 
「分かりました」
と絵代子は応えたが、星野さんは優しそうだなあと思い、ホッとした。
 

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8月14日には姫路スピカ、8月15日には甲斐姉妹+水谷姉妹のライブが仙台の織姫であったが、15日のライブは本来甲斐姉妹のライブでゲストに水谷姉妹が登場する予定だったのだが、万事“無自信家”のエーヨが
 
「とても私とお姉ちゃんの2人だけで2時間も持たせ切れない」
 
と言い、甲斐姉妹と水谷姉妹の合同イベントということになった。
 
結局水谷姉妹は最初から出て、甲斐絵代子の歌にコーラスを入れた。2曲エーヨが歌ったら、1曲水谷妹が歌う(その時は甲斐姉妹がコーラスを入れる)というパターンでパアォーマンスをした。
 
ファンの間ではこれを“Kai-Sui”と称した。
 
(水谷姉ではなく水谷妹がメインボーカルを取ったのは、姉が歌うと、本来主役であるエーヨに“悪い”からである)
 
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幕間には
 
「何か幕間で歌う人が居なくなっちゃったから出てよと言われたので」
と言って前日歌ったスピカが出て来て大仙イリヤにギター伴奏させて3曲歌った。大仙イリヤも驚いたらしいが(出演できて)「儲け儲け」と言って伴奏していた。
 

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コスモスはこの日のイベントに、甲斐姉妹と水谷姉妹の両親を仙台まで呼んだ。(Honda-JetRed,Honda-JetBlueで迎えに行かせた)
 
そして一緒にライブを生で見た上で、双方の両親と順次面談をして
 
・甲斐波津子も絵代子と同様A契約に移行する
 
・水谷姉妹をA契約に移行する。
 
ということで、各々の両親と合意。契約書を交わした。これで今年のA契約者は8組に及ぶことになった。
 
七尾ロマン、恋珠ルビー、常滑舞音、甲斐姉妹、中村昭恵、水森ビーナ、花貝パール、水谷姉妹。
 
甲斐波津子は4月に遡ってA契約でギャラを計算し直したので、8月20日の振込が凄い額になり、冷静な波津子がギョッとすることになる(思わず桁を数え直した)。
 
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