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■娘たちのフィータス(1)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-08-09
 
卵子(ovum)と精子(sperm)が受精してから赤ちゃんとして生まれるまでは下記のように呼び名が変わる。
 
受精卵 zygote ザイゴート (受精〜着床)
胎芽 embryo エンブリオ (着床〜11週くらい)
胎児 fetus フィータス (12週くらい〜出産)
 
週の数え方は伝統に従って最後の月経を0週で数えるので受精が2週目である。胎芽の状態は単に細胞が分裂を続けているだけだが、胎児の段階では生命としての活動が開始される。昔からこの時期を「魂が入る時期」と言ってきた。
 
阿倍子の胎内で育っている“京平の身体”は、2014年10月5日に人工授精しているので、2014年12月14日に12週目(4ヶ月目)に突入。胎芽から胎児の段階に進んだ。
 
貴司は妊娠維持能力が極めて貧弱な阿倍子に絶対安静を言い渡しており、家政婦を雇って家事・買物などを全て代行してもらっている。一応1月いっぱいは毎日、2月以降は安定してくると思われたので週2回お願いすることにしていた。
 
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アクアは2014年12月12日、ローズ+リリーの那覇公演で“鈴割り役”をしてお披露目され、12月29日放送のテレビ番組『性転の伝説Special』でその名を全国に知られることとなる。翌12月30日のローズ+リリー東京公演にはアクアの姿を1目見ようとするファンが会場周辺に押し掛け凄い騒ぎになる。係員が「帰って下さい」と呼びかけても収まらないので、ケイがマイクを取って
 
「近日中にアクアのファンクラブも発足するし、3月にはCDも発売してライブも行う予定なので、そういったものを通して彼を応援して欲しい」
 
と呼びかけ、何とか群衆を解散させることができたが、万一の場合はライブ中止もありえる事態だった。
 
アクアはローズ+リリー公演のその後の9公演でも“鈴割り役”をしたが、これ以降の公演では、事前通知も行き届いていたこと、警備員も増やしたこともあり、東京公演のような騒ぎにはならずに済んだ。
 
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しかし“少女と見紛う美少年”アクアはCD発売前、連続ドラマ登場前から、様々なテレビ局や、イベント主催者などからの引き合いが凄まじかった。スケジュール調整役をすることになった田所は、事務所全体の管理を取り敢えず沢村にやってもらい、この作業に専念する羽目になった。ドラマの仕事や遠隔地のイベント、平日の仕事は全て断り、バラエティやクイズ関係、近隣の土日のイベントに限って受けることにしたが、アクアのスケジュール表はあっという間に埋まってしまった。
 
この時点で、高崎ひろかは月原、品川ありさは沢村が担当していたのだが、沢村が全体のコントロールをすることになったので、ありさのマネージングは春風アルトに泣きついて臨時にマネージャーをしてもらうことにした(後に河合友里がありさ・葉月のサブ担当として雇われることになる)。他のタレントのお世話については、小野だけでは手が回らないので、秋風コスモスの姉・秋風メロディー(上野美由貴)を担ぎ出して、彼女にも面倒を見てもらうことにした。その他、日野ソナタ(霧島鮎子)も主としてタレントの営業に担ぎ出され、更に1年ほど前に引退して高認を取るためにフリースクールに通いながら日野ソナタの弟子にしてもらって作詞の勉強をしていた八重夏津美(海浜ひまわり)まで「あんたバイクの免許持ってたよね?」と言われて、雑用に徴用されていた。
 
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この時期はとにかくアクアの処理で事務量がいきなりこれまでの100倍!くらいになり、スタッフはもとより、研修生もデータ入力、お使い、打合せの代理出席などに徴用されていた。
 
紅川社長は短期的な資金がショートする恐れを感じ、東郷誠一さんの口利きで都内の銀行から50億円の融資を受けたが(東郷さんが個人的に保証人の判子まで押してくれた:東郷先生の資産は1000億円を越える)、これは秋までにきれいに完済することができた。紅川は御礼に§§ホールディングの株を少しあげたいと言ったが、東郷先生は「僕はアクアのCDの作曲マージンで儲けさせてもらえそうだから要らない」と言って辞退した。実際この後、東郷先生はアクアの“プロデュース料”名目で、毎年2〜3億円の利益を得ることになる。
 
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2015.01 アクアデビュー
2015.04 コスモスが社長に就任
2016.01 §§プロと§§ミュージックに会社分割
2018.09 冬子が§§ホールディングの株式を継承
2018.12 桜野みちる引退。§§プロ閉鎖。
 

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龍虎(アクア)は1月1日はローズ+リリー札幌公演に出演し、寝台特急で東京に戻った後、2日午前中は、品川ありさ・高崎ひろか・松梨詩恩、それにコスモス・ゆりこと一緒に初詣に行った。この時、ありさ・ひろか・詩恩が小振袖を着ているのを見て、つい「振袖いいなあ」と思った。龍虎はボーイズスーツである。
 
そのあと2日深夜はワンティスのメンバーと一緒に龍虎の両親の慰霊の旅をしてきて、その後東京に戻って3日の日中はドラマの撮影、夕方から名古屋に移動してローズ+リリー名古屋公演に出演。4日は大阪、5日は福岡と移動する。これにはコスモスが付き添ってくれた。ローズ+リリーの公演は後9-12日の連続4日間というのが残っているが、コスモスは自身のライブ(ほぼトークショー)やバラエティ番組の撮影が入っており付き添えないので、たぶん田所さんが付き添うことになるだろうと言われた。
 
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龍虎は6日に東京に戻ってきたが、この日の夜は彩佳の所に夜遅くまで居て、彩佳のおかげで“行方不明になっていた”ちんちんが見つかり、龍虎は約1ヶ月ぶりに男の子の身体に戻った。
 
●龍虎の男性器の行方(?)
 
2014.10.18 《こうちゃん》が龍虎の男性器を治療すると言って取り外し仮の男性器をセット。
2014.11.30 唐突に仮の男性器が消失し、性器の無い状態に。
2014.12.05 性別検査を受けてと言われて病院に行ったら女の子に改造されてしまう。
2015.01.06 彩佳の“おまじない”で(仮の)男性器が復活。
 

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1月7日は午前中は雑誌の取材を受け、午後はテレビ局に入って、クイズ番組にゲスト出演した。その後、FM東京に行き、同局をキー局とする全国の民放FMをネットして放送している深夜番組"Times of JK"の1コーナーで、中学生のタレントが担当する"Times of JC"の金曜日枠をやってくれないかと言われた。金曜日を担当していた丸口美紅が高校に進学して Times of JK 本体の方に昇格するので、中学生の金曜日枠が空くのだということだった。
 
(この話は実は丸口美紅が所属するζζプロに今、トークが上手い女子中生のタレントがおらず、ケイが観世社長から訊かれてアクアを推薦したという経緯があったのだが、そのことはアクアもゆりこも知らない−紅川さんとコスモスには話が通してあり、アクアが中学卒業後はその時点でζζプロの中学生タレント優先で次の人選がされるはず)
 
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この日はずっと川崎ゆりこが付き添ってくれていたのだが、ゆりこは
 
「それってネタ探し・脚本も含めてこちらで作るんですか?」
と尋ねた。
「そこまでお願いしたいです。こちらはリサーチャーとか構成作家とか付ける予算が無いので」
 
「できるかな?」
とゆりこがアクアの顔を見て訊くとアクアは笑顔で言った。
 
「ラジオ番組のナビゲーターって一度やってみたかったんです。**さんとか**さんとか大好きです。ぜひやらせてください」
 
それでアクアの4月からの Times of JC 出演が決まった。
 
ちなみにアクアは Times of JC の"JC"が“女子中学生”の略だとは夢にも思わなかった!
 

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この日、アクアが熊谷市の自宅に戻ったのは19時頃である。
 
遅くなったなあ・・・とアクアは思ったのだが、数ヶ月後には19時で帰れる日があったら「今日は早く帰れたなあ」と思うようになる!
 
「龍、お帰り」
「あ、川南さん!」
 
両親はまだ帰ってなかったのだが、佐々木川南が来ていた。
 
「お母さんたち居ないみたいだったから、適当にカレー作っておいたよ」
「ありがとう!お腹空いた」
 
それで川南と一緒にカレーを食べた。
 
「龍、体重制限とかは契約書に無いよね?」
「最初はあったけど、上島のおじさんが削除させたから制限無し」
「おお、さすがさすが」
「もっとも書かれていた制限はBMIが30を越えないようにすること、という条項だったんだけどね」
「それは龍の場合、全くあり得ない。今16くらい?」
「14.5くらい。アルトお姉さんからデビュー前に最低16に乗せなさいと言われた」
「16だとどのくらい体重増やさないといけない?」
「3-4kg増やさないといけない」
 
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「よしカレーお代わりしなさい」
「今お腹いっぱい!後でまた食べるよ」
 

「そうだ。今日はこれを持って来たんだよ」
と言って川南はバッグを開けて中から和服を取りだした。龍虎は一瞬凄く嬉しい顔をしてしまった。
 
「可愛い!もしかして振袖?」
「小振袖だけどね。着てみたいだろ?」
 
「えっと・・・・」
と龍虎は躊躇する。
 
「ほら、素直に『着たい』と言え」
と川南が煽る。
 
「1月2日に事務所の同期の子たちと一緒に明治神宮に初詣に行ったんだけどさ、みんな小振袖だったんだよね〜。ボクだけボーイズスーツで」
 
「それで、龍も振袖着たいと思ったんだ?」
「そういう訳じゃないけど」
 
「じゃちょっと着てみるか?」
「そうだなあ、せっかく持って来てもらったし、着てみるくらいはいいかな」
 
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「全く素直じゃないんだから。よし、振袖を着て、今からもう一度明治神宮まで初詣に行こう」
「初詣って最初に行ったのが初詣じゃないの?」
「気持ちが新鮮なら何度でも初詣さ」
「そんなものかなあ」
「気持ちが新鮮なら何度セックスしても初体験だ」
「それ絶対違うと思う」
 
そんな話をしてから、龍虎は言った。
 
「でもこれから明治神宮往復はきつくない?」
「そっか。じゃ近くの白髪神社に」
「それどこ?」
「知らんのか?芸能の神様・天宇受売(あめのうずめ)神を祭る神社だぞ」
「へー!」
 
それでともかくも龍虎はまず小振袖を着付けしてもらった。
 
龍虎が凄く嬉しそうな顔をしているので、川南も楽しくなってくる。着付けは20分くらい掛かり
「この服大変なんだね!」
と龍虎は言った。
「おしっこの近い子には辛い服だ」
「ほんとに!」
 
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まだ両親が帰宅しないので、龍虎は「川南さんといっしょに神社にお参りに行って来ます」と母の携帯にショートメールを送り、川南の車に乗って熊谷市妻沼字女体にある白髪神社に向かった。
 
「あれ?車変えたの?」
「そそ。まあ6年乗ったらいいかなと思って。ちょうど車検だったし、少し広いのに乗り換えた」
 
ということで川南の新しい車はウィングロードである。
 
「荷室の広いのが欲しかったのよね〜」
と川南は言っていた。
 

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「この神社の住所凄いね」
と龍虎が言う。
 
「“熊谷市妻沼字女体”というのは凄いよね。元々利根川を挟んで男沼・女沼というのがあったらしい。その女沼のあった付近にこの神社は立っている」
 
「ああ、それで妻沼で女体なのね」
「龍も女体になりたい?」
「それは嫌」
 
「うん。龍は女の子の服を着るのも、女の子みたいと言われるのも好きだけど、女の子になりたい訳ではない」
 
「そのあたり理解してくれるのって、川南さんとか、千里さんとか、夏恋さんとかなんだよね〜」
「まあ長い付き合いだしね」
 
まあ、一時的に女体になったりするのは、悪くないけどね、などと龍虎は思っていた。おしっこが身体からまっすぐ落下していく感覚って気持ちいいし。
 
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「だいたい龍はスカート穿いてても、こうやって振袖とか着てても女装している訳ではないんだな。こういう服着て興奮したりしないだろ?」
「興奮って?」
「うーん。。。まあ普通の服の一部だよな?」
「うん。ボクはスカート穿くのに何も抵抗ないよ」
「実際ズボン穿いている時間よりスカート穿いている時間のほうが長いのでは?」
「家の中にいる時はそうかも」
 
「だから女の子が女装できないのと同じ意味で、龍には女装ができない」
「あ、それは彩佳からも言われた」
 
「まあ私がたくさん女物の服を着せて教育してきたおかげかも知れんが」
「それは川南さんが主犯だという気がするよ」
 

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神社は田んぼの中にポツンと小さな森があり、そこにあった。小さな神社である。御祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)・猿田彦命(さるたひこのみこと)・倉稻魂命(うかのみたまのみこと:お稲荷様)・須佐男之命(すさのおのみこと)である。鳥居の左右に「高岡稲荷神社」・「式内白髪神社」と書かれている。両者が合祀されたものなのか、あるいは稲荷神社の場所に式内社の白髪神社(現・大我井神社?)の分霊?が勧請されたものなのだろう。大日本史には、白髪神社は、大我井森から妻沼村に遷ってきたと書かれている。
 
なお、アメノウズメ・サルタヒコは夫婦神で、しばしば“塞の神”として祭られる。
 
アメノウズメは天岩戸(あまのいわと)の前で踊って、天照大神(あまてらすおおみかみ)を岩戸の中から呼び戻した神なので、神楽の元祖、踊りの元祖とみなされ、それで芸能関係者・民謡関係者などの崇敬が篤い。
 
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川南はお賽銭箱に1万円札を入れた。
 
「そんなに入れるの!?」
「龍が俳優・歌手として売れますようにとお願い」
 
「じゃボクも1万円入れる」
と言って、龍虎も同額を入れた。
 
「明日神職さんびっくりするかも」
「ふふふ」
 
それで2人で2拝2拍1拝でお参りして、龍虎の芸能人としての成功を祈った。
 
帰りの車の中で川南は言った。
 
「龍虎、小振袖好きなら、自分で着れるようになりたいだろ?」
「うん。着られたらいいなと思う」
 
「だったら、しばらくできるだけ毎週熊谷か、あるいは仕事の都合次第では東京近辺で着方を教えてあげるよ」
 
「わあ、それお願い」
「よしよし」
 
「ところで龍、アクアのファンクラブ会員番号の1番を私にもらえないよね?」
「それ希望者がたくさんいるんだよ!一応社長に言っておくけど」
 
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